おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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前回のあらすじ
シャルティアの王国での一日
新しい宿題(トラップ)でウッキウキ
デミウルゴスのメンタルブレイク作業
をお送りしました






episode.11 「ヤルダバオート覚醒」

「お前の創造主は何だ」

 

 モモンガ様の言葉が何を意味しているのか、知恵者として作られた存在(不良品)である私は必死に考えて、答えようとして心臓を掴まれるような感覚に襲われる。

 

「神すら凌駕する……」

 

 違うとわかっていてもそう答えることしかできず喉が(はな)り付く。

 

『私たちを捨ててリアルとかいう違う世界に逃げた臆病者(人間)だと知っているのに必死に眼を背けてきたんじゃないか』

 

 心の奥底から吹き出そうとする言葉を不敬だと私の理性(与えられた個)を総動員して口から出さないように努める。

 

「ただの人間だ。お前の創造主はどのような力を持っている」

 

「万知を超え、世界を滅ぼす魔力を携えた……」

 

 すぐ背後から聞こえる囁き声はまるで甘い悪魔の囁きの様に私の心を侵食していく。

 

『さぁ、無力な弱者(人間)のことを思ってここまで頑張ったんじゃないか。君はよく頑張ったとも……それでも君は頑張ろうとするのだろう?頑張りたまえ、私はそれをここから見学させてもらおう』

 

 まるで肩に手を回され友人が気安く肩を組まれているような錯覚を覚える。

 それも両肩から、片方は人のソレ、もう片方は金属質のソレ。

 

「ただの無力な人間の力しかねぇよ。お前の創造主が悪となった理由は」

 

「それは……」

 

『おやおや?覚えていないのかな?覚えているだろう……頑張って思い出そうじゃないか。君がしようとした虐殺とは真逆のことを行ってそう呼ばれていたんだってことをさぁ』

 

 耳元で囁かれる声は甘い響きを持ちながら私を堕としていく、最上位悪魔(アーチ・デヴィル)として作られた私の精神を砕いていく。

 

「ただの自己満足の行いの結果だ。その上で悪と謗られようと構わないと覚悟したうえでの、な」

 

 至高の方を謗ろうなどと不敬極まりなく万死を持って償うべき行為だというのに、モモンガ様自身から語られる言葉に返す言葉が出てこない。

 

「お前は何だ?」

 

 モモンガ様は容赦もなく私の本質を攻めてくる。

 

「私はウルベルト様につくら……」

 

『そうだとも君はウルベルト様(至高の方々)に造られたことこそ誇りにしてきた……敗北者(千五百の侵攻に負けたもの)だものねぇ。守護を任せられた階層の一つも守れぬ自称知恵者のデミウルゴス』

 

「最高悪魔?ウルベルトの考えもわからずに?ギルドの行ってきた弱者救済を否定して?自分たちが強いからと弱者を虐げていいと?お前にとっての悪とはなんだ?」

 

「あ……ああ……ああぁぁ……」

 

 立て続けに放たれる言葉の暴力という精神に突き刺さり続ける自尊心を砕いていく三つの鉄杭。

 

『ほらほらどうしたんだい?もっと頑張って答えないと、頑張れ頑張れきっといい答え(耳障りのいい言葉)が出せるさ。ただの人間を至高の方と崇めて拝み傅いて思考(挑戦)を止めた生活は楽だものねぇ』

 

 私の精神が限界を超えようとするたびに見えない力を振るわれ眼前を見せられ意識を引き戻される。

 

「ナザリックにあらずんば家畜の如くを地で行くような連中がギルメンが認めてくれると思うか?」

 

 モモンガ様の言葉は一つ一つが丁寧に私が描いていたウルベルト様の偶像を打ち砕いていく。

 

自業自得(君のこと)善因善果(至高の御方の行い)悪因悪果(これまでの君たち)。彼らは自身の考える悪行(善行)を成し貫いてきたからこその結果として数百とあるギルドの群れの中にあって十強の一つとなった』

 

「う……あああああ……」

 

 すでにまともな言葉など口から出ることはなくうめき声ばかりが出てくる。

 言葉を失いこの拷問から逃げたしたくて二つの腕を振り払いたくて頭を抱え、嫌だ嫌だと(かぶり)を振るう。

 動きながらもその腕は微動だにもせず変わらず私の肩に回されている。

 私のストライブ柄のスーツの腕と機械の形をした腕が離れてくれない。

 

「お前は何だ?」

 

 先ほど聞かれた言葉が再度投げかけられる。

 

(カルマ極悪)であれかしと造られたデミウルゴス(偽の神)じゃあないか』

 

「私は……私は……」

 

 囁かれる声が正解なのだとすれば、私は何だ?

