おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

59 / 83
前回のあらすじ
コキュートス死亡確定
アインズ逃走する未来
悟は決意する
をお送りしました


episode.7「遊ぶラスボスたち」

 俺たちは代表を交代させるために族長であるシャースーリューを探し、村の中を動きながら仕込みをしておく。

 子供たちにあるものを渡し、傷ついたもの、死亡したものの息を浮き帰らせ、こちらにもあるものを渡しておく。

 

「ようやく見つけた」

 

 黒い鱗に大剣を背負ったリザードマンを用事を終えたころにようやくといった形で見つけることが出来た……まるで終わるまですれ違う様に因果を操作でもされたかのように……恐らく操作されたのだろう。

 あちらへ行ったどこそこに向かうと情報を集めながら移動していたら用事が全て終わるころに鉢合わせたのだから、あまりにも都合がいいと考えるのも無理はない。

 

「む?俺を探していたのか?」

 

「あぁ、アインズ・ウール・ゴウンのコキュートスとやらに挑む先鋒を任せてもらおうと思ってな」

 

 俺の投げかけた提案に驚いたように目を見開き尻尾が何度も地面をたたく。

 爬虫類特有とでもいうのか角質化した鱗に覆われた顔で表情は読みにくいが、先鋒を任せてもらおうという提案はコキュートスを含んだ守護者たちを直接見たシャースーリューからすれば自殺志願にも似た願いだと感じられることだろう。

 

「まずはなんのために戦うのか、それを族長に聞きたい……まさか負けて牙を抜かれて飼殺(かいころ)される為に戦うとか言わないでくれよ?」

 

 確かに族長を含めザリュース、ベンゼルら先の戦場で一躍活躍したリザードマンが倒されることで最も強いものを明かすということにはなるだろう。

 つまり牙を折られる。

 

「なぁ、生に縋ることを生きるというのか?尊厳を失い、誇りを踏みにじられ、配下に下り、飼われることを、ただ心の臓が動き息をしていることを生きるというのか?」

 

 俺の言葉に低く怒りの感情を伴った呻き声で応えられるが、尻尾は忙しなく水面を叩きうるさく水音を撒き散らす。

 

「だが一族が死ぬよりはっ!」

 

「あぁ、だから俺たちを先鋒にしてくれと言っている。少なくとも俺たちは奴隷として生きることを良しとはしていない……例えどれだけ強者の庇護下に置かれようとも奴隷が奴隷だと気づかず『生かされる』だけの生は甘受できんよ。そんな地獄を地獄だと気づかずに生きるのはもうたくさんでね」

 

 肩をすくめそう答えれば、こちらの意志をくみ取ったのか項垂れ「好きにしろ」そう吐き捨てるように背を向け去っていこうとした。

 背を向け去ろうとしたところで足が動かなくなる。

 

『「「!?」」』

 

 その異変に気が付いたのは動けなくなったシャースーリュー、風の動きが止まった事を敏感に感じた悟、空間が支配されたことを察知した俺。

 背を向けたシャースーリューと共にその正面に現れるのは金色に輝くかろうじて人型とわかるもの(ロードオブナイトメア)醜悪な肉塊に数多の触手を生やしたもの(アザトース)と紫色の粘体の様なものに様々な動植物の(アポトーシス)張り付いたものの三体。

 それを目の前にした重圧はすさまじく、シャースーリューは目を白黒させながら正気を失いたいのに失えず、気を失ってしまいたいのに意識の明暗を繰り返しながらもゆっくりと暗闇に誘われるような這い寄ってくる恐怖を味わっていた。

 それはこの場にいるものに例外なく少なくない恐怖を強制的にトラウマとして植え付けようとしてくる、再び対峙しようと試すかのように。

 

『何の用だ?三柱ものバケモノが雁首揃えて』

 

 それを物理的に踏み潰す様に一歩踏み出して問いかける。

 此処で顔を出す意味はなんだと問いかける。

 

「あら?もうちょっと抑えれる?」

 

「(身体を左右にゆする)」

 

「無理じゃない?これでも分霊として格堕として最低限にしてるのよ?」

 

 最低限でこの被害拡げ続けるの勘弁してもらいたいもんだが……少なくともこうして出てきたことそのものには意味があるはず。

 

「(触手をうねらせる)」

 

「なによ、特等席で見学しようってのが悪かったっての?」

 

「まぁ……迷惑かけてるから悪いと言えば悪い。ここまで耐性がないとは思ってもなかったけど」

 

