ハイスクールD×D~堕ちた聖女の剣~   作:剣の舞姫

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今回はアーシアの装備についてです。
フルアーマー・アーシア改は今後の戦闘においてアーシアの標準装備になりますので。


第十一話 「聖女の装備」

ハイスクールD×D

~堕ちた聖女の剣~

 

第十一話

「聖女の装備」

 

 特訓が終わり、山を降りたオカルト研究部はレーティングゲームまで各々の時間を過ごす事になった。

 アーチャーとアーシアもまた、教会に戻ってゲーム開始までの半日を使って最終チェックと共に装備を整える時間にしている。

 現在、アーチャーは聖堂にてアーシアの前に立ち、彼女のゲームでの、そしてこれからの戦いの際の基本装備となる物を投影している所だ。

 

「まず、アーシアに渡すのはこれだ」

「赤い、布ですか?」

「うむ、だが唯の布ではない。これはマグダラの聖骸布と言って、女性が使う事で最高の力を発揮する対男性用強制拘束礼装だ」

 

 アーチャーの脳裏には、磨耗した記憶の中でも色濃く残る腹黒シスターの姿が映し出されていた。

 彼女が使っていたのがこのマグダラの聖骸布であり、男相手であれば問答無用で拘束し、男である限り絶対に拘束解除が出来ないというある意味では性質の悪い代物だ。

 

「ストール代わりにでも普段から身に付けておくことだ」

「ありがとうございます……聖人様の亡骸を包んだ布を身につけるなんて、少し畏れ多いのですが、アーチャーさんとお揃いの赤布なのは嬉しいです」

「む? ああ、私の赤原礼装の事か……因みにこれも聖骸布でな。マグダラのではないが、とある聖人の聖骸布だ」

 

 アーチャーが生前、とあるカレー好き代行者と共に仕事をした際に譲り受けて以来、最初はマフラーとして、次第に外套として使うようになったのが、このマルティーンの聖骸布こと赤原礼装だ。

 

「次に渡すのはこの盾だ」

「あ、マリア様ですね」

「うむ」

 

 次に投影したのは盾だ。

 表面に聖母マリアの絵が刻まれた聖盾。実を言えばこれは宝具でもある。

 

「私が投影出来る数少ない盾の宝具の一つでな。真名はプライウェンという、ブリテンの騎士王、アーサー・ペンドラゴンが使用したという魔法の船にもなる聖盾だ」

「王様の盾ですか~……」

「アーサー王とは、生前に色々と縁があってな。この盾も偶然見る機会があった……最も、この盾を初めて見た時はもうアーサー王とは別れた後だったが」

「お会いした事があるんですか!?」

「ああ、私の生前のサーヴァントがアーサー王だった」

「アーチャーさんが生きていた頃のサーヴァントさん……では、エクスカリバーも?」

「うむ、あれは見事に美しい剣だった……星の聖剣という名に相応しき黄金の輝きは、人々の平和を願う祈りの輝きだというが、正しくそれを体現した光を放っていた」

「わぁ~! 見てみたいです! アーチャーさんは投影出来ないんですか?」

「流石にエクスカリバーの投影は無理だ。やると私が死ぬ」

 

 冗談抜きで、エクスカリバーの投影などしようものならアーチャーは自滅する。更にマスターであるアーシアにすら危険が及ぶかもしれないのだから、投影しようなどという気にはなれない。

 

「さて、次の装備だが……これだな」

 

 次に投影したのは二種類、一つはサンダルで、もう一つはおそらく剣ではないかと予想出来る物の持ち手だけの何か。

 

「このサンダルはヘルメスのサンダルという飛行能力を持つサンダルだ。飛行出来るのと出来ないのでは結構違うからな、マスターは非常時はこのサンダルの力で空へ逃げるのもアリだ」

「はい」

「そして、この持ち手のみの物だが、これは魔力を流す事で刀身が現れる」

 

 代行者が使う黒鍵という投擲用の剣だ。

 

「刀身にはそれぞれ式典礼装を施してあるから、用途によって突き刺した相手に式典を発動させる事が出来る」

 

 用意した式典は火葬式典、風葬式典、土葬式典、鳥葬式典、水葬式典の5種類を3本ずつの計15本だ。

 

「それからこの剣もだな」

 

