おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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episode.6 「砂漠といえばよくあるもの」

 パンドラの作ったゲートをくぐっていく女たちを見送りながら、一息ついて胸をなでおろす男が二人。

 

「すまないね……僕たちもゲートが使えたらよかったんだけど……」

 

「なに、至高の御方々の手を煩わせるまでもありませんし。よく言うでしょう?適材適所と。様々なことが出来ます反面、私はこと専門分野となれば一歩引いた実力になってしまいますので」

 

 HAHAHAと表情は変わらないのに笑顔になっているのが一目瞭然とわかる笑い方をしてくれる。

 

「それとは別に一つ報告が……」

 

「この都市で何かあったかい?」

 

「悟様に連絡をしたのですがどうにもあちらでもトラブルがあったようです。治療中ということでモルガン様とエンリ様と性交をしていると鈴木様から逆に連絡されました」

 

 パンドラから告げられた連絡事項でそれを聞いていたルベド以外が吹き出す。

 

「「「「何をしてるんですか!?」」」」

 

「朝からお盛んなんじゃのう」

 

 ジニーだけは別の方向での吹き出し方だったが、他は異口同音になんでそうなっているのか理解できない様子だった。

 

「いえ、ジニー様。どうも強すぎる力を邪神と思われるものから与えられそれを使用したためだと説明されました。代償は寿命、悟様、鈴木様共に神仙、超越者と寿命を持たぬはずですがそれでも削られたそうなので、それをお二方で性魔術を介して分散させるためだそうです」

 

 パンドラには正確な情報が渡されていた。

 アカシックレコード(世界の記憶)を開示したことで人の身では負いきれぬほどの情報という記録を流し込まれたために脳にダメージを負ってしまったのだという。

 パンドラとしてはあまり無茶をしてほしくないという本音があり、その為に『少し』事実を大げさに伝えた。

 

「何をやってるんだ悟君は!?」

 

「治療が必要な大技とか、注意しとかないとなぁ」

 

「治るならまだマシだけど後遺症になるようなら止めないとね」

 

 そんな三者三様の反応だったがニースだけは苦笑いをするだけにとどめていた。

 それもそのはずで、ニース自身神降ろし(コール・ゴッド)という神聖魔法最上級の奇跡を行使して寿命を削ったという過去を持つために、悟が無茶をしたと聞いても強く言えない。

 

「とりあえず、悟君にイエローカードを出すのは帰ってからにするとして、これからどうしたものかね……」

 

「まぁ、地上戦艦にこれ撃ち込むのがいいんじゃないかな」

 

 ガーネットが一つの弾丸を手の平で弄びながら次の目標を提案する。

 手の平の上に載っているのはシグナル弾と呼ばれるもので撃ち込むことに成功さえすれば、抜け落ちるか倒して討伐するまで対象の居場所を知ることが出来るという特殊弾。

 

「後はアレの調査かしらね?」

 

 ルシファナが差す先には砂漠では代名詞といえるほどに有名な建築物、王の墳墓『ピラミッド』とスフィンクス像が全員が立っている場所からでも見えていた。

 ただしピラミッドは空中都市から投げ出されたのか横に倒れていた。

 

「あれかぁ……」

 

「横倒しということは登攀して入り口に向かう形でしょうか?」

 

「ロープか何かあった方がいいよなぁ……幸いペロロンチーノなら飛べるし」

 

「みんなを運べばいいの?ルベド頑張るよ!」

 

 はーいと手を上げて笑顔で提案するルベドだがその笑顔には、先の騒動で率先して男たちの手足を切り飛ばしたせいで血しぶきが頬についていた。

 それは子供が見せる手伝いができることを喜ぶ姿のようで、さっきまであった腹底で燻っていた怒りの感情が小さくなる。

 ルシファナやニースという英雄や伝説に残る様な事を成したわけでもない。

 ルベドやパンドラの様にそうあれと始まりを創り出されそれが当たり前と生きてきたわけでもない。

 蒼井宇宙も高良兼人もただの普通の人。

 なんだかんだといわれながらもリアルでの当たり前の日常で暮らし、普通の感性を持っている。

 逆に言えば至高の方などと言おうとも、普通の感性しか持っていない。

 彼らは英雄でもなければ怪物でもない、普通の人間だからこそ笑うルベドに、笑っている子供に癒されていた。

 

