コキュートス自問自答
マーレの考察
ラスボスたち動き出す
以上をお送りしました
枯れた森の広がる中、パンドラ達は奥へと続く足跡を辿りながら進んでいく。
しばらくするとパンドラが声を上げずに全員を止めるようにハンドサインで合図する。
空洞の視線の先に映るのは茶色い骸骨になっているモモンガにしばらく手入れもされていないような傷んだ髪にぼろぼろになった白いドレスを着た黒い翼と頭部に角を持つ女性。
「(ふむぅ……少々みすぼらしくなってますが、あれが聞いていた元守護者統括アルベド……なのでしょうかね。もしそうならアインズ・ウール・ゴウンでの誇りはすでに失われている模様、あのような姿のままでよくいられるものです)」
遠見に確認するが他にはプレアデスの六名がいつもの色とは違う茶色のメイド服を着て待機している。
「ゴブリンさんたちはあちらの小さな子、エントマを。シャーリーさんはヘカテミーナさんと組んで黒髪のポニーテールにしている、ナーベラルを。イカ男爵さんはあの赤髪のルプスレギナを。グレーテルさんはあの金髪ロールのソリュシャンを。アザトースさんはあのぼろぼろのアルベドをよろしくお願いします」
「あ、あの。アルベドさんはタブラさんにお話してからでもいいですかっ!?」
こちらの班分けに何か意見があったのかヘカテミーナがパンドラに勢い込んで話しかけてくる。
その様子はどこか焦っているようにも見れて、サトルの事を除けばかなり合理性の高いパンドラでさえも思わず耳を傾けるほどのものだった。
「タブラさんはアルベドさんという娘さんが連れ去らわれたって言ってました。あそこにいるのがアルベドさんなら確認だけでも取ってほしいんです」
「むむむ……タブラ様が?いえしかし私にはアルベドの事を聞いたことはありますがタブラ様の娘とは一体……?ルベド様とニグレド様だったはず……まずは確認を取りましょう。ヘカテミーナさんは映像などを送ることはできますか?出来なければこちらのスクロールを使ってください」
ごそごそとパンドラがスクロールを取り出しヘカテミーナに渡しながら、ヘカテミーナはタブラへとメッセージを送りかくかくしかじかと事情を説明しているとテレポートの音と共にタブラがヘカテミーナの隣に現れる。
「アルベドがいると聞いたから来てみたんだけど、どこにいるのかな?」
タブラはアルベドがいるであろう方向に手のひらでひさしを作り遠くまで見えるようにしながらアルベドを探すが発見できずにパンドラの方へと向く。
「まぁまだ2キロ近く離れてますから肉眼では目視しづらいかもしれないですね。遠距離職のスキルがあればそういったのも見つけやすいかと」
はははと笑いながらも感知されないように慎重に進んでいく。
タブラはついて行きながら思案する。
「(アザトース……クトゥルフ神話のニャルラホテプの親であり主神ともいわれる存在。ただの偶然で同じ名前なのか?エ・ランテルでパンドラ達と合流していたのは見ているけども……)」
ただの名前が同じだけ、そう言ってしまえば簡単に片付く問題なのに、その名前が名前だけにどうしても考えさせられてしまう。
邪神ともいわれる存在がこちらに手を貸すような理由が思い浮かばない。
だから気のせいなのだと思いたいからこそ、そう思うための理由を考えてしまう。
「(問題はないはず……問題は迫っているアルベドの問題だけな筈)」
もしもここでタブラがアルベドをさらった人物を思い出せていたのならまた違う結末もあったのかもしれない。
夢とは記憶の整理といわれる、では夢を見ることでその人物になるというなら、その記憶を見ると言える。
そして自由に出来るのだろう。
悍ましき悪夢にも、希望に満ちた未知にも。
だから結果は「手のひらの上だった」この一つしかない。
お互いに姿を視認できる場所にまで到りようやく戦闘態勢を取るチョコレートにて形作ったモモンガ達に対して即座に定めた相手に向かっていくパンドラ達。
感知に優れたものでも配置していれば察知できたかもしれない、チョコレートという戦利品を持ち帰った瞬間を狙われるという勝利を喜ぶ瞬間に差し込まれた襲撃を想像できるだろうか。
そもそもモモンガの本体である鈴木悟は突発的なことに弱いという明確な弱点がパンドラのみならずタブラといったかつての仲間たちに知られている。
咄嗟にどのような指示が飛ばせただろうか。
頭のいいアルベドがまともだったなら何かあっただろうか?それもこの一言で潰していく。
「やぁ。アルベド久しぶりだね」
「タ……ブラ……様?」
居る筈が無いと思っている相手からの言葉であり、憎むべき相手の出現であり、敬い讃えるべき絶対者の一人の気配。
それは知恵者と言われようと空白を生み出すだけの衝撃を与えていた。
それは賢者足らんと設定された頭脳を混乱させるには十分だった。
「感動の再会だ。親子水入らずで
