妖精と白兎の愛育日記   作:護人ベリアス

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さて前回から急にリュー×ベルの知能指数が低下した感がありますが、どんどん低下していきますよ!(え?)
リュー×ベルのイチャイチャフィーバーです!(?????)
…作者の知能指数も低下してる気がします、はい。


心と心を繋ぐ愛情料理…?

 ぐぅぅぅ…

 

 

 部屋の中にお腹の鳴る音が響き渡る。

 

 少し情けなさまで感じさせる音を発していたのはリューと僕のお腹。

 

 そして原因はお腹を鳴らしながら頭を抱えるリューにある。

 

「ぐぅぅぅ…」

 

「…リュー?もうそろそろやめません?」

 

 文字に起こせばお腹の鳴る音と全く変わらぬ唸り声を上げるのはリュー。

 

 リューに僕は呆れ半分心配半分で中止を提案する。

 

 だがリューは諦められなかった。

 

 例え空腹に苛まれようとも。

 

 リューは一つの答えを見つけ出さなければならなかったから。

 

 

 僕の好物という(リューにとって)とってもとっても大切な答えを。

 

 

 僕の好物を自らの力で気付き、その僕の好物を自らの力で作り僕を喜ばせるまでは…

 

 リューは絶対に諦められない…とリューが言っていた。

 

 リューの僕を喜ばせたいと思ってくれていることは凄く嬉しい。

 

 リューの手料理は僕だって当然食べてみたいし、僕の好物であれば尚嬉しい。

 

 だが…僕には記憶がないのだ。

 

 

 リューに僕の好物を話したこと自体。

 

 

 なのにリューは自力で僕の好物を探り当てようとしている。

 

 なぜこんな不思議な挑戦にリューが挑んでいるかと言うと…

 

「…ダメです。あともう一歩で…もう一歩でベルの好物が分かる…気がするんです。あと少しでベルの考えが読めるような…」

 

「あの…確かに僕達が以心伝心の仲になれたらすっごい嬉しいっていうのは同感ですけど…その…ですね?」

 

「あぁ…感じてきました…この芳しい香り…これは…」

 

「それ絶対空腹が起こす幻覚ですからね!?リュー!!近くに芳しい香りを発する食べ物なんてありませんから!?」

 

 空腹が起こす幻覚としか考えられない何かを感じ取り始めまでしたリューに僕はもはや悲鳴を上げていた。

 

 まとめて話せば、リューは僕の考えを読めると証明するために僕の好物を予測しようと頑張っているのだ。

 

 僕の考えが読めるようになれば、以心伝心となり僕達の関係がより深まる…と。

 

 空腹は僕達の関係を深めるための言わば苦行…?

 

 その苦行を僕達の愛のために頑張るリューは凄く愛おしい。

 

 今尚目を閉じ瞑想に没頭しながら唸り続けるリューを想わず抱きしめたくなる。

 

 ただ一言だけ漏らしたい。

 

 …僕はこんなことになるとは予想もしていなかった、と。

 

 僕はリューの手料理を食べるために空腹のまま一時間以上も待たされることになるとは思いもしなかった、と。

 

 リュー…

 

 もう僕お腹ペコペコです…

 

 リューの愛の強さには僕の精神的にはお腹一杯だけど、本物の空腹は愛だけでは満たされず。

 

 ぐぅぅぅ…と再び僕のお腹が鳴る。

 

 …こんな事態に発展した発端はリューのお腹が鳴った時にあった。

 

 

 

 ⭐︎

 

 

 

「…分かりました。色々ありましたが、リューのお腹が鳴ったんですね。よく分かりました…分かりましたから…」

 

「はい…その…色々忘れますのでそろそろ話を進めたいのですが…」

 

 リューのお腹が鳴る音をお腹の中の子供の泣き声だと盛大に勘違いしてからしばらく。

 

 僕の悶絶が終結するまではしばらくの時が必要になった。

 

 そうして僕の羞恥心がようやく少し和らぎ、リューの顔を見れるようになった所で僕達の会話は再開されていた。

 

「…では昼食食べますか?調査中は酒場や屋台で適当に済ませてましたもんね…どうしましょう…?」

 

「確かにあんぱんと牛乳のような軽食ばかりでしたね」

 

「…前からお聞きしたかったんですけど、その組み合わせってどこで知ったんですか?」

 

