励みになってます!
そして過去編である前章開幕です!最初を飾るのは14巻の【深層】におけるシーンです。
原作をなぞりつつ進めてたらすっごく長くなりました!⭐︎
あ、先に言うと際どい描写は一切ありません。
あと何とか週一金曜日6:00投稿を始められように書き溜めを準備しました。なので今後は不定期更新から変更します。…二作同時連載ですが、できれば維持したい…
温もりに身を委ねて
それは七ヶ月前の出来事。
私は仲間を失い、ずっとずっと
私は
だがそんな私はベルと出会ったことで転機を迎えた。
そのベルはすぐに私の手を握った唯一の異性となり、私にとって特別な人になった。
そしてその七ヶ月前。【深層】にて。
私はベルから世界で最も尊い
私はベルのお陰で長らく失いかけていた
これはきっと多くの人々が経験してきた出来事で。
これはきっとありふれた何ら特別ではない出来事で。
でも私にとっては初めてで特別で一生忘れられない…そんな出来事。
そんな出来事を経験させてくださったベルに溢れんばかりの感謝を捧げよう。
そしてこんな私に愛を与えてくださったベルに枯れることのない愛を捧げよう。
これは私とベルが初めて愛を育み、私とベルの間に世界で最も尊い
⭐︎
私の耳に届くのは静かな水音。
時折私が立ててしまう衣擦れの音。
場所は【深層】の37階層。
偶然闘技場の下にあるのを発見してしまった水源にて。
死闘を潜り抜けた私は九死に一生を得る形でようやく骨の髄まで休むことができる休憩を取ることができていた。
ただ言うまでもなくここにいるのは私だけではない。
隣にはその死闘を二人三脚で何とか共に潜り抜けてきたベルがいた。
ただこの一時間私の耳に届いたのはほぼ水音と衣擦れの音のみ。
…要は私とベルは碌に会話も成立させられずに沈黙を保ち続けていたのだ。
その理由は一重に私とベルの衣服の状態にあった。
先程までに私とベルの衣服は水浸しになり、体温をこれ以上奪われないために乾かす必要が生じていたのだ。
…お陰で私もベルも一糸纏わぬ…とまでは言わないまでもそれに程近い状態に置かれていた。
…このような状態で男女が同じ場所にいるなど私としては考えられぬことであった。
だが私はなぜかベルと距離を取り、この状態を打開しようとは考えなかった。
それはベルとの距離を縮めたままでいたい…そんな思いがあったからか。
それともモンスターが確実に現れないという保障がない以上、身を守るために距離を取るわけにはいかない…そんな戦術的な考えがあったからか。
今の私にはそれの判断ができない。
ただ…
どれだけ羞恥心が生まれようともどれだけ気まずい雰囲気であろうとベルと離れたくない…そんな考えが私の中にあるのは確かだった。
その証拠に私とベルはこの一時間ずっと肩と肩が触れ合うか触れ合わないかぐらいの微妙な距離を保ち続けている。
それは私自身とベルの手をすぐに取ることができるだけの距離を保ち続けているということで。
それはベルが私と距離が近いことに嫌悪感を抱いていないということで。
私がベルに無意識な拒絶を向けていないこととベルが私を拒絶していないということは私にとって何故か嬉しい事柄であった。
ならいっそベルの手を私から握ってしまえば良いのでは…
と、思った所で。思考を停止させた。
…私は何故ベルと手を繋ごうと思ったのだろうか?
私にとって唯一私の手を取れた異性の方だから?
