おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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あらすじに一文追加しております

何故かお気に入りが増えてる……不思議だ


episode.14 「要塞カルネ村」

 ガーネットとタブラがハリセンで吹っ飛んで湖に落ちたところで保存食を取り出し用意してくれるエンリがほほえましい。

 

「もう……」

 

 あの程度はサトルと彼らのいつもの事なんだろうって、呆れている様にも笑っているようにも見える悟の顔を見て察してくれる信頼が悟には今ではもう何よりもかけがえないものだろう。

 武蔵はモンスターってのを始めてみたんだろうな。

 

「え?え?」

 

 疑問の声を呟きながら水面に沈んだ二人と指さしながら、水面とこっちを交互に見ている。

 ニニャも同じような感じだが、ランテルで確認している事実からモンスターが友達っぽい事よりも唐突に湧いて出てきたことの方に驚いてる。

 ほどなくして平泳ぎで泳いできた二人は水音を響かせながら湖から上がって、サトルから人化の指輪を受け取り人の姿になるが、佇まいを正して正座して……頭を下げてくる。

 

「「最後に会えなくてごめんなさい」」

 

 そんなかしこまった二人に悟は慌てふためき手を振りながら顔を上げてもらおうと必死に声をかけながら考えていた。

 

「そ、そんなことしないでくださいよ!?土下座なんてされても困りますよ!?」

 

「最後まで維持してくれた玉座の間を私と一緒に吹き飛ばそうとしたんだ!本当にすまない!」

 

 タブラの言葉に慌てていた悟が固まる様に動きを止める。

 

「最終日三日前にアルベドにギンヌンガガプを持たせて、玉座の間で玉座に座っているプレイヤーに全力領域で放つように……」

 

 タブラの言葉は最後まで言うどころか後半から無言の悟から放たれる圧の前に尻すぼみしていく。

 

「ふんふん、俺が寝る間も惜しんで二年もの間、一人で維持してきたナザリックで……何 を 放 と う と し た っ て ?」

 

 言葉が完全に止まったところでハリセンで軽く何度もタブラの頭を叩きながら、低い声で最後は一言一言区切りながら問い質す。

 頭を叩く度に関西弁のツッコミがハリセンから出てくるが、その程度ではこの空気を換えるには至らなかった。

 

「どうしようとしたってきいてるんだけどなぁ……」

 

 この状態の悟は多少の事じゃ怒りを納めないからな……どうしたもんだか。

 ただ怒れる現状を歓迎するとしようか、喜怒哀楽人の感情は大別すれば四つ……怒るなんてのは悟はあまりしないというかむしろ恐れている節がある。

 怒るという行為を忌諱しているとでもいうのか、自身の事で怒ることはない。

 悟は自分の守ってきた大切なものの為なら怒れるという事が知れただけ良しとしよう。

 

「ユグドラシルに最後まで残るだろうと思ってたんだ。モモンガ君は……」

 

「えぇ……残ってました。最後まで、誰かが帰ってきてもいいようにと」

 

「それが駄目なんだ。思い出を語る時は悲しみでしんみりとしちゃダメなんだよ。バカやって、笑って、楽しんで!憤りと共にだって良い!ユグドラシルに囚われないでほしかったんだ!!最後に馬鹿な真似して怒る君をリアルに誘い出して、あのまずい酒でも飲みながら、君の愚痴として、『ユグドラシル』を吐き出してもらいたかったんだよ!」

 

 悟は意味が解らないときょとんとする。

 リアルで会うべきだったと語るタブラの言葉の意味が理解できないんだろう。

 

『悟君よ、ユグドラシルは楽しかったかい?』

 

 悟は目を瞑りユグドラシル時代を思い出しながら、ゆっくりと口を開く。

 

「楽しかった……うん、楽しかった『んだ』」

 

 なるほど、こいつは重症だ。

 これを離れていても察してくれる友がいる。

 これを最後まで治そうとしてくれる友がいる。

 

「……あれ?……ん?……なんでだろう?なんかユグドラシルが終わったあの時ほど悲しくないような?」

 

「えぇっ!?」

 

 思い出しながらそこまで悲しいと思っていない悟は首を傾げ、そんな様子の悟を見てタブラはびっくりしている。

 