「え?シルが教えてくれました。何でも頭を使うのに必要な糖分と身体を動かすのに必要な栄養を両方摂取できるように、と適切な組み合わせを教えてくださったんです。それにあんぱんの中の具材である小豆には疲労回復効果があるそうで…」

 

「そうなんですか?…ってまたシルさんですか…」

 

 リューが軽食であろうと健康に気を使って選んでいたという事実に少々驚きを覚えると共に僕の健康のことも気を使ってくれたという事実が分かり、ちょっと嬉しくなる。

 

 …まぁそんな些細な気遣いだけではリューの体調不良を防ぐことはできなかったんだけど。

 

 それはともかくどうにもその組み合わせが変だ。

 

 …どうしてあんぱんと牛乳?あんぱんは極東の菓子パンだと聞くし、あえて選ぶ理由がよく分からない。

 

 そもそも第一前提としてシルさん情報というのが疑いを呼ぶ。

 

 …というかまたシルさんですか。リュー?

 

 本当にリューはシルさんのこと好きだなぁ…なんて嫉妬していると、リューは急に畏まった表情で僕に視線を向けてきた。

 

「それで…今日の昼食に関してですが、時間もありますし外で買う軽食ではなく家で作る本格的な料理…は如何でしょうか?」

 

「家で作る本格的な料理…ですか?」

 

 家で作る本格的な料理…それもリューからの提案。

 

 これって…

 

 

「ええ。是非この機会にベルに私の料理を振る舞って差し上げたいのです」

 

 

 リューの手料理を食べられる!?

 

「ほっ…本当ですか!?リュー!!今日遂に僕はリューの手料理を食べられるんですね!?」

 

「えっ…ええ…」

 

 僕は初手料理に感極まって食いつくようにリューと距離を縮め肩を抱いてしまう。

 

 …いや、リューは食べませんよ?

 

 それはともかく僕の勢いにリューは若干戸惑い気味ながらも話を続けた。

 

「…ベルは私の手料理がそんなに食べたいのですか?」

 

「もちろんです!リューの愛が一杯込もった料理が食べられると思うと、もう心どころか体も踊り出しちゃいそうです!」

 

「ベッ…ベルは大袈裟過ぎます。…ですが…ご期待に添えるように最善を尽くしましょう」

 

 僕の歓喜にリューは頬を赤らめるのもそこそこに。

 

 リューは表情を引き締め、まるでダンジョンに挑む前の覚悟と緊張で一杯の表情に様変わりする。

 

 …あのーリュー?料理ってそんなに覚悟と緊張が必要ですかね?

 

 …とツッコミを心で入れつつも僕はそのツッコミを抑えて尋ねた。

 

「ちなみにリューは何を作ってくださる予定なんですか?」

 

「今日は是非ベルの好物を作って差し上げたいと考えています」

 

「僕の好物…ですか?」

 

 その時僕はもうすでに疑問を抱いていた。

 

 僕はいつリューに僕の好物を伝えたのだろう、と。

 

 …もう既にリューに手料理を食べたいと伝えてしまっている以上、この時点でもう後の祭りだったかもしれない。

 

 だがもうちょっと早くリューを止められたら良かった…と僕は後々後悔することになる。

 

「ええ。ベルの好物です。なので今から予測してみます」

 

「予測…え?リュー?何を言って…」

 

「私はベルの好物をこれまでにお聞きしていないので予測して当てなければ、料理を作ることもできないので」

 

「え…あ…はい?」

 

 話を素っ頓狂な方向に進めていくリューに僕は思わずポカーンとしてしまう。

 

 だがそのままボーッとしている訳にもいかず、今回は僕もツッコミを入れた。

 

「あの…リュー?僕の好物を予測なんかしなくても僕が普通に教えて…」

 

「…それではダメなのです。これは手料理を以てベルに愛を伝えるための試練なのですから」

 

「試練って何ですか!?リュー!」

 

 さらに話をおかしい方向に進めていくリューに僕は衝撃のあまり叫びに程近い声を上げてしまう。

 

 とは言ってもリューにとっては全くおかしな方向ではなかった…らしい。

 

 それをリューの独白によって知ってしまった僕はリューのためという意味でも手料理を食べたいという意味でも引けなくなってしまったのだ。

 

「…ベルには私の考えが読めます。ですが愚かな私にはベルの考えが読めません。これは婚約者として望ましくない状況です。このままではベルのことを理解することもできない最低な婚約者に…なってしまいます。そんな状況は一刻も早く脱却しなければ…ベルに顔向けできません」