ゆっくりとポーション瓶などを取り出しながら、いつ感情を爆発させて襲い掛かろうとも冷徹に殺しきるための準備を進めていく。
トリスメギトスはすでに三度の役目を終えて役に立たない、スキル群も防御に偏ったものでプレイヤー相手には良くて壁役で時間稼ぎにもなればいいというもの。
低く見積もっていると思うかもしれないが、どう足掻こうとも所詮は襲撃でまともにプレイヤーに手傷も与えられなかった
「ルベドのように何か言いたいことでもあるんじゃないかな?何年も放置してきたんだ怒られる程度は覚悟してるけども私としては殺されるのはごめんでね。私を殺す気なら全力で鎮圧させてもらうよ」
蛸のような風貌に変わり触腕の先には色とりどりのポーション瓶が掴まれ、両の手にも四つずつ違う色をしたものが掴まれている。
アルベドはそんなタブラの様子を見ながらわなわなと震え、小さく小さく呟く。
それは聞こえる筈のない一言。
「なんでだって?当然だろう。ユグドラシルという箱庭はすでに終わりに向かっていた、だから新しい箱庭へ行こうと誘ったんだよ……ナザリックを再び作らないか?とね。まさかそんなくっだらないことで私を恨んでいるのかい?私を憎んでいるのかい?」
「ですが!モモンガ様は残ってくださいました!」
言葉を予測して呆れたように、馬鹿にするように言葉にするタブラを遮るようにアルベドは叫ぶ。
それでもギルドマスターであるアルベドが愛しているモモンガは残ってくれたと叫ぶ。
「ははは、狂ってるよねぇ。私には理解できないよ」
「そんなのは――――」
「あぁ、まったく理解できない。お前たち
その言葉にアルベドは言葉を失う。
出来損ないと創造主に言い切られたことだろうか。
モモンガの事を話していると思っていた勘違いからだろうか。
それとも、狂っているといいながらそれでもアルベドの事を見ていたことにだろうか。
言葉を失い放り投げられる二つの瓶を唖然とした顔のまま見送った。
「本当に理解できないよ?」
そして瓶は地面に落ちて割れ、中身が触れ合った瞬間に爆発を巻き起こす。
「がっ?!」
爆発を意識の外で受けて吹き飛ばされ無様に地面を転がっていくアルベド。
そのアルベドにゆっくりと近づいていくタブラ。
「なんで?」
近づきながらアルベドが呟いた言葉をアルベド自身に投げ返す。
本来のアルベドであればその意味を今までの言葉から汲み取れたのかもしれないが爆発に頭を揺らされ、タブラの出現に感情を揺さぶられ、かけられた言葉に心すら平常とはとても言えない状態ではその言葉の意味を考えても答えは出なかった。
タブラはしゃがみ込み倒れたままタブラの顔を見ないアルベドの髪を掴み、無理やりに自分の顔に向ける。
「なんでなんだろうね?理解できないのはなんでなんだろうね?」
瞳の奥を覗き込まれながらアルベドはその言葉の意味を考える。
必死に間違えた答えを考え続ける。
至高の御方に数えるタブラが理解できない事が何なのかを考え続ける。
自分たち被造物のことで理解できないことがあるものかとその考えを否定しながら必死に考え続ける。
「愛している?何を?愛している?誰を?愛してる?何で?ほら理解できない」
「モモンガ様の全てを!」
条件反射のように叫び声をあげるがタブラはそのアルベドを冷ややかに見ている。
「モモンガというアバターを愛しているのかい?ユグドラシルにいたモモンガしか知らないのに全てをなんて言えるのかい?」
その問いかけにアルベドは答えることができない。
知らないのだから応えることができない。
放るように突き飛ばされ距離が開いたところに右腕に瓶が投げつけられて瓶が割れるとアルベドの腕に激痛が走る。
瓶の中身は腕に付着し煙を上げながら肉を腐らせ溶かし、肉を液化させて地面に汚い染みとしていく。
溶けた腕からは骨が見え断面は焼くような激痛が声にならない悲鳴をアルベドの口から強制的に迸らせる。
「お前たち
問いかけの本質が問われながら、瓶が地面に割れる。
地面は即座に泥濘と化しアルベドを飲み込んで、泥濘の中に残りのポーション瓶が投下される。
最後の瞬間、アルベドは問いかけの答えを聞く。
「お前たちが見ていると思っているのは、お前たちの望んだ
昏く淀み深淵を覗くような見たこともない心底失望した瞳がアルベドの最後に見たタブラの姿だった。
認識阻害って怖いよねってお話
アザトースクラスの認識阻害だとマジで全員偽って陣中に潜り込める、しかも気付かない、味方だと思ってしまうという恐ろしさ
いつの間にか居て、いつの間にか消えている、そして何をされたのかがわからない
その違和感すらおっさんでも誤認するレベルなので、某タイミングでも時間が飛んだことは認識してもその答えを誤っているのはこのため、本来はここで書くつもりだったからあそこで書いてるのは本当にネタバレなんだよなぁ
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