現役生活二十六年。疲れたので、バ美肉して野球解説系Vtuber始めます   作:義藤菊輝@惰眠を貪るの回?

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 最後の方結構くどいかも。ただ、私が思ってる野球している時の彼をイメージしたらこうなりました。


8/20(木) VOODOO KINGDOM /敷島洋美cover

「どうしたの津路嶌。時計見て」

 

「いや、特に何かあるわけでは。ただ、こういうの初めてで」

 

「姪っ子の方が慣れてるの?」

 

 宮木さんまで言わないでください。そう言いながら、私は身に付けている紺色のスーツに乱れがないか確認する。

 

「緊張してんの。らしくないな」

 

「いや、引退するまでは取材とか受けない。とか一丁前に言ってたからですよ。いやぁ、元坂君は偉いね。ちゃんとこういう形でもファンサービスできるのは良いことですよ」

 

 その部屋は椅子が三つ並べられた小さな部屋。椅子の後ろにはD・P・C(ダイヤモンド・プレイヤーズ・クラブ)のロゴが書かれた壁。

 球界において2000本安打達成や、200勝達成などの一定の成績を収めることができた選手が所属する団体で、大体の入会条件を満たした人は所属している。

 

「いや、お二人とも大先輩なので、その緊張の方が大きいです」

 

 三つの椅子。その真ん中に座るのは、先日31歳という最年少で2000本安打を達成した男、東栄の元坂勇が座っている。

 一番左には、社卒でありながら18年間と長い期間活躍し、2000本安打と400犠打の二つの記録を残したヘルスの名ショート。宮木さん。

 一番右に座るのは僭越ながら私、津路嶌洋弥である。

 

「この前の撮影も二人だったんでしょ?」

 

「はい。そうですね」

 

 一週間くらい前の撮影は、彼が2000本を達成し、D・P・Cに入会するのに合わせて、私も入会することを団体側に伝えたことがきっかけで行われた。

 表紙の文字は、通算安打更新に期待がかかる男。だったはず。

 

「そろそろ動画の撮影を始めさせて頂きます。本日は三つの内容について話して頂き、それを3本の動画とします。もちろん話が脱線しても皆様が良いと思う内容でしたら動画化しますので」

 

 それじゃあ始めてください。そうスタッフさんに促され、私たち三人は口を開き始める。

 

「元坂選手、2000本安打達成おめでとうございます」

 

「おめでとう」

 

「ありがとうございます。大先輩のお二人に言っていただいてとても嬉しいです」

 

 宮木さんの通算安打は2133本。ワテクシじゃなくて、私の場合は3288本。元坂選手の場合は、今がちょうど2000本だ。

 あれ? 私だけ数字バグってない?

 

「今、勇いくつだっけ」

 

「えっと、今年32になります。12月で」

 

「32!? 若いな。そりゃあクラブジャケットよりもグッズの2000本記念パーカーの方が似合うわ」

 

 爽やかなイケメンは若さもあり、どう見ても格式張った服装よりも、カジュアルな感じの方が似合う。

 

「いや、それをいうならお前もだからな。身長低いし童顔だし」

 

「ちょっと宮木さん。そんなこと言わないでくださいよ。みんな知ってて黙ってくれてるんですから。知ってます? 志島さんと同級なのに、彼この前55って言われたらしいですよ」

 

 あはは。と三人でくだらない話をして、空気を和ませる。実際私が若く見られるのは事実だし、志島さんが老けて見えるのは事実。だが、年齢というのが今回の一つ目の話題だから、良い導入になったと思う。

 

「えっと、俺32? の時多分800くらいしか打ってないぞ?」

 

「いや、スタートが社卒と高卒で違うじゃないですか。彼はここから最低でも10年はできますよ」

 

 それにしても32か。プロ入って今が14年くらいか? それで2000本なら3000本は超えるんじゃないか?

