ハイスクールD×D~堕ちた聖女の剣~   作:剣の舞姫

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アニメ3期始まりましたねー。


第四十九話 「猥談」

ハイスクールD×D

~堕ちた聖女の剣~

 

第四十九話

「猥談」

 

 グレモリー公爵家に到着し、各々の部屋に案内されてから荷解きを終えた頃、夕食の時間という事で呼びに来たメイドの案内で全員が食堂に来ていた。

 広々とした食堂には巨大なテーブルがあり、その周囲を沢山の椅子が並び、人数分の食事が用意されている。

 当主であるグレモリー卿は上座に当たる席に座り、その右側の席にヴェネラナが、その隣にはミリキャス、そしてヴェネラナの後ろにグレイフィアが控え、ヴェネラナの向かいにはリアスという席順だ。

 

「あら、来たのね。皆、好きな席に座って頂戴」

 

 リアスに言われ、全員思い思いの席に座る。

 リアスの隣に腰掛けたのは流石に彼女の女王(クイーン)である朱乃であり、一誠はミリキャスにせがまれて彼の隣だ。

 朱乃の隣には小猫、イリナ、アーシア、ルイーナの順番に座り、一誠の隣には祐斗、ギャスパー、ゼノヴィアという順番になった。

 

「おや? アーチャー君、君の分の食事も用意したのだから、遠慮せず座りたまえ」

「いや、基本的にサーヴァントに食事は不要なのでね、私はマスターの後ろに控えさせて頂く」

 

 折角用意して貰って申し訳ないが、アーチャーの分として用意された食事は下げて貰った。恐らく後でメイドや執事が賄いにするだろうから、勿体無いという事は無い。

 

「では、今宵はリアスの眷属諸君と、お客様がいらっしゃった大切な日だ。リアスの眷属諸君、それからアルジェント殿、ルイーナ殿、アーチャー殿、この家を我が家だと思って過ごしてくれ……乾杯」

 

 グレモリー卿の音頭と共に始まった夕食、公爵家で出される食事というだけあり、一般市民出身である一誠やアーシア、イリナ、ゼノヴィアはその味に大層満足していた。

 いや、正確に言うならアーシアは美味しいとは思うし、満足出来る味であるのは間違い無いと思いつつも、やはりアーチャーが作る食事の方が圧倒的に美味だという感想を抱いている。

 

「ふむ、ところで兵藤君……いや、サーゼクスがイッセー君と呼んでいるのだったな。私もそう呼んでも構わないかね?」

「は、はい! 光栄です!!」

「ではイッセー君、リアスは学校や君の家で上手くやっているかね? この前は公開授業という事で様子は見られたが、普段の生活の事を知りたい」

「えっと、俺は部長とは学年が違うので部活中の部長しか知りませんが……家ではもう母さんや父さんからも気に入られていて、家事とかも手伝ってくれてます」

「ほう、リアスが家事を……そうか、あのリアスが家事をしているのか」

 

 若干甘やかして育てた自覚があるからこそ、グレモリー卿は娘が家事をやるようになったと聞いて感慨深く何度も頷いていた。

 そんな父の反応に、大袈裟だと娘のリアスは拗ねてしまうが、人間界に行って一人暮らしをするまで家事をした事が無かったのも事実なので、何も言い返せない。

 

「そういえばアーシアさんは冥界の空気は大丈夫ですか?」

「はい! 神器(セイクリッド・ギア)を出していれば大丈夫だってアザゼル先生に教わりましたので」

「なるほど、人間には若干有害な空気なので心配していたのですが、大丈夫そうなので安心しましたわ」

 

 因みにアーチャーの方はというと、冥界の空気を吸った所で人間にとって毒でも英霊にとっては然程効果が無かったらしく、魔術回路を常時ONにしていなくとも問題は無かった。

 アーシアも神器(セイクリッド・ギア)の形状が指輪なので、普段から出していても邪魔にはならない為、冥界で過ごすのに問題は無い。

 

「そうだ、夕飯の後は是非とも我が家自慢の露天風呂に入ってくれたまえ。旅の疲れを癒すといい」

 

 その後、夕餉は滞りなく進み、全員が食事を終えた所で解散と相成った。

 

 

 グレモリー公爵家自慢の露天風呂は脱衣所を出てから女湯は上、男湯は下に移動した場所にある巨大なものだった。

 女湯の方にはリアスを始めとするオカルト研究部女子と、ルイーナが入浴中であり、男湯の方には一誠と祐斗、ギャスパー、合流したアザゼル、それから一誠が女湯を覗かないようにと小猫に依頼されたアーチャーが入浴している。

