ハイスクールD×D~堕ちた聖女の剣~   作:剣の舞姫

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ネタが浮かばないのです。ネタが浮かぶまでこれを更新するかも。


英霊召喚のプレリュード
第一話 「聖女と弓兵」


ハイスクールD×D

~堕ちた聖女の剣~

 

第一話

「聖女と弓兵」

 

 状況確認。敵、堕天使1、エクソシスト100、状況から最適戦闘方法検索……全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)が最適と判断。

 堕天使対策、干将・莫耶では不十分のため検索……神殺しの聖なる槍(ロンギヌス)が最適と判定。

 敵を前にして、アーチャーはこの状況下での最適な戦闘方法を模索し、その結果に沿って戦う事を選択する。

 

「――――投影、開始(トレース・オン)

 

 突如、100人居るエクソシスト達の頭上に数百もの刀剣が現れた。

 全ての剣はその切っ先をエクソシスト達に向けており、この剣の雨が降り注げばどうなるかなど、問われるまでも無い。

 

「――――憑依経験、共感終了」

「――――工程完了(ロールアウト)全投影(バレット)待機(クリア)

「――――停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)!!」

 

 降り注ぐ剣の雨が地上に血の海を作った。

 弾丸の如く降り注いだ剣により、100人居たエクソシストはその全てが命を散らし、血の海の中で肉塊となって散らばる。

 

「な、な、なんなの……!? 何なのよアンタは!!?」

「ふむ、そうだな……」

 

 堕天使が投げてきた光の槍を干将で弾き飛ばし、投影を解除すると、今度は別の武器を投影するべく設計図を脳裏に描く。

 

「ただの弓兵だ」

 

 バチッ! という音が一瞬だけ聞こえ、次の瞬間にはアーチャーの手に長大な紅い槍が握られていた。

 槍から放たれる聖なるオーラはそれが聖槍だという事を如実に語っており、堕天使は根源的な恐怖を槍から感じ取る。

 

「な、何? その槍は……」

「太古の昔、イエス・キリストを刺したと伝えられる聖ロンギヌスが持ちし槍……神殺しの槍は、堕ちたとは言え天使たるその身には耐えられまい」

「ロンギヌスの槍!? 馬鹿な!? まさか、あなた神器(セイクリット・ギア)を……!?」

 

 アーチャーから距離を取った堕天使は再度光の槍を作り出し、何度も投げつけてくる。

 しかし、その程度がアーチャーに当たるわけも無く、後ろに居るアーシアに当たらないように弾き飛ばし、霧散させていった。

 

「さて、召喚したばかりで魔力が著しく減っているマスターに負担をこれ以上強いるわけにもいかんのでね、早々に終わりにさせてもらおうか」

 

 槍を持つ右手とは反対の左手に、黒塗りの大きな弓を投影したアーチャーは、右手の槍を弓に番え、その切っ先を堕天使に向ける。

 

「I am the bone of my sword……穿て! 神殺しの聖なる槍(ロンギヌス)!!」

 

 放った瞬間、この部屋全体に眩い光が溢れた。

 光の中で槍は一直線に堕天使へと向かい、その心臓を貫き、貫通して反対側の壁へと突き刺さる。

 

「がっはぁっ……あ、ざぜ、る……様ぁ……」

 

 絶命し、倒れた堕天使が起き上がらないのを確認して、アーチャーは先ほどから呆然としていたアーシアの方へ近寄る。

 ようやく正気に戻ったアーシアは周囲の惨状に頬を引き攣らせ、ロープをアーチャーが切ったことで自由の身となった後は死んだエクソシストや堕天使の為に祈りを捧げた。

 

「さて、そろそろ良いかな? マスター」

「は、はい! えと、あの……」

「ふむ、状況をまだ認識していないようだな……私は君のサーヴァント、名をアーチャーと言う」

「アーチャーさん……ですか。あの、サーヴァントっていったい?」

 

