パンドラとお勉強
この世界のバレンタイン
以上をお送りいたしました
ルプスレギナと思われる人物達を追いかけるパンドラと数名の黒ゴブリン、そしてシズとグレーテル、向かう道はエ・ランテルへと続いておりその途中にはエウリュエンティウより逃れた女性たちを匿っている集落がある。
その門には屈強とというよりも遥かに禍々しくも刺々しい重板金鎧に全身を纏うブラッディナイトと腹に巨大な顎とその中に納まる瞳という異質な死霊デッドリーレイスが騒ぎに視線を向けてくる。
騒ぎがあれども容易く持ち場を離れることなく「近づけば殺す」ただその事実のみを視線で突き付けてそちらに向かうルプスレギナらしきものに向けて魔法を放つ。
「止まらぬのならば死ぬがよい
「それでは話も聞けん、せめて足を止める足枷にするべきではないかね
村の前の戦場として開けている場所では、隕石が降り注ぎ吹雪が逆巻く地獄絵図と化していた。
凍結し動きの止まったものを狙いすましたように降りかかる隕石は氷を砕き再び豪雪の檻に閉じ込める、豪雪を抜けようともがこうとも隕石による灼熱が、衝突によって抉れた地面が足を取りまともに進むこともできずに砕かれる運命から逃れることができない。
そのような地獄に足を踏み込んだチョコ泥棒達は悲鳴を上げながらかろうじて生き残った者が集まって這う這うの体で別ルートを取ろうとしていた。
「「「ウワァ……」」」
「いやはや、ここに無用に近づけば殺すと力強い宣伝ですなぁ……あの地獄を抜けても二枚看板との近接が待ち構えておりますから。皆様も近づかないように、近づく際には
「……怖がられるのでは?」
パンドラが村の戦況を誉め全員に注意する中シズが当然のようにやりすぎではないかと疑問を投げかける。
その質問にパンドラは変わらない表情のまま頷き、疑問に答える。
「それはですなこの村は怖がられる、現状ではそれが望ましいからなのですよ。「女ばかりがいる村」と「恐怖の二枚看板が問答無用で殺しにかかる村」、どちらが中の彼女たちが安心できるのか、そしてどちらが人が寄ろうとしないか……あの子たちにはまだ、外を知るよりも心の傷を癒す時間が必要なのですよ。だから過剰とわかるほどに苛烈に防衛をするあのお二方が適任なのです」
さらにデッドリーレイスはアンデッド所以の姿隠し系のスキルを看破する能力を持っており、ブラッディナイトは距離を無視したテレポートによる奇襲が可能であること、双方ともに独自の回復手段を所有しており下手な防御型よりも経戦能力が高いこと、アンデッドとリビングアーマー系だから疲れも知らず眠ることもない。
知恵者のパンドラからしても防衛戦力として太鼓判を押せる二人である。
そして村の中にはパンドラが本来は持たない記憶に存在するナザリックのNPCウォルヤファがアニマルセラピーを兼ねて村に駐屯している。
「この村は大丈夫そうですな。さぁ逃げ出した連中を追いますよ」
そのウォルヤファが出てこないことから村の中に異常はないと判断して先に進む。
カルネ村で起きた盗難事件はカルネ村だけで起きたことではなく此処エ・ランテルでも当然のように起きていた。
「もっと!もっとよ!チョコを回収するのよ、チョコスケルトンたちよ!」
チョコレートで作られたかチョコレートでもコーティングされたのか茶色い骸骨たちは店や渡そうとしていた人物、果てにはすでに渡した人物からチョコレートというチョコレートを奪おうと街の憲兵や冒険者たちと戦闘をしていた。
「野郎!娘からのチョコは!渡さん!」
「甘未食わずにはいられない!」
「ダイテツ爺ちゃんにユウ兄ちゃんに送るための材料返せぇ!」
「イカマンがチョコを食べて大丈夫なのかはわからんが……くらーけんを取り戻した暁には作ってもらうのだ!そして我もくらーけんに贈る為に!イカ男爵、参る!」
なぜか緑のレオタード姿に緑色の髪色をしたくせっけの強い女性や通常状態の姿に戻っているイカ男爵もその戦闘に参加しており二人を中心に斬撃が飛び交い骨が吹き飛ぶ中銃弾や矢の雨が降ってくる。
憲兵たちも即席のバリゲートを片手で持ち上げて盾にしながら戦線を押し上げていく。
「く、人間のくせに……思ったよりもレベルが高い!?」
「さぁ観念してみんなのチョコを返すんだ!」
レオタードの女の子が曲刀に雷を纏わせて勝負は決した様に宣言するが骸骨たちをまとめていたビターチョコのような鳶色の髪をロールにした女性は悪態をつき返す。