『そいつは簡単だ。今、悟君は充実してるだろう?仲間たちを呼ぶ目的をもって、共に居たいと思う相手、エンリちゃんが居て……幸せを感じているからユグドラシルって過去を思い出に出来てるのさ』

 

 タブラがやろうとしていたことがいつの間にか達成されていたことにしょんぼりしていた。

 そしてそれを力にする方法も教えて、この話題は終わりだろう。

 

『それを力にする方法はなぁに簡単……それを失った時を想像してみればいい、失いたくないと死力を尽くすだろうさ』

 

 その後はタブラが最終日にこれなかった理由やガーネットが死んだこととか聞くくらい。

 タブラはテロにあって仕込みの次の日に、ガーネットは仕事が忙しくなるとギルドを抜けてから数か月後に仕事中、気絶して機械に巻き込まれたのだろうと話していた。

 

 

 

 その後はなんだかんだ人の姿もとれるし敵対的でもないことですんなり受け入れられる二人は干し肉と日持ちさせるための黒パン、乾燥果物、シチューの残りを美味い旨いと平らげてレゾが追加で作りだしたプラントシェルターで眠った。

 当初に決めた通り最後にレゾと共に夜の見張りをすること……正確にはレゾと今後の方針をすり合わせるべく会話を始める。

 

「そういえば法国の特殊部隊の事を?」

 

「ある程度は、漆黒隊長が黒髪の少年でね」

 

「やっぱり法国はそういうこともしているか」

 

「今はピサロという善王が治めているがエルフの前王も怪しい」

 

「傾世傾国があったからな、確かにそういう使い方が手っ取り早いか」

 

「アポトーシスというのは?」

 

「いわゆる並行世界の管理者、乖離しすぎた世界を抹消する」

 

「という事はやはりこの世界は」

 

「悟の奴にはまだ話すべきじゃないだろう」

 

「そうだね、介入理由は武蔵君が今のところは濃厚かな」

 

「すまんな、無関係のお前たちも巻き込むかもしれん」

 

「私やノブナガ君は構わない、ナシェル君はあくまで協力者にしたい」

 

「ニニャは何かしらの復讐か?」

 

「いや、彼女は姉を探している」

 

「なら巻き込めんな」

 

「王都は勝てると思うかい?」

 

「五分五分だな」

 

「目下の敵は」

 

「魔神皇は」

 

「「リィーナだ」」

 

 最後に二人の名指しが揃う。

 

「五百年前の魔神戦争の首謀者と思われる」

 

「六大神と八欲王の殺害を実行したらしい」

 

「龍帝の開けた世界の亀裂を広げる生贄と予想している」

 

「アリスとミカエラに封じられ、おそらく俺も巻き込まれる」

 

「目的は?」

 

「マッチポンプの代価」

 

「あぁ、ミネア君が言ってたあれか」

 

「全くもって厄介なことだ」

 

「知る人は君を警戒する、か」

 

「予知するのが正史か、それとも外史か」

 

 そんなことを話しながら夜は明けていく。

 暁が空を切り開く頃には皆起き出して伸びをしたり、朝食の準備をし始める。

 タブラは昨夜言ったように悟君に協力してくれるだろう、ではガーネットはといえば朝食を食べながらこれからどうするつもりかを話してくれる。

 

「俺はタブラさんや蒼井さんのようにモモンガさん……あぁ、いや、悟さんと言った方がいいか。こっちに呼んでくれたことには感謝もしてるし、恩も感じてる。でも、ごめん、そこまでの覚悟は俺にはない。協力できることは協力するけど無茶はしたくない……」

 

 普通の人の反応はこうだよ、覚悟決まってる方が普通はおかしいんだ。

 

「それは気にしませんよ。俺が呼びたいから呼んでいるだけですから……ただ、また昔みたいに楽しくやれたらいいなぁとは思います」

 

 そういって優しいというよりも人を引き付けるタイプの笑みを浮かべる、本当に呼べることがうれしいのだろう。

 そして昔と変わらないことが。

 さて、改めてカルネ村に向かおうとキャンプ場を仕舞い終えるころ大地に響く重々しい音がゲッターロボのあった辺りで土煙と共に聞こえ見える。

 

「なんだあれは!?」

 

「巨大なゴーレムですかね」

 

「あの赤いゴーレムのところ辺りくらいかな」

 