 どうにも様子が変だ。

 アーチャーとして召喚されているのは間違い無いのに、アーシアに聖杯戦争の知識が皆無というのは些か妙な話、まさか嘗ての自分のように巻き込まれたのかとも思ったのだが……。

 

「ちょっと待ってもらえるかな?」

「は、はい」

 

 少し、入ってきた知識を確認すると、どうやら聖杯戦争で呼ばれたわけではないようだ。

 だが、自分の召喚にアーシアの魔力と、聖杯らしき物からの魔力が使われているのは確かなようで、恐らくだがイレギュラーケースの可能性が高い。

 

「すまんな、待たせた」

「あの……?」

「ああ、説明が必要だな……サーヴァントというのは、簡単に言えば使い魔みたいなものだ。シスターであるなら、使い魔の存在くらいは知っていよう?」

「はい、魔術師さんや悪魔さんが使役する存在、ってくらいの認識ですけど」

「それで良い。私はその中でも上位に位置する存在だ……英霊という名に聞き覚えはあるか?」

 

 首を横に振ったので、知らないという事らしい。

 

「英霊とは、そうだな……神話や伝承などで活躍した英雄などが人々の信仰により上り詰めた者。死後に人間を超え、精霊の域まで存在を高めた者を言う」

「じゃあ、アーチャーさんもその英雄さんなんですか?」

「ちょっと違うな。私はそこまで上等な存在ではない」

 

 今度は守護者の説明をする。

 生前、人の身では成せない奇跡を願い、己の死後を預ける代わりに世界と契約し、奇跡を起こした者。その死後に契約によって魂を世界へと捧げ、後に人類滅亡を回避するために戦う存在、それが守護者であると。

 

「つまり、私は英霊の中でも亜種の存在だ。古の英雄達と比べるのもおこがましい」

「でも、人の為に戦う存在なんですよね? なら私には凄い人としか思えません」

「ふむ……まぁ、良いだろう」

 

 随分と自分を買ってくれる。これは良いマスターにめぐり合えたのか、それともただの馬鹿なのか、それはこれからに期待する事にして、アーチャーは再び干将・莫耶を投影し、アーシアに背を向けると、彼女の盾となるべく構えた。

 

「気をつけろマスター、人外らしき気配が3つ……どうやら上から来るみたいだな」

 

 この場所は地下なので、地上から降りてくるのだろう。5つある人外の気配の内、3つが降りてくるのを感じ、2つは降りてくる様子は無い。

 

「マスター、最悪は逃げる事も考慮に入れておけ」

「逃げる……ですか?」

「そうだ。私を召喚したことでマスターの魔力は著しく減っている。その状態で先ほどの宝具投影と真名開放だ。これ以上戦いを長引かせるのは、マスターにとってはよろしくない」

 

 サーヴァント召喚に宝具投影とその真名開放で殆どアーシアの魔力は底を付いていると言っても過言ではない。

 一応アーチャー自身の魔力で戦えるが、宝具投影も真名開放も、そう何度も出来はしないのだから、逃げる事を視野に入れるのは当然だ。

 

「来るぞ」

「は、はい!」

 

 扉の向こうから足音が聞こえてくる。そして、バンッ! という大きな音と共に扉が蹴破られ、中に入ってきたのは黒髪の少年と金髪の少年、それに白髪の少女の三名だった。

 どう見ても人間にしか見えない3人だが、その発している気配は人外のソレであり、アーチャーの目には人間として映らない。

 

「アーシアああああ!!!」

「イッセーさん!?」

「……知り合いか?」

 

 黒髪の少年が叫んだのと同時にアーシアが少年の名らしきものを呼んだ。どうやらシスターであるマスターは人外の者に知り合いが随分と多いらしい。

 

「アーシア! 無事か!?」

「はい! アーチャーさんが助けてくれましたから」

「アーチャー? って、誰だアンタ!?」

「ふむ」

 