 

「リュー…」

 

 リューの独白が漏らしたのは不安。

 

 僕はリューの正義に対する思いを理解して、その理解の元リューの考えを読み行動してきた。

 

 …その一方でリューは僕のリューへの愛の深さを…申し訳ないけど理解しきれていないような行動を繰り返してしまっていた。

 

 別に僕としてはリューが幸せであれば問題はないんだけど、そんな状況にリューは納得できるはずもなく。

 

 この不公平で不均衡なリューと僕の関係を一刻も早く改善したいとリューは思っているのだと…僕にも理解できた。

 

「それに…ベルは私をつい嬉しくなってしまうような事ばかりしてくださいます。まるで私の考えを完全に読みきっているかのように。それはとても幸せなのですが…お陰で私はベルにずっと翻弄されてばかりで…私もベルにもっと喜んで頂いたり照れて頂いたりしたいのです!ベルばかり不公平です!」

 

「リュッ…リュー!?」

 

 次にリューが漏らしたのは僕への嫉妬。

 

 それも途方もなく可愛らしい嫉妬。

 

 僕がリューを喜ばせたり照れさせてくれる。

 

 それはリューにとって幸せ。

 

 そんな僕にとって嬉しい言葉を聞かせてもらえる僕も幸せ。

 

 だけどその一方でリューは言うほど僕を喜ばせたり照れさせたりできていない…訳ではないですよ?リュー?

 

 なぜなら今こうしてリューが幸せだと言葉にしつつリュー自身が凄く照れているのを見られるのは僕にとって凄く喜ばしい。

 

 さらにリューをここまで僕が幸せにして照れさせていると考えると、僕まで恥ずかしくなってくる。

 

 ただ僕の本心をイマイチ汲み取れていないリューは止まるはずもなくて。

 

 リューはこの僕の好物当ての試練をこのように総括した。

 

「なのでこれは私がベルと互いの考えが分かり合える以心伝心の仲になるための第一歩です!ベルの好物を当てて少しでもベルの考えを理解していることを証明して見せます!そしてその好物を…なんとか…作って…ベルに手料理を以て愛を伝えるのです!」

 

 …最後の方に宣言が詰まり気味かつトーン下げ気味になったのはどうしてだろうか?

 

 そう小さな疑問を抱いたものの、リューの覚悟の詰まった宣言を聞かされて僕が断れるはずもなく。

 

 僕は応援の気持ちを込めた笑みと共にリューの覚悟を受け入れた。

 

「分かりました。僕もリューと以心伝心の仲になりたいという気持ちは一緒です。僕にたくさん愛を伝えてください。手料理も楽しみにしてます」

 

「…っ!はい!頑張ります!」

 

 感極まった表情と共に僕の言葉にコクリと頷いて応じるリュー。

 

 こうしてリューの僕の好物を当てようという半分ゲームみたいな試練が始まったのだが…ここからが試練と言うより…苦行の始まりだった。

 

 

「ミートソースパスタですか?」

 

「あっ…あれは…ちょっと嫌な思い出が…」

 

「では…カルボナーラですか?」

 

「うーん…言うほど好きではないですね…」

 

「では…パエリアは?」

 

「…『豊穣の女主人』のメニューで見たことありますが、食べたことないですね…」

 

「…スクランブルエッグ?」

 

「好きでも嫌いでもないと言うか…」

 

 …このときふと気づく。

 

 リューの頭の中の料理のレパートリーって僕の想像以上に少ないんじゃないかって。

 

 なぜなら最初に出てきた料理の名前がほとんど『豊穣の女主人』のメニューの料理ばかりだったから。違うとしても初歩的な料理ばかり。

 

 そして『豊穣の女主人』のメニューだと分かって聞いている僕は特に何も考えず率直に感想を口にしてしまって。

 

 それもまた判断ミスだった。

 

 …早々にリューの料理のレパートリーが底を尽きてしまったのである。

 

「あと…どのような料理がありましたか…?」

 

「…え?」

 

「はっ…ブラッドサウルスの温泉卵ですか!?」

 

「…ブラッド…サウルス?…卵?…食べれるんですか?それ…?」

 

「くぅぅぅ…」

 

 これ以後はリューは頭を抱え唸るばかり。

 

 気付けばリューのお腹だけでなく僕のお腹まで鳴り出してしまう。

 