 

「今の目標は、やっぱり私ですか?」

 

「安打数だと、そうですね。あと1200本。超えたいですね」

 

 打者としてプロ野球に入った以上。という前置きを置いた元坂選手は、明確な目標として津路嶌洋弥の存在は大きいと言ってくれる。

 

「実際、津路嶌さんがプロに入ってきたのは、宮木さんより前? でしたっけ」

 

「いや、俺社卒で24くらいの時に入ったけど、その時すでに中報のえぐいやつだったよ」

 

 宮木さんが今50歳で、私が今46歳。高卒で入団した二年後に確かヘルスへ逆指名していたはず。二年目だから、もう50本くらいホームラン打っていたはず。

 

「少なくとも打者としてプロに来て、ホームランにしろ安打にしろ打率にしろ、明確な目標があるわけじゃないですか。それも、央さんやチャン・フンさんみたいなすごく昔の人じゃない。お二人の年齢だとそういった方が現役のころが幼少期だと思うんですけど」

 

「目標になる人を見ていたのが大きい?」

 

「そうですね。僕もそんなにパワーバッターっていう訳でもないので」

 

「東栄入ってすぐはホームランも狙ってたの」

 

 宮木さんの質問に対する元坂選手の答えは肯定の二文字。

 

「ホームランだけじゃなくて、ライト方向に強い球を飛ばすのも真似してましたね。そっちの方がヒットゾーンが大きかったりもするので」

 

「あれいつのオールスターだ。元坂選手が私のところに来て、球飛ばすコツは? って聞いてきたの」

 

 いつの日だったか配信でも触れていた内容。配信の時に話したのはインコースについての話であったのだが、その時だ、彼が突然私のところまで来たのは。

 

「津路嶌さんが最後の三冠採った前年ですね。なんで……8年前のオールスターです」

 

「どんなこと聞かれたの?」

 

「え、その通りの言葉を聞かれましたよ。津路嶌さんみたくライトに引っ張ったような球飛ばすにはどうすればいいですか? って。それで、私は体格的に流しは合ってないからあきらめた方がいい。って言いました」

 

 その意図はと宮木さんに言われたため、私は当時どういったかを思い出しながら答える。

 確かあの頃は、流しの方向に打つことに意識を置きすぎて左肩が内側に入りすぎていたのを指摘したはず。流そうとして肩が入りすぎるなら本末転倒で、アウトコースも苦手。なら、狙って流し方向に打つのはスタイルとして合ってない。そう伝えた。

 外角が苦手なんだから、外角に球を投げさせざるを得ない状況にすれば、苦手なコースでも狙い打てる。という暴論も示した記憶があるが、私や星合さんがそういうやり方をしていたので間違ってはないはずだ。

 

「内角を打てるようになればいいって言ってましたよね」

 

「はは。言ったねぇ。覚えてる覚えてる。あの時私たちの近くにいた人みんな聞いてたよね」

 

 オールスターの時の配信でも言ったが、本当にこう言うお祭り騒ぎで普段話せない人と話すときに聞き耳立ててる人は大成してる。彼は自分から来てたしね。

 

「けど、あの打ち方はできないですよ。手のひら見せるってやつ」

 

「手のひら見せる? ピッチャーに?」

 

「そうそう。インコース打つとき限定なんですけど、要点は三つあって」

 

 一つ目に、インコースに来た球に対して、しっかりと斜めにバットを入れること。

 これが何より重要で、これができなければインコースを流しにすることはできない。私が持っている打撃理論で一番基礎の部分がこの考え。

 

 二つ目に、インパクトの瞬間まで右手は握らず添える程度にしておき、右手で球を取るような感覚で力を込める。星合さんはインパクトに合わせて左手の小指から順に握る。なんていう意味が分からない打撃をしていたが、できないなら似たようなことをしようと考えたのがこれ。

 

 そして最後の三つ目が、左手とバットを抜き、右手で押し出す。左手の感覚はそれこそ日本刀を抜くような感覚で使い、右手は右ひじを右腰に沿わせて押し出す。

 

「この三つが完璧にできたときは、しっかりと左手が投手の方を向いてる時で、必然的に流し方向に球が飛んでいくんですよ」

 

