パンドラvsチョコンガ
ちょいと自分なりにモモンガ切開
ブラフで時間稼ぎ
以上をお送りしました
エ・ランテル、先のアンデッド騒動で被害を大きく被った街。
ただその街では一つの噂が流れていた、死んだはずの人物に会ったと。
「ただその場の身で助ける一時凌ぎ、ゲーム時代ならばそれで良かった。弱者救済、救済とは実に難しいものだ」
ヤルダバオトは玉座の間でコンソールを操作しながら眼鏡を押し上げて画面を見ながら、溜息を一つつき、新たに作り出した存在の名前が登録されていることを確認する。
種族名シェイプシフター、個人としての名前は付けられていない存在。
本来であれば作る必要も無い、作る目的もない存在だが、ヤルダバオトの目的としては成功といえる結果を残してくれた。
死者の記憶もコピーし『別れの言葉』を残した者たちに渡す、という目的は達成された、達成されてしまった。
一つまた一つと進む止まることのない時計の針のように終劇への準備。
「(ただ出来ることは全てやらねばならない。出来ることをやらないのはすでに怠慢といえる時期となってしまった……時間が足りない。だが焦って失敗するわけにもいかない)」
恐怖候から送られてくる報告に目を通しながらやるべきことを調べ、チェックを書き込み、簡潔にメモ帳へと記入していく。
スズキならばそれだけで事足りる、そう信じて簡略化させていく。
そうしていると革靴とは違う硬質な足音がヤルダバオトに向かって近づいてくる。
仄かな明かり、十分とは言えない光量の元暗がりから姿を現すのはコキュートスだった。
「どうかしましたか?コキュートス」
「デミウルゴス……お前は答えを出せたのか?」
玉座の間、そこにいるのはモモンガの骸骨の姿ではなく、コキュートスが友としたデミウルゴスの姿だった事により、もしかしたら先んじて答えを出し、正解したのかもしれないと思い至る。
「いいえ、デミウルゴスは正しい答えを出せませんでしたよ。出せたのは『自身では間違えた答えしか出せない』というものでした、それゆえ私ヤルダバオトが弱ったデミウルゴスを押し退け答えを出し認められました」
「では貴様は侵入者という事か」
武器を取り出し構えるコキュートスに鷹揚に掌を向けてそれを止める。
「まぁ待ちなさい。ウルベルトは中二病と言いますか高二病と言うべきか悩むところですが、男子がかかる麻疹のような思考状態でした」
コキュートスは何を言い始めているのだこいつは、と動揺しながらも至高の御方々の話が出たことで思わず手が止まり聞こうという姿勢になってしまう。
「どのようなものかというとですね……横文字がカッコいいと感じたり、よくある伝奇物にある設定を自分にも在ると想像してみたりする事でしょうか」
「それは……カッコいい、のか?」
「それは当人次第です、としか言いようがないですね。兎に角、ウルベルトはそのような思考を持ったままデミウルゴスを創り出しました……結果、そういう人からの言葉を借りれば闇の人格とでも呼べばいいのでしょうかね?いわゆる二重人格だとか封印された何かしらだとかという妄想が現実化して『私』という者が出来上がってしまっていた、という訳なのですよ」
「……」
コキュートスはヤルダバオトからの説明を聞き、自分なりに租借し理解して表情こそ変わらないまま呆れた空気を醸し出す。
ヤルダバオトも同じことを思うのだ、しかもそれが自分の出自だというのだから猶更やるせなさというものが両肩に背にのしかかってくる。
僥倖ともいうべきはカルマが極悪の悪魔の反転した性格だということでかなり善良だという事だろうか、その性格ゆえに策略も高いのにバトルジャンキーに近い強者を好む武人気質ゆえ鈴木から出された宿題を正解できた。
「んっんん。まぁ私の出自自体は想定外の出来事ではあれど、異常な事態ではない、と理解してください。そもそもコキュートス、貴方は何を聞きに来たのですかな?スズキ様のような答えは出せずとも何かしらの取っ掛かり程度の助言は出来ると思いますよ」
