ハイスクールD×D~堕ちた聖女の剣~   作:剣の舞姫

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大変お待たせしました。
ちょっとリアルが超忙しかったもので、執筆する時間が中々取れなかったんです。
今後も、まだ忙しいので、更新は遅れるかもです。


第七話 「格の違い」

ハイスクールD×D

~堕ちた聖女の剣~

 

第七話

「格の違い」

 

 レーティングゲーム、それは三種族の戦争によって圧倒的に数を減らしてしまった悪魔が数を増やす為に多種族の者を眷属にする事で悪魔へと転生させ、その眷属をチェスの駒に見立てて行われるゲームだ。

 上級以上の成人悪魔が参加を許される悪魔社会の公式ゲームであり、社交の場でもあり、己が最強を証明する場でもある。

 

「レーティングゲームか……言っておくがなリアス、俺は知っての通り既に成人していて、もう幾つもの公式ゲームに参加して勝利数もそれなりに挙げている。それに対してお前はまだ未成年だからゲーム未経験、加えてリアスの下僕は、そこの人間二人を除けばこれで全員か?」

「そうよ」

「はっ! なら話にならんな、リアスを入れても未だに駒が全て揃ってないのに、俺に勝てると思ってるのか?」

 

 ライザーがそう言った瞬間、彼の周囲にいくつものフェニックス家の紋章陣が展開され、合計15名の女性が現れた。

 

「俺の可愛い下僕たちに敵いそうなのは、精々リアスの女王(クイーン)くらいじゃねぇか、こりゃやる前から勝ちは決まったようなものだな」

「っ!」

 

 リアスの持ち駒は女王(クイーン)の朱乃、騎士(ナイト)の祐斗、戦車(ルーク)の小猫、兵士(ポーン)の一誠だけ。

 使用した駒数なら一誠一人に兵士(ポーン)を全て使っているのだが、彼自身がまだまだ戦闘の素人である以上、戦力としては低い。

 対するライザーは駒全てを使って15名のフルメンバーで、更には公式試合も既に多く経験しているため、全員経験豊富、これでは確かにライザーの言う通りライザーの勝ちがやる前から決まったようなものだ。

 

「ん? おいリアス、そこの小僧が俺の下僕達を見て涙を流してるんだが?」

 

 ライザーが指摘した通り、見れば一誠が涙を流しながらライザーの眷属たちを見ていた。

 全員が美女揃いであり、その全員(一名だけ違うようだが)がライザーに熱い視線を送っているのを見て、一誠は血の涙すら流しそうなほど悔しそうに表情を歪めている。

 

「ああ、彼はハーレムを築くのが夢なのよ」

「は? ははぁん成程な……おい下級悪魔、お前程度じゃあこんな事も出来ないだろうな?」

 

 そう言うと、ライザーは一誠に見せ付けるように隣に立っていた眷族の女性と熱い口付けを交わした。

 それを見て、アーチャーはライザーという男が如何な男なのかを判断し、若干だが視線に軽蔑の感情を混ぜた。

 そして、それはアーチャーの隣で相変わらず彼に髪を弄られているアーシアも同じだ。因みにたった今エビテールが完成したところだが、ちょっと似合ってなかったみたいで、即座に解いてしまった。

 

「てめぇこの焼き鳥野郎! 部長の婚約者の癖に他の女にまで手を出すのかよ!!」

「あん? 当たり前だろ、こいつらは俺の下僕……つまりは俺の所有物だぜ? 俺が俺の所有物に何をしようが勝手だ」

「ふざけんな! てめぇみたいな種撒き鳥に部長は渡せねぇ! ぜってぇにぶっ倒してやる!!」

「ふん、ミラやれ」

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を出して一誠がライザーに殴り掛かろうとしたのだが、その瞬間、ミラと呼ばれた棍を持った少女に鳩尾を突かれ、その場に蹲ってしまう。

 

「グッ、ゲホッ!」

「イッセー!?」

「ふん、龍の手(トゥワイス・クリティカル)程度の神器(セイクリット・ギア)じゃ、俺の可愛い下僕の相手にもなりはしないな……ついでだミラ、そこの紅い人間にも格の違いってのを見せてやれ、さっきは俺の炎を神器(セイクリット・ギア)で消したみたいだが、その程度で人間風情がデカイ顔されるわけにもいかん」

「は~い、ライザー様」

 

 ミラが今度は棍の先をアーチャーに向けて突進してきた。

 成程、中々に素早い動きであり、普通の人間であれば反応する前に棍の餌食になっていただろうが、残念ながらアーチャーは普通の人間ではないどころか、そもそも人間ではない。

 

「そぉれ!」

「ふむ」

 

 鳩尾目掛けて突き出された棍の先を冷静に眺めながら、アーチャーは右手に持った櫛で棍を払い、ミラの右足を左手で掴むと、そのまま勢いを殺しながらライザーの方目掛けて投げつける。

 

「きゃあああああ!?」

「ミラ!?」

 

 慌ててミラをキャッチしたライザーは憤怒の表情でアーチャーを睨むが、当のアーチャーは涼しい顔でストレートに戻したアーシアの髪を櫛で梳きながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

「チッ、どうやら人間にしては中々やるみたいだな……ならば丁度良い、リアス! そこの男と、ついでだ、人数合わせにシスターもお前達側のメンバーとしてゲームに参加させろ」