 私の説明に合わせて二人が手を使いいろいろと頭で考えているが、これ以上の説明はない。

 スタッフさんがバットを渡してくれたのでさっき言ったことを説明しながら素振りをする。

 

「これがね。僕には無理だったんです。なんで、バットのヘッドを落してみたんですよ」

 

「落とすの? ヘッドを?」

 

 実際に持っているバットを元坂選手に渡して実演してもらうと、バットを垂直にする()()()()で振っている。そうすると、ヘッドが下に行くため、私がしていた左手を抜く形に似通う。

 

「そういうことか」

 

「なるほどね。勇は左利きだっけ」

 

 元坂選手曰く、今も文字を書く時や箸を使うときは左だとのこと。つまり、利き手を使いバットをコントロールすることができるからこその打ち方ということ。

 

「由橋さんが右利きの左打なんですけど、プロに入ってから左手の使い方練習した。って言ってて」

 

「押す手ってこと?」

 

「そうですね。利き手で押すことと、逆の手で押すのだとどう押してもパワー差が出るんで、右手一本でバット振ったりとか、ヘッド落すから右肩が下がる。でもそれでしっかり飛ばせる。に持ってくために」

 

 やっぱり考えることは同じのよう。しかし、自分にはまる打ち方を20代で見つけれるのは財産だ。正直うらやましい。

 私の場合は星合さんに見てもらいながらだけど、それでもしっかりとこの打ち方を身につけれるようになったのは畿通に移籍してからしばらくだ。中報時代はバットの外を叩く方法以外はうまくいってなかった。

 

「まあ、インコースを打てるからってそこばっかり待っちゃうからアウトコースでやられるんだけどね」

 

「あれじゃないかな。時代もあるけど、内角のデッドボールとかもらわないじゃん」

 

 あー懐かしい。デッドボールは強打者の証。なんていわれていた時代が懐かしい。

 彼の場合、1シーズン通して死球がない。なんて年もある。

 

「お前とは違うな。お前外国人助っ人並みに乱闘しに行くだろ」

 

「天下の東栄さんと違って私が所属してたところはテレビ中継が少なかったですから。時代ですよ時代。当たったら殴られるのわかってるから私には投げてこなかっただけです。彼もそうじゃないですか? インをさばけるから下手に投げられない」

 

「あの。前から聞きたかったこと聞いてもいいですか?」

 

 恐る恐るといった感じで訪ねてきた元坂選手は、私に、元坂勇の抑え方を聞いてきた。それに便乗するかのように宮木さんも聞きたいと話したため、私も答える。ちょうど、今後ヒットを重ねるためには? という話題が2つ目なのでちょうどいいだろう。

 

「ピッチャーによって変わってきますが、誰と戦うことを想定しますか?」

 

「そうですね。コントロールが悪くて直球が強い先発投手と、制球と変化球が強い投手が抑えのイメージだとどうなりますか」

 

 元坂選手に言われた特徴を考えるに、すぐに出てくるのは繁野と抑えではないが水走。

 

「先発を繁野、抑えというよりセットアッパー的な感じで水走を出すとして、繁野は単純にコントロールがだめだから、真ん中に力いっぱいストレート投げさせるだけだよ。ど真ん中かボール以外できないから。あいつ」

 

 そうだな。初球からフォークとかで下に行くの印象付けて、3球目とかに直球。どうせ入らないからカーブ投げさせて力抜かせて。それをひっかけてくれれば問題ない。それで反応してファールとかにするならフォークだな。

 ただ、あいつの癖の球を下したときに握りが見えるから、それでフォークってバレるようなら、もう力比べしかない。

 

「水走なら、シンカーを軸に投げてアウトコースの出し入れ。荒れるけど速いシンカーと緩いけど制球の良いのがあるから。インのボール球2個くらい投げさせて、アウトローに縦スラ。正直あいつの縦は打てないよ。誰も。私が打てない球をみんなが打てるわけがない」

 

 言い方は上から目線だが、これは事実だ。人生で打てないと思った球が幾つかあるが、その中でも一番はヒロの投げる縦スラ。人差し指の内側でこするように投げるあの球は直球と同じ進み方でSFFのように一気に落ちる。打席に立てば消えるように感じるし、初めてあいつの球を受けたときは股の下をくぐっていたくらいだ。

