おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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前回のあらすじ
一日療養
おっさんの目的を知る
ニューロニストは漢女
をお送りしました


episode.3「ハラワタノ中身」

 左腕が伸びてニューロニストの首を掴み壁に叩きつけるように押し付ける。

 

「もう一度聞いてやる。お前は何者だ」

 

 空洞の三十三が覗き込むように心の恐怖を湧きあがらせるように蠢きながら這い寄ってくる。

 

「がほっ……あな…たこそ、何者なのかしらぁん……」

 

 喉が締め付けられる中急速に凍らせる音を響きながら腕が青銅へと変わっていく。

 

「私ですか?知っているでしょう?私は……パンドラ(愚かな女)ズ・アクター(を演じる者)だと」

 

 ギリシャ神話に登場するパンドラの箱、この箱は世の災厄を封じた青銅の箱でありゼウスにより一人の女性に託された名もなき箱。

 それがパンドラの箱と呼ばれるようになったのはその女性がパンドラという名前だったから。

 ならこのこれは何を演じているのだろうか。

 

「ぐぅ……東方腐敗は……王者の風よっ!」

 

 青銅(合金)の皮膚と化した腕に爪を立てて掴まれていた手を引きちぎる、が影のように傷跡から触手が伸びて元の姿に戻る。

 即座に無数の鋼鉄(鉄と炭)の爪に変わり身体を回せるのに合わせ突風と化す。

 

「それがどうしました?私はただ父上に従うのみ。たとえ私の存在が書き込まれたものだとしても(洗脳のそれと変わらずとも)それこそが私の存在する意味であり、私が存在する証。ただ私が持つ存在証明」

 

 転がるように伸ばした爪を振るい砕くが、柔軟性に優れたケブラー(人口繊維)の鞭に早変わりして部屋を所狭しと荒れ狂う。

 

私の中身が四十一の絶望(パンドラ)だろうとも、たとえ演ずるだけの人形(アクター)であろうとも私は言い切りましょう。私こそが、今の私が『本来の』パンドラズ・アクターだと」

 

 避けきれずに足を掬われ胴を打ち据えられ手足を弾き飛ばされ首に絡まり鞭が意思持つ大蛇の様に体の自由を奪い去る。

 

「さぁ……答えは?なぜ外史を知っている?お前はどちらの管理者だ?あぁ言い忘れていましたね……私は破壊側の管理者だ。この外史を終わらせるために行動している。モモンガの死をもってこの壊れた外史は終わりを告げる」

 

 再び空洞の中に蠢く三十三が静かに根芽付けてくる。

 恐怖、畏敬、迫害、嫌悪、苦痛、病魔、窒息、鈍痛、灼焦、悪寒、様々な肉体的苦痛、精神的苦痛がニューロニストの体に根付き芽吹いていく。

 

「あっ……がぁっ……!」

 

 苦痛を与える側であっても苦痛を与えられることは少なく、押し寄せてくる苦痛にうめき声が漏れ出る。

 

「全身……痙攣……全裸……供覧……」

 

 全身の筋肉を膨張させて隙間を無理矢理創り出して拘束から抜け出す。

 

「みよ!東方は赤く!萌えているかぁっ!!」

 

「なるほど。卑弥呼や貂蝉と同レベルの腕前は持っているか……ならばこれを試すことが出来る逸材ということ」

 

 最後の叫びを血反吐と共に吐き出すニューロニストに作り出した武器を右手に携えてパンドラズ・アクターはゆっくりと近づいてくる。

 

「ぬぅっふぅぅぅぅぅぅんっ!それがどんな武器か知らないけれどぉん!私は外史の肯定者!たとえ正史から外れまくった外史だとしても否定はさせないわぁん!」

 

 その姿勢を見てパンドラズ・アクターは拍手をする。

 

「その気概、実に素晴らしい。素晴らしいですとも……是非ともその気概を以てこの実験に付き合ってもらいましょう」

 

 それは黒く光り輝く剣、禍々しい気配を放ちながらも神々しいとも感じられ畏怖と畏敬が混在した不思議な感覚に陥る。

 

「な、なんなのぉん?それは……」

 

「なに、ただの試作ですとも。ソウル・クラッシュ(魂砕き)の」

 

 両手を広げ、剣先を床に引っ掛けるように金切り音を響かせながら軍靴の音ともに近付いてくる。

 背中で飛びのけるように入ってきたドアが蝶番や留め金を吹き飛ばし、ニューロニストが転がりながら出てきて手を床に殴りつける勢いで立ち上がり急いで走り出す。

 

