タブラ、ナシェル、武蔵、ニニャ改めミナ、ノブナガは冒険者ギルドの一つのテーブルに座り対面の女性と歓談していた。
一人はドラゴンクエスト三作目に登場する女魔法使いの服装を真似たような衣装に身を包む黒のアリスことアリストロメリア、もう一人はこちらの世界では珍しく艶やかなロングストレートの黒髪を持ち黒色の膝下まで伸びるスカートのセーラー服に身を包む十八歳になるかならないかという感じの女性。
なぜかその女性が現れた瞬間にパンツ先生が「going on!」とか叫びながらスカートの中に突撃しようとして顔面を踏みつぶされていた、そのインパクトでどうやって現れたのか薄れてしまっている。
「彼女はアトラク=ナクアの初音、レゾの穴埋めに使ってあげて頂戴。空間と時間操作にはかけてはその辺のプレイヤーよりも遥かに上手だと太鼓判を押してあげるわよ」
「師匠はどうなるんですか?」
ミナの心配そうな声音で聞かれる質問にアリスは朗らかに答える。
「今回の騒動の裏側を知っているかもしれないもの、またはこちらに協力してくれそうな古強者たちに声をかけに行くことになると思うわ」
これまでの話で出てきた者たちとは違うその時代を戦い生き抜いた者たち『闇妖精の女王』ドロテア、『双子の魔女』リリスとリリム、『旧神』クトゥルフ、『魔法の神』ヘカーテ、『黄衣』ハスターなどに声をかけに行くというのをアリスから聞く。
魔神戦争で名を上げた古強者たち、それゆえに今代の魔神戦争の脅威も知っている者たちでもある。
十三英雄?この世界の魔神戦争、スカルマンが大きすぎてマイナー気味になってます。
「え?師匠って魔神戦争時の英雄達と知り合いなんですか!?」
「そうそう、ただ普通の人だと正気を失ったりするから連れていけないという……それじゃそのレゾに呼ばれたからそっちに行くわね」
アリスは席を立ち、王たちの話に加わっていく。
そんな風に軽い話だけれども自身が師事していた人物がこんな場所とはいえ、むしろこんな場所で王様と話し合いができるようなすごい人物だとは思ってもみなかったミナは驚いていた。
「え?そんな英雄譚に出てくる人を集めなきゃいけないほど大規模になるの?」
これを聞いていて驚いたのはタブラで、ノブナガやナシェルは驚きながらも憧れのアイドルに出会えるかもしれないと目を輝かせている一ファンと化したミナをなだめている。
「僕も伝手があるならジーク君とか呼びたいんだけどねぇ……昔話を読み解くだけでも『門』を相手が持ってるってだけで厄介なんだ」
「しかも聞く限りでは『門』の確認はできているけどそれの封印はできてないみたいな上に、当時の全戦力を投入しても封印にこじつけることしかできなかったと……」
「オイラ、バカだからよくわからないんだけどその『門』ってのはやばいのかい?」
「ミナちゃん説明よろしく」
「えっと六百年前竜帝と呼ばれる存在が『門』を
ムサシはうんうんと唸りながら、ミナの話を理解しようと頑張っているためか頭から湯気が出ているようにも見える。
そんなムサシに助け船を出したのはタブラで、ムサシでも、というかむしろムサシにとっての現代の知識を、タブラからすれば数世紀昔の出来事を例にして説明する。
「簡単に言えば『門』は工場なんだよ、そこから敵を量産されて順次増加される場所ってことだね」
「あー……なるほど、メカザウルス作ってたマシーンランドみたいな感じなんっすね」
そんなタブラの説明にコウジョウとは何だろう?と今度はハツネ以外が首を傾げた。
それに対してムサシはムサシなりの理解を出したようで、納得したように何度も頷いていた。
「しかし聞けば聞く程、厄介な存在みたいだね……件の魔神皇っていうのは。物語ではどうやって封印したんだい?」
「えっと名前は詳しくは知らないのですが、六英雄と呼ばれる魔神戦争の主役たちが中心となって大規模な封印式を組んで行ったと……その一部だけ伝えられているのが不死王スカルマンと白金の竜王ツァインドルクス、天使長ミカエラだと言われています。その封印を行った方は無暗に敵対されないために名を隠したらしいです」
