おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:黒龍なにがし

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NPCの中で最も覚醒早そうな子たち
原作にてモモンガの休暇提案に直訴で対抗したり
敬語やめてと言っても自分の意志でやめてなさそうな子たち

そうだね、メイドさん達だね
ホワイト・プリムさんのイラスト集や購入した漫画とかアッシュールバニパル置いてそうで……仕事と私事を切り離させる役に立ちそうなのですw


尚、今回でてきているスキルは適当なものです



episode.16 「こいつらどうしてくれようか」

 村の中央付近まで進んだ俺達を出迎えたのは顔面スケートを地面でしているパンドラなのだが、その身体中には打撲痕が刻まれておりその勢いから顔面スケートは好きでしているのではなく、強力な攻撃で吹き飛ばされ地面に叩きつけられて滑ってきていることを物語っていた。

 摩擦の方が滑る勢いに勝る瞬間が来て、見えないトラックに跳ね飛ばされるように空中へ跳ね上がりその勢いのまま地面へと叩きつけられる。

 

「ぱ……パンドラァァァァァッ!?」

 

「まだまだああぁぁぁぁぁ……」

 

 地面をひっかく様に四本の指から力を込め身体を持ち上げ、つま先に残る力を込めて低空を飛ぶ燕のように駆け出していく最中に武人建御雷の姿に変わっていくのだが、変わった瞬間にもう一つの影がパンドラの上に現れ鬼武者とも形容できる巨漢を圧し潰す。

 

「まだまだ変身が遅い!全身を変化させずに必要な部分だけを変えろ!自分の能力を掌握しろ!お前はそこからだ!二重の影(ドッペルゲンガー)!」

 

 その圧し潰した人物は黒い翼を広げるルシファナさんであり、その両手には遊ぶように手で回されてる二つのメイス。

 腰に差されている得手であるはずの剣は抜かれておらず、それは手加減された状態でパンドラが手も足も出ていないという事、次いでいうなら俺でもルシファナさんの動きを捉え切れていない事か。

 

「俺の息子に何してやがるんだぁあ!ルシファアナァアアア!!」

 

 ここまでぼっこぼこにされているパンドラが訳のわからない悟君の目の前に飛び込んで来れば怒るのもわかるのだが、パンドラはパンドラで自身の壁を打ち破る術を探すための訓練をルシファナさんに頼んだのだろう。

 

『全く悟君は過保護なもんだ。<メッセージ>レゾさん、全員に手出しさせないでやってくれ。<メッセージ>タブラ、あの人は敵じゃないから』

 

 この辺りは俺のメッセージは便利なもんだ。

 本来なら声に出した声が相手に届くのが伝言(メッセージ)だが、俺の声が届くのは悟君が表に出ているときは悟君にのみだ。

 上位に声を出す必要のない念話(テレパス)、これはムジナとのやり取りでよく使っている奴だな、さらに上位になれば切り離された時間という独立した空間での複数人とのみの会話を距離に関係なく行うことのできる秘密の小部屋(シークレット・ルーム)が確認できている会話系のものか。

 見ることにジャミングができるように距離の制限やジャミングへの強度は本人の魔力は当然ながら上位のものになればそれらに計算される倍率が変わる。

 この辺がこの世界でメッセージが信用の置けない魔法となっている原因だろう。

 

「おっかえりー、サトル君。なるほどサトル君も特訓したいわけだ……それじゃ『朱の明星』『天の殺戮者』のルシファナさんが手ほどきしてあげましょう。胸を借りるつもりで来なさい」

 

 余裕綽々の態度で揶揄うように指を動かして笑顔で挑発をしてくる。

 

「やろお!ブックラッシャアアアァァァッッ!!」

 

 棒を両手に持って突撃するのだが、これは挑発が効きに効いて冷静な部分はまともに残ってない状態であり、戦闘としては悪手どころかただの自殺行為だ。

 教えたはずの基本をかなぐり捨ててただ当てるために振り回すことしかできないだろう。

 

「うーん……」

 

 この無様な突撃にはルシファナさんも思わず苦笑い、それでも手を抜かないところが流石。

 悟君の顔の横に添えるように存在するメイスの穂先、踏み込みの起こりしか見ることが出来んとはこれは俺も精進が必要だな。

 悟君も痛い目を見るだろうが、『目の良さ』ってのは戦闘では極めて重要な要素だと知ってもらうとしよう。

 視界の暗転と浮遊する感覚、確実に気絶させられたと判断できる状況だったのだが。

 

「ぶるあああぁぁぁぁっっっ!!!」

 

『「おおっ!?」』

 

 ルシファナさんと俺の驚愕の声が重なる。

 なんと一瞬白目を剥いたはずなのに、歯を食いしばって棒を振り切ることができるとは……侮っていたわけじゃないが俺たち二人の予想を上回ることをしてくれた。

 振るう棒の勢いは俺の目から見ても腰の入っていない速度も勢いもない手振りの一閃がルシファナさんに届くはずもなく。

 

「えい♪」

 

