おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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episode.12 「カルネ村帰還……のまだ途中なんだが」

 先程無理から首を出していたメカザウルス……ズーだったかと思うが、それの生首を切り飛ばしたゲッターロボ、これは旧というか初期ゲッター。

 鬼のように二本の角を持ち赤を基調としたその姿は赤鬼を連想させるものだが、損傷は凄まじく無事な部分という場所を探す方が難しいほどの大破具合、左腕は既に失くしており胴体にも大穴が開いており腹部から伸びているケーブルには壊れたゲッター炉心がぶら下がっている。

 

『あれでよく動けたものだ』

 

 感心というよりもそれは驚愕、驚嘆に近いもので呟くように声に出してしまう。

 ナシェルが吹き飛んだ跡を見てサトルは膝をつき呆然としているが、パーシャルドラゴン使ってたからファイアプルーフ、ヘヴィスケイル、ワイドウィングが含まれてたはず。

 

「あいたたた……」

 

 サトルが本を取り出すのを決断するのと同じくらいに声と影がかかる。

 声に気が付き顔をそちらにあげれば半竜人化したナシェルが飛ばされた上空から無事降りてきたといったところだが、仁王立ちは流石に博打だったんだろうな。

 上半身の鎧が無くなって、鱗の生え際もあってか随分とワイルドな姿になってしまっている。

 

「無事だったんですね!ナシェルさん!」

 

「無事、とはちょっと言い切れませんがね」

 

 苦笑いを浮かべる顔は大半が血に染まり、身体に見える鱗もかなりの部分が損失して血を流し身体全体を赤に染め上げるほどのもの。

 ファイアプルーフで炎や延焼は防げたものの爆発の衝撃による裂傷が目立つことからヘヴィスケイルじゃ焼け石に水だったが軽減そのものはできた感じから、物理攻撃であり魔法としての特性は持たない……サイズ差によるものは大きいと見たほうが良さそうだ。

 

「それにしてもその傷は大丈夫なんですか?」

 

 エンリちゃんの目がナシェルの腹筋にいっている。

 

「そこは私が治しますよ、ナシェルは早く服を着なさい」

 

 やっぱり色々と魔法関係は使えるのか……この世界独自の魔法や他の魔法も習得してておかしくない人だからな、レゾという人物は。

 

「ベホマ……やはり契約呪文というのは便利ですね」

 

 呪文を唱えれば淡い光がナシェルを包み瞬く間に傷をいやしていく。

 案の定使えるよこのバグキャラ……赤い光が瞳から漏れていたことからシャグラニブドゥにも覚醒してないだろうな。

 

『とりあえず問題がないならあのロボット……この世界だとクルマになるのか?ゴーレムとも言われそうだが……多分、人が乗ってるんじゃないか?あの損傷だと結構な怪我をしていると思うが』

 

 ゲッターロボ、腹の穴、潰した炉心、武蔵……なのだろうな。

 声が聞こえたことで人が乗っていることはこの場に居る全員も気が付いていることだろう、こちらの治療が終われば助けに行こうというくらいには善人が揃っている。

 問題はゲッターロボをどうやって移動させるか……こちらの手持ちで運べなければガルガンチュアに頼んでみるとしよう。

 

「そ、そうですね。あと俺も契約できないか試してみたいです、レゾさん教えてもらえますか?」

 

 ゲートをここからでも見えるゲッターの前に繋げながら、新しい魔法に興味津々なのかレゾが使った魔法が自分にも使えないかと教えを乞いていた。

 

「そうですね私が教えるのはやぶさかではないですが……ニニャ、あなたが教えてあげなさい。教えるという事は自身の知識を確認するという意味でもちょうどいい授業ですから、失敗を恐れず挑戦してみなさい。間違えているところがあれば私が修正しましょう」

 

「う、はい。がんばります……ところでこの暗闇はなんなんでしょう?」

 

 レゾの言葉にニニャは一瞬不安げな顔をするがレゾがちゃんと監督してくれるという事で両手を握りこぶしにして頑張る姿勢を見せる。

 楕円を下半分切り取ったような形で広がる飲み込むような闇を見て警戒するニニャが新鮮に映る。

 