「そうだね、それじゃルベドにはニースさんを運んでもらおうか」

 

「それなら一度出入り口まで飛んでいけるな」

 

 横倒れになったピラミッドに近付く際、ルベドがその横にある像スフィンクス像に興味を持ったようで「あれはなに?」と聞いてきた。

 

「確か……スフィンクスって言ってピラミッドを守る番人を模した像……だったかな?なぞなぞが有名だったと聞いたことがあるな」

 

 本来はエジプトの番人であるスフィンクスとギリシャ神話に登場するスフィンクスが存在しておりなぞかけをしていたのはギリシャ神話の方だったりする。

 うろ覚えの知識でガーネットがルベドに説明しながらピラミッド手前まで来ると唐突に頭上から声をかけられる。

 

「待て」

 

 その声が聞こえた方に顔を向けるとスフィンクスがこちらを向いて喋っていた。

 

「石像が……喋った……」

 

「モンスターがいるこの世界で今更、何驚いてんのさ」

 

「もん娘にも確か古くからピラミッド護ってるのがいるしね……いやあっちは結構強いけど」

 

「私の方では悪のマンティコア、善のスフィンクスと言われていましたね。滅多に見ることはありませんでしたが」

 

「んん、もしかしたら何か用があるのかもしれませんな。何用ですかな?スフィンクス殿」

 

 銘々に喋る者たちとは別にパンドラが一歩進んでスフィンクスに問いかける。

 

「王の寝所を荒そうとするものは許さぬ」

 

「むぅ、墓荒らしではないのですが……無銘祭祁書という書物を探しに来たのです。ご存じではございませんかな?」

 

 パンドラからの質問にはスフィンクスは沈黙をもって返し、こちら側を見ている。

 

「通してもらえないかな?極力荒す真似はしないと誓おう」

 

「口では何とでもいえる……王の寝所へは何人たりとも通さぬ、が私の出すなぞなぞを解けたのならば通してやろう」

 

「なるほど。これは中々にそのなぞなぞに自信がおありのようで……知恵比べでしたらっ!このパンドラズ・アクター!負けませんぞ!」

 

 クイックターンを決めて帽子のつばに一度触ってから宣誓するように手を振り上げ、四本指のうち人差し指だと思われる指で堂々とスフィンクスを指さす。

 それを見てスフィンクスは鷹揚に頷き、なぞなぞの問題を出す。

 

「いい覚悟だ。パンドラズ・アクターとやら……ちなみに間違えた場合は『なぞかけ』により貴様たちの拠点(ホーム)に弾き飛ばさせてもらう」

 

「構いませんとも。さぁどんと来なさい!」

 

 パンドラはスフィンクスのいうペナルティにも臆さず自身の胸を叩く。

 

「よろしい……では、初めは四本足、その後二本足、最後に三本足になる生き物。なーんだ?」

 

「答えは『人間』ですね。ド定番のものではないですか」

 

「フハハハハハハハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハ……ハッゴォ、げほ、ごほ……ハズレだぁ!」

 

「なんとぉ!?赤子は四つん這い、その後二本の足で立ち、老後に杖を突く比喩ではないのですか!?」

 

 当たり前の様に出された定番の問題に定番の答えを返せばまさかのハズレだという。

 

「あぁ、なるほど……宝物庫前のパスみたいなものか」

 

 その言葉と同時にこの場にいる全員がカルネ村へと転移させられていた。




スフィンクス 出展:色々
神話から登場し、ゲームや物語でもその姿を見ることが出来る
人面に獅子の体、蛇の尾に翼をもつというのが有名だろうか頭部にコブラが生えていたりするのもいる
なぞなぞが有名になっており今回出てきた問題もかなり有名なもの
ただし今回登場したスフィンクスはGALzooアイランド型のスフィンクスできちんと別の答えが用意されているが……納得できる答かどうかは別である

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