おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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前回のあらすじ
バルブロの前世なお話
へろへろ、ぺロロンチーノ、るし☆ふぁー到来
ンフィーレア君悪夢に誘われる
をお送りしました


episode.2「出会いと導かれる者たち」

 団子屋の横で片膝を立てて座る男の近くに三人の女性が近づいてくる。

 それは早朝でまだ店が開くには早い時間、日が昇り始めたころでもあった。

 三人のうち二人はまだ幼子であり眠たげに目をこすりながらも薄着に堅気とは思えない雰囲気を纏う女性に手を引かれて歩いてこちらに向かってきていた。

 背には多層式ミサイルランチャー、腰には火器、ブーツには刃物が仕込まれておりただ物ではないと男も一見で見抜く。

「(むしろ隠す気がないのか……)」

 それは手を出せば即応するという意思の表れでもある、王都では基本的に治安はいいほうではあるがそれでも中世の法治、道徳観を土台にしているためにそういうことはままあることでもある。

 それは昼は店番をし夜には情報収集をしているオオカミも見てきたことでもあった。

 それよりもオオカミですら瞠目する事実が連れられている童女二人、二人からともにそれぞれ性質の違う禍々しく悍ましい気配が垂れ流されているのだ。

「(……開店前ゆえにどうしたものか……)」

 ただその二つの気配は悟からうっすらと漏れ出ていたことを覚えているために、自身にそこまでの責任能力がないためにどうしたものかと悩む。

 問題は女性、戦闘を想像してもどうしても勝てない、勝てるというイメージ(想像)が浮かばない。

 まず皮膚に刃が通らない、仕込み義手を使っても難しいだろう、鍵縄で距離を取ろうとすれば腰の火器で撃たれるのが容易に想像ができる、とどめには底が読み切れない。

「ここが噂のダンゴ?屋さ……ん……よ……」

 そこまで言って女性はあるものを見てがっくりと項垂れる。

「うゆ……?」

「ふにゅ……?」

「『準備中』の看板が掛けられてるわ……ごめんねぇ、まだお店開いてないみたい」

 その言葉を聞いてオオカミは即座に決断を下す。

「この看板が読めるのか……入れ、茶ぐらいは出そう」

 懐から鍵を取り出し、女性たちを店へと案内する。

「……名を……」

 少なくとも日ノ本の出身、ただし悟や武蔵の年代に近いのかもしれない、少なくとも「日本語」を読むことができる程度の教養があり、子供を守る善性がある。

 鈴木からはこの王都で戦闘がおこる可能性が極めて高いことを聞いていた、ここを戦場にと選んだ戦略的な行動でもあるとも教えられていて、それが多くの命を奪う結果になることも、損害が大きいことも分かったうえでの戦略である。

 王都以外で発端が開けば此処を戦場にする以上の被害が拡散するというのがバルブロと鈴木からの答えだった。

 防衛線を最小にすることで守りを厚くする、その為に人員を事前に収束させ、独裁者の斬首戦法をとる……民の心を、国の衰退を考えれば悪手とも見える。

 悪手ともみえるが手を打たないことこそ最悪手であり手詰まりとなる……ただ滅ぼされる。

 最後の最後まで足搔くことを諦めぬ、だからこそこういった幸運も転がり込むのだろう。

 

 

 

 

 シャルティアはネクロフィリアという嗜好を仮初とはいえ与えられたがここに疑問が挟まる、ふとした拍子にその思考にノイズが入っていたことは確かだ。

「(私はそもそも死体愛好として与えられたのか、それとも死姦症として与えられたのか……少なくとも男性は死体であれば隆起()つ事は不可能。血を巡らせる心臓が動いていないのだから行為を行うことは不可能。ではアンデッドであれば興奮発情するのかと言えば、これもまた違う。なぜなら自身がアンデッドであり生なき死体なのだから色々とおかしい事になる。大真面目にペペロンチーノという人物は何を考えてこのような設定をしたのか……本人は強姦(レイプ)NG(ダメ)などとほざくが、それならば何故カルマを極悪に設定しているのか、本当に理解に苦しむ)」

 捕縛ロープSによりベットに縛り上げ大の字で仰向けにした状態でのバードマンことぺロロンチーノを見下す。

 SMに関してもソフト・ハードの線引きもなくどこまでも曖昧に自己の趣味を書きなぐった設定も「間違った廓言葉」つまり「間違っているとわかっている設定」から全てを白紙に戻したことで催眠調教のような屈辱的状況は脱したことに内心安堵している。

