下手なワールドエネミーよりも厄介で倒す方法を模索しなくちゃいけないお相手
難易度:パラドックス、それは逆説
力押しでどうにかできるような連中はその辺に転がっている
ボス級はどいつもこいつも厄介な連中ばかりです。今回ちょっと?ばかりグロいお話が出てきます
「くっそ!どうなってる!」
クレマンティーヌさんに化けているのは恐らくドッペルゲンガー、少なくとも俺の知るモンスターで同じようなことができるのはそのくらいのはず。
ならこいつはいったい何なんだ!?
老人の姿をしていたと思えば、テクスチャでも剥がれるように現れたのは、鏡写しの様な俺の姿だった。
『……!』
杖を回すように扱いを確認する目の前の俺に、俺は慌てるように杖を下段に構える。
「そちらのエンリに変わっても面白くなさそうだ……なぁ、悟?お前じゃあエンリを殺すなんてことはできないものなぁ……」
俺は昏い喜悦に笑みに顔をゆがめてその笑みを張り付けたまま、纏わりつくような口調で話しかけてくる。
自分の顔で、自分の頭の中を覗くような言葉を吐くその現象に、吐き気を覚える。
「エンリはレゾさんと!レゾさん!クレマンティーヌの偽物をお願いします!」
俺と同じ魔法が使えるのなら広範囲魔法も多く所持しているために被害を少なくするため、叫ぶように声をかけ、此処から離れるように指示を出す。
両腕を拡げ、朗々と喋りだす目の前の俺。
「俺は支配者の器なんかじゃない。誰かに命令だなんてしたことなんてない。なんで俺なんだ!俺はただの小卒の平社員だ。豪くもないただの凡人だ。何よりも……人を缶詰に加工して売り捌く会社に勤めていた俺に愛される資格なんてない」
さらりと俺が一番知られたくない事実を吐き出す目の前の俺。
後ろにいる二人の顔を見るのが怖い。
どう思われているのかを知るのが恐い。
「黙れ!」
まだ口を開こうとする俺に突っ込み、下からすくい上げるような突きを繰り出し、避けられることを前提に次へと繋げようと考えていたのに、目の前の俺はそれを平然と受け入れる。
走るのは俺の腹部に走る激痛、それは突きを与えたはずの場所と酷似していて俺は混乱する。
「おいおい、人の話は最後まで聞くものだぞ。俺よ……俺の傷はお前のもの、お前の傷はお前のもの。今ので理解しただろう?どういう立場なのかは……我は汝、汝は我なんて旧世紀に流行った言葉は言わんから安心しろ。あぁ、どこまで話したかな?」
くつくつと笑いながらこちらをつぶさに眺め、更に暴こうとする俺。
それに怒りを顕わにしながらも、止める手段を失った俺。
せめてこれ以上聞いてほしくないこと言わないを願い、言わないうちにクレマンティーヌの偽物の方へと行ってほしい。
『……!』
どうすればいい?どうすればいい?どうすれば勝てる!?
反射なんていう状態は初経験でどう対応すればいいのかがわからない、こちらがダメージを受ける以上無理に試して動けなくなるのはまずい。
あの口ぶりと余裕具合から、物理だけが返ってくるわけじゃないだろうどう対応すればいいのかがわからない。
傷と言っていることから攻撃手段や属性というわけではないのか。
「そうそう、俺の言葉を信じる信じないは自由だが……お前を攻撃したからって俺にはダメージは来ない。せいぜい対策を考えるんだな」
実に腹立たしい笑顔で教えてくるが、欺瞞か真実か……くそっわからない。
最後に勝てばいい?今後ろにはエンリ達がいる……負けるわけにはいかない。
「思い出した思い出した。覚えているだろう?人の頸が落とされて足首辺りをクレーンに吊るされて血抜きされていたあの光景を。首にホースを繋いで内臓の老廃物を洗い流し、濾過して何度も何度も使うあの腐った光景を。皮を剝いで筋肉の赤と脂肪の黄色そして掻っ捌かれた腹から延びる縄のような腸。手足は輪切りにされ骨を抜かれて素材になるよう粉砕分離器にかけられるあの凄惨な現場を……思い出すよなぁ?」
「黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」
いい加減に黙らせようと叫び声をあげた時、顔に張り手を受けるような痛みを、より具体的に言えばビンタをされたような痛みが脳天に届く。
目の前にははだけた衣服から覗く肌色の双丘。
視界の上の方に涙を目に溜め、顔を真っ赤にしているエンリ。
「え?」
「サニティ!」
先ほど打たれた右頬とは逆、左頬にエンリからのビンタが炸裂する。
『おいっ!悟!とっとと目を覚ませ!?往復ビンタになってるぞ!!』
「おぶっ!?へぶっ!?」
ビンタをされる音がリズムよく周囲に響いていく。
「いい加減正気に戻ってください!!サニティ!!サニティ!サニティ!」
ビンタする度に
ただ混乱した思考が戻っても何がどうしてこうなっているのかがさっぱりわからず、それを考えたり思い出そうとする度に痛みが飛んでくる。