一度空気を正すために咳払いをしコキュートスがここに来た理由を聞こうとする為にコンソールは一度消し積まれている書類を横に退け、相対する。
その様子にコキュートスも一度圧縮された空気が出るような音の冷気の溜息を一つつき、敵ではないと武器を収めて真っすぐとヤルダバオトを見据え、言葉を口から出す。
「我らの忠義は何を間違えていたのだろうか、忠誠の儀で受け取ってもらえなかったのはなぜなのだろうか?」
「なるほどなるほど、まずは一つ。忠義そのものは間違ってはいません、ですが捧げる主にはそぐわなかった為に受け取ってもらえませんでした。まずは確認していきましょうか、私たちは何を言われ、何をして、何故六階層にいましたか?」
「む?それはアルベドに異常がないかチェックするように言われ、己の任されている階層を調べ、そしてアルベドに教えられた時間に遅れぬよう三十分早く六階層に向かった筈だが……」
なぜそのような事を聞くのかはわからないままに素直に思い出しながら答える。
ヤルダバオトは自身の記憶と照らし合わせ、大きな違いがないと頷き確認していく。
「えぇ、私が覚えているものと変わりはありませんね。まったくもってその通りでした……がここにシズから聞いた証言を加えるとその時の私たちの間抜け具合が分かるかと思います」
「そういえば、プレアデスの者たちは初めから御言葉を直接聞いていたのだったな……もしかしてアルベドが何かやらかしているとでもいうのか?」
下の一対の腕を組み、上の方の腕で下顎に手をやり首をかしげる。
村での戦いにおいてわかる範囲でのアルベドのやらかしが在ったことを思い出し、その前にも既にやらかしていたのかと呆れながらもつい言葉がコキュートスからこぼれる。
「やらかしたとも言えますし、そうでもないと言えます。シズの話では、まずはモモンガではなく『鈴木悟』であると名乗り、そしてその場にいた全員に名を訪ねたそうです」
何故?という疑問に答えを出せずに逆側に首をかしげる。
モモンガではなく『鈴木悟』を名乗る謎も、名を訪ねる理由にも答えがコキュートスには出せなかった。
「そしてシズを伴い宝物庫に異常がないかを確認に行かれるのですが、そこにアルベドが代わりを申し出ましたが、それを拒否して急かす様に全員を仕事に向かわせました」
アルベドの方が護衛には適している、だがそれを拒否したはなぜか。
「シズだけ名を問われた時に自身の名を愛称のみで返したそうです。そして周りからは殺気が滲み出ていたとも……私たちからすれば失礼なことであり、無礼なことでしかありませんから当然ですね。ですがスズキ様はそんなシズだけを伴って宝物庫へ向かわれました。おそらくいち早く私たちに出される筈だった宿題を解いたものとして保護したのでしょう」
「初めから宿題はいくつも出されていたのか……」
「えぇいつも問われ試されて居ますとも。さて問題は鈴木悟様も動くような事態であり、急かす事から時間も惜しいと判断する状況、対して私たちは?異常事態と聞きながらどこか対岸の火事の如く異常があるものとして探さなくてはならない危機感も持たず、何が異常なのかも分からず『異常なし』の報告をします」
「おぉぅ……」
コキュートスはその言葉に四つの腕で顔を覆い、崩れ落ちるように床に両膝をつける。
「危機感の温度差がとてもひどい……これは私も聞いたときは眩暈がしましたとも。しかも、しかもですよ。『異常なし』と報告するスズキ様の前には『異常そのもの』が広がっていれば、あの対応もさもありなんというものでしょう」
忠誠を誓うという言葉を吐きながら、自分たちは任された仕事も全うできない無能を晒している過去の自分を思い出しながら、苦悶の声を上げるコキュートス。
しかも最後に第六階層に現れたのは鈴木悟その人である。
上が時間いっぱいまで異常を探し、その対策を立てていたというのに自分たちは何をしていた、三十分も早くに切り上げ、同僚と談笑をしていた。
挙句の果てには無能を吐露するような忠誠の儀を思い出せば、後悔、羞恥が襲ってくる。
「か、過去の自分を殺したい……」