というか私からベルの手を繋ごうなどと、まるで私がベルの手を繋ぎたいと思っているかのようで…
…一度落ち着きなさい。私。
私はせっかく一度思考を停止させたのに再び不可思議な探求に突入しかけ、もう一度思考を停止させる。
…どうやら羞恥心と気まずさで私の思考はどうにかなっているらしい。
そして取り敢えず私はその二つを打ち払うのが最優先と考え、ベルに話しかけることに決めた。
それと同時に私はベルから離れようとしない理由に今更思い出した聞き出したいことを据えて、不可思議な探求の続行に終止符を打つことにした。
そして私はさらにしばらく話しかける決心をつけかねた挙句。私はようやくベルに視線を向けて、口を開くことができた。
「…確かめておかなければ、ならないことがあります」
「え…あ、はい。なんですか?」
「どうして、あの時、戻ってきたのですか?」
あの時、とは闘技場でのことだ。
私は自らを犠牲にしてでもベルを生き残らせなければならない時だと今でも思っている。今生きながらえているのは偶然の積み重ねのお陰。一歩間違えれば、確実に共倒れだった。
そう考える私はベルの判断が軽率なものだったと評価せざるを得ない。その判断が仮に私の命を救ったものだったとしても、である。それは私にとってベルの命が私の命よりも大切なものだと思えるからで…
そんなことを考える中、ベルは私と視線を交わすと静かに答えた。
「だって…リューさんを一人にしたくない…そう思いましたから」
「…っ!」
ベルの言葉に私の胸は唐突に高鳴り始める。
何故?何故?
私を一人にしたくない…それは一体どういう意味?
もし私が死を選ぶなら、共に死を選ぶつもりだったということ?
それとも私のそばにこれからずっといてくれるということ?
そんな甘い考えが私の頭を占めようとし、思考が乱れ、胸の鼓動が収まらなくなる中、ベルは続ける。
「…確かに僕のリューさんの元に向かうという判断は生き残るという観点では問題だらけでした。…でもリューさんを一人にしたくないという観点では確実に成功する判断でした。そして今こうして僕はリューさんのそばにいることができている。リューさんを一人にせずに済んでいる。僕の判断は正しかった…そう今の僕は断言できます」
「…もし闘技場の床が抜けなければ?」
「そうなれば、僕は命懸けでリューさんと一緒にあのモンスターの大群の中を突破しただけのことです。…もし無理なら僕とリューさんは同じ運命を辿ることになったでしょう。そうだとしても、僕はリューさんを一人にしないという目標を達成できています」
「…同じ死に場所を得られたから…とでも?」
「そういうことです。僕はもしそうなったとしても決して後悔しなかったでしょう…まぁリューさんを守れなかったことにはもちろん後悔しますけどね」
私が恐る恐る重ねる質問にベルは微笑を浮かべたまま、最後は少し苦笑いを浮かべ答え続ける。
まるでどのような結果であろうと私のそばにいられるなら全く問題はなかった…そうとでも言いたいかのように。
そんなベルの言葉は私の心を温かさで包み込んでくれる。
そうまでして私を必要としてくれている。
そうまでして私を一人にしまいとしてくれている。
その事実は私にとってなぜか何物にも替えがたい言葉だと…そうまで思えた。
だがふと一つの疑問が思い浮かぶ。
「…なぜそこまで私を思い遣ってくれるのですか?その…私はあなたに迷惑をかけてばかりです。今この瞬間も…だからベルがそこまでしてくれる理由が分かりません…」