「待ちなさいライザー! 人間がレーティングゲームに参加出来ると思ってるの!?」

「構わんさ、どうせこれは公式なゲームじゃなく、非公式なものだ。悪魔のみが参加出来るなんてルール、少しは弄ってやらなければリアスにハンデすら与えられんだろう」

 

 ライザーがグレイフィアに視線を向けると、彼女もアーチャーとアーシアがゲームに参加するのを認めたのか、静かに頷いていた。

 

「アーチャー、あなたはどうなの? 一応、当事者なんだから、何か言ってちょうだい」

「……別に、私自身は君達がどうなろうと興味は無いのだがね。ゲームに参加する理由も無い」

「怖気付いたか! 所詮は人間、ミラには偶然勝てたかもしれんが、俺様相手じゃ命が惜しいだろうな」

「ふむ……マスター、君はどうする? 正直、参加する理由など無い試合に、君が参加するのは私は反対だが」

 

 アーシアに決定権を任せたアーチャーが確認すると、アーシアは友人である一誠たちの手助けが出来るのならば、参加したいと言ってきた。

 確かに、彼女自身は前線で戦うタイプではなく、後方支援タイプなので、参加しても支援だけしていれば良いのだから、問題らしい問題は無い。

 

「駄目でしょうか?」

「いや、マスターが決めた事だ。私はそれに従おう」

 

 リアスには今回の件に関しては約束の一回限りの協力要請には入れない旨を伝える事にして、アーチャーとアーシアがレーティングゲーム参戦という形で話し合いは終わった。

 

「では、レーティングゲームは10日後の今日、それにて全ての決着とします」

「ふん、精々特訓でもしておくことだなリアス、10日後を楽しみにしてるぜ」

「覚悟してなさいライザー、必ず消し飛ばしてあげるわ」

 

 ライザーが去った後、グレイフィアも魔王に今回の件を報告するとの事で去っていき、リアス達も漸く一息入れる事が出来た。

 アーチャーが改めて人数分の紅茶を用意して、全員椅子に座ったので、それぞれの前に差し出すと、いつも通りアーチャーはアーシアの後ろに立つ。

 

「ごめんなさいアーシア、アーチャー。今回は変な事に巻き込んでしまって」

「いえ、私もあの人が部長さんと結婚するなんて何だか嫌でしたから」

「私はマスターの決定に従ったまでだ、君が気にする事は無い」

 

 それに、アーシアを守る身である以上、今後の事も考えて悪魔という者の実力を実際に戦って知るのも良い機会なのだ。

 上級悪魔であり、成人していくつもの実戦を経験したであろうライザー・フェニックスという男は、相手としてそれなりに骨がありそうでもある。

 

「所でリアス・グレモリー、一つ聞きたいのだが」

「何かしら?」

「君はあの男の婚約者という身の上である以上、あの男の情報をいくつかは知りえているであろう?」

「……ええ、そうね」

 

 ライザーの婚約者というところで嫌そうな表情を浮かべるリアスに苦笑しながら、アーチャーはリアスにライザーの情報開示を求めた。

 戦う上で、何より重要なのは相手の情報だ。情報を制する者は戦場を制する。ならば手に入る情報は少しでも得ておくに越した事は無い。

 

「まず始めに言っておくと、私はライザーの眷属についてそこまで詳しくはないわ。精々があの男の隣に居た女性……確かユーベルーナとか言ったかしら? 彼女がライザーの女王(クイーン)であり、爆弾女王(ボムクイーン)の二つ名を持つ爆発系炎魔法を得意とする上級悪魔だという事くらい」

「ふむ、ライザー・フェニックス本人については?」

「ライザーに関してはフェニックスの名の通り炎と風を操る上級悪魔ね。だからまず炎系の魔法は一切効果が無いと思った方が良いわ。それに何より、あの男はフェニックス……不死鳥の名を冠する通りに不死身なのよ」

 

 不死身とはつまり、殺しても死なないという事で間違い無いだろう。

 確認してみてもそれは確かだとの事で、例え致命傷の攻撃をしても、腕を斬り落としても、首を刎ねても再生するという不死身っぷりらしい。

 

「だからこそ、ライザーは公式ゲームで多くの勝利を得ているの。負けたのは殆ど八百長みたいなものよ」

「それって倒す方法が無いってことじゃないですか」

 

 一誠の言葉にリアスは若干だが首を振る。どうやら不死身だからとて倒す方法が無いわけではないらしい。

 

「不死身だとは言え、何度も死ぬほどの攻撃を続ければライザーの精神を削って気絶させる事も出来るし、魔王級の魔力で再生不可能なレベルまでダメージを与えれば倒す事も出来るわ」

「それは、君の消滅魔法でも可能なのかね?」

「……残念ながら、私のレベルでは無理。お兄様なら可能でしょうけど」

 

 つまり、現状でライザーを倒すには何度も殺して気絶を狙う以外に無いという事だ。

 

「ふむ……ならばアレが役立つな」

「アレ? アーチャー、何か手があるというのかしら?」

「ああ、私の持つ武器に不死殺しの概念を持った剣がある。それを使えば大ダメージを与えられるだろう」

 

 言葉には出さなかったが、聖剣でもあるので、悪魔であるライザーにはオーバーキル級の剣と言っても過言ではないだろう。

 

「そう、それは好都合ね。でもそれに頼っていても他のライザーの眷属に負けたら無意味よ、だから……」

 

 リアスはその場で立ち上がると、全員を見渡し、口を開いた。

 

「特訓しましょう!」

 




専門学校入学した上、バイト先の人数が一人減って新しく増やすまで超忙しいという現状……死にそう(涙)

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