おっさん憑依でヒャッハーLORD   作:ししお

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前回のあらすじ

ゼロ特攻
忠誠というもの
茶色いモモンが逃げる

以上をお送りしました


episode.7「死の森、蟲の声」

 先を走るルプスレギナ達に離されすぎず全員の速度に合わせて追いかけて行くパンドラ達は急に方向を変えたルプスレギナ達にパンドラ以外は疑問に思いながらも駆ける。

 

「なるほど方向は王都でしたが王都でも何かをしているものが逃げ出し、それと合流地点を合わせるために方向を変えたということです。つまりこのまま一網打尽にしますよ」

 

「「「「なるほど」」」」

 

「ではこのまま見つからないように追いかけますよ」

 

 ルプスレギナに合流するのは王都とランテルの中間あたりでトブの森へと進行を変えた、それを双眼鏡で細かく合流した人物を確認してパンドラは内心で舌打ちを打つ。

 

「(モモンガ様……いや違いますね。まずは色が違う、次いで頭を押さえるようにして歩調が合わせられていることから速度が落ちているということは、何かしらの精神系の操作を受けてそれが解けようとしている?ならばアンデッドの精神無効を無視する何かしらがいるという事!)」

 

 彼らは世界級(ワールド・アイテム)を装備しておらず既知の知識での使用されたと思われる物が傾城傾国なのだがこれはすでにスズキの手により回収されているため、別のワールドアイテムか、ユグドラシル由来のものではない使い手が今回の裏にいるということを示している。

 追いかけていくと森の様子が一変して、グレーテルからの静止の声がかかる。

 

「止まって!」

 

 その声は普段のぼんやりとしたものではなく、危機感を伴った鋭い声だった。

 

「森の様子が異様な……これは、森の生気が枯れ果てている?」

 

 青々と茂っていた森は途切れ、枯れて枝や幹が捻じれくねった大樹が幾本もの数がそれぞれに距離を置いて残っていて辛うじて森だったということがわかる。

 グレーテルは土を触ると顔を青ざめさせて、ついてきているみんなに視線を向ける。

 

「この木……全部、ザイクロトルだ……」

 

「ふむふむ、そのザイクロトルというのはどの程度強いのかわかりますか?少し目を飛ばして確認しましたが百本ちょうどのようです」

 

「ギャッギャ俺たち三十人なんとかなる?」

 

 いきり立つゴブリン達にパンドラは「(これは簡単な数の数え方を教えた方がよさそうですねぇ)」などと別の思案をしながらグレーテルの答えを待つ。

 

「ふむ、見たところそこまで強いようには見えんな……体力お化けというところか」

 

「掃討時間短くするならやっぱり弱点が知りたいよね」

 

 樹木の化け物と思われるがそこに慢心せずに弱点がないか確認しようとしている。

 

「えー……ドロテア様が苦労してユグドラシルに変えたモンスターだよ?多分結構強い……と思うんだけど」

 

「ふーむ、どうやらほとんどの方がヤル気満々なようで……こちらとしても結婚式の作戦時に横槍を入れられるのはよろしくない。ですのではまずは釣り出して一体仕留めてみましょうか」

 

 そう宣言して戦闘準備を整えて、まずは一匹釣り出すためにシズに有効射程距離のぎりぎりの距離で狙撃をしてもらう。

 パンドラはその隣でスポッターをしており双眼鏡を着けた状態で着弾の様子を観測していた。

 シズの持つ銃身からノズルフラッシュが焚かれ、火薬の焼ける臭いと発砲音が広がるがパンドラからはその弾丸の進む姿をややゆっくりとした間延びした速度のように感じられた。

 

「(やはりこの速度では難しいですね……何かしらの対策は必要でしょう。王国ではクルマの運用も行われているため砲弾屋という特殊なものも扱うのでしたかね。一つ探してみるのもよさそうですか)」

 

 何かいいカタログのようなものがあったかなと図書館の目録を思い出す傍らで銃弾に抉られた幹が出来上がっていくが、想定していたよりもダメージが低いということは物理的な貫通系には若干の耐性ありを確認して。

 

「着弾確認、効果やや弱体、次弾火炎弾装填、0.002度右下修正」

 

「……了解」

 

 次に放たれた弾丸は炎を纏い根元近くを弾き飛ばし地面をバウンドして明後日の方向へと消えていく。

 その攻撃に反応するように地響きを立てながら頭頂部に開いた口を持つ円柱状の植物系と思われる生物が姿を現す。

 

「炎系は有効、ついでステータスを見てみましょう……ふむふむ」

 

 パンドラの見る限りザエクロトルはレベル50ほど、体力が高めで他のステータスがそのレベル帯に対しては平均以下というグレーテルが警戒していた様な怪物とは思えないものだった。

 

「個体差でもあるのでしょうかね?これでしたらシズとヘカテミーニャさんのペア、他はそれぞれ一人一殺を基本にしていけば良さそうです」

 

「本当に大丈夫?」

 

 パンドラの言葉に不安そうにするグレーテルだが、グレーテルは直接対峙したドロテアからザエクロトルの話を聞いているからこその不安。

 それに対しパンドラは顔こそ変わらないものの努めて明るい雰囲気を作り出しなら楽勝だと説明をする。

 

