コキュートス瞬殺
伏せた罠は不発
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白衣を纏い下駄を履いた人物は確かな足取りでカルネ村で動いているゲッターロボに近付いてくる。
「旧ゲッターロボ……いや、一応応急処置はされているが……武蔵の乗っていた初代ゲッターロボ……」
感慨深げにされども悲哀を湛えた視線を今も動くゲッターロボへと注がれる。
「これは儂の贖罪、儂を気絶させ無理矢理乗り込んだとはいえゲッターロボGを間に合わせてやることが出来なんだ儂の不甲斐無さの証よ」
『爺さん近付くとあぶねぇぞ!』
ゲッターに付けられたスピーカーを使った声が近づいてくる人物に注意をするが、その人物はその言葉を聞いて突然に体を仰け反らして笑い始める。
「フフフ……はーっはっはっはっ。爺さん、爺さんか確かに三世紀半も生きれば十分爺よな」
ひとしきり笑った後にゲッターロボを見上げる。
それは昔のままで、ブリキ人形を思わせる丸みを多用したフォルムで全体的にずんぐりとした印象を持たせる。
かつて白衣の人物が設計し、元々は宇宙開発用の機体を恐竜帝国が出現したこともあり急遽戦闘用の機体へと変えたゲッターロボ。
人物の名前は早乙女博士と呼ばれる
「ふ、その爺が言うのはなんだがそのゲッターロボを修理改修したくてな。ダークエルフの里からはるばるやってきたのよ」
『ダークエルフの里から?確かトブの大森林の北部だったっけ?』
『はい。そのように記憶されています』
懐からヘルメットの様な機械を取り出し高々と掲げてロボットからも見えるように持ち上げる。
脳波学習装置、神隼人がゲッターに連れ込まれて被されたものと同じで被ることで脳波からのゲッターの操作方法を知ることが出来る代物であった。
ナノインターフェイスを通じて身体の健康管理をされていたり電子ネットワークにダイブしていたガーネットからすれば、それは骨董品としてうつったかもしれない。
「こいつは脳波学習装置と言ってゲッターの操縦方法を教えてくれる機械だ」
『ちょっと待て!?そのサイズどうやって懐から取り出したんだ!?』
明らかにポケットには入らない、そして服装からもヘルメットサイズのものを仕舞っておくスペースは見当たらないのに取り出したことに驚き、声を荒げながらもその声は新しいものを発見したように期待に満ちていた。
ガーネットはインベントリというゲームならではの同じようなことが出来る能力を持っているが、目の前の人物は明らかにプレイヤーではない為にゲーム由来の能力は持っていない筈、あくまで現地の人たちに話を聞いた限りではあるが。
可能性としては新しい魔法を創り出しインベントリと同じようなことを可能としたか、もしくはマジックアイテムで同じ効果を発揮しているか、タレントによる固有の能力であるか、職業などで同じものを取得できるのか。
ガーネットはシズが止める声にも止まらずゲッターロボから飛び降りて、早乙女博士に近づいていく。
「これか、西博士……Dr.ウェストが作り出した魔法と科学の融合体『異次元倉庫』よ。異次元に繋ぐのに魔法の理論を、ニューロインターフェイスに思考を繋ぐことで仕舞ったアイテムを検索してくれる優れものよ」
「なにそれすげぇ!」
「奴も天災ということよ。シュウ博士は機体の制御に魔法を使ったりもしていたが、動力に精神力を使うというある意味での無限動力にこじつけたバカは奴だけであろうよ」
「やべぇ、発想がぶっ飛んでることだけは分かる。理論が全然わからねぇ」
博士と会話をしながら理解を超えた本物の天才たちが生み出した
「む?恐竜人か?」
鍛冶長を見てそう呟く早乙女博士だったが、鍛冶長自身がそれを否定する。
「ワシは恐竜じゃねぇよ。
「それは失礼した。やはり書物だけでは区別がつかんな」
そんなとりとめのない会話に花咲かせながら、何処で改修するのか、どのような修理が的確なのか、またそのような設備をどうやって作り上げたのか、など技術者や研究者らしい技術交換ともいえる会話だった。
シズは種族所以の記憶力から引き上げられたプレス機の設計図を、ガーネットは現在からみれば未来技術に当たる板金加工技術を、鍛冶長がそれらを組み合わせた作成と類稀なる目を駆使したゲッター合金の作り方を発見したり、ゲッター炉心を解析したりしていた。
「改めて考えるとこっちもこっちで技術系がやばかった……」
「ガーネット様、アウラさんがこちらに向かってきています」
「ん?まだアウラは試験通ってないんじゃなかったっけ?通ったの?」
