ラスボスの力の一端
アルベドVS タブラ
アレを言っても理解し実行できるとは思えない
以上をお送りしました
目を覚ましたヘロヘロは挨拶もそこそこに地下大墳墓の近くに設営したシークレット・ハウスへと向かう。
彼自身は普通の人間の精神性と変わらない、というよりもアインズ・ウール・ゴウンに所属する大半がそもそも普通の人間が中身である。
他の物語では異形種の精神性が混じるからなのか勘違いされやすいが彼らはただの一般人である。
覚悟を決めた英雄はほんの一握り、世界を混沌に導こうという狂人もそうはいない。
「お待ちしておりました。ヘロヘロ様」
そんな一般人であるヘロヘロを出迎えたのはナザリックに所属するメイドの一人。
扉を開き中へと招き入れる、テーブルの前にはヘロヘロが作り上げ心血を注いだソリュシャンがヘロヘロが来る前に呼ばれて先に着いていた。
ソリュシャンはあの忠誠の儀の時に鈴木から楔を打たれ、失望されたのだと思っている。
それは間違ってはいない。
「やぁ、待たせちゃったかな?」
「……」
ソリュシャンはその問いかけに答えられない、頭の中はまだ混乱しておりスライム状態のヘロヘロしか知らず現在の人間の姿から彼らの敬う至高の御方の気配はするものの記憶にない姿なことに理解が追いついていなかった。
「一時間の遅刻ですよ、なにしてたんですか?」
そんなソリュシャンに変わって責める様に問いかけるのはメイドの方だった。
普段であればそんな口をきけば即座にナザリックのものが殺しにかかるだろう事をしながら、ヘロヘロは笑っていた。
「いやー、ついつい寝てしまっていてね……こっちに来るまで寝ることなんて二年間まともにできなかったからねぇ。そんな環境だったから過労死しちゃったんだけどね、あっはっはっは」
「笑い事じゃないですよヘロヘロ様。今後はそんなことがないように……うん、痩せましょう。高血圧だとかいろいろ心配です」
指を突き付け目に見える部分を改善するように指摘する。
ヘロヘロは若返ったとはいえ元々のシステムエンジニアという職業柄とリアル世界の環境ゆえの運動不足というものが一番反映された体型をしていた。
可愛く言えばぽっちゃり、ひどく言えば太っていた。
「そ、そんな……ストレスフリーな食っちゃ寝ができると思ってたのに!?」
メイドからの指摘と提案からショックを受けていたが、同時にそんな指摘と提案がメイドにできることを嬉しくも思っていた。
これがメイドとして正しい姿のように思えて嬉しく思っていた。
ヘロヘロは物語の中や本の中、書かれた歴史の中でのメイドしか知らない、だからこれは理想を体現したようなものだから本物のメイドではないかもしれない。
それでも体の事を可愛い女の子が心配してくれることは嬉しかった。
そんな二人の会話をソリュシャンはただただ呆然と見ていた。
不敬ともいえる言葉遣い、でもそれを今まで見たことがないような笑顔で受け入れる至高の御方。
なぜ?という
「うーん、あのニューロニストが事務トレーニングみたいなことしてるとか想像できない……それじゃそろそろ、ソリュシャンの方に戻ろうか」
ソリュシャンの座っている席の対面に座り、紅茶を入れてもらいながらヘロヘロが正面からソリュシャンを見据える。
ヘロヘロの目には怯えは見えず、逆にソリュシャンには怯えが見えるように視線が若干そらされている。
「ソリュシャン。僕はね、他の皆のように外に出て働いてもらいたいし、何よりも幸せになって笑顔でいてもらいたいと思っている」
その言葉にソリュシャンは顔を勢いよく向け、その際に髪が揺れるが出てくる言葉をヘロヘロは手を押し出すことで堰き止めさせる。
「僕の作ったNPCなのだからそう思ってたんだよ。ソリュシャンは忠誠の儀で言った言葉を覚えてるかな?モモンガ君に絶対の忠誠を誓います、だったと思うけど」
「はい、その通りです」
その肯定の言葉にヘロヘロは自分の覚え違いじゃなかったと安堵しながら、うんうんと頷き改めて悲しみを覚える。
「つまりソリュシャンは僕ではなく、モモンガ君に仕えるモモンガ君を優先するってことだよね?」
「っ……」
ヘロヘロの言葉にソリュシャンは言葉を詰まらせる。
否定すれば忠誠の儀で語った言葉は偽りを騙った、肯定しても
何よりもどう応えるのが正解かわからなかった。
「何よりもあの『忠誠の儀』で感じたのはね。
最終日にヘロヘロはユグドラシルにログインしていたにも関わらずにもソリュシャンはモモンガに忠誠を誓ってしまっていた。
これは最終日ではないが他に日にログインしていただろうタブラにも同じことが言える。
もしかしたら創造主に再び見えられるかもしれない、そう考えれていたのなら戸惑いも出たかもしれない、葛藤もあったかもしれない。
少なくとも見せられていたような滑らかにはきはきと答えるものではなかっただろう。