「ペペロンチーノ様、ヤンデレというのが極まればどのような末路を辿るかご存じですか?幸い私はネクロフィリアという属性も持たされておりますのでご安心ください。えぇ……えぇ……例え物言わぬ死体となりましても愛して差し上げましょう。そうそう、達磨という性癖もあるのをご存じですか?手足を切り落とし動けなくすることでそれを艶めかしいと感じる趣味なんだそうですよ」

「やめっ……!?……やだっ!?」

 ぺロロンチーノは縛られたまま涙を流し、シャルティアの持つ両刃の斧を何に使われるのか想像し首を激しく振るう。

 それでもシャルティアはそれを止めることはせず、言葉を続けていく。

「ペペロンチーノ様は私が死亡したときに言ってくださいましたわよね『ごめんよ』と……仮面で(かんばせ)は拝見できませんでしたが、きっと泣かれていたのでしょう。私の死を想って悲しんでくださったのでしょう」

 その語りを肯定するようにぺロロンチーノは必死に肯定するために首を縦に振るう。

 その必死な行為を見ながらシャルティアは心の中で溜息を吐く。

「(例え後悔していても、過去にそのようなことを行っていたのだとしても、捨てて命が宿ったからと手のひらを返している。その浅ましさは何も変わっていないのですが……それを謝ったからと許せるのはなぜなんでしょうね。ルベドはタブラ様を殴り飛ばしたとは聞いてますが)」

 この違いは設定を白紙化したシャルティアにのみ起こることだろう、デミウルゴスは別のことが原因でまた違う変化となっている。

 設定を白紙としたがゆえにこれまでのふれあいで積まれていた好感度というものが零で始まっているためでもある。

「でしたら、なぜ?私を捨てられたのですか?なぜ?どうして捨てた私の責任を取りたいなどと?ならば最初から捨てなければよかったでしょう?それとも創造主だからと軽く許してもらえるだろうという浅い考えからでしょうか?」

 彼らもシズとルベドの創造主との会合を見ていると聞いている。

「夜の貴族たるヴァンパイアにあのような好色な設定を記憶野に無理やり洗脳のようにねじ込んでおいて許されるとでも考えていたのでしょうか?眷属を持つ貴族としての誇りもあれば夜という領を持つものとしての矜持もある、『力の大妖』と呼ばれる自負もある。それを謝れば水に流してもらえるという甘い見積もりであったと考えているのでしょうか」

 最後にはその思考を読むように瞳を覗き込み、心胆を読み取り疑問符を消して確信する様に語り掛ける。

「責任を取るというのであれば……私たちに迷惑をかけないように物証を取っておきましょう」

 その言葉と同時に空を切る音と飛び散る血がぺロロンチーノの股間から男の象徴が玉とともに空間を舞う。

「あ……がっ!?」

 短い驚愕の声とその現実を認識した故に訪れる激痛に漏れる短すぎる激痛にうめく声を最後にペロロンチーノは白目を剥いて気絶する。

「これで女癖が鳴りを潜めればいいですけど……」

 溜息一つ、ある意味で主従が逆転するような扱いも責任の取り方かもしれないと大きく呆れた溜息を吐く。

 謝るのは何の為、認めるのは何の為、責任の取り方はそれこそそれぞれにあるだろうが、第一に他者に迷惑をかけないことではなかろうか、加害者が被害者に被った補填をすることではなかろうか、裁く側が何もなく情に絆される等統治者としてはもう何一つ声をかけることもできない暗愚の判を下す他にない。

 少なくともシャルティアはそう考えている。

 その考えから作り出したNPCに仕事も与え有能であれば異なる仕事も任せる判断を下しているスズキを評価している、外に出た他の者たちの反応から自分たちの浅慮な行動がスズキのみの迷惑で済まないことも容易に想像がつく。

 その補填をと考えれば頭も痛くなる……そしてギルドメンバーの問題児に数えられている内の一人が自身の創造主だというのだから早急に躾ける必要も責任もあった。

 物理的に宮刑を施しておけば多少はおとなしくなってくれると願っている。

 切に願っている。

 願っているが……ユグドラシル時代の思い出からのダメな予感がずっしりと重く肩に圧し掛かりシャルティアは肩を落とす。

 

 

 

 るし☆ふぁーは悟の前で正座をしたまま、懇々と注意をされていた。

「いやさすがにゲームじゃないんだし自重するからね?現実でもやってたらたっちさんに手錠掛けられるのわかってるから。大丈夫な線引きはきちんとしてたんだよ?普通に手に入れられるアイテムしか使ってないし……」

