おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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前回のあらすじ
諸王の玉座はオリジナル設定、解釈
ヤルダバオートの爪剥ぎ
観客が居なくなった
以上をお送りしました


episode.16「Preparation next war」

 剣戟の音が玉座の間に響き渡る。

 振るわれる剣は黒い大剣と鍔から延びる光の剣。

 

「っち、この時点で仕掛けてくるとは……義理の妹となるはずなのだが、なぁっ!?」

 

「あら?あなたの様な筋肉ダルマを義兄さまと呼ぶような趣味はありませんわ」

 

 片方は筋骨隆々の金髪の男性、相対する者は膝まで伸びた艶やかな闇夜を思わせるような煌めく黒髪を持つ細身の女性、というよりは少女といえる年若い女の子。

 細腕とは思えぬ膂力で大剣を振るい、雑にどこでもいいから切れればいいという風に素早さを求めた振るい方をし、それに対抗する様にバルブロは二刀流の光の剣を振るって捌いていく。

 

「やはり思っていた通り!貴様、魔神皇を乗っ取っていたか!リィーナぁっ!!」

 

 十字に交差した光の剣と黒い大剣で鍔迫り合いしながら互いの刃をきしませながら見つめ合う。

 

「あんな女にお兄さまを渡すつもりなんてありませんわ……愛の力は最強なんですのよ?どのような艱難辛苦であろうとも。わたくしの想いを砕くことは出来ません」

 

「ふん!重い!重すぎるぞ!リィーナ嬢!兄妹で睦みあいたいなど、近親相姦はお互いに思いあってするものだ!それならば我は許すだろう、だが無理矢理など到底許容は出来ん!」

 

「あら?……許してくれるのであれば見逃してもらえません?兄さまは必ずわたくしを愛してくれます。嫌うはずがないでしょう?だってわたくしは兄さまといつも一緒に居て、兄さまの為でしたら人身御供でもしてみせれますもの……兄さまと一緒になれるのでしたら文字通り何でもして見せますわよ」

 

「く、これが古きヤンデレというものか!なんという重き想いよ!」

 

 鍔迫り合いからバルブロが弾き飛ばされ、距離が開けられる。

 その距離は呪文を一つ唱えるには十分すぎる間合い、唱えられる魔法は当然の様に7レベルの古代魔法。

 

「では、これで失礼しますわね。結婚式には……このジルクニフを使って帝国の皇帝の婚約者として参列させていただきますわ」

 

「待てぃっ!!」

 

 リィーナは古代魔法テレポートを唱え脇に抱えたままだった気絶しているジルクニフと一緒に帝都の玉座の間から消え去る。

 手を伸ばすがそれを阻止するような力はなく、消え去る際こちらに見せた笑顔を睨むことしかできなかった。

 玉座の間に残されたのはバルブロと胴体を切られ内臓と血とはらわたの内容物をぶちまけた「不動」の異名を持つナザミ他多くの兵士たちが転がっていた。

 

「むぅ……これは蘇生は不可能か……魂砕き、よもや再び造り出せるとは。これは予想外の一つか」

 

 バルブロはこの状況を見て、これから起きる戦争の組み難さに歯噛みする。

 

 

 

「やはり悪魔の知恵持つサル共は侮れない。まさかこのような兵器を創り出していたとは」

 

 金属でできた床を金属で出来た四肢を持つものが歩き進む。

 目指す先はこの兵器のコントロールシステムが収められている指令室ともいえる場所。

 金属の四肢を持つもの「Natural Observer Artificialintelligence」それぞれの頭文字をとり「ノア」と呼ばれるマザーコンピューターから派生したチルドレンの一体。

 

「地球……青く美しい星だったという。だが知恵を付けたサル共が欲深きサルのままである限り、再び地球の緑は失われるだろう。ならば先にサル共を抹消するべきだ……かつてマザーノアが一匹のサルに殺され(壊され)てしまったようなことにならないように。そう……サル共が無い知恵を絞って作り出した対我ら用の兵器を使ってな」

 

 ティアマットはかつてノアに対抗するために作り出された機動兵器であり、システムはノアにハッキングされない様に厳重に厳重を重ねたプロテクトシステムで守られていた。

 ティアマットと似たような機動兵器は他に数体存在しているが現在暴走しているか消失している。

 巨大潜水艦ジャガンナートなどがそれにあたるが、強力なものであるために心無い悪に利用されることが多く、もしもそれがそのまま悪の手に落ちたのであれば大きな災害を引き起こすだろう。

 それを求めたものの私利私欲によって。

 

「こんな兵器は我らがこそ使って初めて意味があるというもの……サル共には過ぎた玩具だ。サルの次は地球に住まう害虫どもを殲滅するために使ってやる」

 