顔を真っ赤にして服を整えるエンリの手を引っ張って立たせ、目の前にいる相手……やはりそれは俺と同じ顔と体、装備をしていたそれは腕を組みながら、納得納得としきりにうなづきながら喋りだす。
「ほうほう、一番時間のかかったのはやはり私か……エンリはこれといったものはなく極々平々凡々とした農民生まれで人生にこれといった影はなし、多少性欲を持て余してるくらいか。紅玉眼の魔王は前世では孫の強くなりたいとかという願いを叶える為に孫をデーモンやゴーレムと合成とか思い切ってるわ、自身のクローンを創り出したりまぁ、本当に色々としてるもんだ。それもそうした理由は自身の目でその世界を見たいからときたもんだ、それも神々が封印したものを解いてみたのは自身が魔王に飲み込まれるというオチ付きだ」
「なんで今のうちに手を出さなかった……」
わざわざべらべらと人の過去を話す相手に問いかける。
こういった自身の勝利を疑わず、有利な立場に立っている相手は問いかければ、簡単に口を割ってくれるもの。
「ふぅむ、いいだろうそちらの思惑に乗ってあげようじゃないか。どうせ今回の負けは確定しているしな……はっはっは、訳が分からないという顔をしているね。訳が分からんという実にいい顔だ。自分よりも格の高い存在から加護を得ているのが相手だぞ?しかもその相手がこちらを見ている。うむうむ、そんなのがその気になれば、俺程度では勝てるわけがないだろう?」
加護を得ている。
目の前の俺は確かにそういった、それはきっと俺ではなく鈴木さんなのではないか?
「「俺にそんな価値があるはずがない」?」
自分のつぶやきと明朗に耳に届くもう一つの同じ声。
「実に滑稽だな、自身の価値というものを理解しないものというのは。お前は自身に価値がないという、なぜ?人の死体を加工していたから?金を持っていないから?母を死なせたから?夢を持っていないから?人をその手で殺めているから?顔がよろしくないから?挙げていけば本当にきりのないネガティブ思考だなお前という人間は。そのうえで言ってやろう……お前を構築している価値観なぞ、加護を与える側からすれば塵芥もいいところのガラクタだ、無意味だ、無価値だ、ただ邪魔なだけだ。平常なまま狂い切った精神性、人を人と見ながら人を人と思わぬ振る舞い、元のお前から生み出された幾多の平行世界、生あるものの行きつく先はすべて死であるだったか?なぁ、オーバーロード?」
「……」
何を言っているのか、何を目的にしているのか、全くわからない。
俺の気にしているところを述べ挙げてきたかと思えば、次には更にわけのわからない事を言い出す。
「いったい何が言いたいんだ……?」
当然のように出てくる疑問のつぶやきだが、それは嫌に響く。
「なに、お前が頂上の神々に気に入られる理由さ。狂気、矛盾、平行世界、必滅、……、『お前』を構築しているものこそが、私さえも超常と呼ばざるを得ん、キャパを超える怪物たちと繋がるに足る理由というやつさ」
L様たちのことだと思うのだが……俺は……俺の思うように生きてきた……生きてきたはずだ。
俺は普通の人間だ!
「狂気?矛盾?平行世界?必滅?なんでそんなものが俺に関係がある、そんなものを望んでるとでも言いたいのか!?」
「ハハハ!強がりだな。『なんで皆そんな簡単に棄てることが出来る!』お前がそのあとで誤魔化した言葉だぞ?
俺は鈴木さんに出会うことが出来た、人の姿を取ることが出来た、仲間たちを呼び出す本が手元にあった、何よりも愛する人ができた。
共にいてくれる人を、人の温もりを、人が歩くための希望を……俺は否定が出来ずに言葉に詰まる。
何よりも俺にはこいつを止める手段を持っていない。
「あ……ぅ……」
「あぁ、なぜ手を出さないかという問いかけだったな。すっかり忘れていたよ。お前に俺は倒せない、お前だけでは倒す手段も力もない。ただのんびりと待つだけさ、そう……魔神や不死者どもがこの世界を覆いつくすまで……それか、私を止める手段にお前が手を伸ばすか、をな」
後ろに黒い孔が広がっていく、それは俺も知っているエフェクトで、
「あぁ、私にお前は殺せない。加護を与えたものを殺せば加護を与えていた頂上の神々に私が殺されるからな。だがお前に私は殺せない、お前だけの力では私を殺せない。だが加護を与えている者たちがお前に力を貸せば……そこで私の敗北は決定だ。だがわかるだろう?お前の守ろうとしているものを壊す程度はできるのだと。さぁ!私は好きなように生きた!ならば、殺されるは必然!殺して見せろ!退屈しのぎになぁ!!『
強い覇気と殺意と共に叫ばれることで魔法が完成し、這い出てくるように黒い孔から現れるスケルトンやゾンビというアンデッドモンスターたち。
『『
鈴木さんの声と同時にこちらの背後にも黒い孔が開き一拍子遅れたものの、同じようにアンデッドを召喚する準備を整え終える。
