おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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前回のあらすじ
デミウルゴス精神的死亡
デミウルゴス覚醒
ラスボスがヒャッハーし始めた
をお送りしました


episode.12「ナザリックという場所」

 カルネ村にブループラネット、ガーネット、ニース、パンドラ、ルシファナ、ルベド、ジニーが一瞬で現れる。

 

「うわぁ此処に飛ばされるのか……」

 

「ふぅむ、個々に飛ばされると思ったんじゃが?」

 

 プループラネットの言葉にジニーは疑問を覚えながら、ジニーは草原の村が珍しいのか目を細めながらきょろきょろと見渡している。

 そんな中結構な速度でブループラネットに飛びついてくる月夜花とミストレス。

 

「そういえば前は最初からくっついてたから気にならなかったけど、その二人はなんでブルーさんに懐いてるの?ってか聞いた話じゃ南の女王ってその子なんじゃないの?」

 

「え?そりゃあ懐く……のは……?……いや、違う。会ったのは森で……」

 

 腰回りに二人を引っ付けたままブループラネットは頭を抱える。

 

「あ、おかえり!ニースお母さん!……蒼井様はどうしたの?」

 

 そんな状態のブル―プラネットを見たクレマンティーヌは心配しながらもニースへと近づいていく、現在ニースの方が肉体年齢的には下なので妹を心配する姉のようではある。

 ブル―プラネットの肩にそっと触れて鎮静(サニティ)をかけるが効果はなく、蹲りぶつぶつと言葉を発している。

 

「僕はNPCとして餓食狐蟲王(がしょくこちゅうおう)を……いやいや全滅していてもあの気持ち悪いサナダムシみたいなのをモデルに?いやなんでだよ」

 

 頭を抱えながら首を振るい、考えを纏めるために言葉を出していく。

 

「確かに僕は自然が好きだが、好きな動物モデルに造るのもわかる。ホラー(恐怖物語)が好きだからと怪物を模したものを作るのもわかる。厨二病だったから悪魔を造るのもわかる。可愛いからと自分の趣味全開の男装の麗人少女を造るのだってわかる。ロボット好きだったからロボ娘を造るのもわかる……」

 

「でも空飛ぶスパモンの出来損ないを造るのは……わけわかんねぇよなぁ」

 

 後を続けるように繋げたガーネットの言葉にブル―プラネットは天高く吠える。

 

「僕はなんでそんなもんを作ってるんだぁ!!」

 

「でも普通に俺にも他にラグナロクオンラインのイラスト見てって……あー……うん、この二人だよな。ブルーさんが本来造ってたNPCって……」

 

 ガーネットもその事実に気が付いたのか顔を手で覆う。

 

 

 

 最初にシアターに移っていたと思っていた時に出会ったモモンガの体をしていた鈴木さんの言葉を思い出す。

 

『ギルドという概念も現実のものとなった。これは君たちがこの世界に降り立った時から蝕んでくるだろう。だから……疑問をもって浮かんだ事柄は徹底的に疑ってほしい、そしてナザリックには近づかないこと、入れば懐かしさから一気に侵食されるぞ』

 

 その言葉に反論している声もあったが、多くはNPCはどうするんだという声だったことは覚えている。

 NPC達が本来作り上げたものとは違う者もいたが、それでもなんとかしたいと思っているものばかりだった。

 

『それが侵食だよ。なんでそう思った?そうしなければならないと義憤に思った?酷い言い方になるがここにいるお前さんらは全員責任を放棄した者たちだ。今更になって生きているから動いているからと都合のいいことを言うつもりか?ナザリックに呑まれてナザリックという『ギルド』が存続するためのコアになる危険を犯して、お前たちが置いていった悟はどう思うんだろうか?お前たちはどちらが大切なんだ?』

 

 自分たちで手放し棄ててきた者たち、何かしらの理由のあるものだっているがそれでもそれよりも『その何かしらの理由』の方が重要だった。

 もう一度その選択が突きつけられていた。

 皆が出したそれぞれの答えを鈴木さんはそのそれぞれに対して否定しなかった。

 それでも助けたいと動こうと、最悪始末をつけるといったものもいたが……鈴木さんの言った意味を体験するまで実感なんてわかなかった。

 

『赤の他人の俺でさえ、親近感を覚えらさせられて、当然のように仲間だと思わされるんだ』

 

 あの言葉の意味することを最初にナザリックの在り方に疑問を覚えた、あの時に感じたそれとも違う現実にはあり得ない現象。

 記憶の塗り替え、感情の塗り替え……思い出せばオーバーロードの鈴木さんやブレインイーターの緑谷さんは精神無効を種族として持っているにもかかわらず、そんなものは関係がないと嘲笑う様に認識していたことが塗り替えられていた。

 シズと出会った時だって殴られるくらいの覚悟はしていたつもりだった。

 でも現実には、言われた言葉への申し訳なさと強い後悔、そして泣いている姿を見せられて沸き上がる父性とでもいうのだろうか……多少はそれらが感情として湧くのは分かるが、今にして振り返ってみれば明らかに情を持ち過ぎだと思う。

 いつの間にか自分が自分ではなくなるという恐怖。

 身体は自分のものなのに精神だけが変わるという悍ましさ。

 それをただただ恐ろしく思う。

 

 

 

 タブラとムサシが冒険者ギルドに戻ってきて、こちらを見るなり武器を構える。

 

「モンスター!?」

 

「化け物がまだこんなところにも!?」

 

 先に話していなかったための間違った反応ではないが、周りの反応を見ればおかしいとは気付きそうなものかな。

 

「「……?」」

 

