おっさんはこちらが浮かぶ
そんなギャグのような戦闘
エ・ランテル中央部は噴水を中心としたそれぞれに伸びる街道が合流する、人々の憩いの場だった。
だったはずだった。
今そこには、ホバー移動するボロボロに見える幽霊船がデーモンたち相手に砲門を開いて戦火を交えていた。
甲板にはバンダナを巻いたスケルトンたちがカットラスやハチェットで降り立ってくるガーゴイルに似たデーモンと戦っている。
「ウィスパーたち!街の人を安全な場所に誘導するんだよ!!キャプテン・セレーネのシマで狼藉しようたぁふてぇ野郎どもだ!!目にもの見せてやりなぁ!!私たちゃ、海賊だ!奪われるな!相手の
マグナムガデスをぶっ放しながら、水のない空中で水球を無数に生み出しレーザーのように打ち放つことで一瞬で戦場を掌握していく。
半透明の布を被ったような古典的な幽霊たちやゴースト娘たちがその隙に地上で逃げ遅れた人たちを船室へと引き上げさせていく。
「そうとも我らはパイレーツ!お頭に遅れるなぁ野郎ども!!」
海賊船長の帽子をかぶりいかにも船長だと思われる骸骨……ドレイクがセレーネに従いパイレーツスケルトンを鼓舞しながら、空中を滑るようにミミズクの上半身を持ち両腕が触手になっているデーモンを優先的に切り裂いていく。
「サトルたちかい!墓地からやってきてる、レゾ!そっちは任せるよ!」
こちらに気が付いたセレーネさんは敵の出所を教えるだけ教えて戦いに意識を戻していく。
戦力的には破格の強さを誇るが、それは対単体に近く良くて射角の狭い範囲で貫通力便りの穴を開けていく戦い方、弾数がどれだけあるのかわからないがこの敵の数だ。
「心配はいらないね!ほかにも戦い方なんてあるからねぇ……全門発射!期待の新米のお通りだよ!」
「「「イエス!マム!」」」
砲弾が連続して打ち出される音を背に、爆発で巻き起こる爆煙をかき分けて墓地へと急ぐ。
「セレーネさん……ご武運を!」
墓地の門では冒険者たちが喧々囂々銘々に叫び声をあげながらデーモンやアンデッド、見たこともない動物型のモンスターと戦っていた。
「
驚きに眉を上げるレゾさんを見て、俺たちは一度足を止める。
その一拍、状況を確認しようとしたとき着いてきていたクライム君が一直線に駆け出す。
「マーニャさん!!」
駆けていく先には、壁にもたれかかり腹部を押さえている肌の露出の多い踊り子としか言いようのない布面積の少ない衣装に身を包んだマーニャだった。
今まで受付をしていた普通のシャツとスカートの姿しか見たことがなかったが、これが本来の力を発揮するための装備なのか、慣れ親しんだ信頼できる装備なのだろう。
抑えている腹部からは夥しい血が流れており、それは重要な臓器を傷つけていることもまたはみ出ている内臓から、致命傷だとすぐにわかるほどのものだった。
「あぁ……」
クライム君に治療の手立てはない、クライム君だけでは……ただここにいるメンバーの多くも多くの人を治療する手段を持つものは少ない。
サンクチュアリ系列の魔法を使えば、前に出した領域を失うことになる、ここに出してしまえばここよりも戦力の乏しい武蔵君たちが困窮することになる。
何よりもムサシ君は冒険者仲間だとこの後の登録時に強弁することで、治療費をうやむやにしなければ無一文の武蔵君が路頭に迷う。
そのついでに兵士や街の人たちが通った際に治療されただけで俺自身が治療したわけではないと、緑谷さんとも投げたという体で手が滑ったのだと口裏を合わせている。
「ごめんね……クライム君が城から帰ってきたら、式を挙げようって待っててもらったのに……」
「マーニャさん!しゃべらないで!大丈夫きっと助かる!助かりますから!」
「自分の体d「ポーション・ピッチャー!!」あいだぁ!?」
叩きつけるように投げられたポーション瓶はクライム君に抱き起こされたマーニャさんの顔面にぶち当たりその勢いのまま、傷を治す。
「おうおう……独身男性にこれ見よがしに見せつけてよう……こちとら四十路まで一人やもめよ」
白衣の懐を探り取り出したのは白い布切れのようなもの。
それをゆっくりと自身の顔に持っていき、布切れですっぽりと覆うと白い覆面であり、吊り上がった目にそれを覆う炎のような模様。
「「初代・嫉妬マスク……」この騒動で!イチャコララブロマンスしやがるバカップルどもに制裁じゃあぁあああぁぁぁぁぁ!!」
その突然の叫びにデーモンやアンデッドたちまで動きを止めていたのが一気にずっこける。
「俺の嫉妬の炎を受けるがいいわ!この元凶どもがァァァァ!!嫉妬・ファイアー―――!!」
そのでかすぎる隙に大量のモンスターを巻き込む炎がマスクの目から放射される。
いや、そんな効果あったっけ?
