今回ちょっぴり拷問のことが出るのでグロ注意(特に指先、爪)
諸王の玉座が置かれる玉座の間にヤルダバオートは歩いて向かっていた。
その背後に部下たちを引き連れて、今から行う行いを悪びれもせず恥じることなく威風堂々と革靴を鳴らしながら歩いて玉座の間へと向かっていた。
この一週間、勝つための策を幾十通りも考えていたが、そのどれもがスズキ様に通用するとは思えなかった。
騙し討ち、既に宣戦布告している挑戦者の身、打てる不意などたかが知れている。
罠、何処まで行っても手の平の上で踊らされるか、逆に利用される。
援軍、それこそ悪手、こちらこそを反逆として討ちに来るだろう。
甘言、そのようなものに靡くのであれば忠誠の義のあの言葉は成り立たない、そもそもこの挑戦は私がスズキ様に仕える為の儀式。
ただ忠を誓うのではない、理由もなく立場に誓うものではない、私が認め力の差を見せその力に忠を誓う儀式。
私であれば力の差を見せつけ協力を仰ぐ様にして配下に加える。
だがスズキ様はその力の差を見せつけた上で、どうするかの選択を迫り、挑戦を……下剋上を認めて見せた。
本来であれば下策と打って捨てるもの。
それでもその胆には目を見張る、我ら下郎如きに遅れは取らぬという自負が伺える。
私たち悪魔というものは何処までも力に惹かれるもの、地位にふんぞり返る愚者に魅力など精々が夢心地の優越感から奈落に落ちる際の絶望を嘲笑ってやる程度の魅力しか感じない。
それに対し胆が強いというのは英雄の素質でもある、王の資質でもある、将の資質でもあるのだ。
それに挑めるというのは、悪としても、配下に下るにしても、ただ唯々諾々と従い甘言を撒き散らし趣味の拷問に費やすよりもなんと有意義なことか。
終わった夢を見続ける、叶わぬ願いを掲げる虚しさ、自分たちを本当の大切なものの代替えにされる侮辱、それを主と崇めなければならぬ本能にあらがえぬ惰弱……悪魔として唾棄すべきものばかり。
だからこそ部下たちに見せねばならないのだ。
悪魔の在り方を、生き方というものを。
悪魔とは創造主に逆らい押された烙印と共に生きるものなのだと。
玉座の間、その中央奥に進むモノを威圧する様に様々な文様、それぞれのギルドメンバーを示す旗が左右に順番に飾られ垂れ下がっている。
そして最奥に今は無人の玉座があった。
ほんの少しこれから行うことへの緊張をほぐすために目を瞑り一呼吸を入れ、改めてその場所を見る。
玉座の横にはシャルティアとパンドラズ・アクターが傅き、玉座に白磁の骨格を持つ黒を基調とした豪奢な装いを纏う骸骨、スズキ様が座っていた。
「ふむ……待たせてしまったかな?」
「ふふふ、少々遅刻でしょうか……五分前行動が社会人の基本なのではないのでしょうか?」
二人して小さく笑いながら、傍目から見ればただ談笑しているようにも見える言葉の応酬。
「なるほど、確かにたっちもよくそのようにウルベルトに注意していたな……が、今回はホームパーティーに招かれた身。少し遅めにむかいパーティー主を急かさないのもまたマナーというものだよ。デミウルゴス……パーティーの準備は万全かね?」
ひじ掛けに肘を立て手の甲で頬をつく形で眺めるように赤い眼光をデミウルゴスの背後に傅く配下たちに視線を飛ばす。
その言葉に覚悟を決めるようにネクタイを締めなおし、眼鏡を外して胸ポケットへと仕舞う。
「えぇ……初めてのことなので拙いかもしれませんがパーティーの準備はすでに整っておりますよ。<悪魔の諸相:豪魔の巨腕>!」
巨大化した腕を振り上げ、一度床へと叩き付ける反動を利用して一足飛びに玉座に頬杖を突いたままのスズキ様へと突撃をする。
巨腕の射程距離に捉えたタイミングで振り下ろし、腰を下ろしたままでは避けることは不可能と思われたが振り下ろす拳を掴む骨身の掌。
ゆっくりと時が流れるような錯覚に陥る。
確かにスズキ様はレベル100のマジックキャスターとしては筋力が高めの構成ではある。
あるが、筋力に特化させたスキルを受け止めることなど不可能なはず。
「面白い歓迎の仕方だ。私が打撃系に弱いのを加味しても実にベストな選択だ……だが無意味だ」
骨の掌に握られた拳に力が込められて激痛が走る。
拳が痛みと圧力で崩れて拳の形を形成できなくなり手の平から爪が食い込み血が腕を伝ってくる。
「攻撃とはこうするものだ」