それを見て嗤う様に顔を歪ませて、こちらと同じように武器を構える。
「は、はい!エンリ、フォロー頼む!」
こちらに突撃し突き出された棒にこちらも棒を突き出すことで、鏡合わせのように棒の先端同士を突き合わせることに成功させる。
こちらからあちらにダメージを与えることは許されない、あちらからのダメージはこちらにそのまま素通りする。
「はい。『あなたを支えます』」
その声と同時に俺の負っていた怪我が癒され、相手側のアンデッドをホーリーライトで徐々に削っていく。
「あぁ、俺が『お前を守る』」
その意志に応えるように金色の指輪が力強く輝きを増す。
「「アンデッドたちよ、敵を滅ぼせ!」」
二人の支配者による掛け声に、アンデッドたちが悍ましいながらも勇ましい鬨の声を上げる。
これが後に漆黒の産声と呼ばれるエ・ランテルを、後に世界を震撼させた大戦の狼煙。
それを見る者たちはいい成長だと酒宴を開く。
そしていつか聞いた電子音が鳴り響いた。
ニース(? - 新王国暦524年)は大地母神マーファの司祭であり、「マーファの愛娘」の異名をもつ。「偉大なるニース」と謳われた六英雄の一人。後にロードス島におけるマーファ教団の最高司祭となる。
経歴(大ニース)
17歳で高司祭となったほどの強い信仰心と神聖魔法の実力の持ち主。地震で崩壊した神殿の修理と被災者を救済するため、白竜山脈で古代王国の秘宝の守護者となっていた氷竜ブラムドの呪いを解いた礼として財宝を譲り受け、「竜を手懐ける者(ドラゴンテイマー)」と称される。
魔神戦争では、魔神に滅ぼされた「石の王国」の仇討ちのためにモス公国へ進撃しようとした「鉄の王国」のドワーフ戦士団を説得し抑えた。もし進撃を止められずにいたら、数千のドワーフ戦士を黙って通す国は無いため、経路上にある国と戦争になっていた。そしてドワーフ族に代わって実態を調査することを約束し、単身モスに向かう。
モスでは諸国間の対立や戦いを調停し、魔神に対するモス連合軍の樹立に尽力する。その後はナシェルの離宮にて他の六英雄やフラウス達と行動を共にした。
魔神王との一度目の戦いで、自身の体にマーファ神を降臨させる「降臨(コール・ゴッド)」の奇跡を使い、魔神王を退ける。魔神との最終決戦となった「もっとも深き迷宮」では仲間達と共に最深部に辿り着き、再び魔神王と戦いこれを討ち果たす。無事に生還したことで六英雄と呼ばれるようになる。
魔神戦争終結後はターバのマーファ神殿で最高司祭となり、赤子であったレイリアを引き取って娘として育てた。レイリアが遥かな昔「亡者の女王」呼ばれた破壊神カーディスの教団の最高司祭・ナニールの転生体であることを知りながら、魂の浄化や封印ではなく、ただ慈愛をもってレイリアの魂を導き、ついにナニールの魂が発現することを防いだ(後にその魂はレイリアの娘として「生まれ変わる」ことになる)。
英雄戦争時、「鉄の王国」のドワーフであるギムの治療のため神殿を留守にしていたところを賊に襲撃され、レイリアが失踪する。最高司祭として神殿を離れることが出来ない彼女は、ギムに捜索を託すこととなる。後、レイリアはスレインに連れられて帰還し、さらに後にスレインと結婚。生まれた娘に母である彼女の名「ニース」がつけられる。
レイリア失踪の14年後、邪神戦争の一年前に「邪悪な女神の復活の兆しを告げる神託」を受けるが、すべてを娘婿のスレインに託し、神託の十日後に逝去した。その際、ウォートやフレーベ、魔神戦争で仮面の魔法戦士として共に戦ったカーラ(肉体はウッド・チャック)が友人として彼女の元を訪れている。
人物(大ニース)
敬虔なマーファの信者で、深い信仰心と慈愛、それを体言する強い意志を持つ。物言いは穏やかながらも、言うべきことははっきり言う。自身の肉体に神そのものを宿す「降臨」の奇跡を使用し、その上で生き延びた数少ない人物である(「降臨」できるだけでも相当の技量と信仰心が必要とされる上、神を受け入れるに器が足りていなければ、「降臨」と引き換えに肉体と魂は砕け散る)。
その人柄ゆえに多くの者を惹きつけ、氷竜ブラムドとも友として接する。ブラムドがアシュラムに殺されたと知ったとき、彼に対して強い怒りを示した。その後、ブラムドを蘇生させたと言われている。おそらくカーラの素性も知っていたと思われるが、そのうえでカーラとも友として接していた。ウォートと惹かれあっていた描写もあったが、結局最後まで結ばれることはなく二人とも生涯独身である。
天寿を全うした人間としては短命で、前述の「降臨」によって肉体・精神に大きな負担がかかったことがその原因だと考えられている。
Wikiからコピペ……これ調べたところで性格なんとなくわかるんかね?
小説10冊分(伝説~伝記までの間も存在する、なお主役ではない)とか要約するとすんごいことになりそう