 アーチャーを見て驚くイッセーと呼ばれた少年の後ろで、金髪の少年と白髪の少女がそれぞれ剣と拳を構えていた。

 少年の持つ剣はどうやら魔剣の様だが、初めて見る剣だったので、剣の丘に登録したが、宝具級の剣でも無いので、使うときは強化が必須となりそうだ。

 

「どうやら君達はマスターの救援に来たという事で良いみたいだな」

「マスターって、アーシアの事か? ならそうだ、ここに堕天使が居なかったか?」

「ああ、堕ちた天使ならそこに転がってるぞ」

「へ? って、夕麻ちゃん!? 死んでる……」

 

 死体となっている堕天使を見て、イッセーは驚き、そして何故か少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

 どうにも理解出来ない。イッセーとアーシアは知り合いで、アーシアを助けに来たのだろうに、それで何故敵である堕天使の死を悲しむのか。

 

「状況が飲み込めんな……マスターを休ませなければならん、どこか落ち着ける場所へ案内してもらえないか?」

「だったら、この上の聖堂でどうです? 椅子もありますから、座って休む事が出来ますよ」

 

 剣を持った金髪の少年の提案を呑み、アーチャーはアーシアを抱かかえて3人に案内してもらいながら聖堂へと出た。

 因みにお姫様抱っこをしてもらっているアーシアは道中ずっと「はうぅ」と唸りながら顔を真っ赤にしていたのは、余談である。

 

「さて、状況説明の前にもう一度マスターには名乗らねばならないな。お互い、ちゃんとした自己紹介はまだだ」

「そういえば、そうですね」

 

 アーシアを聖堂の椅子に座らせ、その周りにアーチャーとイッセー、金髪の少年と白髪の少女が立つ形になり、状況のおさらいをする前に、初見の者も居るので、自己紹介をする事になった。

 

「改めて、私はマスターのサーヴァント、アーチャーだ」

「アーシア・アルジェントです。その、日本語がまだ上手に話せませんが大丈夫でしょうか?」

「見たところイタリア出身か? なら問題無い、イタリア語は日常会話程度のレベルだが話せる」

 

 実際にイタリア語でも自己紹介して見せると、アーシアも少し安心したのか笑顔を見せてくれた。

 

「僕は木場祐斗、ここにいるイッセー君と一緒にアーシアさん救出に来た悪魔だよ」

「塔城小猫……同じく悪魔です」

「兵藤一誠だ、アーシアとは、友達で、悪魔だ」

 

 悪魔、伝説に語られる存在がこうして人の姿をしているとは流石のアーチャーも驚きだが、なるほどだから人外の気配を感じたのだろうと納得した。

 

「それでは、先ほどから外で盗み聞きしている二人も、悪魔で間違い無いのかね?」

 

 アーチャーの言葉に全員驚き、聖堂の入り口を見れば小猫と同じ制服を着た紅い髪の少女と巫女服を着た黒髪の少女が立っていた。

 

「部長! 朱乃さん!」

「無事だったみたいね、イッセー、祐斗、小猫」

「あらあら、加勢に来た意味が無さそうですわ」

 

 新たな悪魔の登場に、アーチャーだけは少しだけ警戒する。

 いつでもアーシアを連れて逃げられるように。まだ、彼女達を信用したわけではないのだから、万が一の時はマスターを守るのが、アーチャーの役目のだ。

 

「それで、あなたがアーシアさんね? 無事だったみたいで何より。イッセーがお世話になったわ」

「い、いえ! イッセーさんにはとても優しくしていただきましたから……」

「それで、アーシアさんのサーヴァントだという貴方、聞かせて貰うわね? 一体、サーヴァントとは何なのか、何が目的で突然私の領地であるこの町に現れたのか」

「……ふむ、名乗りもしない相手に何を言って聞かせろと言うのかね? 悪魔というのは随分と礼儀を知らぬ存在と見える」

「……失礼したわ。私はリアス・グレモリー、この子達の主よ」

「姫島朱乃ですわ」

 