 

「ふむ、温泉など生前を含めても何年ぶりだろうか……」

「あれ、アーチャーさんは温泉入った事が?」

「当たり前だ。まぁ世界中を放浪して戦場に立っていたから、最後に温泉に入ったのは生前でも20歳になる前くらいか」

 

 アーチャーは高校を卒業してからロンドンの時計搭へ留学していたが、それでも年に何度か帰国して、その時に温泉に行ったりもしていた。

 だが、凛と袂を別ってからは日本に帰国する事は一度しか無かったので、終ぞ温泉とは縁の無い人生を送る事になったのだ。

 

「おめぇさんも苦労してんなぁ。温泉なんざ魂の洗濯って言うくらい悪魔や堕天使の間でも人気なのに、人間だったおめぇさんが殆ど無縁に近かったなんざ、戦場ばっか立ってたからこんな娯楽との縁が無くなるんじゃねぇのか?」

「だろうな。少なくとも生前の私はのんびり温泉に、などという余裕は無かった」

 

 戦場に立っている以外は封印指定の魔術師だった事もあって協会や教会からの追っ手や、恨みを買った死徒から逃げ回って隠れながら生活する日々で、温泉にゆっくり入浴するなどという暇が無かったのだ。

 

「アルズベリの一件の時こそ余裕があったが……あの時は近場に温泉など無かったからな」

「ふぅん、アルズベリってのが何なのかは知らねぇけどよ。それだとおめぇさんイッセーと同じで童貞のまま死んだのか?」

「突然なんだ……」

 

 ここで下ネタを入れてくるアザゼルの神経を疑ってしまうが、先ほどから一誠とおっぱいについて熱く語っていたらしいので、その影響もあるのだろう。

 仕方が無いと、アーチャーは隠し持っていた日本酒を二つあるお猪口に注いで片方をアザゼルに渡す。

 

「お! サンキュー!!」

「グレモリー卿の秘蔵コレクションをくすねた物だから、何かあればアザゼルに押し付けるがな」

「ブッ!! て、てめぇ!!」

「それで、私が童貞かどうかだったか?」

「サラッと話戻しやがったなコンチクショー」

 

 何気に一誠だけではなく祐斗やギャスパー、それに女湯に居る女子達が魔法で聞き耳立てているのが気になるが、まぁ良いとする。

 

「女性を抱いた経験なら私にもある」

「お、マジか?」

「魔術師にとって、そういう行為は魔術の儀式として行う事もある。私もその例に漏れず生前に弟子……という程ではなかったが、一時期だけ助手のようなものを連れていた。その助手が女だった事もあり、性行為で魔術的なパスを繋いでいたんだ」

「ほう? んじゃ、初体験はその助手か?」

「いや、それは20歳を過ぎてからの話で、初体験は17の時だ」

「お、俺と同い年の時に!?」

 

 何やら一誠が煩いが、お猪口の日本酒を一気飲みする。するとアザゼルが風呂桶に入れて浮かべていた徳利を手にとってアーチャーのお猪口に注いでくれた。

 

「すまんな……まぁ、その初体験の相手というのがアーサー王だ」

「ほぅ、アーサー王が女だったってのは聞いてたが、まさか本当だったとはな……しかも、そのアーサー王が初体験の相手か」

「まぁ、そうなる。他にも10代の内に経験した相手はメデューサも居る……とは言え、あれは合意の上ではなく食われたと言えるが」

「あの女怪ともかよ! すげぇな……んで? アーサー王もメデューサも美人だったか?」

「ああ、二人とも美少女に美人だった。アーサー王……アルトリアは神秘的な雰囲気を纏った美少女で、メデューサはそうだな……知的なOL風のスタイル抜群美人といったところか」

 

 間違ってもアルトリアは貧乳だったとは言わない。というか、そんな事口が裂けても言えるわけがない。口にしようものなら、アルトリアの事だ……世界が違おうが、“座”に居ようが何しようが追いかけてきて殺されてしまう。

 

「へぇ、俺はそのメデューサにお目に掛かりたいものだねぇ。伝説の女怪とは言っても元は女神だったんだからよ」

「そうだな。確かに彼女は元女神というだけあって大層な美貌を持っていた」

 

 まぁ、本人は読書好きであり、乗り物フェチなところについて目を瞑ればメガネを掛けた姿と相まって文系の知的美人と言える。性欲が半端無い所は……どうしようもないが。

 