 武器を構えたまま首をかしげる二人、その目の前でくるりと旋回して見せる。

 その様子を見ている冒険者組合で騒いでいた連中は肩を震わせながら口を塞いで見ていた。

 表情はまさに、まだだ、まだ笑うな、と言わんばかりの表情であり中には蹲ってまで我慢している人までいる始末。

 カルネ村で見た三人の冒険者はそんな様子にきょとんとしていた。

 

「やれやれ街中な上に人前なんだ武器は仕舞っておけ」

 

 目玉のレンズよりもやや下、角膜の部分に線が入り上下に分かれればその中にむき出しの白い歯が現れて、その中に赤色の口内が見えることだろう。

 

「その声……スズキさんかい?」

 

 声をかければムサシは脱力する様に肩から力が一気に抜ける。

 その姿を見たとたんに堰を切ったように大爆笑の嵐が起きていた。

 タブラは武器を仕舞いながらもフロータイボールを目を輝かせながら食い入るように見ている。

 

「すごく気色悪い!生理的嫌悪感がすごい!真夜中ろうそくの心細い光の中、廊下の暗がりから転がってきて突然にゲラゲラと笑いだしたら怖そう!窓にびっしりとわかせてじっとりと見るのもよさそうだ!あぁ、空間の裂け目から見られるとまるで深淵を覗いてる気分になるんじゃないかな!」

 

 マシンガンの様に連続して飛び出てくるホラーになりそうなシーンを想像してかそれを言葉にしていく様子は、全くそんなことはないことをしているのにショーウィンドウに飾られたトランペットを眺める少年の様だった。

 

「「「やめて!?想像しちゃうでしょ!?」」」

 

 女性陣がそれを想像してしまったのか声を揃えて叫び声をあげて、抱きしめあっている。

 男性陣も気の弱いものは血の気が引いて青い顔をしていたりもする。

 

「ホラー大好きなのは知ってるがその辺にしておけ?ムサシ君の察しの通りスズキだ。ところで職業はどうだったんだ?アルベドのことはとりあえずナシェル達には話しておいたが……」

 

 アルベドという単語を聞くとタブラは驚いたように目を開き、こちらを見る。

 

「どうやらその顔は無事思い出せたようだな……洗脳に忘却と面倒なことをしてくれるものだ」

 

「スズキさん、俺はアルベドを追いたいんですけど?」

 

 提案こそ真っ当なものでありアルベドを造ったものとしては当然とも思える考えだ。

 俺からの警告がなければの話だが。

 

「たしかにアルベドはタブラが造ったものだし、娘だと思えば助けたいと思うのも当然だし、そこから仲間だと思うのも当然と言えば当然ではあるし、誘拐されたのだから相手側が悪として映るのも正しいと言えば正しい。が、どう助けるつもりなのかは考えているのか?」

 

 そう、狂気を孕み誘拐犯の側に立ってこちらを引きずり込もうとしている事はシャルティアからの報告で聞いている。

 そのことを教えれば最初は何を言われているのかわからないという顔をしながら、言われた意味が浸透していくにつれて難しい顔に変わっていく。

 

「モモンガ君を、いや、悟君を偽物と言っていて更にはアインズ呼び……?いやいや何で?スズキさんも悟君もそんなことは名乗ってないよな?少なくともシアターで見ていた時にはそんなことはなかった。うん、これは記憶違いじゃない。それはミネアとの会話をしていた時にも否定していた。なら何でアルベドはモモンガをアインズと呼んでいるんだ?」

 

 こちらとしてはある程度の推理材料を持っているがタブラたちは現状でどこまで事がわかるか、その判断能力は見ておく必要がある。

 

「その呼び方はパンプレットの最後に……いやいやいやそれは……それはないはずだろう?どう考えても現実的じゃない。無い、はず……」

 

 答えを出せる状態になってそれを否定しようとするが、その答えがあまりにも荒唐無稽な為にその答えを受け入れることを本能が拒否しようとする。

 

「この辺りは経験の差、なんだろうなぁ。そもそも今のこの状態が現実離れしててこんな状態を意図的に起こせるほうがよっぽど妄想がすごいことになるんだろう」

 

「異世界、転生……あうわぁ……」

 

 俺の世界にもあったがタブラはクトゥルフのファンらしいからか「それ」を引き起こせる何かしらが幾つか在りそうなことに気が付いたのだろう。

 正気を失って狂気的な行動をする前の仲間の顔によく似ている。

 

「データだったNPCが動いてるんだから、別世界線の記憶を持っててもおかしくない……いや、それだと説明がつかないな。パンフレットは……なんで違う物語……いや、これが本来の?だとすれば最初から?そうだよな最初からじゃないとおかしい、最初からなら……シズを選んだ時に焦ったのはそれが理由か。エンリちゃんには……あぁ、ヤンデルの視線がどうのってやつか」

 

 推理を始めてからある程度答えが固まったのを確認してから答え合わせを試みる。

 

「それじゃ答え合わせをしてみようか?」

 

 

「あぁ、多分大丈夫」

 タイミングを合わせて違う答えを出す。

 

「……うーん、どっちが正解だと思う?」

 




クトゥルフ 出展:クトゥルフ神話
クトゥルフ神話にて旧支配者という立場に立つ有名な邪神
日本ではタコの姿で親しまれる(稀に刺身にしようとする探索者が出現したりする)
ダゴンやディープワン、深き者と呼ばれる神話生物に信奉されるいわゆる上位主と呼ばれる存在
ルルイエという海底都市に住まう
オーバーロード原作では海上都市がルルイエっぽく語られていたりする

ティアマトの艦長募集

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