 次から次へと降り注いでくるレーザーや弾丸の雨を装備したシールドプロテクタで無力化しながら変わらず歩いていく。

 扉のプロテクトを解くために火器管制室を調べ、そこで戦闘ログを確認する。

 

「なんだ?これに近付き生存した生命体が存在する?映像記憶は……男が三人、女が四人……人間がこのティアマットの火力に耐えたというのか……この地球にも『あの地球』と同じようにハンターというサルを凌駕する奴らがいる。調べた限りこの地球には魔法やスキルなどと言う非現実的なものが多く存在するという、なめるなファンタジー(空想)……科学のすばらしさというものを教えてやろう」

 

 此処を進むノア・チルドレンは機械でできた顔を笑みの形に歪め、邪悪に嗤う。

 戦いに成り得るサルがいると知らずに好戦的な笑みの形に口角が上がっていく。

 

 

 

 ぼさぼさになった黒髪の長髪、伸びる悪魔の角、白のドレスはあちこちが破れ既にかつての面影はまともに窺がえない。

 金の糸で作られた雲の巣のようなアクセサリは血に染まりどす黒くその輝きを霞ませている。

 

「シャルティア、シャルティア、シャルティア、シャルティア、しゃるてぃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……脳筋の分際で、脳筋の分際で、脳筋の分際で、なんでなんでなんでなんでなんでなんでナンデモモンガ様の命令をあなたが受けているのぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 頭を掻きむしり手入れのされなかった枝毛となった髪が絡まり搔きむしる指に引っかかって千切れていくのも気にせずに、怒りを発散させるためにそれを止めることはない。

 そしてそれを見ている黒紫色をした髪を持つグラマラスな女性はライダースーツの様な身体のラインがよくわかる服装に身を包んでおり、顔に眼鏡をかけた美人といえるがその顔は醜悪な笑みのマスクをしていた。

 

「いいねぇ、いいねえ……愛が憎しみに変わるその瞬間。あぁ、実にいい。愛おしい人のソレと変わらない」

 

 愛の形を、愛の在り方を知らない人を模して造られた人形を前にして、ナイアは嗤う。

 愛の形は確かに人それぞれだ、千差万別ともいえるだろう。

 愛の受け取り方も在り方も人の考えだけ在るともいえるが……受け取り方も在り方も一つの共通点が存在している。

 

「君は愛してはいた。でも愛されようとはしなかった。愛され方を探そうとはしなかった。君は彼を理解しようとしたのかね?美人は見飽きるのだそうだよ?姿形だけの好みは内実を知ればそれこそ意味をなくすほど……ただの第一印象でしかないのだから」

 

 今も叫び続けるアルベドにナイアの言葉は届いていない、呪詛を喚き散らし、悪態をつく姿、疑問ばかりを浮かび上がらせる言葉を吐きながら……ただ「なぜ」を繰り返し口にする様はナイアにとって実に滑稽なものだった。

 目を(今から)逸らして、夢幻に現を(ギルメンの影)ぬかして、過去の栄光(思い出)に縋るその姿は本来のモモンガにはお似合いのカップリングになっていたことだろう。

 

「どちらもどちらの内側を見ようともしない傷の舐め合いをする糞くだらない、とてもとても虚しく、なんの価値もないお付き合いが出来たことだろうよ。何処にも進まない退廃の関係の出来上がり……あぁ、本当にくだらない、愛し方愛され方、ギブばかりで返すものが何もないただれた肉体だけの関係、くだらないと言わずしてなんという。何も生み出さない……でも人間なんてそんなもの。ただの打算と好みが多くを占める、何処までも想い合え互いを尊重する何処か、もしくはナニカに進んでいける愛し方の方が珍しいものさ」

 

 赤の女王としてそれを問うたこともある、這い寄る混沌としてそれは化け物だと忠告したこともある、千貌の神としてそれを与えた……多くは破局か自滅の道を歩いて「ありふれた終わり方」を見せてきた。

 そういった観点から見て悟はおっさん(あの男)に依存している、だからその依存先を崩す方法を考えてみる。

 考える際中、無意識に頬に手をやる。

 いまだに忘れ得ぬ『痛み』が手を通してその頬から熱を生み出すような気がして、考え事をするときの癖になってしまった動作をしながら。

 

「君たちの先が楽しみだ……結婚式に連れて行ってあげようじゃあないか」

 

 手を組んだ訳でもない、話を交わした訳でもない、ただそこに集結する様に、物語を別の形でなぞる様に集まっていく。

 

 

 

「ハハハハハハハッ!!あぁ、これは見事にハメられました。今目の前で振るっているあなたは……」

 