 こちらに視線を向けることなくただその気配だけでじっくりと空気に重みを加えていくようにこちらの心が圧し潰されそうになる。

 その重圧に耐えながら、三柱の話が終わるのを待つ。

 恐怖こそ跳ね除けられようとも存在そのものの重圧(プレッシャー)自体は如何ともし難い。

 それはまるで間延びされた一秒一秒の様だと感じながら自嘲する、空間を支配されたのだ、今この時では一秒も何もない事に気づいたから。

 心を落ち着かせるために、強く保つために小さくも深く息を吸って吐く。

 

「(触手をこちらに向ける)」

 

「それが一番ね」

 

「むむぅ……クリアしたときに渡したかったのにっ!こう、パンパカパーンって感じで登場してっ!」

 

『勝手に三人漫才やってんじゃねぇよ!』

 

 もう会話が間延びしてあっちこっちにとっ散らかった会話についにツッコミを入れてしまう。

 

「あー……ごめんねぇ、ついでにこの世界のことも教えておくからそれで許してぇ?」

 

 紫の粘体が申し訳なさそうに首?を傾げるように言ってくるが、可愛らしい仕草だとでもその身体で言うつもりなのだろうか。

 

「とりあえずエルが準備するまでに軽く説明すると、この世界は悟君に、正確にはそのアバターの骨に君が憑依しなかった世界、正着に悟君が骸骨になって進んだ世界、いわゆる正史という世界、そこにタルタロスを通して君たちという因子が入り込んだ。それによって変わっていく正史から切り離された世界。しょせんは剪定世界と呼ばれるものだね。この世界ならどうせ立ち消えてもかまわない世界である為に私たちは見学に来たってわけ。世界の主軸であるモモンガが自爆したところで私たちにも君たちにも何も関係はない、好きに料理してもいいんだよ?」

 

『嘘だな。好きにしてもいい、自爆しようが関係ない、この部分は嘘だろう?』

 

 立ち消えてもかまわない、これは本当だろう、声の調子も雰囲気の変化も見られない、文字通りの無関心の姿勢を崩すことはなかった。

 だが好きにしていい、自爆しようが……この部分はこちらを試すような探る様な意図が含まれた。

 

『この世界に連れてきた理由は分かった。そしてそれを直接見ようとしたこともな……俺たちがモモンガ側にどういったスタンスをとるか、そしてお前たちに踏み込めるか……試すためだな?』

 

 口があれば三日月の様に怖い表情の笑みを浮かべたのだろう、そういった意味合いの笑み。

 

「へぇ……やっぱアザトースの選んだ人間だけはあるねぇ。あなたは合格だろうけど、他のメンバーはどうかしら、ねぇ?」

 

「はい!それじゃもうこのメンバーでコキュートスに挑むんだからクリア確定だから先にプレゼント渡すからね!チクショー!この先もきっと役に立つ『ポケット魔王城』よ!……そうよ!私たちがここの子供に憑依してポ魔城に行けばいつでも特等席で見れるじゃない!ついでに幼女枠も用意できるわよ!」

 

 こっちに投げてよこした手のひらサイズのお城の模型……いわゆる移動式拠点アイテムで千人規模で住んだりすることもできるという優れモノなのだ。

 なるほど確かにタルタロスの攻略としても相応しいともいえるものだし、この先必要となる場合も出てくるアイテムだろう。

 

『(決して……決して……『とてもいい案だ』と言わんばかりに実行しに行ったあいつらに呆れているわけじゃあない……無いはずなんだ……無いと思いたい……)』

 

 それぞれに飛んで行ったバケモノに脱力し崩れ落ちる。

 全員、威圧感から解放されたのか尻もちを搗く様にその場に腰を下ろして荒い呼吸を繰り返す。

 しばらくして息が整ったところでベルリバーから提案があった。

 

「いやいや、無理無理無理無理カタツムリ。止めよう?止めとこうヨ?俺はあ、反対させてもらうぞー!?」

 

「HAHAHA、僕もそれに賛成したいんだけどねぇ。心底賛成して撤退を提案したいんだよ?でもこの状況まで追い込まれてて、ここまで顔も情報もさらしておいて、だよ?僕たちは見逃すという選択肢を取るでしょうか?」

 

 ベルリバーの上げた提案に対して死獣天朱雀が乾いた笑いを上げながらその提案を受け入れた場合の末路を想像する。

 少なくとも先ほどの会話から三柱たちが楽しければ想像していることを、いや、恐らくその想像を超えたものを用意しているだろうことを指摘する。

 