 気の抜けるような気楽な一撃が脳天を撃ち抜く衝撃を放ち、今度こそ完全に意識を落とされる。

 正直、ルシファナさんに乱入してるモリガンが居るので悟君に時間かけるほどの余裕がないのもあるが……これが、俺の知りうる最高クラスの戦いか。

 チャクラムのように空を無数に切り裂いていく皿の数々、それを紙一重で捌き切る幾線も走り抜ける剣の閃光。

 どちらもまだ技を切ってないところ見るに、村があることで遠慮出来ている程度には冷静だという事だ。

 

「「ははははははははははははははははは……あははははははははははははははは……はっあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっっっ!!!」」

 

 どうしようこの二人、戦闘狂い(バトル・ジャンキー)の他にも血の饗宴(ブラッディ・パーティー)狂気の感染(マッドネス・インフェクション)痛みの熱病(ペイン・フィーヴァー)積んでやがる。

 俺絶対初期のハドラーみたいな顔してるよ。

 

「「消し飛べ」」

 

深淵なる世界への接続(アブス・ワールド・コネクト)永遠なる時間(レルアバト・ハーデル)

 

真紅の灼熱(クリムゾン・フレア)!!!」

 

真理の雷拳(ユピーテル・クラッシュ)!!!」

 

 切り取った空間が全て消滅するような膨大な熱に、電子分解されかねない程に集圧された雷を一点に打ち放つその威力はあの狂戦士が放ったカドラプル・ギガに見劣りしないものだった。

 空間は軋みを上げ悲鳴を上げ続けその空間を維持し続ける俺の精神を削り続ける。

 いつまで続くのかと思える拷問じみた短い時間、ただの一瞬ともいえる発動が永遠とも感じられる。

 二人の行動はその軋みが徐々に鎮まる事で把握することはできるが、まだ動き回っているのか度々消費する魔力が跳ね上がる。

 二つのぶっ飛んだ範囲攻撃が止んだのを確認して、二人を止めるためにあるアイテムを創り出す。

 

「クリエイト・アイテム、フル・ポテンシャル・オブパワー」

 

 それは巨大な鐘、但し二人を覆うように創り出し、(それ)を全力でぶん殴る。

 文字通りの全力で殴られた鐘は轟音を鳴り響かせ、内部に居るものに反響を合わせた絶大な波で身体ごと脳みそを揺さぶる。

 

「「………!?」」

 

 何やら聞こえた気がするが、鐘の音で聞こえんなぁ。

 しばらく殴り続けていると鐘の中から二人が落ちてくる。

 Q、素早くて捉え切れない相手にどうしますか?A、逃げ場のない範囲攻撃で圧し潰す。

 

「まったく……空間掌握が土壇場で上手くいって何よりだ……あぁ、もう疲れた……」

 

 骨の身体ならこんな疲労もないだろうが、今は悟君の時間だ……それを理由もなく侵すつもりは俺にはない。

 この二人への説教はどうしたもんだかなぁ。

 

「いやはや、すごいことになるものだねぇ」

 

「想像しなかったすごい方法で二人を止めるものだ」

 

 レゾにノブナガの声が耳に届くが、それに驚くような気力もわかない。

 

「ルビーアイにザビエルか?」

 

「「違う!」」

 

「あぁ……その言葉に嘘はないようだ。安心した」

 

 かけた言葉に即座に返してくる二人の否定の言葉に、俺の推測が外れていないことに安心する。

 レゾ、ノブナガはそれぞれにシャグラニブドゥ、魔人ザビエルの力を持ちながらそれぞれの人としての感性を持ち合わせてこの世界に存在している。

 

「君は相変わらずどこに向かっているのか……」

 

「相変わらず皆が笑ってのんびりやれる……ハッピーエンドな世界だよ」

 

 気の抜けた笑顔を向けながら本を取り出し確認すれば、四十一名の名前から四十名へと減っていたことが見て取れる。

 減った名前はガーネット、とりあえずこれでこちらの求める終わりとあちらの求める終わりが近しいことがわかる……相手が相手なので確約はできないが。

 二人の確認と本のチェックが終わったことで掌握している意味を終えた為にこの状態を解くと世界はまたいつもと変わらず動き出し、タブラの後ろにいい笑顔をしたルベドが立っていることに気が付く。

 

「やっほぅ……ぱぁーぱぁ……」

 

 その顔は上半分が暗闇に呑まれたように暗くなっており、金目がその闇の奥で爛々と輝きタブラを見ていた。

 

「ひぃ……」

 

 肩を力強く掴まれており、ガーネットの時とは違い本気で怒りを持っていることがわかるのだろう。

 その体は恐怖で震えている。

 

「パパのばかぁ!」

 

 ルベドはこぶしを握り、タブラへと振り抜く。

 その拳は音を置き去りにし、タブラを消し去り、土煙が辺りに舞う、しばらくしてから何人かの視線の先である湖で大きな水柱が昇る。

 

「ルベド……やりすぎだ」

 

 拳骨をルベドに落としてやれば、頭を押さえて頬を膨らませながら涙目で見上げてくる。

 

「私悪くないもん!」

 

 ため息を吐き出し、石の壁を見る。

 