「うーん……封印方法もわからないのか。せめて名前だけでもわかればヒントになったかもしれないんだけどなぁ」
タブラは腕を組み悩む。
その背後でセレーネが近づいてきて声をかけてくる。
「ところでそこの二人、ムサシ君とタブラ君は冒険者に登録するの?」
「あ、登録させてください」
「登録します」
「それじゃこの紙の此処の部分に名前を書いてね。言語は何でもいいから……スズキくんと同じ日本語でもいいわよ」
紙を渡しながらペンも一緒に渡してくれるセレーネを思わず見ながら、その表情が面白かったのかにやにやと笑いながら、日本という国から来た人間だというのを説明してくれる。
「こっちじゃあまり見ない彫りの深くない顔だし、髪もそれって地毛でしょ?こっちじゃ黒髪って滅多にいないのよね、南方の方にいるらしいけどガゼフ君の様な顔じゃないし、肌色も白っていうか黄色だもの……何よりも喋ってる時の口、悟君と同じような言語っぽいしねー」
「「おぉぅ……」」
ちょっと見ただけだと思われるのにあっさりと正体を看破されて驚愕していた。
「それとついでに冒険者になったら手紙を届けてほしいのよ。悟君動けないってことはムジナ君もエンリちゃんも動けないでしょ?その間これだけの戦力遊ばせておくのももったいないしね」
「はいはい、受けさせてもらいますよ。どこに運ぶんだい?」
ノブナガがセレーネから手紙を受け取り、渡し先を確認している。
「渡し主は『北の港町』エ・イハブに住む緑髪のちょっと強めの天パがかかったくせっけの強い兄妹よ。名前は……なんだっけ?マーニャちゃん?」
「私は反対ですよ。あの二人をまた戦争に巻き込むだなんて……」
「確実に巻き込まれるから、何も知らないよりも巻き込まれる時期を教えるための手紙なんだから諦めなさい」
その言葉を聞いてマーニャは手で顔を覆って崩れ落ちる。
「名前は書けたわね、それじゃその紙をもってイリアス神殿で職を決めてこっちに持って帰ってね」
ほくほく顔で書いた紙を預かり、代わりの紙を渡して二人を送り出したら、もう一度ノブナガたちに向き直って追加『お願い』を頼まれる。
「で、エ・イハブで買ってきてもらいたいものがあるの」
「は!?エ・イハブと言えば……王国創始者の協力者ビイハブ船長の故郷ですね!かつてあった巨大な国が崩れる混乱を初代国王と乗り越え、その功績をもって貴族となったと言われる方が眠る場所!現代でもU-シャークをソロ狩り出来なければ一人前に認められないというあの魔海都市!その実力ゆえにエ・イハブ出身の冒険者希望の身最初からプラチナ級が許されてるって聞いたことがあるんですが!本当なんですか!?」
勢いよく音を立てて椅子からミナが立ち上がりセレーネに顔を近づけてマシンガントークのように言葉が飛び出していくその様にセレーネは思わず仰け反る。
「え、えぇ。エ・イハブ出身のみ特別に許可されてるわ。U-シャークそのものが賞金首相応扱いだからね。それで買ってきてほしいのはそのU-シャークのフカヒレよ。白金貨十枚渡しておくからそれで買えるだけ買ってきてちょうだい。旦那がこれから忙しくなるから……」
お使いの理由を話すと、それまで酒を飲んでた他の男性冒険者が一斉にセレーネに顔を向け叫び声をあげる。
「「「「「「セレーネちゃん結婚してたのかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!??」」」」」」
「どこのどいつだ!?俺たちのマドンナ奪っていったのはぁ!?」
「くそぉ!!狙ってたのにぃ!!」
「ガッデム!」
「俺の幸せ家族計画が破綻したぁ!!」
騒がしさの質が変わり仕事の取り合いの様な熱い熱を持ったものとは違う、男の悲痛な悲鳴と嘆きと諦観と絶望などが混じる、女性陣からは割と冷めた視線が突き刺さるそんな違う騒ぎの中セレーネが誰と結婚しているのか話される。
「旦那はパナソレイ都市長だから干されてもいいなら糾弾すればいいわよ」
騒いでいたのが嘘の様に咽び泣く静かな通夜に一瞬にして変えられる。
「まぁ……マーニャちゃんの結婚も決まったし、この騒ぎもしかたがないのかな……」