「そんな卑下なさらないでください。リューさん。リューさんは僕のことを何度も何度も助けてくださいました。ついさっきだって僕のために自分の大切な命を捨ててでも僕を守ろうとしてくれました。なら…僕が自分の命を捨ててでもリューさんを守ろうとするのは道理で普通のことです。だってこれは僕からのリューさんへの恩返しですから」
「恩…返し?」
「そうです。リューさんは恩という考えをとても大事になさると思います。だから僕の気持ちも分かってくれるはずです」
「…」
ベルの言い分は私も納得せざるを得ないもの。
ベルが命を投げ打って私を救おうとすれば、当然私も運命を共にしようとしたであろうし、事実上現にそうしているようなもの。
それに恩という言葉を持ち出されてば反論のしようがない。なぜなら私がベルに尽くそうと決心できたのも私を受け入れてくれた恩を返したいという思いがあるからに他ならない訳で…
ベルは言い分として恩返しを立てた。
少なくとも私がベルに命を賭けたことへの恩を返すという言い分を。
その恩をベルは私と同じように自らの命を賭けることで返してくれた。
なら今度は返してくれた恩を私が返さなければ。
ベルは私の命を救うという返しようもない恩を私にくれたのだから。
だから今からでも私は少しずつベルに恩を返さなければ。
そう思い立った私は何か行動しなければとすぐさま考えていた。
「ベル…今何かお困りのことはありませんか?」
「…え?何故ですか?」
私の質問にポカーンとした表情を浮かべつつ首を傾げるベル。
だがそんなベルに構わず私は質問を重ねていく。
「どこか痛くはありませんか?」
「えっと…リューさんの回復魔法のお陰で何とか大丈夫です」
「ならば喉は乾いていませんか?」
「水は…リューさんのお陰でたくさん飲めました」
ただ私の質問にベルは特段困っていることを伝えてくれない。
それでは私はベルに恩を返せない。そう少々困り果てかける私にベルは少々気まずそうな表情で呟く。
「あ…えっと…まさかリューさん、今から僕に恩を返そうって思ってたりします?」
「…ダメですか?」
「いっ…いえダメなんかじゃないです!そっ…その…!」
ベルの質問に私がベルに恩を返そうとするのが迷惑なのではと疑い、ショックを受けかける私。
その様子を見てかベルは大慌ててで否定を始めたかと思えば、小声でボソリと言った。
「…なら言わせて頂きますというか…今更言うのも遅いと思うんですが…今すっごく視線の向ける先に困ってます…」
「…え?」
ベルの視線の向ける先。即ち私?
そう考えて気付いたのは、すっかりロングケープの間から露わになっていた私の胸の存在。
…ベルはこのことを言っている?
そう思い至った瞬間、私は瞬時にロングケープで見せてはいけないものを覆い隠す。
なんて不注意な…
…ベルの顔を見て話すのに集中していたせいですっかり気付かなかった私の不注意に心の底から後悔した。
ただ何故か恐らく不可抗力とはいえ私の胸を見てしまったであろうベルへの怒りは巻き起こることはなかった。
…以前は覗かれた可能性があると言うだけで問答無用に懲らしめようとしたのに。
一体どのような心境の変化か?
そんな疑問も湧いてきたが、その疑問の解消よりも先に小さく咳払いをしてひとまず雰囲気を変えようと試みる。
そして一応は不埒な状態は改善できたのでベルに視線を向け直すと、私はあることに気付いていた。
「ベル…あなた震えていますか?」
「震え…え…僕が?」
「まさか…寒いのですか?」
私の中で生まれたそんな疑いは私自身の身体を恐怖で震わせた。
ベルが寒がっている。それも震えを隠せぬほどに。
つまりベルの体温は危険な程に下がっている?
そうなれば、ベルの命に危機が迫っている?
まさかベルがいなくなってしまう可能性があるとでも言うのか?
私を一人にしたくないと言ってくださったベルが?