『ほれ、とっとと行った行った。俺はここで嫉妬マスクロール楽しみながらフォローしていくから、大本断ってきてくれよ』
唖然とする俺の頭の中に緑谷さんの声が響く。
「クソガァ!イチャイチャしてんじゃねぇ!血まみれになってろぉ!ポーション・ピッチャァァァァァ!!!てめぇらモンスターにはこっちがお似合いだ。スフィア・マイーーーン!!大行進!」
ぶん投げられる赤ポーションで倒れた冒険者たちを回復しながら、マインポーションを使った生体爆弾の生成といったアルケミストならではの戦い方をしながら辺りにいる敵を薙ぎ払っていく。
文字通りリア充爆発しろとたまに人も吹き飛ぶがそちらの方は威力を加減しているのか、ただ吹き飛ぶダメージを押さえられたノックバックのようなものか。
「女を呼ぶ声がしたなぁ……そんなこたぁ新兵のすることだ!未熟がぁ!」
「ぷひー!?」
「集え!もてない男ども!!此処に!新・世界しっと団を結成する!!」
握りこぶしを振り上げ、なぜか後光のさすその姿は何よりもこの凄惨たる戦場では救いに見えたのだろうか……一人また一匹としっとマスクの元へと集っていく。
モンスターがたまに混じってる気がするのは気のせいだろう、気のせいなんだ。
「あっはっは……僕は緑谷君の援護をしていくよ。クライム君のお守りなんかも必要だろう?」
「わかりました。クライム君、ノブナガ、二人とも気を付けて」
「あれ?俺は!?」
省いた緑谷さんが振り向き叫ぶが、俺に変態の知り合いはいない……ペロロンチーノも変態になるならスルーするとしよう。
リアルでたっちさんのお世話になってる人はいないから大丈夫だとは思いたいが……るし☆ふぁーですらギルド情報を外に漏らさないというのは徹底してたから、大丈夫だと信じたい。
墓地の中心にはほかに踏み込んだ冒険者がいないのだろう、そこはアンデッドたちが溢れておりデスナイトなどの中級と言える者たちも散見された。
「ホーリーライト!」
「ターンアンデッド!ラ・ティルト!エルメキアランス!」
「ホーリ・スマイト!ナパーム!ディバイン・レイ!」
光の力がアンデットたちを蒸発させ光の道を作っていく。
その道を進みながら、ナシェルが刃を外した剣を振りかぶり、力強く叫ぶ。
「光よ!」
その声とともに刃のあるべき場所に極大の光の剣が生み出される。
キャリオンベイビーやコープスコレクターといったアンデットたちを一太刀のうちに切り捨て、ポケットから取り出した笛を口にくわえ吹く動作をするがその音色は俺達には届かない。
「先へ!ここは私たちで十分です!」
「旦那、先に行ってくだせぇ。あっしは此処で作られたガキどもの供養していきまさぁ……南無阿弥陀仏……父を思うて一つ積み……」
光り輝く拳を振り抜き、気弾の様な物を飛ばし攻撃していくムジナ。
その声はどこか怒りを堪えた様な難い声で、今にも爆発しそうなものを我慢しているようにも感じられた。
『ガキを殺そうとしやがって』
ムジナという名前を鈴木さんからもらった時に聞いた理由が頭をよぎる……ただの子供好きなだけだと思っていたが、それとは違う琴線に触れるような出来事があったのかもしれない。
相手が敵であれば命を奪うことに躊躇はしない、それは俺も同じだろう。
それをより冷酷に、冷徹に考えられるのがムジナだと思っていた。
「母を思うては二つ積む……三途の川に帰りな。てめぇらにゃ待ってくれるおっとうもおっかあもそっちに居るだろうが…………それを引きずり出しただぁ!?」
無数に振り抜き打ち込まれ一面を制圧していく拳という嵐が吹き荒れる。
「聖光列閃撃!!」
冷たい暗殺者、それが忍ハンゾウというものだと思っていたが、それがどうだ。
ムジナという『人間』は子供のために激高するほどに熱い心を持っているじゃないか……俺はどれだけ人の内側を察するのに疎いのか、思い知らされた。
そしてそれをすぐに見抜いた鈴木さんの聡さに驚く。
霊廟にはこちらの様子を見る二人の人間、一人は金髪をボブカットにしたビキニアーマーに身を包んだクレマンティーヌさんに、もう一人は黒い瘴気をローブのように身に纏う頭髪の見当たらない禿げた老人が黒いオーブを手に持つ。
サイ・ソード 出展:ロストユニバース、スレイヤーズ
いわゆるライトセイバー
某SF大作で有名なアレである
サイシステムはロストユニバースで出てくるSFっぽい何かであり
気合を増幅しちゃったら光の速度も超えて、物理法則ぶん投げちまったぜ(てへぺろ)という色々ひどいシステムである
なんかふわっとした宇宙航行に必要な速度やら燃料やらを賄う便利なものだと思っていただきたい
そのSFっぽいものを応用した武器がサイ・ソードである
イメージ次第で射撃武器にも使えるし、気合次第でぶっとい大剣にもなったりする
ガウリィの出す光の剣よりも、リナの出す光の剣がでっかいあれな理屈である