「美人と言えばコルキスの王女、裏切りの魔女メディアも中々の美人だった……本性はともかくな」

「そいつは俺も顔くらい知ってらぁ! 他に、他には誰か知ってる英雄居ないのか!?」

「残念だが貴様が喜びそうな女性の英雄について姿を知っているのはアーサー王とメデューサとメディアだけだ。後は姿を知っている英雄は全員男だな」

 

 筋肉達磨のヘラクレス、戦闘馬鹿のクー・フーリン、雅を愛する侍の佐々木小次郎、慢心王ギルガメッシュ……何故だろう、ヘラクレス以外は顔は良いのに性格に問題がある奴らばかりな気がする。

 

「しかし、アーサー王にメデューサ、メディアと、やっぱりお前さんの出自がわからん。予想出来るとしたらお前みたいなサーヴァントとして召喚されたのに会ったんだろうなって事くらいか」

「ほう……」

「時代も国も違う英霊と会うなんざ、それしか無ぇだろ」

 

 なるほど、流石はアザゼルというところか。まさかそこまで辿り着くとは。

 

「まぁ、正解ではある。生前、サーヴァントと戦う機会があったものでね」

「そりゃまた、随分だな……」

「普通ならありえん。だが、それを可能にしたのが聖杯戦争という大魔術儀式だ」

「聖杯、戦争か……随分仰々しい名前だ」

「ああ、本当に聖杯の名が付いていながら仰々しいものだ。7人の魔術師と7人のサーヴァントによるたった一つの聖杯を求めて争う殺し合いだからな」

 

 一応、アザゼルに聖杯戦争について概要だけ説明した。これから先、サーヴァントが敵として現れる事を考えるのなら、予備知識として持っていても損はしないだろうと判断したが故に。

 

「その話を聞いてみる限りじゃ、サーヴァントってのは魔術師じゃねぇと召喚出来ねぇみたいだな」

「ああ、だから言えるのは禍の団(カオス・ブリゲード)には魔術師が、もしくは自覚が無いが魔術師の素質を持つ者が居るという事だ」

「あん? 魔術の素質があれば魔術師だって自覚無くても召喚出来るのか?」

「かなりイレギュラーだがな。そもそも聖杯戦争でもないのに私達英霊をサーヴァントとして召喚出来ている時点で既にイレギュラーなのだが」

「聖杯ねぇ……聖杯って言われてピンと来るのはアレしかねぇが」

 

 そのアザゼルの呟きを聞いてアーチャーは何か心当たりがあるのかと思って聞き返した。もしかしたら、自分たちの召喚について何か判るかもしれないのだ。

 

「あるんだよ、聖杯はこの世界にも……イッセーの持つ赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)と同じ13種ある神滅具(ロンギヌス)の一つ、幽世の聖杯(セフィロト・グラール)ってのがな」

「……能力と、現在の所有者は?」

「能力については不明だ。現在判明してる事っていやぁ生命に関する能力って事くらいだな。所有者は俺も知らねぇよ……ルーマニアに居るらしいってのは掴んでるがよ」

「ルーマニア……ランサーらしき存在が確認されたのもルーマニアだったな……これは、偶然では無い、のか?」

 

 生命に関する能力を持った聖杯と名の付く神器(セイクリッド・ギア)と、ランサーのサーヴァントと思しき存在が一緒にルーマニアで確認されているとなると、これは偶然と考える方が無理がある。

 

「アザゼル、すまないが……」

「ああ、わかってる。幽世の聖杯(セフィロト・グラール)についての調査だろ? 下手したら本当に聖杯戦争の真似事が始まるかもしれねぇってんならやっとくぜ」

「頼む。それと、十分注意して欲しいのがルーマニアで直接調査する場合だが、ルーマニアにはランサーとそのマスターが居る可能性が高い」

「おう、留意しておく」

 

 さて、話もこの辺りで切り上げてアーチャーは早速覗きをする為に壁をよじ登ろうとしていた一誠に拳骨を入れてから風呂を出た。

 服に着替えてまずアーチャーが目指したのは屋敷のメイド及び執事達の長たるグレイフィアの所。

 

「お待ちしておりました、アーチャー殿」

「うむ、それでは始めようか……グレモリー公爵邸のメイド、執事の再教育プランを」

 

 この夜、アーチャーとグレイフィア主導によるメイド、執事の徹底再教育が施される事となった。




実は私、黒歌よりシトリー眷属の草下の声が聞きたいなぁとか考えてたりする。
草下、シトリー眷属で一番好きなものでw

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