 グレモリーとは随分な大物が現れたものだ。ソロモン72柱の一角、序列56位の公爵という地位を持つ存在、現状で戦うとしたら苦戦は必至と考えるべきか。

 

「さあ、こちらは名乗ったわ。聞かせて頂戴、貴方の目的を」

「さて、目的と言われても困るな。私自身、先ほど召喚されたばかりで状況が飲み込めていない。マスター……アーシアを助けに来たという彼らから状況を教えて貰おうと思っていたところなのでね」

「召喚された? いえ、そもそも貴方は人間ではないわね。悪魔でも天使でも堕天使でも無い……サーヴァントとは使い魔という意味だけど、アーシアさんは使い魔を持つシスターだったのかしら?」

「いや、そうではない。私自身がそもそも先ほどアーシアと契約したばかりだ」

 

 既に召喚された事でアーシアとの魔力パスは通っているし、見ればアーシアの左手首には令呪が浮かんでいるので、契約は確りと結ばれている。

 

「あの、部長……まずは状況の説明しませんか? そうじゃないと話進みませんよ?」

「そうね、イッセーの言う通りだわ……そもそもの始まりは彼女、アーシア・アルジェントがこの堕天使が根城としている廃教会に赴任してきた事よ」

 

 何でも、アーシアは種族関係無く傷を癒す力を持つ神器(セイクリット・ギア)を持っていたため、教会で聖女と呼ばれていたのだが、ある日悪魔を癒してしまった事で魔女とされ教会を追放された。

 追放された彼女を拾ったのが先ほどアーチャーが殺した堕天使レイナーレで、彼女の目的はアーシアの神器(セイクリット・ギア)である聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)を奪う事だったのだ。

 

「なるほど、その神器(セイクリット・ギア)とやらを抜かれた人間は死ぬ。だから彼らは友であるアーシアを救う為に此処へ来たという訳か」

「そうなるわね」

「ふむ……悪魔とシスターが友達というのも変な話だが、なるほど……悪魔をも癒したマスターの優しさが、彼らとの友情を生んだという事か」

「や、優しさだなんて、そんな……」

「謙遜する必要は無い。最初こそどんな大馬鹿者が私のようなハズレを召喚したのかと思ったが、君のような優しい少女がマスターだというのなら、サーヴァントとしてこれほど嬉しいことは無い」

 

 アーチャーの賛辞に顔を真っ赤にして照れるアーシアに空気が少しだけ温かくなるのを感じるも、直ぐに引き締まった。

 まだリアスはアーチャーからサーヴァントについて詳しい説明を受けていないのだから、当然だが話せと目が語っている。

 

「サーヴァントについて私が君達に話せるのは使い魔的な存在だという事だけだ。これより詳しい説明をする気は無い」

「ふざけないでくれるかしら? そんな事で、私が納得するとでも思っているの?」

「思ってなどいない。だが、話す必要が無いので、話さないだけだ。私はアーシアのサーヴァントなのであって、君のサーヴァントという訳ではないのだから、命令されようともそれを聞く義務は無い」

「そう……なら、アーシアの関係者になれば良いのかしら?」

 

 何のつもりかと見れば、リアスは懐から赤いチェスの駒を取り出した。アーチャーもチェスのルールは生前覚えたため知っている、あれは僧侶(ビショップ)の駒だ。

 

「ちょうど回復役の下僕が欲しかったのよ。アーシアさん、あなた悪魔にならないかしら?」

 

 悪魔の囁きとは、このことを言うのだろうか。この時、アーチャーはそんなどうでも良い事を考えていた。




因みに、ネタが浮かんだら最初に更新するのはリターンですので、そちらもお楽しみに。

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