「通ってないですね。試験と言いますかなぜか覚醒しているニューロニスト様とパンドラ様が仕掛けた……発狂劇?でしょうか?」
なるほど、スズキさんの仕掛けか。
そうなると教育係は俺ってことになるか。
「じゃ俺はこの先高良と呼んでください。ちょっとアウラに試しておかないといけないことでもあるから」
「ふむ?プレイヤー名ではなく本名かね?」
顎に手を当ててこちらに質問してくるが、話が早くて助かる。
プレイヤー発言はもう技術会話中にしてるから問題ない、未来技術とか説明しようとしたらどうしても説明する必要がある。
ダークエルフの長ドロテアが普通に知ってるからダークエルフの里では周知されてるんだとか。
「ま、そんなところですね。アウラはNPCなんで失礼なこと言っちゃうかもしれませんが……」
申し訳なさそうに言うと早乙女さんは笑いながらゲッターパイロットの三人とも問題児ばかりだったと言ってくれた。
ムサシ君も問題児だったのか。
こちらも仕込みも終えた頃に森の切れ目からニューロニストとアウラが姿を現す。
それと同時に背中にマウントしていたライフルをシズがアウラに向けて構えてアウラたちの動きを止めさせる。
「フリーズ」
「ちょ、ちょっと待ってよシズ!私、私だよ!?アウラだよ?!」
唐突に突きつけられる離れた銃口に驚いたように両手を挙げて動きを止める。
「そうよん、私はニューロニストよぉん!?」
水死体の様な不健康そうな青白いふやけて垂れ下がった肌、頭部が蛸というよりは水母の様な形に膨れ上がったニューロニストも同じように両手を上げる。
「……それは分かってます。スズキ様に「普段通りの仕事」を任されていたはずではないのですか?」
「その!モモンガ様をパンドラが殺すっていう異常事態を発見したからそのことを報告したくて!」
うん、パンドラは何をしているんだろうか。
とりあえずモモンガさんの名前を聞けたから問題はないか。
あえてモモンガさんをアウラのように様付けせずに呼ばずに反応を見てみようか。
「そのモモンガさんに連絡は?
案の定アウラから殺気が放たれ今にもこちらに掴み掛らんばかりの憤怒の形相をしている。
覚悟はしていたがやっぱりこうなる、か。
「モモンガ様だろう!人間!」
感情のままに大声を上げるアウラをしり目に人化の指輪を外して、ガーネットの姿に戻る。
「アウラ?俺がモモンガさんを様付けにしなきゃいけないのか?」
俺は認識阻害の指輪は付けていない、だから普段の気配そのものと変わりはしないのにアウラは殺気をこちらにぶつけてきた。
スズキさんの読み通りシズやパンドラのように覚醒してないNPCは危険だということが証明されてしまった。
俺の姿を見て興味津々にビスや真空管に視線を向ける早乙女博士とは真逆のように身体を震わせるアウラ。
「あ……あ……ガ、ガ、ガ……」
「ガガガガオガイガー?」
「ガーネット様ぁぁっ!?あ、あ、あ……」
不敬をしたとかで絶望しているのがよくわかる表情をしている。
「うん?そうだよ?至高の御方とお前たちは呼んでるけど、俺たちはそんなもんなんだなぁ?なぁ、アウラ?」
この世界に来てすぐにスズキさんが不敬をしたからと自殺しようとすることを禁じているから、アウラは自刃することを選べない。
「お前たちの忠っていったい何なんだ?至高の御方と言いながら、俺たちの好みをどれだけ知ってる?俺たちの趣向はどんなものだ?なぁ、俺たちの役に立ちたいと言いながら任された仕事を放り投げて新しい仕事が欲しいってのは本当に忠誠なのか考えたことはあるか?」
「えっと……えっと……」
アウラは距離があるもののこちらからの質問に答えられず目が泳ぐばかり。
「俺たちアインズ・ウール・ゴウンってギルドは社会人の集まりで皆それぞれに仕事を持っていた。仕事をしてお金を稼いで生活をしていた。さて、上役であるスズキさん……モモンガさんがお前たちには外の仕事は力不足で任せられないと判断して仕事の継続を命じたのにも関わらず、お前たちは今の仕事は役不足だと言ってるわけだ」
これ普通に考えるとよっぽどの能力がないと通るわけがない上甲になるわけだが、なんでNPCは通ると思っていたのか。
「で、でも私たちも至高の御方のお役に立ちたくて!」
目に涙をためて訴えてくるがここは心を鬼にして自覚させる必要があるんだろう。
「役に立つ行為はどんなものか、自分で答えは出せるか?ただ命令に従うなんていうのは初歩の初歩で当たり前のことだぞ?」
アウラの褐色の肌が見てわかるほどに血の気が失せるように青くなっている。
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