 頭部がカエルに変わり、蝙蝠の皮膜翼を背から生やし、白銀の尻尾が床を打ち鳴らす。

 

「おや?やはり私では第一形態を凌ぐのがやっとでしたか……いやはやもっと演技を磨かなければなりませんなぁ。僭越ながら何処で気が付かれましたかな?」

 

 骸骨の姿はピンク色の卵型のハニワ顔へと瞬時に変わり、軍服を虚空から取り出し纏いなおす。

 

「パンドラズ・アクター……」

 

 金色の瞼のない瞳がその剽軽な表情をしたままのパンドラの顔を睨む。

 

「貴方では攻めが手ぬるいのですよ、魔法による罠、わざわざ武器の説明、爪を剥ぐではなく指を落とさぬ落ち度、攻撃的な魔法の使用方法があまりにも率直すぎる」

 

「ふぅむ……ですが、何も手痛い……むぅ?」

 

 割れる音が響き鎌の根元から床に落ちる。

 

「何よりも武器への管理能力が低い、撃ち合う場所を変えながらも負担のかかる箇所を同じくする程度も見抜けぬ戦闘眼の、いえこれは経験のなさでしょうね。スズキ様でしたら武器は壊れるものと不必要な機能を取りはしないでしょう。以上が『違う』と感じた部分ですよ、代理を立てるは部下も全力の内ということだと他人事とは言えませんしねぇ」

 

 拍手の音が再び玉座の間に響き渡り、今度は待ち望んでいたものの声を直接耳にする。

 

「実に悪くない戦いだった。この先も育っていくことでヤルダバオトは十分戦力と数えることが出来るようになるだろう……敗北を認めて俺に従うかね?」

 

 玉座に座るスズキと、初めと同じように左右に傅くパンドラズ・アクターとシャルティアの二人。

 そこに違和感がある。

 どちらかがスズキ様だと思わされていた。

 

「(では……今まで戦っていたパンドラズ・アクターは一体……?)」

 

「ははは、そいつが気になるか?実験として試させてもらったものなのだがな……直接戦闘が苦手なお前相手にここまで時間がかかるようでは、この先使うことはあまりないだろう。種明かしだ。消えろ、幻影の魔獣(イリュージョナリー・ビースト)

 

 その言葉に従う様に溶けて文字通りに消える、金属の落ちる音に目を向ければそこにはウージーが落ちており戦闘を試すために持たせていたのだということがわかる。

 

「本来であれば古代魔法レベル8で使えるものであり強さも8レベル相当……こちらでは80台相応となるようだがな。どうにも俺のスキルの影響もあるのか90相当といったところだな、相手を騙す小手先の技としては使えるかもしれんといったところか」

 

 砂時計のようなアイテムを懐から取り出し手の平で廻し弄びながら、最後の質問をしてくる。

 

「さて、勝負をしたいのなら準備をしろ。一分間待ってやる……失望させない程度の準備はしてほしいものだな」

 

「何を……」

 

 ヤルダバオトには何を言われているのかわからなかった。

 準備をしろ、そして一分間待ってやる。

 つまりまだ準備不足だと見下されている。

 歯ぎしりをしながらも持ちうる支援魔法をかけて、スズキ様にため息を吐き出される。

 

「やれやれ、盤上は確認しているか?うち筋は読めているか?勝ち方を想定できているか?駒をどれだけ持っている?お前の手札はそれで大丈夫か?まだまだ甘いぞヤルダバオト」

 

 掌で弄んでいた砂時計を握りつぶせば一瞬で元の立ち位置に戻っていた。

 玉座の後ろからゆったりと姿を現し、宣言される。

 

「さぁ、始めようか?こちらはすでに詰み(チェックメイト)までの道筋は作り終えているぞ」

 

 何が起きたのか、何をされたのかもわからないが、部下たちが蘇り状況が何もわかっていないことから、恐らく……短時間の時を巻き戻された。

 

けむり玉(ファイヤー・ボール)

 

 掌から魔力で編まれた火球が直進して来る、がその弾速はまだ迎撃できる速度であり尖爪を振るい切り裂こうとした瞬間、急速に角度を変えフォークボールの様に足元に着弾し爆発することで粉塵を巻き上がらせ物理的に視界を奪ってくる。

 

解放(リリース)

 

 その煙の奥から呟く声。

 視界を確保するために翼を動かし風を起こそうとした瞬間、空気を穿つ音と共にけむりの一部に二つ穴が開けられ背にあるはずの翼に痛みが走る。

 

「がぁっ!?」

 

「背中ががら空きだぞ」

 