「でもるし☆ふぁーさんの使った鉱石があれば俺の防具もう一ランク上だったんです」

 その言葉を聞いてばつが悪そうに頭をかくが続く言葉には悟も驚く。

「でもさぁ……あれ、モモンガさんからの許可もあるみんなに押し付けられたギルド防衛用のゴーレム作成の一部への使用であって、決議内容の一部なはずなんだが?」

「……出来上がったのが銀色のG型ゴーレム、でしたよね」

 その言葉に指で頭痛を抑えるように押し付けながら目を瞑って答える。

「あぁ、そりゃ変形前のグシオンだしな。あれ人型になるんだわ」

「初耳なんですが?」

「そりゃ言ってねぇもんよ。レメゲトン飽きたって言ったじゃん?あれも完成したから「設定作り」に飽きたって意味だから」

 手を広げて今まで隠していたネタ晴らしを笑って始める。

「……は?」

「ぷにっとさんからもさんざん言われたでしょうが、敵を騙すには味方からって、何体かは一か所だけじゃなくて風呂場とかのひょうきんなところにも設置してたんだぜ?男風呂の人魚型ゴーレムはウェパル、女湯のほうは獅子頭のサブナックの馬なしヴァージョン。ギミックとしてはユグドラシル時代じゃ裸になれないから風呂場に行った連中を奇襲する用だわな」

「すみませんちょっと待ってください……あれ?それじゃ闘技場の賑やかし用のゴーレムなんかも?」

「あれは合体してでっかいダンタリオンだったはずだな、何人も潰せずに討伐されちまったけど」

「六十七体作ったって話だったから……後一体……?」

「はっはっは、そこは頑張って探してみてほしいな。案外探せば出てくるかもだぜ」

 昔を思い出すような悪戯をする子供ような仕草や表情をしながら、思い出すように笑っている。

「それで風呂場でゴーレムが起動したらどうするんですか」

「そんなもん風呂のマナー守らんやつが悪いに決まってるでしょうが、あそこ一人用じゃなくて大浴場なんだからマナー守るのは当然でしょ」

「あぁ、確かにそれはそうですよね……てかあそこはギルメンたちの個室とかもある階層じゃないですか」

「そこだからこそ刺さるんでしょうが」

「ぐぬぬ……ああ言えばこう言う」

 そんな風に悟が言いくるめられながらもるし☆ふぁーは嬉しそうに笑っていた。

「あはははははは、あぁ、楽しいなぁ……またこうして楽しく話せるのが本当に夢のようだ。ははは、悪戯や悪さをして、叱られた記憶ばかりだけども楽しかったよなぁ」

 その瞳から涙をこぼしながら笑っていた。

「七十年……ユグドラシルが終わってから七十年、たった一人でぼんやりとしていた長い長い悪夢の最後がこんなにも嬉しい夢ならば覚めないでくれ」

 老人がすがるように悟のローブを掴んだまま泣き崩れる。




ヴァンパイア 出展:色々
みんなもよく知る吸血鬼の種族名
でも元々は起き上がりが原型で古くはグールのように墓から這い出て死肉を貪る怪物だと信じられていた、古い古い時代死亡確認が甘く仮死状態で棺桶に詰められて埋められていた時代の事、墓荒しが行われ棺桶の内側にひっかき傷があり恐怖の表情で固まっていた死体が発見されたことがヴァンパイア伝説の発端になる
ヴァンパイアは心臓に杭を打たねば死なない、これは葬儀にも行われることがあった、死亡を確実にするための名残でもある
今でもそういう形で伝えられておりこれはクドラクの退治方法にもより呪術的な要因を組み合わせたものが伝わっているのが変形したものがドラキュラの退治方法でもあるのだろう
心臓に杭を打てば死ぬのは普通じゃん?普通はそうなのだが別の方法では復活するという特徴を持つのもヴァンパイアの特徴である
ソードワールドではアン・ホーリー・ソイルという汚れた霊地から魔力を吸い上げて復活する、これを防ぐためにヴァンパイアを退治するよりも先にこれを聖水で清めターンアンデッドを施す必要があったりする
そうしなければせっかく倒しても数か月もすれば復活して来るというもの
またヴァンパイアは霧になる能力を持つので通常の武器は効果を発揮することはないので銀の武器が通用する、通用するが決して弱点というわけではない
あくまで通常通りにダメージを与えられるというだけなのだ、特攻効果が乗るとかそんなお得なものは本来はない
ヴァンパイアの特徴として挙げられるのが白い肌、赤い目なのだがこれはアルビノ(先天性色素症候群)が悪魔に魅入られた子として気味悪がられたことからこの特徴が多く使われていた
ヴァンパイアが太陽光に弱いとされるのもこれを後押しするのだろう

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