 

「正直な話、ゾーンぎりぎりに投げられたとて関係なくて、組み合わせ方だからね。元坂選手の場合、インにツボがあってバットを下に向ける感覚。確かに流せるしバットも低い位置までカバーできるけど、それは拾いすぎるのもある。バッターを抑えるのは三振だけじゃない。野手がノーバンで捕球するか、一塁でアウトにすればいい」

 

 選球眼がそこそこにあっても、アウトコースについつい手が出るのは打ち方の癖。そういうのを利用して三振を狙うキャッチャーなのか、それとも打たせるキャッチャーなのか。割と私は後者である。必要な時以外は三振は狙わない。

 

「いいかい元坂君」

 

「はい」

 

「最初にも言ったが、アウトコースが苦手ならそこを狙って打てる環境を整えればいい。ここから私のホームラン数を超えることは無理だろうが、安打数は可能性が十二分ある。打者が勝負するのはピッチャーだけでなくキャッチャーもだ。創意工夫とともに情報に向ければ、おのずと数字がついてくるよ」

 

 

 

 

 

 ◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

「今日は楽しかったです。いろいろな話も聞けましたし」

 

 気が付けば、私たちは一時間半もの間話続けていた。

 年齢の話。これからのヒットの話。能力の低下に合わせたスタイルや調整方法。守備の面、打撃の面。野球の考え方。

 ヘルスの打撃コーチもしていた宮木さんにとっても勉強になっただろうし、私もそう。配信で使えそうな内容ができた。

 

「守備の面とかね。失策多いのが気になってたけど理由もわかったから」

 

「まあ、私たちは球界の先輩な(?)だけで大してえらくもないけど……。あ、そうだ、時たまこのバッセンにいるから顔出してみなよ。運が良ければ会えるよ」

 

 そういって私が出したのはいつも言っているバッセンのクーポン券。裏には住所や電話番号なんかが書いているので、彼が東京にいるときに足を運べば、運が良ければ会える。もちろん、球界の先輩である以上、後輩の相談の一つくらいは聞いてやろう。水口や谷選手なんかにしているように。

 

 ちらっと時計を見れば、時刻は午後の5時過ぎ。ああ、そろそろ待機所も賑わう頃だ。

 ムジカ先輩やその他の方に手伝ってもらった動画が、今日の20時に公開される。正直、不安だ。

 

「まあ、私たちにだけに限らず、できることコツコツしていけば、なるようになるよ。私も宮木さんもそうだったから、元坂選手もきっとそうなる」

 

「はい。ありがとうございます」

 

 彼のいい返事を聞いたところ解散となる。今日は一度大阪の自宅に帰り、明日新幹線で東京へ。この動画は明後日配信されるとのことなので、その日に、敷島洋美としてこの話を盛大にいじってやろう。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 8/20(木)洋美のチャンネル より

 #敷島洋美 #歌ってみた

 VOODOO KINGDOM /敷島洋美cover

 

 コメント:あとちょっと

 コメント:初歌みた

 コメント:ぶーどぅー?

 コメント:何の曲?

 コメント:チガサワギマスワ

 コメント:叔父の曲やるとかやっぱ好きだろ

 コメント:懐かしー

 コメント:晩年はテーマだったから

 コメント:チガサワギマスワ

 コメント:どんな感じだろ

 コメント:お嬢って歌上手い?

 コメント:たまに鼻歌歌ってるけど……

 コメント:チガサワギマスワ

 コメント:チガサワギマスワ

 コメント:おお!

 コメント:来るぞ!

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 コメント:チガサワギマスワ

 コメント:来たー!

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 コメント:期待

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 コメント:来たー!