「その気持ちよくわかります。さて話は戻りますが、忠とは主と同じ方向を向けてこそ初めて忠は忠足り得る、と私は考えます。主の思想を理解し、理想に共感し、目的を共有する。そうして初めて命を懸けてでも命を成し遂げる事への価値が出るのだと思っています。私たちは至高の方々と呼ぶ人たちの何を知っていますか?」
何を知っているか、1500もの侵略してきた者たちを蹴散らしたのを知っている、極悪ギルドと呼ばれていようともそれを笑っていたのを知っている、我らを創り出しこの世に生み出してくれたことを知っている、この素晴らしい武器の数々を創り出した事を知っている。
他の者たちにも優しく接してくれていたことを知っている、このナザリックを大切にしてくれていたことを知っている、そしてそれらをすべて棄てさって去って往ったことを知っている。
「コキュートス。私たちは御方々のことを何も知らないに等しい……。どのような思想を持ち、どのような理念を掲げ、どのような行動を行ってきたのか。外でどのような敵を狩りに行こう、このような敵を倒した、様々な話を聞きましたが私たちは御方々が集まられた理由を知りません。外にどれだけの人が過ごしていての1500の襲撃だったのかさえも知らないでしょう」
その言葉に頷きを返す。
知っていると本能は返したかった、だが何を知っていると返されれば言葉に詰まる事を理性は解っていた。
「忠誠の儀、最後に聞かれたでしょう?『どう思っている』と、あれは御自身をどこまで理解しているかという問いかけ……それなのに私たちは真意を図ることもできずまた離れられるかもしれないという恐れから、ただただ持ち上げるような言葉を口にした。盲目的に、妄信して、自分たちは貴方をみていないと宣言した。少なくとも私の考える『忠』とは真逆を示してみせた訳です」
「任された仕事も全う出来ず、手前勝手な忠を押し付ける……それは受け取ってもらえずとも当然だ」
「納得してもらえたのでしたら何よりです。(実際には異常に気付け、おかしいことをおかしいと認識していたシズですらその指摘に恐怖に身を竦ませた。そのことから気づけていない者に諭した場合の予想がつかないために教えるわけにもいかないのですよねぇ……『自身が自由意志を持って動ける事こそが異常である』。このことはまだまだ内緒にしておかないとまずいでしょう。忠を受け取らないだけであれでしたし)」
追い打ちのように説明していたら一体どうなっていた事か、想像もしたくない想像に首を振るうと今度は革靴の足音を極力消して入室するメイドの一人がこちらに向かってきた。
「ヤルダバオト様、タブラ・スマラグディナ様が平野のシークレットハウスにてお待ちになられております。逃亡犯を捕獲したので監禁場所を考えておいてほしいとのことでした」
「了解しました。ではコキュートス、私はこれで失礼させてもらうよ……あぁ、そうでした。鈴木悟様の知己が近々王都で御結婚式を挙げるそうで、もしも貴方がスズキ様、サトル様の望まれる方法で辿り着けたなら、認めてもらえるかもしれませんね。貴女も下がっていいですよ」
ヤルダバオトはメイドにも声をかけて、いくつかの書類を脇に抱えて後ろ手に手を振り玉座の間を出ていく。
コキュートスは命なく外に出ることを禁じられている、それでも認められたいという両方の思いに心を鬩ぎ合わせながら、立ち上がる。
以上説明できない、教えてやれない、指摘できない理由でした
精神というものは案外不安定で当たり前と感じていたことが異常だと認識した時その精神は大きく揺らぐ
この辺の確認はパンドラ、シズとの宝物庫での会話で行っており、アンドロイドの希薄な心の揺らぎですら身体を震わせるほどの衝撃だと表現させていただいております
ユグドラシル時代の記憶も引っ張り出すので過去自由に動けなかった事が当たり前だった、なのに現在自由に動くことが出来る異常な状態、指摘すれば当たり前のように強制sun値大幅減少です
ティアマトの艦長募集
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