 もう一本、剣を投影した。

 投影したのは短剣と呼ばれる短い剣であり、これは用途としては剣として使うのではなく魔術礼装として使う事が多いだろう。

 

「生前、私が魔術の師から譲り受けたアゾット剣だ。投影品なのでアーシアが使っても問題はあるまい」

 

 専用の鞘も一緒に投影してアゾット剣をアーシアに手渡した。

 多少変化の魔術を使って軽量化してあるが、性能的には問題無いだろう。

 

「後は、これだ」

 

 最後は投影品ではない。

 取り出したのは普段アーシアが着ている修道服だった。この何の変哲も無い修道服がアーシア専用の装備だというのは、どういう意味なのか。

 

「この修道服には銀糸と君の髪の毛を織り込んである。魔除け効果と魔術伝達効果を高めてあるから、強化の魔術を使う事でこの修道服を瞬時に鎧並みの強度にする事が出来る」

 

 更に、もう一つ。アーチャー手作りのロザリオを渡す事でアーシアの装備が全て揃った。

 

「このロザリオはタリスマンでもあるから、服と同じ魔除けの効果を持っている。それと中央の宝石は魔力を込めることで一回限りの結界魔術を発動する仕組みになっているから、身を守るときに使いたまえ」

 

 銀で出来た十字架の中央にルビーがあしらわれたロザリオが同じく銀のチェーンネックレスに繋がれている。

 デザインもアーシア好みであり、早速身に付けてみれば直ぐにお気に入りになった。

 

「うむ、早速修道服も着替えてきたまえ」

「はい!」

 

 早速聖堂の脇に作った更衣室で着替えてきたアーシアは先ほどと同じデザインの魔除け礼装修道服にストールのような形でマグダラの聖骸布を身に付け、胸元にはロザリオがぶら下がり、腰にはベルトで固定された鞘に納められたアゾット剣が刺してある姿だった。

 更に、足元を見ればヘルメスのサンダルを履いており、左手にはプライウェンを持ち、スカートに隠れて見えないが太股にはベルトで固定した黒鍵の柄が巻きついている。

 完全武装のアーシアがここに完成した。

 

「どうだ?」

「思っていたほど重くないです。服も普通の修道服と比べて全然違和感ありません」

「ならば良かった」

「あの、でもちょっと気になったのですが……」

「む?」

「どうして、私のサイズピッタリなんでしょう……? 私、アーチャーさんにサイズを教えた事ありませんよ?」

「それは簡単だ。作る前に君の全身を解析してサイズを割り出した」

 

 その瞬間、アーシアの顔が真っ赤に染まり、アーチャーも余計な事を口にしたと慌てて口に手をやるが、もう遅い。

 真っ赤な顔で頬を膨らませているアーシアは大層ご立腹の様子で、アーチャーが即座に土下座したのは言うまでもないだろう。

 

 

 夜、オカルト研究部の各々が自宅で準備を整えた頃、遂にレーティングゲーム開始の時刻になった。

 各自の目の前に現れた魔法陣にそれぞれ乗ると、レーティングゲームが行われるフィールドへと強制転移して、オカルト研究部一同が同じ場所に集まる。

 

「あれ? ここ部室だ……学校でやるんですか?」

「イッセー君、ここは駒王学園を模して作られたバトルフィールドなんだ。つまり仮想空間みたいなもので、本物の学園じゃないんだよ」

「まじ!? じゃあ、これ全部作り物かよ……」

「すごいですね~……」

 

 悪魔の技術力に一誠とアーシアが驚いている。

 アーチャーもまた、声には出さないがそれなりに驚いているのは確かだ。魔術でこのような仮想空間を作り出す技術は確かに存在するが、それは高等魔術であり、容易に使える代物ではない。

 しかし、悪魔の技術はそれをこうも容易く行ってしまうのだから、改めて人間と悪魔の魔術の技術力の差を思い知らされる。

 

「みんな、そろそろ始まるわ……静かにね」

 

 リアスの一言で、漸く緊張感が高まってきた。

 遂に、ライザー・フェニックスとのレーティングゲームが開始される。果たして、ゲームの結末はどのような結果を迎えるのか、それはまだ、誰にも分からない。




ほかにこんなの良いんじゃね? というアイデアがあればどんどん教えてください。
検討して、今後アーシアの武装を増やすかもです。
もちろん、アーシアが持てる限りですが。

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