 そしてリューの唸り声とハーモニーを…醸し出しはしない僕達のお腹はリューの思考を妨げようとするように定期的に情けない音を鳴り響かせる。

 

 そうして一時間以上が経過した。

 

 

 

 ⭐︎

 

 

 

「あぁ…ベル…すみません。…私は無力です…ベルの好物が…分からない…」

 

「…リュー」

 

 …当然と言えば当然では?というツッコミを僕は喉の奥に何とか仕舞い込みつつ。

 

 そうして僕が掛けるべき言葉に困り果てていると、リューは諦めかけてしまっている影響かどんどん負のスパイラルに突入していく。

 

「…私にはベルの考えが分からない…ベルの恋人に…相応しく…」

 

 ぐぅぅぅ…

 

「…ない…?」

 

 …お腹の鳴る音に重い雰囲気を打ち崩されながらもリューが落ち込み始めているのは事実で。

 

 僕はリューをどうやったら慰められるか。

 

 もしくはどうやったらリューの納得する方法で僕の好物を知ってもらえるか考える。

 

 …そもそも好物を全くヒントなしに当てるなんて不可能に近い…と思うのは僕だけ?

 

 僕がリューの考えを当てられるのはリューが仲間の方々のことを大事に思っていることと困っている人を見過ごせずつい助けたくなってしまうということを理解しているからで…

 

 …好物を当てるのに僕の性格とか分かってても役に立たないよなぁ…と思ってしまう。

 

 ただリューが試練に選んでしまった以上リューは意地でも変えようとするはずもなく…

 

 このまま行くと昼食抜きでは済まなくなる予感までしてくる。

 

 そんな時僕は今更のように気付いた。

 

 何も好物を直接教える必要はない。ヒントでいいではないか、と。

 

 そしてリューにも分かりやすいヒントは即座に思い浮かんでいた。

 

「えっと…そろそろお昼時終わりそうですね」

 

「…すみません。私が無力で無能でポンコツで…」

 

「きっと今頃神様大繁盛してるんでしょうね〜」

 

「神様…とベルが言うとなれば神ヘスティア…神ヘスティア…」

 

 そう。簡単なヒントだ。

 

 神様のバイトはリューも知っているはず。

 

 リューは気付いてくれる。

 

 僕の好物…ということになる食べ物か何かリューは気付いてくれる。

 

 そう信じて僕は呟き、リューに縋るような視線を向ける。

 

 …お腹が空いてそろそろ何か食べたかったから。こんな時はリューの手料理をお腹いっぱい食べないと気が済まない。

 

 そんな考えを抱きつつリューを見つめる。

 

 一方のリューは落ち込む様子から一転して考え込み始めた様子。

 

 そうしてしばらくが過ぎてハッと目を大きく見開いたリュー。

 

 リューは突進してきそうな勢いで僕との距離を縮め、僕の肩を抱くととうとう答えを叫んだ。

 

「じゃが丸くん!じゃが丸くんなのですね!?ベルの好物はじゃが丸くん!?」

 

「そっ…そうです!僕じゃが丸くん大好きなんですよ!」

 

「そうですか…じゃが丸くん…ベルの好物はじゃが丸くん…良かった…何とかベルの好物が分かりました…危うく当てるまで絶食する覚悟を決めることになるかと…」

 

 …そこまでするつもりだったんですか?リュー?という呆れと驚きが混じった呟きは心に封じ込めるとして。

 

 リューのあまりの勢いに一瞬戸惑い混じりになりつつも威勢よく僕の好物だとアピールした結果リューは深々と溜息を吐き、へたりと全身を背もたれに委ねる。

 

 …相当気張っていたんだろうなぁ…僕の好物を当てるために。

 

 …と嬉しくありつつもその本気の出す方向のズレを感じずにはいられない僕。

 

 それでも僕はリューに労いの言葉と頑張って考えてくれたお礼を伝えようと口を開こうとする。

 

 だがリューにとってはここからが本番だったと僕は忘れていた。

 

 僕が口を開く前にリューは自らの頬を叩いて気を入れ直すと、勢いよく立ち上がって言った。

 

「じゃが丸くん。必ずやベルの好物を作ってみせます。待っていてください」

 

「ちょっ…」

 

 今から作り始めたら食べられるのってさらに一時間後では…?それは流石に空腹で…

 

 とリューを止めようと思い立つ僕。

 

 だが僕もリューも決定的なことを見落としていたことに気付かなかった。

 