「おやおや、どこへ行こうというのだね?」

 

 廊下に響くパンドラの声、軍靴の音に混じり時折聞こえる剣先が引き摺られる音に跳ねてぶつかる小さな音。

 どこかのホラー映画の様な追われているという感覚が強くより焦りを強くさせていく。

 

「教えなければ……サトル様にスズキ様に……パンドラは危険人物だと……!」

 

「そんなことが出来るとでも思っているのですか?」

 

 唐突に耳元で囁かれるように聞こえる追跡者(パンドラ)の声。

 先ほどまで廊下の暗がりの先まで離していたはずなのに、遊ばれているようにいつでも追いつけると言わんばかりに、今追いついてきた。

 

「さぁ、実験(試し切り)を始めましょう」

 

 身体を回転させて狭い廊下でもその剣の重さを十全に生かせるように身体に巻き込むように打ち込んでくる巻き打ち。

 その鋭さは剣技系のスキルを持たない筈のパンドラでありながらも熟達の域に達するほどのもので容易くニューロニストの背中を切り裂き青白い血を撒き散らせる。

 鋭い痛みでもなく熱く焼けるような痛みでもなく、まるで何かを失っていくような喪失感。

 力が抜けることで走っていた足はもつれ、笑った膝が嘲笑う様にもつれて転がる。

 振り上げられる黒剣、恐れ戦くニューロニスト。

 走る鏃の閃き。

 

「む?」

 

 鋭い金属音に黒剣が弾き飛ばされ、廊下を回転して滑っていく音が響く。

 倒れるニューロニストの奥に見えるのは息を切らせて弓を構えるアウラ。

 

「これはアウラ様、どうかされましたかな?宿題が出来ましたのならば見させていただきますが」

 

「ニューロニストは仲間でしょっ!あんた何やってんのよ!」

 

 大きな声を張り上げてパンドラに問いかけるが、パンドラは肩をすくめるだけで白刃を二つその両手に装備し、見えている指先がハーフゴーレムのそれに、肩は大きく肥大する。

 対峙しているアウラの額にはいくつもの脂汗が滲み浮かび焦燥に駆られているのがわかる。

 

「全く困った子供だ。これで七十年生きてきたというのだから、設定というものは始末に負えませんねぇ……精神が年齢に比例しないというのはどういうことなんでしょうか?グレーテルさんは十四歳である程度過保護に育った故理解はできますが」

 

 グレーテルに聞いた限りではダークエルフの成長は人の成長とは異なり第二次成長期終わりまでは人と変わらず育ちその後が長く続く種族であり、千年を過ぎたあたりから老衰が始まるらしい。

 精神もその年齢に合わせて成長していくために、アウラのような状態というのはこの世界において非常に不自然な事象となる……百年もすればナイスバディとなるらしいがこの世界ではどうなるのか。

 焦るアウラに対してあまりにも冷静過ぎるパンドラから放たれる威圧感はレベル百に設定されている階層守護者であるアウラをして圧倒させ、身体の動きも思考の働きも鈍らせていく。

 そんな中を唐突に重心を前に倒し力を抜くように滑るような形で踏み込み近づいて、つま先で床を掴むように力を貯めて踵を叩きつける勢いで右から回転する様に二条の剣戟を放つ。

 攻撃は苛烈で容赦なく、衝撃で浮き上げられた身体を繋げるような連携でのサマーソルトで天井に叩きつけられその反動でニューロニストにたたきつけられて一緒になって転がる。

 

「ぎぃっ……なんで!何でこんなことするのよ!」

 

 仲間だと思っていた人物から攻撃される、忠を誓うべき至高の御方には忠を受け取ってもらえず、あまつさえ創造主であるぶくぶく茶釜様に失望された。

 他の階層守護者たちはどこかおかしくなり、それが顕著なのは最も絡むことが多かったシャルティアでありながら突き放されるような態度をとられ、精神的な支えとしやすい身内でのマーレでさえ部屋に閉じ籠り出てくることがなくなった。

 そして極めつけが、パンドラの能面の様なハニワ顔。

 傷つけ悦に浸る様なものも、仲間を攻撃するという苦渋に満ちたものも、何もないただただ無関心の無表情。

 まるで私たちをその辺にいる虫と変わらないように見られていた。

 