「(可哀そうだと思うほどに蒼褪めているけど、僕としてもこれは譲れない。メイドを愛しているからこそこれだけは譲れないんだ……主人を信じて待てないメイドが主人に信じてもらえるだろうか……)」
ヘロヘロは創作物や歴史でメイドがどのようなものか程度にしか知らない。
逆に言えば歴史であったメイドの犯罪などは知っているのだ。
スズキは忠誠の先を懸念して受け取ることを拒否した、拒否することで逃げ道を作っていた。
それに気付くかどうか、それも宿題のうちの一つでもありモモンガへの忠を捨てて不信を買う覚悟を持って改めて創造主へと忠を捧げるのも答えの一つ。
言葉を曲げず改めて鈴木悟へと忠を捧げるのも答えの一つ。
どちらが選ばれようともスズキとしては困ることはないが、どちら付かずの蝙蝠は信用に足りない。
戦力として運用するのにも困る『不審な働き者』の出来上がりだけは阻止しなければならない。
精神耐性が完備?システム外からの緩慢な洗脳が発生している現状でそれを信用することはできない。
強固な自我を持って抗えるものこそが求められているのだから、浮ついているものを外に出すことはできない。
「(はぁー……朱雀さんの子は
これは創造主と被造物の関係でありながら、まだ気づけていない子じゃないとこの手の話ができないとは話に聞いていたし、反応はほぼタブラさんに予想された通りのどちらも答えない。
『
それこそそれを指摘してやればいいんじゃないか、と問えば『その答えを出せ』という命令になるから駄目だと反対された。
命令では駄目なのだ。
それに従うだけで『何故それを求められているのか』という本質に、理解には届かない。
思考とともに回想をしている間部屋の中は沈黙に包まれていたが、その沈黙にヘロヘロ自身が耐えきれずに溜息をつく。
「ソリュシャン、もう仕事に戻っていいよ」
溜息とともに出た言葉にソリュシャンは何かを言いたそうに口を開けては閉めを繰り返したが言葉は吐き出されずにおぼつかない足取りでシークレットハウスから出ていく。
扉が閉まる音が聞こえると同時にヘロヘロは体をテーブルの上に投げ出したまま五分程ぐったりしてから言葉を絞り出す。
「ほんともう……こんな役もうやりたくないぞぉぅ……胃が、痛い……」
「お疲れ様です」
苦笑しながらもメイドは紅茶ではなくルイボスティーを入れてくれる。
そのお茶を飲みながら一息ついてからふと頭に浮かんだ質問をして後悔する。
「そういえば守護者やプレイアデスの事は聞いたんだけど、他の子たちってどうなってるのかな?」
「えー……っと、デミウルゴス部下の悪魔さんたちがすべて処刑されておりまして第七階層が閑散としております」
「ぶっほっ?!」
予想外の結果を聞いて咽る。
「処刑っ?!え?スズキさんがやったの?!」
「動画に記録されてますので今度持ってきますね。すごい戦いだったんですよ!氷の山を召還したりヤルダバオト様が変身して格闘戦始めたと思ったら全部捌かれて決着がついたのは、もう……すごいの一言でした!」
「なにそれすごく見たい!アクション映画っぽい感じがする!魔将たちはどんな活躍をしたんだい?」
その言葉にそっと目を逸らし、ぽつりと呟かれた。
「まるでコントのようでした」
「え?」
「なんていうかですね?何で呼び出されたのかわからない状況で唖然としたままスズキ様が玉座を使って雑に消滅させてました」
そういえば傭兵NPC対策にしか使えない設置型世界級アイテムだったのを思い出す、作られた経緯はドラゴンクエストコラボで知った大魔王のセリフを再現するためにラストバトル様に用意していた。
るし☆ふぁーのレメゲトン、扉前の精霊トラップ、宝物庫のヨルムンガンドと割と殺意マシマシな第十階層だった。
ヘロヘロは知らないが更にみんなの最終装備を装備したアバターゴーレムが襲ってくるというものが追加されていた。
しかも
なお動画を撮っていたのはパンドラズ・アクターである。
ショゴス 出展元:クトゥルフ神話
テケリ・リという鳴き声が特徴的な不定形の神話生物であり、コールタールのような黒いスライムであり大きさは大体4m強。
水中用に作られている為、実は地上では動きが遅くなるという特徴があったりするが……探索者が人間なためにまず出会うのは地上である、仮に水中で会うときは潜水艦に放り込んであげると絶望感がいい感じに味わうことができる。
最大の能力としてショゴスはあらゆる器官に変化することが出来るというものがある。
オーバーロードではこれを拡大解釈して人型にしたのがソリュシャンだが、人そのものに変身する能力を持つのはショゴスロードだったりする。
なおクトゥルフを追いやったとかなんとか
ティアマトの艦長募集
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