 そしてそれに先に気付いたのは料理を始めようとした他でもないリューであった。

 

「…ぁ。よく考えたら…じゃが丸くんの材料を…全く揃えていません」

 

「…それは…そうですね…」

 

「さらに揚げるための油の準備も…調理器具の準備も…」

 

「…」

 

「…」

 

「…外の屋台でじゃが丸くん二人分買ってきますね」

 

「そうして…頂きたいです」

 

「…この際神様にお頼みしてじゃが丸くんの美味しく揚がるコツとかお聞きするのは如何かなーって思いますが」

 

「…それも…出来ればお願いします…是非…神ヘスティアの技術を学んでみたいので…」

 

 こうしてリューの手料理は神様お手製のじゃが丸くんに変貌を遂げることになった。

 

 僕は自分自身お腹を空かせていたこともあり、そそくさと部屋を出た。

 

 …リューが尚のこと凹む様子を見ていられなかったがために。

 

 …流石にこればかりは…擁護のしようもないと思ってしまった僕であった。

 

 

 

 ⭐︎

 

 

 

「くっ…私は何をやっているのでしょうか…」

 

 私の後悔で埋め尽くされた呟きが部屋に響く。

 

 ベルは今神ヘスティアの屋台にじゃが丸くんを買いに出かけており部屋には私一人。

 

 まだベルが部屋を出てからそんなに時は経っておらず、私は未だ自らの大失態によるショックに打ちひしがれていた。

 

 ベルの呟きのお陰でベルの好物は分かった。

 

 …あの呟きはベルの気遣いによるヒントだったようにも思え、私がベルの考えを読み取れたということにはできないようにも思えたが…あれは恐らくベルの優しさの現れ。

 

 ベルは私がベルの好物を当てられずに悩んでいるのを見かねて呟いてくれたのだと思う。

 

 よってこれ以上自らの矜持に固執してベルの別の好物を当てようなどとは流石に私も考えなかった。

 

 そのためじゃが丸くんを何とか作り、ベルに初めての手料理を振る舞いたかった。

 

 じゃが丸くんは一時期『豊穣の女主人』でも扱っていたことがあるほどのオラリオの名物料理。

 

 …どうして私はそんな料理を思い出せなかったのだろうか?

 

 と、自らの記憶力の悪さに辟易した挙句の準備不足の数々。

 

 …逆に私は過去の私に問いたい。

 

 生活するための準備がほぼできていないこの部屋で一体どうやって私は自炊しようと思ったのだろうか、と。

 

 まだまだベルの婚約者として私は精進が足らな過ぎる…どうにかしなければ…と考えていたその時。

 

 

 部屋の呼び鈴が鳴った。

 

 

 …ベル?

 

 そう思ったが、神ヘスティアの屋台は近所にはない。

 

 …余程空腹に耐えられず急いで買いに向かったのではない限りこんな短時間で戻って来れるはずはない。

 

 

 では誰?

 

 

 私は万が一を警戒せずにはいられない。何があるかなど分かるはずもない。

 

 よって武器となる双葉を探すも…

 

 …ベルに勝手に調査に向かわないようにと以前に双葉を回収されていたことをすっかり忘れていた私。

 

 結果丸腰という不安の残る形で玄関へと向かう。

 

 そしてゆっくりと扉を開けて、呼び鈴を鳴らした主を確かめると…

 

 そこには完全に予想外の人物が不気味さを感じずにはいられない笑みと共に立っていた。

 

 

「やぁ。リューちゃん?久しぶりだね。ちょっと話があるんだけどいいかな?」




Q.料理回じゃなかったんですか?
A.料理(について考える)回です。ベル君の好物(仮)を知れただけ一歩前進ですよ!ええ!(白目)

よかったね。リューさん。ベル君の好物をじゃが丸くんと当てられて。
これでリューさんとベル君の以心伝心レベルが上がった!…といいですね。
実際問題それなりにリューさんはベル君の考えが読めてはいるように描いているつもりです。ただベル君よりは劣る。
…仕方ないじゃないですか。リューさんって結構単純で真っ直ぐで分かりやすい所ありますもの…
…とは言えベル君の好物はじゃが丸くんではない気はしますが。ただ思い出の品であるのは間違い無いでしょう。
あとはアイズさんを意識させる代物で…アイズさん?一体誰です?その方?(登場予定がない)

それはともかく唐突の何者かの訪問。
誰でしょうかね?
多分バレバレですね。
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