ありえない光景を創り出したその隙間で巨腕のまま振り上げられ床に叩き付けられる。
「がふぅっ!?」
床に叩き付けられるのを利用して掴まれていた拳を振りほどき自由になるが、即座に飛びのく。
無詠唱で生み出された雷球が寸前にいた場所に着弾して放電しているのが見える。
氷に炎、次々と飛び退く足元に小威力の魔法が放たれてはその属性の光が周りを照らしていく。
青に赤に黄に白に黒、更に紫や緑と次から次へと変化していく魔法の属性、そして開けられる距離。
「
本来ならば発動した瞬間に指定した場所に飛ぶはずなのにそれがひどくゆっくりとしたものに変わり、それを知っていたかのようにスズキ様の掌に収まっていた銃火器が火を噴き銃弾が身体を抉り取っていく。
「ぐっ……いつの間に銃の扱いを覚えたのか……勤勉ですなぁっ!!」
「当たり前だ。不明の土地、未知の状況……利用できるものはなんでも利用するべきだ。……例えば
「っち!」
舌打ちと共にあらかじめ仕込んでおいた札である
「諸王の玉座、起動」
風が吹くはずのない空間で風が吹き、垂れ下がっていた旗がはためき揺れる。
そして背後で断末魔の悲鳴が響く。
「「「ギアアアアアアァァァァッッッ!!?」」」
その悲鳴を聞き後ろを思わず振り向いてその光景を見てしまう。
土人形が水でもかけられた様に崩れていく配下の悪魔たち、魔将たちはその現象に痛みを感じるように、何が起きているのかがわからないままに激痛に喘ぐ悲鳴を上げながら崩れ倒れていく。
それが最後の一体まで消滅するまで目を離せないでいた。
戦いの最中にしてはいけない隙をさらしたまま。
その驚きを上塗りする様に拍手の音が響き渡る。
「おめでとうデミウルゴス。素晴らしい、実に素晴らしく誇らしいぞ……この諸王の玉座は、王の前に相対するにふさわしくない弱者をそのようにして殺す、そういう能力を持っている。だからこそ無様な姿は晒さないでくれよ?厳正なる
この現状を表す様にゆっくりと玉座から立ち上がり
「(まずいまずいまずいっ!戦いの道筋を歪められた!武器の戦闘に巨腕はまずい!)」
振るわれる度に奏でられる笛の音が警鐘を鳴らす頭の中を無視して足をスズキ様へと向かって進めさせる。
「どこぞの胡散臭い死神の武器を参照に作り出したものだ。面白いものだろう?振り回す度に挑発の効果が敵対者に発動する」
「っ<悪魔の諸相:鋭利の断爪>!」
爪を伸ばし振るわれる大鎌の刃を防ぐ。
「やはりそうしたか」
刃は瞬時に乱杭歯の様に不揃いのものとなり爪をからめとって、梃子の原理で爪の根元からはぎ取っていく。
「ぎぃっ!?」
指先には痛点という痛みを感じる神経が身体の中で最も多く集中している部分である、それゆえに拷問においても最初に行われる個所であり多くの拷問法が確立されてもいる。
例えばペンチを使った爪剥ぎに始まり、焼いた串を爪と指の間に差し込むモノ、ローラーで指先から潰していくもの、それこそ上げ始めたらキリがないほどに。
だからこそダメージよりも呻き声が漏れるほどに痛みが鋭く反映されていた。
「どうした?お前の力はそんなものではないだろう?まだ半魔の姿にすらなっていない……どうしたっ!そのまま実力を示すことなく朽ちるか!!」
空間を切り裂く様になぎ払い、カマイタチが肌を切り裂き鮮血を撒き散らす。
「
黒炎の壁が立ち上がり、焼き尽くすために繰り出される炎の魔法がスズキ様を包む。
アンデッドには炎、聖属性に脆弱が付与されているはず、それを無効化することは別の属性防御を棄てることになる。
「これなら……」
切り裂かれる音と共に炎が割れ、炎に包まれたまま歩いて距離を詰めてくる姿が映る。
「お前が使える属性は多くはない、スケルトンに属するゆえに打撃が脆弱となる為にお前は最初に巨腕で挑みかかってきた。そして私は近接戦を苦手とするマジックキャスター、故にとれる戦術としては実に実に
鎌を回転させることで炎を巻き取りかき消して、肩に担ぐことで空いた手で手招きをするように挑発をする。
「お前を止めるものはもういない。お前がわざわざ止まってやる理由もない。さぁ、背水の陣と行こうじゃないか」
双眸の赤い燐光が爛々と怪しく輝く。
おっさんの策……感想でネタバレしてもかまいませんぞ
答え合わせは戦いが終わった後に
ティアマトの艦長募集
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