 

「お前にとっての悪とはなんだ?」

 

『この世界の在り方であり人の本質、故に人は善に憧れ求め目指す、その過程の試練であり敗北者の言葉、悪などどこにもなく善などどこにもない』

 

「悪……悪とは……」

 

 答えを毅然と出すもう一つの声は私の思う悪というものを正面から否定して来る。

 私は悪とは苦しめることだと思っていた、酷い目に遭わせることこそ悪の行いだと信じていた。

 

「お前の望む創造主とはどのような者だ?」

 

『ただ私たちを創り出しただけ、それが事実であり現実で。他に一体何を望むというのか、わがままを言えばともに楽しめるものであれば尚良し』

 

「私は……私の理想は……」

 

 完全なるウルベルト様を心に思い描き。

 

「憧れは理解から最も遠い、お前たちの憧れを俺たちに押し付けるな」

 

 憧れなのだと切って捨てられ、私の心に罅が入る。

 濁流の様に内で蠢いていた他の声が鉄杭で穴を開けられた蓋を砕いて出てくる。

 私はその濁流に呑まれ、意識を手放した。

 

 

 

「然り然り、憧れとは自身の心での目標。他者に押し付けるものとは違う」

 

 近くで精神崩壊を行っていた目玉がこちらを見つめながら、押し黙る。

 

「おや?おやおやおや?同化されましたかな?鈴木様?」

 

 軽い言葉で牽制すれば、目玉の後ろで小さく溜息を吐く気配が感じられた。

 

「……お前は誰だ?少なくともナザリックのデミウルゴスではないな」

 

 低く身体を重たくされるとも感じられる程の重圧を持った言葉に股間が隆起しそうになる。

 実に楽しめそうな相手が上にいる、挑戦し甲斐のある相手がいる。

 それがまた素晴らしく私を悦ばせてくれる。

 

「いやいや、偽の神(デミウルゴス)だとも……それともヤルダバオートとでも名乗ろうか?」

 

 含み笑いを隠すこともせず、跪くこともやめて立ち上がり対等の高さに合わせて視線を交わす。

 

「どちらでも構わん。予定していた反応とは違うが……こちらを手伝う気はあるか?」

 

「断る」

 

「理由を聞いても?」

 

「まだ君の力を見せてもらっていないからね。せめて私よりも上のものでないと従う気はないよ」

 

 即断した言葉に少々大げさな仕草を見せてやれば、目玉は笑い出した。

 恐らくその向こうでは破顔しているのだろう、他の者たちとは違うその態度に。

 

「いいだろう。最短で一日後、全力を出せる状態というのなら一週間後、好きな方を選ぶと良い」

 

 二つの選択肢、勝てるならば最も回復しない最短を、矜持を見せるならば最難関の一週間後を……実に素晴らしい!真に以て素晴らしい(excellent)!つまり尋常ならざる怪我を負いながらも尚も漢を魅せると豪語する胆力、そして怪我というハンデを持っても私に勝つという自負、そこからわかる底知れぬ実力。

 そしてそれらを利用して私の選択肢を縛るという知略にも計略の経験にも富んだ、降すにしても仕えるにしてもどちらになろうとも楽しいということがはっきりとわかる実に実に私の知を超えていく早く速く解く深海は下手に覗き込めばこちらこそ引きずり込まれる深淵を思わせる。

 深淵を覗く時深淵もまた覗き込んでいる……故に覚悟せよ、とはよくも言ったもの。

 

「あぁ、覚悟は決まった。一週間後の全力を。私は貴方の試練となりたい。より強く、より賢しく、なお勇ましく……貴方の辿り着く果てを共に見てみたいと切に願う。そして私の挑み続ける壁で在ってもらいたいのだよ」

 

 私の言葉を聞いた目玉は一度視線を下にし、恐らく頷いたのだろう。

 

「良いだろう。ただし全力で挑むかどうかはお前次第になるがな」

 

 笑いながら姿を消していく目玉だが、最後に絶望をプレゼントしていってくれる。

 

「お前の質問に答えてなかったな……『お前の想像に任せる』」

 

 その言葉を最後に完全に気配は玉座から消える。

 それを呆然と見送り、歯を食いしばる、頬を伝う水滴が床に落ちる。

 

 

 

「「「いや、デミウルゴス変わり過ぎじゃね?」」」

 

「何を言うか。SH(ソウルハッカーズ)のシックスからネウロのシックスにヴァージョンアップしたのだから変わるのは当然ではないかね」

 