「なに、ニューロニストにも申し上げた通り。武器の実験ですよアウラ……」

 

 その目は語っていた。

 アウラたちナザリックの者たちが外のものを見るような目が、外を全て見下したような目が、自分たちが実験動物のそれと変わらないのだと。

 その事実はアウラとニューロニストの背筋を凍らせるには十分すぎるうすら寒さだった。

 

「フェンっ!!」

 

 アウラ達が逃走の一択を選ぶ程度には圧迫感が重くのしかかっていた。

 それはナザリックのNPCという誇りを投げ捨ててフェンを呼び出し、その背に乗って逃走を即座にする程度には重くのしかかる恐怖を与えていた。

 

 

 

 クアドラシルの首を手にパンドラは虚空を見て独り言ちる。

 

「ふむ、予定通りに外へといった様子。如何でしたかな?私の演技は……スズキ様」

 

 彼はニューロニストが外史というものの管理者ではないということを看破していながらあえてその舞台に上り敵役を演じて見せた。

 図書館の扉を開けば、メイド達の姦しい声が響き、「次はこれをやってみよう」「こっちは勉強になるわね」「モザイクどうにかならないかしら」などと言う言葉が耳を打つ。

 モニターの明かりに照らされながら紅潮した頬を見ることが出来る。

 中にはいつの間に持ち込まれたのか、いくつもの古いマンガや小説などを読む者もいる。

 積まれた所々破れ表紙も擦り切れてしまっている手書きの小説、オーバーロード。

 一仕事終えたパンドラはその本を手に取り読みながらも思考に耽る。

 管理者の塔、そこに残っていた唯一手に取り読むことが可能であった書物、何かの手掛かりになればと思い持ち帰ったが、この物語の外史に当たるのが今の私達なのだというアタリは付けていた。

 

「血をクリーンで抜いて、プリザベーションで保存しておけばいいお土産になるかもですね」

 

 手だけを骸骨のそれに変えてメッセージを発動させる。

 

「第一段階は完了、カルネ村で完品を……あぁ、失礼。ナザリックから西南西、トブの森南端に位置する村でお受け取りください」

 

 複数冊の書物を一度にめくりながら目を走らせて行きながら、大筋では変わっていないこと、立場が変わっていること、対象が変わっていることなどを確認し、現状の冊数を確認する。

 

「ナザリックの転移、カルネ村これはすでに終わっている、冒険者になり初めてのお使いからのエ・ランテル襲撃は魔神の襲撃にすり替えられているが終わっている、シャルティア様の洗脳はアルベドの洗脳?に変わり戦闘がない代わりにエウリュエンティウが追加された……次はリザードマンの村を襲撃ですが……」

 

 確認した齟齬を紙に掻きだしていくが、ペンを走り終わらせた後にも長い沈黙が続きパンドラの頭の中を様々な考えが巡るが、どうしても現状でこの状態になる要素を見つけることが出来ない。

 

「これはいったいどうなるのでしょうねぇ……」




アウラ「ニューロニストは信用できる仲間」











覚醒させるために発狂させる劇:出演
キャスト:パンドラ、ニューロニスト
脚本:スズキ
ターゲット・ゲスト:アウラ

アッザ「パソコンもマンガもおっさんの所から完コピして持ってきた!」
L様「面白いものってある?」
アポ「バルドフォースとか大悪事とか面白いわよ」
カオス「ふむ、ゲーム性の高いものが多いの。ノベルゲーは少ない感じか」
デウス「ネットには繋がってないのか?繋げるつもりなら繋げておくぞ」
三人娘神「「「お前が神かっ!?」」」
デウス「お前らも神だろうが」

ニューロニスト 出展:オーバーロード
ナザリック所属だった拷問官
ブレインイーターという種族だが今カルネ村にいるブレインが食材として好物という意味ではない
脳食らいという意味であり脳みそを食すことで対象の記憶を得ることが出来る
実は拷問官というのは拷問によって悦楽を得る人物には向かなかったりする……やり過ぎて殺してしまうことが多々ある為である
現在は真・恋姫†無双の漢ルートをプレイし覚醒したがなぜか漢女に憧れを持っている……そこを利用し報酬としてトレーニング道具を報酬にコントロール・アムネジアで管理者の一人であると思い込み今回のアウラ発狂作戦の重要部分を担っている
そのうち白い肌で筋肉ムッキムキのニューロニストが見られるかもしれない

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