「石の壁にぶつければ拾いに行く手間も省けたろうに……」

 

「ネムちゃんや村のみんなと一緒に作ったもん、壊しちゃだめだもん!」

 

 体全体を使って怒りを表現する赤髪の短髪にそろえた少女がルベドだ、ニグレドやアルベドとは違い大人の女性としてではなくまだ成長期にある少女の姿で赤と黒のツートンカラーに白の色糸を入れたワンピースを着ている子だ。

 

「そうか……そいつは悪かった。がやりすぎなのも確かだ、きちんとタブラのやつを拾って介抱してやるように」

 

「……うん……」

 

 軽く頭を撫でてやりその優しさを褒めてやり、それを使えといった俺は謝る。

 ルベドがタブラを回収するために腰についた翼をかわいく羽ばたかせながら飛んでいけばその後ろを「姫ぇぇぇぇっっ!!待ってほしいでござるぅぅ!!」と巨大ハムスターが追いかけて行ったり、腹部を除いて茶色い毛に身を包んだ毛むくじゃらの一つ目の肩に乗ったネムが頭の上に丸い蝙蝠っぽいのを乗せて腕の中には青いゼリーのようなスライムを抱きかかえてこっちに手を振りながらやってくる。

 

「ネムさんそんなに動くとまた落ちますよ」

 

 そしてその後ろについてくるように歩いているのは第二王女のラフィニアであり、ネムのはしゃぎっぷりにころころと笑いながらこちらに来る。

 ナシェルが驚いた顔をしているが、前世の愛妻がこっちでも王女様してるの知らなきゃそりゃ普通に驚くだろう、ナシェルは平民として生まれたみたいだし。

 だからこそ『漆黒の剣』はレゾとノブナガと違いナシェルとニニャには目的があり様々な場所を巡っていた訳だ。

 ナシェルはニアを探すために、ニニャは姉であるツアレニーニャを探すために。

 なんで姉の名前を知ってるのかって……さっきバルブロ王を突き刺したメイドさんがそうだった。

 

「お姉ちゃん、おかえりー」

 

「えっと……ネム、その人?たちは……」

 

 亜人とかモン娘と違ってもろにモンスターだからな。

 

「ガンドフさんにドラきちにスラりんだよ。あと森の方にね、アオイさんと一緒にスミスとパペックとロッキーも採取の手伝いしてるの。あとね、メッキ―もたまにお空の散歩に連れて行ってくれるんだよ」

 

「ネムが迷惑かけてないですか?結構やんちゃなので……」

 

 エンリの質問にガンドフは首を横に振り、笑顔を向ける。

 

「子供、元気、一番……必ず守る」

 

 モンスターでありながらほかの子供たちがネムを羨ましそうに見てるのを知っているのか、一度ネムを肩からやさしく降ろしほかの子供たちの方へと向かっていく。

 その背中には無数の切り傷が見て取れ、ガンドフの『守る』というその意志の重さが伝わってくる。

 ナシェルがラフィニア王女を抱きしめたり、顔を治した後に悟君が気絶から復活してエンリのお父さんスパークさんに土下座して結婚の許しをもらったり、真っ白に燃え尽きてる第三王女のラナーが椅子に座ってぶつぶつ言ってたり、エンリの結婚話を聞いてンフィーレアとかいう男の子が膝から崩れ落ちてたり、ナザリックの覚醒メイドさん達二十名総出でナシェルとラフィニア、悟とエンリの結婚式の準備をしたり、ルシファナさんとモリガンが俺の残した映像をニースさんに見られて説教されてたり、クレマンティーヌという漆黒法典から逃げ出した女性がエモット夫妻の養子になっていたり、帝国の四騎士の一人レイナースがなんでか村の人たちに集団先頭のイロハ教えてたり、青井さんの後ろにカルガモ親子のように蜂をデフォルメ女性にしたようなミストレスとキツネの着ぐるみを着たような女の子の月夜花(ウォルヤファ)が居たり、土を石に変える魔法を開発してたりとなんでこんなにも短期間で変化してるんだろうな。

 なお初夜の悟君とエンリちゃんはお昼ごろに起きてきたことだけここに記しておこう。




あかちゃ……まもった……

ゲームでは乳母が双子をベッドの下に隠して守るのだが、小説版ではガンドフがその身を使って守ることで、パペックはデモンズタワーまでの道印にするために自分の体をバラバラにして置いていく。
メッキーもパペックを運びながら戦い空に散る。
スラりんとドラきちは子供のふりをしてモンスターを騙すがそのせいでビアンカが魔物についていってしまう。
それを負い目にしてしまいメイジキメラ戦でまぶしい光で目の潰れた敵味方に自分の体ごと倒させる。
スミスはデモンズタワーでのボス、ジャミの最後の攻撃から守るためにリュカとビアンカの盾となり氷漬けになり砕け散った。
ロッキーは光の教団の悪あがきにリュカたちを生き埋めにしようとしたところをメガンテを使うことで活路を開きその命を散らせる。

本が手元にないからうろ覚えだが、こんな感じだったと思う

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