「ナシェル君。そういうのは婚約決めた君が言うもんじゃないよ……ちなみに婚約者はラフィニア第二王女だから狙ってた子は諦めてやってくれ。バルブロ王がこっち見てるから」
ナシェルの独白にノブナガがツッコミを入れ忠告を添えると、今度は多くの女性陣まで静かになってしまう。
「なんで冒険者の宿で通夜みたいになってるんですか!」
机に手を叩きつけながら男二人に怒鳴りつける。
静かになった机の上に宙に浮かぶ目玉が現れ、目玉が裂けて口が出てくる。
「ん?タブラたちがいないがどうした?」
その目玉から聞こえてくる声はスズキのもので、三人とも驚きに固まっていた。
「……おーい?こっちの声は聞こえてると思うんだが……」
三人が三人とも椅子をもって一歩下がる位置に陣取る。
「え?なんです、その目玉は?なんかスズキさんの声が聞こえる気がするんですが」
「情報収集用のしもべでな。戦闘能力こそほとんどないがそれなりに役に立つ奴だよ。見た目を除けば」
「その……見た目が気色悪いです……」
「ですよねー」
「政宗の様な感じならまだ可愛げがあるんだけど……」
「わかる」
三人ともこのフロータイボールには不評らしく、フロータイボール自身はご満悦だった。
アンデットでありながら妖怪のビルドも持っているフロータイボールは怖がられる気持ち悪がられるといった負の感情を糧に生活するので、これはこれでいいのだろう。
「あー……まぁ、悟の奴が一週間ばかり休ませる必要があるっぽいんでな。俺の代わりにタブラの娘を探してやってほしいんだ」
スズキの説明に全員首をかしげる、スズキと同じくタブラも異邦人であり伴侶等とは共に来てはいないと思われるのに、唐突に出てきた娘という単語を聞かされたからだ。
「ほれ、カルネ村でタブラさん吹っ飛ばした子がいるだろ?あの子の姉に当たるんだがな、どうも誘拐されて洗脳されてるみたいなんだわ」
「ちょっと!それって一大事じゃないですか!なんで黙ってたんですか!」
説明を聞いてミナが怒るが、ナシェルとノブナガは昨夜あったばかりの戦闘を思い出して説明する間がなかったんだと納得していた。
「話す暇がなかったからなぁ……フロータイボールだって一応伏せ札の一つなんだぜ?例えばミナちゃんがこちらに教えてない方法で精神力を貯蓄してるとかみたいにね」
「え!?私そんなことできてるんです!?」
スズキの説明にミナは驚きの声を素で上げる。
同時にそんなことはしてないとよくわかる反応ではある。
「そいつは物の例えだからな。で、娘さんの名前はアルベド、容姿は……黒髪にねじれ角が生えてて……黒い全身鎧に身を包んでるから顔とか説明しても意味がねぇじゃねぇか」
「やっぱりルベドちゃんのようにかわいいんですか?」
揶揄う様に聞いてくるナシェルに向って極めて平坦な声で答が返ってくる。
「上辺の見た目だけならな。だが、たかが誰それに『造られた』だけを理由に他者を見下すのが当然と思い込んでる狂信者が中身なゴミクズだぞ?そういった面を含めて魅力としちゃ糞だろうよ。いくらガワがよかろうともな」
その答えに呆気にとられながらもノブナガは質問を投げかける。
「スズキ君は狂信者に何か恨みでもあるのかい?」
「狂信者が崇める邪神が引き起こす事件に何度も巻き込まれりゃ嫌うのも恨みを持つのも当然だろ」
そんな説明をしてるころイリアス神殿では職業を決めた二人が話し合っていた。
そして唐突に思い出したように手を打ちタブラはぽつりとこぼす。
「あ……アルベドのこと忘れてた……」
ビイハブ船長 出展:メタルマックス2
メタルマックス2の世界において船を譲る役割を持つキャラクター
片足をU-シャークに奪われたことで復讐に燃える老人であり、その復讐は家族も巻き込んでいった
主人公と出会うことで戦闘用船舶「ネメシス号」と共に復讐を成し遂げるために海を流離う
復讐を遂げた後は船を主人公に譲り隠居する
「今度はお前たちの復讐を果たすがいい」
本作の世界でもこの言葉を残したかは……わからないが、U-シャーク狩りは恒例となっているようである
ティアマトの艦長募集
-
ダイテツ
-
リー
-
ゴール
-
レモン
-
ラ・クロワ
-
サオトメ