「これはゲート、ここを始点に別の場所……今回の場合はあの鬼神の場所に繋げている位階魔法の一つその他に分類されるものですね。似たようなものでポータルという魔法がありますがあれの上位版で行き来が可能なものです、習得にはテレポートなどの空間系が必要ですね」

 

 失敗してもいい状況を作れるって本当に良い環境なんだよな……デミウルゴスは自分から意に沿わないことを理解して引っ込んで今の仕事を選んでくれたから助かったが戦力とするにはまだ気づけないというのは痛いな。

 気付いてくれんととてもじゃないが使う気になれんからなぁNPC(しもべ)たちってのは。

 

「空間系の欠点は失敗すると壁の中に出たり、人と変な融合をしてしまうことが挙げられます。使用には十分気を付けなくてはいけませんよ……かつてそれを利用した悪魔が居たとも伝えられていますから」

 

「テレポートで空高くに飛ばして地面に叩きつけるなんてことも可能ですから、ある意味凶悪な魔法ですしね」

 

「地面に設置して進路妨害とかもできそうだねぇ、遺跡にはそういったトラップも少なくはないし」

 

 テレポートの話に広がりながらゲートを潜れば、目の前にはクレーターの中央に片膝をつく形で佇むゲッターロボの姿。

 

「うわぁぼろぼろ……」

 

 その姿を見てグレーテルが思わずといった形で呟く、ゲッターが佇む横にはメカザウルスが首を無くした状態で横たわっており所々に紫色の腫瘍のようなものが見れる。

 

「アポトーシス……」

 

アポトーシス(自壊細胞)?機械の部分にもついているように見れますがサトル君はアレが何かを知っているのかね?」

 

「あれ?アポトーシスって……ラスティさんの書いてた物語で最初の方の敵の軍勢の事じゃ……」

 

 呟くサトルにいつ見たのか疑問を持つが、それよりもアポトーシスがこうして地上に出てきている事実こそが問題だ。

 アポトーシスはタルタロスの内部に居ることが基本だが……例外が存在する。

 ルカのように仲間にして連れ歩く等平和的なものと、もう一つ世界の終わりが近い時タルタロスから這い出てDNAを乗っ取りながら侵略を、世界の崩壊を進めてくる。

 似たようなものにカオス関連がいるが、あれはカオスの到来を早めるという役割を持つ。

 

「ん?ここが開くみたいだね……回復班早く来てくれ!中の少年が重傷だ、腹から(はらわた)もちょっとはみ出てる、火傷なんかも酷い状態だ!」

 

 ノブナガがゲッターのベルト部分から工事用ヘルメット、剣道の胴防具、マントを羽織り背には日本刀を背負った少年をロッククライミングよろしくゲッターロボの凹みを掴んで……どこに凹みがあるんだあれ。

 とりあえず、無事に素手登攀してコックピットから武蔵を引き摺り出し抱えて飛び降りてレゾがそれをフォーリング・コントロールでフォローする。

 そしてそれにエンリが駆け寄ってキュア・ウーンズを何度か使い傷を塞いでいく。

 それと同じくらいに木の葉の揺れる音と木の葉が擦れる音が遠くから聞こえてくる、先ほど逃げていたようにハニー達が集まってきているのかもしれない。

 

「まずいね、治療は動かせるくらいまで回復したかい?戦いが終わったことでハニー達が集まってきている。物理系の範囲攻撃手段がないから引いた方が無難だ」

 

 まだゲートは開いている、ゲッターロボを諦めれば……逃げることができるだろう。

 

『(すてらるむ さどくえ あすぐい……精神同調(魂の接触)聞こえるかガルガンチュア?そうだ、お前に頼みたいことがある。ゲッターロボ、姿はこんな感じだ……あぁハニワ共に奪われるだろう、奪還を頼めるか?すまんな助かる。ふむ、ナイアと名乗る女にアルベドが攫われた?わかったそちらはこっちで探してみる)』

 

「そんなにも危険な相手なんですか?」

 

「陶器類のそこまで強いとは言えない敵なんだけどね、集まってくる数が問題だ。魔法が一切効かない、ハニーフラッシュという軽減不可能な攻撃方法を取ってくるんだ。それが結構な数が来ている……一体一体は怖くないが数の暴力が一番恐ろしい相手だよ」