「ゲッターロボがあるのか!?あそこに!?」

 

 皆が振り向きそちらの方向を見ればゲッターロボに比べれば頭二つ分ほど小さく見えるが、それでも十分に巨大と言えるガルガンチュアが両肩に負荷が分散するようにゲッターロボを担ぎ上げるところだった。

 

「ガルガンチュアだ!スーパーロボットだ!やべぇロボマニア魂が滾る!」

 

「地上戦艦ティアマットだとかに搭載したら面白そうだよなぁ、南の砂漠で走り回ってるらしいぜ」

 

「でっかい、すっごい!カッコイイ!」

 

「サトルさんたちはあの大きなのを知ってるんですか?」

 

 各々に驚きの言葉を聞き中には意気投合するガーネットとグレーテル、ゲッターロボを心配する武蔵君にこちらに確認してくるエンリと様々な反応が見れる。

 

「さすがにあのロボットを動かすには俺達じゃ無理だと判断して、鈴木さんが助っ人としてガルガンチュアに連絡入れててくれたみたい」

 

「カルネ村に持っていくんですか?直せるようなものがあるとは思えないですけど」

 

 首を傾げこちらを見てくるエンリ。

 

「とりあえず鍛冶長に相談して何とかできるか聞いて、無理なら無理で何が必要そうか聞かないとだからなぁ」

 

「ゲッターを直せるのか!?」

 

「いや、まだわからんからな!?」

 

 どうにかできるかもと聞いて武蔵君が大きな声で聞いてくるが、部品すら作れるかどうかわからんというのが現状。

 

「旋盤とか造れりゃそこからがんばればなんとか?鉄板とか加工すりゃ外装を戻すくらいはできるかも、だなぁ」

 

 ガーネットがゲッターを改めて見ながらそんなことを呟く。

 とりあえず、ガルガンチュアが追い付いてくるのを待ってからカルネ村へと歩を進めれば昼前ぐらいには石壁に囲まれた凹凸を意識した村というよりもすでに要塞と呼べるカルネ村が見えてきた。

 

『シズの奴……2ndナザリック・イン・カルネ村じゃなくてカルネ村・イン・2ndナザリックにするつもりか?』

 

 石壁は丁寧に外側に緩い傾いていて、崩れたら崩した敵が巻き込まれる構造になってるという事はその裏にもう一枚壁を作ってるんだろうな。

 凸凹にしてるのは一点集中の兵力を許さずに小分けにさせた敵を殺し間に誘うものだし、外開きの小窓があることから内側から射撃をすることができるようにした銃眼兼見張り窓。

 物見櫓を村の中央に作ってるのもなかなかにえげつない。

 湖から水路を引いて外から水を引くこともできるし、壁の向こう側は畑だろうから籠城にも適している……ナザリックの物資をカルネ村に移せば世紀単位で持つだろう。

 そして門の前ではゴブリンが門番に立っており馬車が立ち往生しているのが見える。

 男性が四人、入れないか話しているようだ。

 

「あら?ンフィーレア君じゃないですか、薬草の採集はもう一週間ほど先では?」

 

 窓から顔を出したニースさんが先に着いていた男性たちの顔を確認したことで武器は取り上げられたが通ることができたようだ。

 こちらも近づくが、ガルガンチュアとゲッターを見てどうしようかと考える。

 どう見ても門が通れるサイズではないのだ、ゲートでとも考えたがガルガンチュアのサイズまで広げることができない。

 そんなことを考えてると石壁の横に巨大な鉄製の門がゆっくりと開いていくのが見える。

 

「ガルガンチュアはあっちからってことかな……」

 

「『サムズアップ』」

 

「村?え、村?要塞の間違いじゃないの?」

 

 最後の疑問は当然のものではないだろうか。

 




天才同士の会話
 何を話しているのかは大体想像通りのものであり、第二巻半ばの状態で十四巻までの出来事を大体予測してる変態どもの会話である。
 三人寄れば文殊(菩薩)の知恵とは言うが文殊三人寄れば何の知恵というのか。
 ここに黒のアリスともう二人が加わればこの世界の知恵者最強決定戦が開かれる……かもしれない。
 ここまでの会話で大体この世界に強敵が配置されている理由位は察せるのではないだろうか。
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