「これは守護者統括が求めるチョコ!そう簡単に渡せるものですか!」
「せめてお金を払って正当に買え。どのような理由があろうと盗みを働いた時点で盗人猛々しいだけだぞ」
必死にチョコを守ろうとする女性に憲兵の一人が呆れたように突っ込む。
毎年この時期には似たような連中が出てくるのだが、お祭り騒ぎの一環のようなものなのでそれなりの不文律というものが出来上がったりはしている。
その不文律みたいになってるのが『お菓子』を巡って争いになり負けたのなら負けたものはその『お菓子』を諦めるというもの。
この世界でのバレンタインという祭りは一種の不満も含んだ感情を吐き出すための祭でもあるのだから、怒りも不平も嫉妬も一度発散させるのが大きな目的の一つとなっている。
「まったく……いつもの嫉妬団のバカ騒ぎと違って街への被害も出して、弁償できるのか?あんた」
「え?嫉妬団であのカップルの周りで暗黒舞踊を踊りながら手から変なのだしてる……アレ?」
女性の声に憲兵が頷きながら肯定する。
「うんうん、その通り……何かしら祭りの時に集まっては集団で行動してな……ちなみに田舎だと少ないだろうがこっちみたいな大きな街だとより多くなるぞ」
「うえぇ……」
女性の指さす先にはまさに言ったようなピンク色の触手を手から出し奇怪なるも悍ましいと感じられる全身をうねらせるマッチョな男たちが覆面を被って舞っていた。
「さぁ!我らが憲兵を抑えよう!今のうちに逃げるのだ嫉妬ガール!」
「く、この屈辱必ず晴らさせてもらうわ!……それとだれが嫉妬ガールよ!」
「あ、待て!くるくるパーマ!」
「誰がくるくるぱーよ!」
そんな捨て台詞を吐きながら、嫉妬団が抑えているうちに骸骨たちは外からきた大きな三つ編みをした女性と合流して撤退してしまった。
そのタイミングでパンドラたちも到着し、彼らと協力して嫉妬団の方は全員捕縛されたのだった。
「ふむぅ、特徴を聞くにソリュシャン……ですが全体的に褐色色をしていたとは一体どういうことなのか、守護者統括ということはアルベドなのでしょうがアレには魔法的なものを作り出せるとは到底思えません。何者かが一枚かんでいると見た方がよさそうです」
「なんだかよくわかりませんが私も協力します!ダイテツ爺ちゃんとユウ兄ちゃんへのチョコを取り戻すんだ!」
憲兵に協力した代わりに情報を集めていたパンドラに元気よく手を挙げて参加を希望する。
「我も行こう。もしかしたらくらーけんの情報があるかもしれんからな」
その声に追随するようにイカ男爵もその追撃戦に参加を希望する。
「(あ、この二人とも私よりも強いですねぇ)えぇ。では、よろしくお願いします」
二人からの参加希望を快く承諾するパンドラを横目にシズは顔を覆っていた。
「ソリュシャンまで……プレアデス全員出てくるとかやめてほしい……」
憲兵が言ったとおりにエ・ランテルよりも大きな都市王都にて騒動は起きようとしていた。
それはソリュシャン、ルプスレギナを追っているパンドラたちが向かう方向でもあったが、その発端の場所は団子屋の私室で起きていた。
縛られたままのペロロチーノに怪しい仮面をつけたローブ姿の偉丈夫が覗き込むように語りかけていた。
それは痛ましい仲間の姿を憐れむような声色であり、同時にその姿にしたものへの怒りが隠し切れない状態で語り掛けていた。
「同志ペロロチーノよ。なんとむごい姿になっているのか……さぁ、我がマスクを受け取りかつてのように暴れようではないか。そう『無課金同盟』の時のように……」
その手に握られ差し出されるマスクは泣き笑いのような奇妙なマスク、嫉妬マスクそのものだった。
嫉妬マスク 出展:オーバーロード
泣きながら笑ったような表情の奇妙な仮面
南国の民族マスクみたいなデザインをしている
おそらくこの言葉自体はガンガンコミックの「突撃パッパラ隊」の宮本君が嫉妬の心で変身することで誕生する嫉妬マスクからと思われる
本家は覆面プロレススタイルで白地に炎のような隈取があるだけのものである
ハチャメチャをするのは本家の「突撃パッパラ隊」と同じである
なお嫉妬マスクはギャグ補正を持っているのか灰からも再生する
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