「……この詰んでる状況をどうにかできる策を立案できそうなの……ぷにっとさんくらいか?いや、そんなものも鼻で笑って覆してくるんだろうなぁ……なぁ?スズキさんよぉ何をすればいい?出来ることなら言ってくれ、座してまた死ぬ?ふざけんなよ!可愛い嫁さんでもきれいな嫁さんでもどっちでもいい!造れなかった理想の家庭を作るんじゃあ!!ブラックじゃねぇ職場を掴んで今度こそ人生謳歌しちゃるんじゃああああああっっ!!」

 

 あまのまの魂の叫びがリザードマンの村を震わせる、当然の様にリザードマンたちが「なんだ?なんだ?」と出てくるがそんなことに頓着してる暇はないとシャースーリューを巻き込んで目前の危機を乗り越えるための策を練っていく。

 策を練る間、エンリは先の恐怖からか悟の衣服をずっと握っていた。

 

 

 

 リザードマンの村に王冠を斜めに付け触手を生やせるモノが誕生しました。

 紫の疣を持ち身体を様々なものに変えられるモノが誕生しました。

 鱗が金色に輝く魔力量が膨大なモノが誕生しました。

 

 

 

 その頃、エ・イハブではイカ男爵とタブラたちとの戦闘が繰り広げられていた。

 

「オノレこの蛸がぁぁぁぁぁっ!!我がくらーけんをかえぇぇぇせぇぇぇぇぇっっ!!烏賊烏賊未来永劫!!」

 

「何で私ぃぃぃっっ!!??」

 

「その頭部は蛸ではないか!!ならば貴様はあの八なんとやらの仲間で確定であろうがああっぁァァァァ!!ちぇぇぇりゃぁぁぁぁぁっっ!!」

 

「八なんとやらッてなんだぁぁぁぁぁっっ!?足の数しかあってないじゃないかぁ!?」

 

 轟音を切り裂きながら振るわれる音速を超える巨大サーベル。

 その合間合間に交わされる怒号ともいえる言葉の応酬、イカ男爵の探すくらーけんは言葉から聞こえる八なんとかが関わっているということは分かるのだが、何故蛸にここまで憎しみを募らせているのかまでは謎である。

 イカ男爵の攻撃が巧みなのか、それとも建物がおかしいのか、巨大サーベルがタブラに狙いをつけて残光が網の目のように残る速度で振るわれ続けているのに、建物や無関係な住民には全くといっていいほどに被害がいっていない。

 追い詰めるために歩を進めるたび道路が陥没隆起を繰り返していることから建物が特殊だというわけではないのだろう。

 

「八なんとか……噂に名高い『八卦衆』でしょうか?」

 

「十数年前なら『八本指』とかもあったんだけどねぇ。バルブロ王の代になって即潰されたって話だからねぇ……いても残党でしょ。その辺を考えると『八卦衆』を有する『ハウドラゴン』とかいう組織が怪しいかな」




イカ男爵 出展:ぎゃるZOOアイランド
種族:イカマン HP:74万ほど

最弱であったコンプレックスの反動で天狗になり、「強者である我に選ばれるのだから幸せだろう」と身勝手な婚活に走る。
元々優しく純粋な性格であるため明確な悪意はなく、拷問戦士にスプラッターなお仕置きを提案されても慌てて却下する感じ。とっこーちゃんが切腹しそうになると全力で謝った。
決して最初から嫌悪されていたわけではない。言うことを聞いてくれない(お互い様だが)女の子Mに怒り、好き勝手やってやると勇んでやることが覗きである。
主に女殺しのせいで日に日にセクハラの過激度や傲慢さが増していき歪んでいく。このへんは公式ページにある日記を見れば分かりやすい。
生涯に一度しか射精できないため、肝心の嫁選びは先延ばしの連続。
独力で異次元にイカパラダイスを作っただけあって力は尋常ではなく、生死の概念を書き換える程。

総合レベル:105
イカマン:15
海洋生物:10
深淵の主:10
旧支配者:10
合計種族レベル:45
ダブルセイバー:10
ウォーロード:5
ワールドクリエイター:5
マジックナイト:15

合計職業レベル:60

特殊:自己回復(一分で1%強)、部下召喚(ディープワン、ダゴン等)、固有世界(イカパラダイス)、ワールドアイテム&始原の魔法の無効化……等
備考:射精しても死ななくなった
なんというか根っこが原作モモンガに似ている

ティアマトの艦長募集

  • ダイテツ
  • リー
  • ゴール
  • レモン
  • ラ・クロワ
  • サオトメ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。