 

 俺もエンリも基本的に魔法型、鎌技があるにはあるがどれだけの威力になるかわからない。

 ニニャやレゾも同じく魔法型だ、ただのハニーならいいがそれなりに上位のものが混じっていたらまずいな。

 

「んじゃ俺がそいつ背負っていくぜ、後ろはまかせらぁ」

 

 テッドが気を失っている武蔵を肩に担いでまだ開いているゲート皆で潜っていく。

 

「あいつら苦手なんだよなぁ……火炎放射器でやけねぇしよ、ちまちま殴り飛ばすかできやしねぇ」

 

「焙烙玉にも限りがありやすからねぇ、数がわからねぇなら控えた方がいいですわ」

 

「ブレス系も魔法扱いなのか効かないのであまり相手にはしたくはないですね……」

 

 無事に湖岸に着くことで銘々に前衛を担うメンバーもハニーたちの戦いにくさを語ってくれる。

 ムジナも加わってる?所持武器内での範囲攻撃方法が少ないってのは何とかしたいところだな、メタルマックスのショットガンなんかの様にお手軽範囲武器が手に入ればいいんだが、ランテルに戻ったら探してみるか。

 夜の帳が降り始める前にテントの準備をしておかなきゃな。

 水面は境から指一本ほど、この広さなら朝まで豪雨でもなければ溢れることはないならこの辺りから少し離してのキャンプ地にしてしまえばいいだろう。

 

 

 

 軽く地面を均してマットシートを敷き、その上に骨組みを組み立てて布製の天幕をつけて、ロープを程よく張り結びついている紐を杭で地面に縫い付け、出来上がり。

 良く乾いた落ち木を組み合わせて紙なんかを使って着火剤に火を……

 

「ティンダー、プラント・シェルター」

 

 ……まほうってべんりだよなー、あっさり終わるのが少々残念だが、男闘呼組と女性組を分けて三つのシェルターを立てて、それぞれに夜番を立てる形になる。

 ノブナガ&テッド、ナシェル&ムジナ、レゾと俺という形に分かれて女性に夜更かしは厳禁だからな、美容の敵である。

 料理はその分女性陣に期待を寄せることになる、エンリには俺の料理知識を書いた本を渡してるし、レゾも弟子であるニニャに何かしら渡しているのだろう……錬金術は台所から生まれたと言われるほどだからな。

 料理もできたのだろうテントを立てるはずだった時間で装備の点検を終えたくらいでクリームシチューのいい匂いが辺りに漂う。

 削り出された木の器に盛りつけられた色とりどりの野菜がクリームの乳白色に沈みながらも主張する人参の赤やほうれん草の緑が実にいい。

 入れられている肉は先ほど狩った緑ぺロスという竜種の肉が使われている……ドラゴンの肉ってどんな味がするんだろうな。

 俺は骨だから食う事が出来んが、悟のレビュー待ちだなこいつは。

 

「そういえば、サトルさんはナシェルの指示にすぐ従ってましたけど……そういったのには慣れてたりするんです?」

 

「そうですね……俺は学歴、こっちだとなんていうんでしょう私塾とか寺小屋っていうんですかね?学校とかがあれば話が早いんですが……まぁ、とりあえず俺はその学歴の下の方、小卒という奴で小学校というところで何とか親に六年間、学ばせてもらうことができたんです……」

 

 サトルの言葉にそれを聞いていた皆が驚き進んでいたスプーンが止まる。

 

「六年!?」

 

 なぜそんなにも驚かれるのかサトルはわかっていないが、中世辺りでは普通はそんな風に学ぶこと自体が稀で丁稚や奉公、生家の手伝いといった形で仕事の事を覚えていく。

 

「え?そんなにもおかしいです?」

 

