おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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この話で二巻分は終了
三巻はほぼ書くことがない(シャルティアの現状、傾世傾国奪取)ので、エウリュエンティウに行ったメンバーを書こうかと
ついでにクレマンティーヌが何回にゃーん(不幸)するか予想をアンケートに取ってみようかな?


episode.21 「終戦」

 レムリア・インパクト……確かレムリア大陸というものがあるのは、あったのではと提唱していた学者がつけたハイパーボリア(超古代文明)の一つだったか。

 熱に焼かれる脳みそでそんなことをぼんやりと考えながら、展開された結界が急速に収束していくのを感じる。

 なんとなくこの技の在り方がわかる。この技はずらした位相を創り出し相手を世界から切り離して結界を圧縮していくことで超新星爆発(スーパーノヴァ)を引き起こさせる技だ。サイズゆえに恒星や惑星が出来上がるわけではないが、核融合時の熱量を保持することには変わらない。

 

「げぼ……」

 

 喉に溜まる血でむせて咳き込むと潰れた喉から止めどなく吐き出される。

 それを見てエンリが駆け寄り身体を支えようとしてくれるが、エンリの腕は俺の体を通り抜ける。

 

「―――――!?」

 

 結界の収束はもう始まってしまった、だから俺も脱出することはできない。

 本来なら収束が始まる前に俺だけ脱出することで完成するものだが、そんな体力は残っていなかったからこれは地獄への片道切符の道連れにするための自爆技だ。

 死ぬのは良くはないが、これで良かったのかもしれないと頭の片隅で考えてしまう……ナザリックはどう頑張ってもカルマを反転させる方法は『ない』、それは流れ込んだ情報からわかる。

 NPCの枠組みを抜けたとしてもカルマそのものが変わることはない、自分の楽しみのためにやるのかナザリックの利益のためにやるのか、もしくはその両方かいずれにせよ結末そのものが変わることはない。

 

「こひゅう……」

 

 俺が死ねば、ナザリックを維持できるものがいなくなることでNPC達は維持に奔走こそするだろうが俺の命令が解かれることはないために外に出ることはできない、唯一の懸念はセバスだがそれはシャルティアが抑えるだろう。

 セバスではシャルティアと狼には勝てない、そもそもシャルティア単体にも勝つことは難しいだろう……特に今の『達観』しているシャルティアには俺でも勝つのは難しい。

 

「(ただ最後に思うのは、最期はエンリの腕の中で死にたかったかな、こんな隔たれた世界の向こう側に一人にしないで……)」

 

 指に何かが触れる感触が返ってくる。

 視線を落とせば、左の薬指についていた結婚指輪(エンゲージ・リング)がはまっているだけで……俺の体をつかもうとエンリが必死に腕を動かしているのが見えるが、エンリの左手が俺の左手に重なる時にまた、触られた感触がした。

 

「(そんなことが起きるわけがない。世界は隔たれて、たとえ見えていても知っていてもワールドアイテムだって他の世界にも効果は及ぼせない筈)」

 

『あなたに逢いたい!!』

 

 聞こえない筈のエンリの声が聞こえたような気がした。

 抱きしめられる柔らかい感触、血が流れ出て冷え切った身体とは別の確かに生きた暖かい体温、かろうじて聞こえる左耳にエンリの鳴き声が鼓膜を振るわせる。

 

「……?」

 

 問いかけの声は血で塞がった喉から出ることはなかったが、結界の中(むこうの世界)からエンリの元(こちらの世界)に移動したことは、抱きしめるエンリがいることでわかる。

 

『ご都合主義みたいに思えるだろうが、ROの結婚スキルの一つでな……ニブルヘイムにいようがアースガルドに呼び出せるスキルなんだよ。『あなたに逢いたい』ってスキルは』

 

 結界の収束に巻き込まれて引きずられるように引き寄せられるジークが呼び出したであろう魔神やアンデッドが暴れながらこちらに向かってくるのが見え始める。

 それを追いかけるようにそれまで戦っていた冒険者や兵士たちが駆けてくるのが目に映る。

 結界の大きさが目に見えて縮まる速度が上がっていく、四本腕の巨体が仁王立ちしているその正面に倒れた同じ巨体、結界が縮まるのに合わせて倒れている方も中央に集められる。

 地下から引き上げられるように透けた衣装で女装でもしているようなンフィーレア少年も巻き込まれて収束している。

 エンリに支えられ、無理矢理右手を突き上げる。

 

「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!」」」」」

 

 それに合わせるように集まってきた人たちが勝鬨を上げる、この戦いの終わりを祝う様に圧縮された結界の中から光が世界に還元される。

 

「漆黒の英雄だ!」

 

「英雄の誕生だぁ!」

 

 誰かが叫んだその呼び名が皆に浸透していく。

 

 纏っていた深紅のローブは俺から流れた血を吸って漆黒に染まっていた。

 

 

 

 そこはどこかの屋敷と思われる一室、ジークが椅子に座り本を読んでいた。

 

「おっと、分身が死にましたか。倒せる程度には調節していましたが『科学の終点』(デウス・エクス・マキナ)様もこれで満足されましたかね?元々あの方々のマッチポンプではありましたが」

 

 都合のいい敵、都合のいい展開、都合のいい解釈。

 

 神々の遊戯であり単なる戯れに選ばれた人に憐憫がないわけではないが、人の足掻く様を見て嗤う神々の感性についていけないジークはまた本に視線を落とす。

 

 神によるご都合主義、理不尽であろうが、神が笑えればそれでいい、これはそんな物語。

 

 




『君だけは護るよ』
『あなたに尽くします』
『あなたに逢いたい』
 上二つはそれぞれにHP譲渡、SP譲渡スキル、作品内では多少変えて使用したりする。
 そして今回使われた呼び出しスキル、ログインさえしてれば召喚することが可能、ただしワープ不可能場所では使用不可(例:ROのギルド内では使用不可)なのだがユグドラシルのギルド内では利用が可能となっている。
 なんでだ?と疑問に思われるかもしれないが、『ユグドラシルのギルド内ではワープが可能』な為である、具体的に描写されており具体例はリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンでの移動やシャルティアがゲートで移動している描写が存在しているためである。
 恐らくテレポート阻害はしていると思われるが……それが妨害されるのはもう一つの養子を呼び出したりする同じマップ内を限定したスキルの方になる。
 なお、結婚相手限定だが蘇生スキルも結婚スキルには存在している。
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