ハイスクールD×D~堕ちた聖女の剣~   作:剣の舞姫

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序盤はほとんど原作通りなので、飛ばします。


第十二話 「レーティングゲーム、開始」

ハイスクールD×D

~堕ちた聖女の剣~

 

第十二話

「レーティングゲーム、開始」

 

 遂にリアス・グレモリーとライザー・フェニックスによるレーティングゲームが開始された。

 司会は先日部室に来た悪魔、グレイフィア・ルキフグスが務める。

 更に、このゲームは魔王ルシファーやリアスの父であるグレモリー公爵、ライザーの父であるフェニックス侯爵も観戦しているとあり、両陣営とも緊張感が隠せずにいた。

 

「お兄様やお父様もご覧になっているとなると、下手な試合は出来ないわね」

 

 リアスは勿論、その眷属である朱乃も祐斗や小猫、一誠もまた、リアスの親族の前で無様を晒すわけにはいかない。

 自然と、全員の緊張が高まり、士気が向上していくのがわかる。

 

「さて、まず皆にはこれを配るわね」

 

 そう言ってリアスが差し出したのは小さな光る物体だ。

 

「一誠やアーシア、アーチャーは知らないだろうから教えるけど、これは簡単に言えば通信機よ。これを耳元に付けておけば同陣営の人とならどこでも通信可能なの」

「ほう」

 

 早速、全員が渡された通信機を装着すると、早速だがリアスが布陣を敷くための準備として旧校舎一帯に罠を仕掛けるよう朱乃、祐斗、小猫に指示し、三人が部室から出て行った。

 

「リアス・グレモリー、ライザー・フェニックスの本拠地は新校舎の生徒会室だったか?」

「その筈よ」

「ふむ……なるほど、向こうはライザー・フェニックスと女王(クイーン)を残して全員フィールドに出るようだ」

「見えるの!?」

 

 窓から新校舎を見ていたアーチャーの目には確りと生徒会室の中の様子が映し出されている。

 向こうは流石にアーチャーに見られているとは気付いていない様子で、ライザーの表情も余裕そのものだった。

 

「恐らく体育館を占拠するのだろう。丁度中間地点としてあそこは最適だろうからな」

「そうでしょうね、私もそこを占拠するつもりだったもの……でも、そうね」

 

 何かリアスが作戦を思いついたらしい。

 

「イッセー、朱乃たちが帰って来たら早速動いてもらうわね」

「了解っす! んで、それまで俺は何をしてたら……?」

「君は神器(セイクリッド・ギア)を出して今の内にブーストを貯めておくことだ」

「なるほど……」

 

 早速赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を展開した一誠はブーストを貯めて何時でも最大強化が出来るようにする準備を始めた。

 それを確認してアーチャーは罠を張りに行った三人も戻ってきたのを気配で確認し、リアスの方を向く。

 

「向こうは何チームかに分かれて行動している。こちらも少ないなりに行動メンバーを分ける必要がありそうだ」

「そう……ならイッセーと小猫は体育館へ、祐斗は林に、朱乃は上空待機でお願いね。それぞれ指示を出すわ」

「「「「了解(っす)(です)(ですわ)」」」

 

 各自動き出した。

 現在、部室に残るのはリアスとアーシア、それからアーチャーの3名だが、アーチャーの見立てでは向こうが女王(クイーン)を動かさない限り、ライザーの眷属とリアスの眷属はまともに戦えると予測しているから問題は今の所無い。

 

「そろそろイッセーと小猫が体育館に着く頃ね」

「ああ、だが気をつけろ……向こうも女王(クイーン)を投入してきた」

「なんですって!? 何処に向かってるの?」

「まだ生徒会室を出たばかりだからわからんが……ふむ、体育館を狙うのはどちらも予想していよう……となれば考えられるのは犠牲(サクリファイス)か」

「味方ごと体育館で戦うこちらの戦力を撃破するつもりね」

「だろうな。こちらは唯でさえ戦力が少ないのだ。向こうは最小の犠牲でこちらに甚大な被害を与えられるのだから、犠牲(サクリファイス)も当然の手段だろう」

 

 それに、そもそも主であるライザーが不死属性を持っている以上、どれだけ犠牲を出そうが最終的に負けない。

 今までもそうやってライザーは多くのゲームで勝って来たらしい。

 

「あ、どうやらイッセーたちが体育館に侵入したみたいね……向こうも既に体育館に侵入しているみたい。人数は……4人よ」

「となると、残るメンバーの殆どが木場祐斗のところか……まぁ、問題あるまい」

 

 祐斗の神器(セイクリッド・ギア)はアーチャーとの修業のお陰で随分と強化された。今の彼なら1対多の戦闘だろうが問答無用で強い。

 

「それに、塔城小猫も問題無いだろう。彼女なら二人相手でも十分戦える……問題は兵藤一誠か、奴はなにやら秘策があると言っていたらしいが、果たしてどう出るのやら」

 

 その秘策、直ぐに判明する事になった。

 早速始まった体育館での戦いにおいて、一誠は触れた相手の服を消し飛ばす衣装破壊(ドレスブレイク)なる技を使ったのだ。

 その卑猥さに、流石のアーチャーも顔を手で覆い隠して呆れた溜息を零さずにはいられない。

 

「……何というか、あの小僧は馬鹿なのか?」

「い、イッセーさん……」

「……ごめんなさい、言葉が出ないわ」

 

 だが、呆れてもいられない。

 何故なら体育館が爆撃されたのだから。

 

「どうやら、女王(クイーン)のお出ましだ」

 

 見れば体育館跡の上空にユーベルーナが浮遊しており、そして彼女と対峙する朱乃の姿が遠目に見えた。

 