 コメント:6

 

 待機場のコメントは、画面に映るカウントダウンに合わせて数字が並ぶ。

 多くの人がコメントを残し、そして待つ。0に変わる瞬間まで。

 

 画面が黒く染まっている。奥には長方形の白い場所があり、カメラアングルは、光がさすその場所へと近づく。

 バッターボックスが描かれた芝生の上で、鏡に向かってバットを振る一人の少女。背中についた数字は97。背ネームは『SHIKISHIMA』。

 

 ブン! ブン! と空を切るバット。

 

「おい、出番だ」

 

 顔の見えない男がそんなセリフを吐いたように見える。

 実際は音声はなく、少女が一度うなづいただけであるが、そんな幻聴が聞こえる気が視聴者たちにはしていた。

 

 コメント:来たー!

 コメント:ピアノか!

 

 静寂の中で響くのはピアノの音。

 少女の歩みに合わせて清らかに流れたメロディは、ドンドンと力を増していき、すれ違う選手、コーチ陣などが出てくると同時に言葉が流れる。

 

  Yo, I'm feelin' tha VOODOO in my brain(ああ、私の中に邪悪さが目覚めていく)

 

 歌詞は続いていく。私はいつもの私は違うと。

 

  Tha world rotates around me(世界は、私を中心に動き出す)

 

 少女は、ベンチからグラウンドへ一歩踏み出す。ヘルメットを被り、相棒のバットを握って。

 

 監督らしき男が、少女の背中をポンっと叩く。俯いていた少女は顔を上げ、駆け足でバッターボックスへと向かった。

 

  look into my evil eyez(私の邪悪なる目を見ろ)

 

 退屈を弄んだ存在と、彩られた時間。全ては、私に奉仕するためにある。

 

 バッターボックスへ向かう最中素振りをする少女を、ウグイス嬢がコールする。観客は立ち上がり、キャッチャーは、少女から一つでも情報を得ようと必死に観察する。

 

  Yo, cuttin' wit this my rhyme, my sight... (誰も私を止めれない)

 All time is on my side(全ての時は私のために)

 Design to get what I want(私のしたいことをするために存在する)

 

 彼女が歩んできた道のりが映される。

 長髪のユニフォームを着た男がバットを振る姿をテレビで見る。そして、球場で男がホームランを打つ姿を。マスクを被る彼の姿を。

 

 小さい体で打ち方を真似、捕球体勢を真似し、彼がすることを調べ、まとめ、意味を見出そうとする。

 

 しかし、彼女は女の子。周りの男に力で負け、侮られ、屈辱を味わう。

 速い球に対応できず、引っ掛けた球は遥か先で一塁に届く。投手は彼女のことを的程度にしか思わず、思わず涙を流す。

 

  Here's a taste of tha remedy(救済の味がわかるか)

 

 彼女はうなづく。誰よりも自分が素晴らしい存在であることを示すために。

 

 己を憂い Got it ?!(理解したか)

 

 彼女は答える。自分ができることとできないこと。どうすれば立ち向かえるのか。憧れに追いつけるのかに気づいたこと。

 そしてひたすらに練習する。男が投げる速い球を何度も受け、的ではなく捕手であると知らしめ、力がないからこそ少ない力で遠くへ球を飛ばす技術を身につける。涙など出る暇がないほどに。

 

 だから少女は叫んだ。

 

RUDIment's gon' succeed Yeah!(ここれが始まりだ。良いな!)

 

 敷島洋美はバットを振る。打った球は右へ左へ広角に飛び、時々空振ることはあれど、遠くへ飛んでいく。

 

 邪悪な恐ろしい目つきで投手を見据え、そして好きな方向へ球が飛ぶ。投手はその球の行方を怖がり凍りついた表情を浮かべる。

 一度捕まれば抜け出すことはできず、逃げの選択肢を取ることもできず撃沈していく。

 

 そんな奴らの顔を見ながら、ダイヤモンドをゆっくりと周る。加虐的な笑みを浮かべる洋美は、つぶやく。

 

  OH, THIS WORLD'S SO DAMN FINE(最高にハイってやつだ)

 

 と、ただ一言のみ。

プロ野球関係なく、初心者向け的な野球の話を読んでみたい?

  • 見たい!
  • 別に良い!
  • それよりも早く続き出せ!
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