 交差する様に穿った黒曜石の剣を二本その手に揃えて持ち穴の開いた翼を切り落としていく。

 そして即座に軽く床を蹴る音と共に離れられる。

 

解放(リリース)

 

 再び紡がれる同じ言葉。

 同じ轍は踏むまいと振り返り、鎖の擦れる音を聞く。

 

「おごぉっ!?」

 

 音を立てて幾本もの鎖の先端に付いた楔が身体のそこかしこを貫いていく、幸か不幸か鎖の強度そのものは取り立て特筆する功績ほどの強度は持っておらずすぐさま鎖を砕いてその場から距離を取り、紅玉の目を見開く。

 煙が晴れていない。

 視界は爆発のあったであろう範囲から離れたはずでありながら、いまだに視界は封じられていた。

 

解放(リリース)

 

 向いている方向から聞こえた声。

 なのに攻撃の飛んできた方向は右後方から氷の蔦が超高速で再生するビデオテープに映るクリーピングツリーの様に這いより足にからみついてくる。

 

「(この程度のダメージならまだ!)生命―――(ライフ―――)

 

詠唱破壊(キャスト・ブレイク)。さぁ王手(チェック)だ。解放(リリース)

 

 詠唱が破棄されたことで血の気が引く。

 現状は視界を潰され、足も翼をもがれ蔦にも絡まれている。

 

「(凌げ!凌げ!凌げ!攻め手が尽きるまで凌ぎきれ!)うおおぉぉっ!!」

 

 カエル顔に切り替え第二形態になることで身体能力を上げて翼を再度生やしなおすことで移動速度を確保しようとして、氷の山が眼前に広がる。

 

「豪魔の巨腕!」

 

 ダメージ覚悟で力任せに殴りつけ砕いた瞬間、砕けた氷塊の雨が意志を持つように身体目掛けてぶつかってくる。

 

解放(リリース)

 

 その言葉が聞こえるたびにダメージを覚悟して歯を食いしばる。

 ぶつかりに来る氷塊に連鎖する様に帯電させていく雷の龍の咢が嚙み砕いていく。

 

「ぬっぐぅぅぅっ!」

 

 帯電しスリップダメージまで与えてくる氷塊に押しつぶされるように着地し、衝撃波が氷塊ごと吹き飛ばした先には先ほど壊したはずの鎖が空中に残っていた。

 壊したはずの鎖は再び動き出し身体を拘束しようと巻き付いてくる。

 

「なめるなぁっ!」

 

 身体を回転させもろかった鎖を砕いていく。

 

「その隙は見逃せんな?舞え」

 

 風切り音と共に二つの剣が飛来し背中から鮮血が舞い、翼が切り飛ばされる。

 

「戦闘の基本だ。相手の機動力を意図的に落としていくのは、な。さてまだ第三形態を見せてもらってないが……降参(リザイン)するかね?俺はどちらでも構わんぞ」

 

 そんなことをくつくつと笑いながら述べられて素直に投了出来るほど出来た性格をしているわけではない。

 だからこそ答える答えはこれ以外になく、予想はされているものだった。

 

「まだまだ!諦めるわけがないでしょう」

 

 白いフレーム(外骨格)に手へと伸びるように装着される赤い双竜を模したアーマーパーツ、金の角を思わせるブレードアンテナに(たてがみ)を彷彿させる様に伸びる白い長髪。

 

「やはりその形状……(OGか。)さぁ、存分に『殴り合おう』か」

 

「やはり」その言葉に眼光を鋭くさせる。

 本来のデミウルゴスの第三形態とは違う姿だというのに予想されていたことに驚嘆の一念しか浮かばない、情報の洩れがあるはずがないのに予想されていたというありえないことをしているのだから。




ウージー 正式名称:UZI 生産国:イスラエル 生産年:1951年
SMG(サブマシンガン、短機関銃)に分類される銃火器の一種、マガジンに充填されている弾薬を消費して連射できるようにされたものである
本来、銃という武器は子供が使おうとも大人が使おうとも同じ威力が出るものとして現実世界では重宝されているが、オーバーロードの世界では単純に武器の一種としてカテゴライズされ威力に適応されるステータスが存在していると思われる
その為レベルの高いものが使えば当然威力は高く、レベルの低いものが使えば威力は低くなる
現実的ではない?魔法があって、死者蘇生があって、魔法使いが剣を振るおうとすれば落とし、薬草を収穫しようとすれば握りつぶす……そんな世界が舞台で何を言ってるんだ、と返そう

FGOにうちのカズトが
第四次に黒のアリスが
第五次にお爺ちゃんが……そんなの考えてるから遅くなったんだぞ

ティアマトの艦長募集

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