「こっちだと、学べる場所っていうのは貴重でね。知識は資産と同じなんだよわざわざそういった知識を譲ってくれる人が少ないわけだ……これは本が高いのもあるね、自動書記なんかが普及すればまた変わるかもしれないが。ところで一番売れている本って何か知ってるかな?そう各宗派の聖書でね、しかも国のモラル形成にも一役買っているためにその技術が世に出たとしても確実に個人資産で賄うことができなくなる借金を背負うことになる。うん、サトル君の居た所では教育がモラル形成を担っていたんだろう、だから国を挙げての教えるための本を作っていたんだろうね。で話は戻るが大体勉強ってのいうのを教える余裕がないことも多くてね、それより農業の手伝いなんかを教えることになるんだ。子供というのは労働力だからね」

 

 この辺りはレゾが割とわかりやすく説明してくれてるが、社会背景の違いというものだろうなぁ。

 俺の時代でも義務教育って受けさせなきゃ親が罰金払うようなものだったし、米所なんかだと稲の刈り入れ時に手伝う為の秋休みなんてのもあったくらいだから。

 小さいころなんかは嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれるとか、悪いことをすれば地獄に落ちると多少曖昧ではあるがきちんと悪いことをすればどうなるってわからせて、モラルの土台を作るのに使われてきたんだよ、少し前の日本でも……今じゃ無宗教ってか、ちゃんぽんな感じになってるが。

 ついでに日本の学校ってのは集団生活の場所だからな、その手の事も教育で教えてる場所でもある。

 

「あれ?でもそんなサトルさんでも下の方なんですよね?上ってどこまであって何歳くらいから学び始めたんですか?」

 

「えーと六歳から小学校が始まって六年、そこから中学があって三年、高校で三年、大学で四年、院生で何年だっけかな……」

 

 今度はレゾ以外が絶句するが、ニニャ、エンリ、グレーテルと女性陣がさらに青い顔をしている気がする。

 

『あー……中世の結婚適齢期が学校全部通うと確実に過ぎるのか』

 

『え゛』

 

「ふむ、元の世界に未練はないのかね?学校に通っていたなら友達とかもいただろうし……」

 

 その質問に頭に浮かんでくるのは、日中夜間問わずにどこからか聞こえてくる街中の戦闘音、汚染されスモッグで少し先すら見えない空、整備されない罅割れたアスファルトに枯れ木すらもない無毛の大地、工場から吐き出される廃液で虹色に輝く水、振り落ちてくる黒色の雨、マスクと空気の清浄機がなければまともに生活もできない……ポストアポカリプスな世界の方がマシかなぁと思える世界が浮かんでくる。

 

「うーん……無いですね。うん無いです。その友達も死んでしまったらしいですし、それならこの世界に呼んであげた方が喜ばれるんじゃないですかね」

 

 サトルの友達という言葉に聞きたそうにしている面々。

 

「実際、蒼井さんという友達を呼ぶことができたので他の人たちを呼ぶこともできると信じてるんです……最初は異形種狩りというものから他の異形種、いや弱いからと虐げられるひと達を見て搾取されていたばかりだった自分に重ねたのかもしれない。人の命を何とも思っていない社会側に立ちながらも人を守ろうとした騎士、そんな社会を壊そうと日々妄想していたバフォメット、今目の前に広がる自然を求め命を落としたトレント、生活するために働きながらもたったの二年で身体をボロボロにしながらも最後に会いに来てくれたブラックウーズ、身体を壊し会えなくなった友人も居る……もしかしたら俺の知らない場所で命を落としていた友人や病で動けなくなった友人もいたかもしれない……あっちではバカやってた人もこっちでは案外普通かもしれない、バカやって無茶をして、それでも笑いあった友人をこっちに呼びたい、と」

 

 そんな風にしんみりとした口調だが最後には笑顔で自分の目的と目標を語れば、近くから腹の虫が鳴る音が響いてくる。




信仰魔法 出典:ソードワールド
 回復を中心とした魔法を覚え、信仰している神によっては特殊なものを覚えるものである。
 アレクラストでは鍛冶の神や盗みの神なども存在しており、覚える魔法の使い方によってはえげつないことになることも……場合によってはGMを泣かせることになる。
 覚えるためには「神の声」と聞くことが必須であり、その神を信仰している必要がある。
 当然のように禁忌とされている行動が存在しており行動次第では信仰心を失ったとしてその技能を剥奪されることも、当然剥奪された場合他の神を信仰しても取り直すことはできない。
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