「さて、面白くなってきたが……む?」

 

 何者かが旧校舎に侵入してきた気配を感じた。

 だが、それは人サイズではなく、寧ろ使い魔などの小型生物サイズだ。

 

「ライザー・フェニックスの使い魔か」

「ええ、そのようね」

 

 部室に入ってきたのは梟サイズの大きさの炎で出来た鳥だった。

 

「よう、リアス、眷属連中は中々善戦してるみたいじゃないか」

「ライザー……」

 

 使い魔を通じてライザーが話しかけているらしい。

 態々こんな手の込んだ真似をして、何がしたいのかと疑問に思っていたが、その答えは聞かずとも勝手に答えてくれた。

 

「善戦しているみたいだが、所詮はその程度だ。どうせ俺の勝ちは揺るがないなら、どうだ? いっそのこと大将同士で決着ってのは」

「一騎打ちがお望みってこと?」

「そうだ。今から新校舎の屋上に来い、どうせ温存してるシスターと赤い男も連れてな。そこで決着でも着けようぜ」

「望むところよ!」

 

 呆れた。まさかこの程度の挑発に乗ってしまうとは。

 だが、これで態々ライザーを追い詰める手間が省けたというもの。早速新校舎の屋上へ行こうとするリアスにアーチャーはアーシアを抱えて付いていった。

 

「ごめんなさい、アーチャー……アーシアを危険な場所に連れて行く事になって」

「構わん。それに向こうの狙いはアーシアだろう……恐らく一番弱いと踏んだアーシアを狙って君が戦えないようにするつもりだ」

「でも、それは貴方がさせないのよね?」

「当然だ……アーシアをこんな場所に連れてこなければならなくなった以上、その報いを受けさせる」

「期待してるわ」

 

 道中、朱乃と小猫がリタイアしたアナウンスが流れた。

 どうやら敵の女王(クイーン)にやられてしまったのだろう。

 

「こちらも残るは兵藤一誠と木場祐斗か……少しは持たせて貰いたいものだな」

「大丈夫よ、あの子たちなら」

「……見えました!」

 

 漸く、新校舎の屋上に着いた。

 そこには以前会った時と何も変わらないライザーの姿があり、余裕の表情を浮かべながらリアスたちの到着にニヤニヤと嗤っている。

 

「よう、リアス」

「待たせたわねライザー……さぁ、貴方は此処でお終いよ」

「ふん、勇ましいのは好みだが、状況を考えて言葉を喋れよ!」

 

 いきなり、ライザーはアーシア目掛けて炎を放ってきた。

 だが、その炎はアーシアが掲げたプライウェンによって遮られ、アーシアには傷一つ無い。

 

「ほう、俺の炎を防ぐとは、中々の盾だな……その忌々しい絵を見るに、聖盾か」

「ライザー……貴方、死んだわ」

「ん? んな!?」

 

 いつの間にか、リアスの隣に居たアーチャーの姿が無く、ライザーの背後に立って両手に干将・莫耶を握り、ライザーの首を刎ねていた。

 

「貴様、いつの間に……!」

 

 直ぐに再生して炎と共に首が繋がったライザーが慌ててアーチャーから距離を取るが、その直後にアーチャーはライザーとの距離を詰め、再び首を刎ねる。

 

「無駄だ! フェニックスの俺に、人間である貴様の攻撃が通用すると思うな!!」

 

 再生しながら、炎をアーチャー目掛けて放ってきたライザーだが、その炎はアーチャーが干将を一振りする事で掻き消してしまう。

 そして、アーチャーは干将・莫耶を消して、素手の状態でライザーと対峙した。

 

「ふん、武器を消して今度は何をするつもりだ? まさか、この俺を相手に素手で戦うつもりじゃあるまい?」

「……投影、開始(トレース・オン)

 

 アーチャーの右手に握られるのは一本の聖なる鎌剣、ハルペーだ。

 ハルペーを見た瞬間、ライザーの表情から余裕が消える。分かるのだ、それが何なのかは知らずとも、その剣から感じられる根源的な恐怖が。

 

「な、何だ……何だその剣は!? ただの聖剣じゃないのか!?」

「ふむ」

 

 今度は祐斗のリタイアアナウンスが流れた。

 それからアーチャーは何を思ったのかハルペーを床に突き刺し、弓を投影してライザーとは別の方向に向ける。

 

「貴様、何を……」

「我が骨子は捻り狂う(I am the bone of my sword)」

 

 ライザーを無視して、アーチャーは左手に一本の剣を投影する。

 投影された剣は、酷く歪だ。何故なら刀身から柄に掛けて捩れて、剣としての用途を成していないのだから。

 その剣を弦に番え、引き、そして狙いを済ませると、その真の力を発揮した。

 

「偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)!!」

 

 放たれた剣は閃光となり一直線に、こちらへ向かっていたユーベルーナの右胸を貫き、貫通した。

 本来ならこの後爆発させるのだが、貫通させたまま剣を消して右胸に風穴が開いて血を吐き散らしながら落下し、消えていくユーベルーナの姿を確認する。

 

「ユーベルーナ!」

「これで、貴様の頼みの綱は消えた……大方あの女にアーシアを撃破させようとしたのだろうが、私がそんな事を許すはずも無いだろう?」

「な、何なんだ貴様は!? その剣といい、今の矢といい!!」

「何、貴様が知る必要の無い些事だ」

 

 弓を消して、再びハルペーを握り締めると、その切っ先をライザーへと向ける。

 

「さぁ、行くぞ不死の悪魔……命の貯蔵は十分か」




次回、アーチャーによるライザーフルボッコタイム!

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