「えぇ、大丈夫です。他のも目を通して確認しましたが私をレベル100と換算して高いものでレベル55、低いので48、平均で50でした。これに当てはめてグレーテルさんが90、ゴブリン達も平均70、ヘカテミーニャさんが45、シズが46と経験を積んで強くなるのにも適していそうですからね。これを逃す手はございませんよ」

 

 そんな調子でナザリックで仕事をしていた合間に作っていた火属性武器をゴブリン達に配っていくパンドラ。

 パンドラからすれば微妙武器もいいところなのだが、ゴブリン達のお手製こん棒や石斧等に比べれば格段に性能が上となる武器群。

 そんな武装をした種族混合部隊がザエクロトルを狩りに駆け出していく。

 

 

 

 そのころスズキはカルネ村からコキュートスへとメッセージを繋げていた。

 

『コキュートス、そろそろ宿題の答えは出たころかと思って繋げてみたが……』

 

『申シ訳アリマセン……』

 

 その答えは当然のように予想できたものだった、宿題ができていたのならヤルダバオトから連絡なりコキュートス自身で何かしらの報告があるだろう。

 だからできていないこと自体には落胆はない。

 

『それでどちらがわからない?』

 

『ハ?…………イエ!?ソレハキイテモヨロシイノデショウカ!?』

 

『なるほど、その発想すらなかったわけだ。どこまで頭が固いのやら……確かお前の忠義での言葉は「守護者各員ヨリモ強者デアリ、マサニナザリック地下大墳墓ノ絶対ナル支配者ニ相応シキ方カト」だったか。お前はこの言葉をすらすらと疑いもなく口にしたが……本当にそう思って口にしたのか?』

 

 その言葉にコキュートスは黙り込む。

 もともと武人気質と設定されているコキュートスなのだからこちらの言葉を真摯に受け止めて答えを出そうとしているのだろう。

 絶対なる支配者というのは力の支配、その上で守護者たち一対一なら勝利することができると信じているがこれはそもそもアインズ・ウール・ゴウンを勘違いしているから出てくる言葉だ。

 力が強いから上に立っている、ならサトル君が勝てなかったたっち・みー、火力で負け越しているウルベルト、タブラ、武人武御雷、弐式炎雷に力で勝てるとはいえんだろう。

 知略に関してもぷにっと、教授、ブループラネット等には知識量で負ける、総合的に高いかもしれないが特化にはどこかしら負けるバランス型がモモンガというものだ。

 素のモモンガのままであればシャルティア、アルベド、アウラ辺りに勝つのが難しいとみるべき、やはり理想を押し付けているようにしか感じられないな。

 

『答えは出たか?』

 

『ハイ……本心カラ、ダト思イマス』

 

『なるほど、確信は持てない、か。はっきり言わせてもらう、過剰な期待は単なるプレッシャーにしかならん。守護者内でもシャルティア、アウラ、アルベドではこちらの勝率も五割を切るだろう』

 

『ソノヨウナコトハ!?』

 

 こちらの言葉を遮るように慌ててコキュートスが否定の言葉を投げかけるが、これは純然な相性の問題でもあるし、但し書きとしても何の準備もしなければの文言が付く。

 

『もちつけ』

 

『ハッ!スグニ臼ト杵ヲ用意シテ』

 

 冗談の一つも通じない堅物だった。

 メッセージが繋がったまま臼と杵、そしてもち米を用意しようとしているのが聞こえてくる。

 

『落ち着け、ただのジョークだ』

 

『ハ……ハァ』

 

『とりあえず、叱るわけではないが勝率に関しては純然たる事実として受け取れないというのはこちらの戦力判定を否定する行為だ。ただの事実だからな。アウラは射手で矢を変えれば刺突以外にも切り替えられるからこちらが避けることは困難だ、手数も多く魔法で対応しようとしても削り切られるのが目に見えている。アルベド、シャルティアは純粋な近接で押し負けるだろうな。少なくともこれが俺からの戦力判定での勝率になる』

 

『……』

 

 今度は口を挟まずに聞く体制を取ってくれたようで何よりだ。

 

『その実力を信用しようとするのは嬉しくも思うが反面期待が重いというのもある。望まぬ道の期待であるのであればなおさらな……俺は完全でもなければ全知全能でもない、お前たちがなぜそんなことを思うのかも知ったことじゃあない。ただ理想を押し付けるな、忠など求めていない、ただ俺たちを理解しようと努力し、その上で俺たちに賛同するなら迎え入れよう』

 

『ッ……』

 

 メッセージ越しにかすかに聞こえる息をのむ反応、そして訪れる沈黙。

 これ以上のヒントはないがコキュートスは殻を破ることができるか否か、今は見守るしかないだろう。

 

『答えが出たら、ヤルダバオト……いや、デミウルゴスに知らせてくれ』

 

『はっ、わかりました』

 




ここが不思議なオーバーロード
カルネ村でしゃべってる言葉と動いてる口の動きが違うのに普通の日本語に聞こえる
だがコキュートスの言葉はカタカナ言葉という不思議
なお声帯云々を言い出すとモモンガはそもそもしゃべれなくなる

少なくとも世界全体に翻訳の効果が発揮されていると解釈するのであれば、ヴィクティムのエノグ語やコキュートスのカタカナ言葉も聞こえた言葉を自分の使っている言語に翻訳するから普通に聞こえないとおかしい

でこの作品ではその辺を壁を越えたかどうかの判断基準にしてる
なおヤルダバオトは悪魔社会基準で極悪=人にやさしい、でごり押して破ってるw

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