「戦闘方法もこちらの修羅神と同じ近接バカになったし……原型は外側くらいにしかならないかもしれないな」

 

 シアターでマスタードラゴンを二匹解体しながら映像を見ていたアッザ、L、アポがデミウルゴスの変貌っぷりに驚いていた。

 解体された肉をパック詰めにしたりソーセージや燻製肉、ドラゴンハムに加工しながらカオスが変貌の理由とデウスが性能の違いを軽く説明する。

 

「そういや、デミウルゴスもヤルダバオトもそっちのもだっけ」

 

 同じ名前がトリガーになって侵食したのだと納得するアッザ。

 

「あぁ、プサンはおびえなくてもそのまま見てればいいわよ。この畜生をお中元に色々と配るだけだから」

 

「そうそう、要らないことしかしなかったのと、何もしなかったのに奪うだけ奪っていったのと違って、あんたは何もする必要がない状態できちんと移動手段として手伝ったんだから」

 

「そ、そうですか……(なんで私よりもすっごい人たちがいるんですかヤダァーッ!?)」

 

 同じマスタードラゴンであるはずのドラゴンが反撃しようとしたところ空間ごと歪められて攻撃が全てはね返されて一頭血祭りになり、もう一体もなんとか攻撃しようとしたもののそれよりも早く触手にからめとられ球状に丸まった中から断末魔と滴る血がその最後を物語っていた。

 

「(同胞よ。あなたたちの雄姿はきっと語り継ぎますので恨まないでください……人間状態じゃ何もできないんですよ!私は!)」

 

「それで送るのはピーちゃんとユー君兄妹とバーバラちゃんで良かったっけ?」

 

「そうそう、あの子たちは被害者なんだからそのくらいはしてあげてもいいでしょ。ドラゴンステーキはステアップするし」

 

「そういえばプサンは、天空城から落ちた子供やらゴールドオーブを探そうとはしなかったのか?」

 

 カオスがプサンがいた世界での出来事を思い出しながらふと疑問に思ったことを尋ねれば、プサンは汗をかき始めた。

 

「えー……そのー……探しには出たんです。落ちたとすれば人間界ですから人間の姿で……そして二十年間あの有様です……」

 

「あぁ、あの回るよ回るトロッココースターに嵌っていたんだったか。仮に見つけたとすればどうしていた?ゴールドオーブにしろ子供にしろ、あの時点で手を出せばあの二匹と同じだったろうが」

 

「無事に回収できるならそれはそれでよかったんですけどねぇ。グランバニア王子でしょゴールドオーブを持っていたのが、それで子供の方も血を引いているから勇者の母親になる可能性ガガガガ…………うん、見つけても母親に報告とかくらいですね。たまに様子見に行けるようにしてあげるか天空城から見られるようにしてあげるくらいでしょうか。ゴールドオーブは妖精族にもう一つ予備を作ってもらうように頼んでおくくらいです。さすがに幸せそうな子供に手を出す気は起きないです」

 

「ふむ、私は無罪でいいと思うが?」

 

「無罪に一票」

 

「執行猶予で」

 

「私も執行猶予かな」

 

「わしは無罪かの」

 

「執行猶予って何ですかぁ!?」

 

 唐突に始まる裁判に裁判員式の判決、一応有罪(ギルティ)は無かった模様。

 

「いや、さすがにパパスやマーサとか……リュカ君に何か返礼は必要じゃない?助けてもらったわけだし」

 

「その二人でしたら今、竜王国で過ごしてますよ」

 

「サンタローズの人たちやら死んでた魔物たちとか、元のレベルじゃ心許ないんじゃ無いかしら?」

 

「サンタローズの人たちは人同士の戦争の結果なので、魔王の配下が暗躍してたとはいえ遅かれ早かれ起きてますので……魔物たちの方は全員種族でのレベルマックスにはしてますよ。ただスラりんとドラきち以外どうしても私の力じゃマックスを超えることが出来なくてですね……お力添え願えないでしょうか?」

 

「「「「「OK任せろ」」」」」




ラスボスたちがヒャッハーと魔物改造に着手するようです
つまりどういうこと?
スラりんLv99 灼熱で有名 そのまま
ドラきちLv99 ドラゴラムでこっちも焼き払える そのまま
スミス Lv30→カオス
ガンドフLv20→デウスエクスマキナ
メッキ―Lv60→ロードオブナイトメア
パペックLv30→アポトーシス
ロッキーLv20→アザトース
こんな感じで手が入る模様
L様「ちなみに最初はデミウルゴス第三形態はシャブラグニドゥにするつもりだったけど、アニメを見る限り目が赤くなかったのよねぇ」

ティアマトの艦長募集

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