そう考えただけでも私は恐怖で今にも死にそうになる。
ベルを体温の低下如きで死なせる訳にはいかない。
連想ゲームの如くそう結論を出した私は即座に行動を開始していた。
確かに恩を返すという意味でも体温の低下からベルの命を守ることは必要なことだったが、私の思考を占めるのはベルへの心配と一人になってしまうことへの恐怖ばかりになっていた。
だからその心配と不安が私を突き動かしていく。
「ちょ…ちょ…ちょ…リューさん!?」
私はベルが驚きを隠せない表情をしていることにも私の背でパサリと何かが音を立てたのにも構うことなく立ち上がる。
そうしてベルの背に立つと、静かに膝を突き、後ろからそっとベルを包み込むように抱き締めた。
案の定ベルの背から感じる体温には冷たさを感じる。つまり私の方がまだベルよりは体温が高いということ。
だから私は少しでもベルに体温を分け、温めることができるように試みる。
その試みの結果私はベルに腕を絡め、出来るだけ密着することを選んだ。
「あの…リューさん?ケープが落ちてますよ?あっ…あと僕の背中に当たって…」
ベルは後ろから見ても分かるくらいに耳と頬を真っ赤にしてそう狼狽したまま言う。だが私はそれに動揺することなく応じた。
「そんなことは些事です。ベルが命を落とさずに済むならば…羞恥心など躊躇なく捨てます。まず視線の向け先に関しては私が後ろにいる以上解決できています」
「そういう問題じゃ…いえ。リューさんとしてはいいなら、一応いいですか…」
「…ええ。そんなことより温かい…ですか?これでベルに少しは体温を分けられる…はずですが…」
「もちろんです。リューさんは…とっても温かいです。ありがとうございます。リューさん」
「それは…良かったです」
私の躊躇を見せない答えに納得してくださったベル。そしてベルの答えはこんな方法でベルを温めることができるか今更ながら疑問を抱きつつあった私の不安を即座に取り払ってくれた。
そうして私とベルはしばらく密着したままで。
私の僅かばかりに高い体温を身体の冷え切ったベルに渡す。
そんな時ふと私は感じる。
ベルの身体は冷えたまま。だから私の身体は少しずつ少しずつベルに渡していってしまうから、冷えていってしまう。
けれど私の心はそれに反比例する様にどんどん温かくなっていくのだ。
どうしてだろうか?
どうしてベルと触れ合うだけで私の心はこんなにも温かくなっていくのだろうか?
私にはその理由が分からない。
だが少なくとも言えることはあった。
私の中にもっとベルの温もりが欲しいという欲が生まれていることである。
そんな欲を抑えつつ私は話す。
「ベル…?私は今ベルを温めるためにこうして後ろから抱きしめています。ベルが温かいと言ってくださって私は本当に嬉しいです。私の身体が少しはお役に立てました。これで少しでも恩をまたお返しできていたら幸いです。ただ私にとってそれだけではないと言うか…」
「リューさんのお陰で今の僕はとっても温かいです。ありがとうございます。あと言うと…その…身体だけじゃなくて心も温かいというか何と言うか…」
「えっ…?ベルもですか?」
「つまり…リューさんも僕と同じなんですか!?…ってあわわ…」
思わぬ意見の一致に私もベルも驚きを見せる。
ベルは驚きのあまり振り返った挙げ句超至近距離にあった私の顔を見て、ポッと顔を赤くしたかと思えばすぐさま前に向き直ってしまった。触れ合う背中からは早くなったベルの鼓動を肌で感じられる。
…言うまでもなくこんなにもベルの顔が近づいたのは初めてのことで私も鼓動が早くなっている。…ベルに気付かれてしまっていないだろうか?
そんな不安を抱きつつも私は先程のようにベルと向き合いたいと思い、しばらくの間の後にようやく口を開いた。
「その…こちらを向いて頂けませんか?」
「あ…え…でももしかしたら見えて…」
「構いませんから。…お願いです」
「…はい」
私の羞恥心を気にしてか躊躇するベルを強い口調と懇願で押し切った私は、ベルがもう一度振り向いてくださったお陰で再びベルと超至近距離で向き合うことができている。
お互いに顔は真っ赤になっているが、それでも私は先程のベルの呟きへの興味からすぐさま尋ねていた。
「ベル…?先程の心が温かいとはどういう意味ですか?私には私自身がこう感じている理由がよく分からないので…」
「えっと…僕の感じている理由は、ですが…リューさんの温もりを背中で感じるとリューさんが生きていてくれてるんだって実感できて…それがすっごく嬉しくて…あとリューさんが僕のことを抱き締めてくれているというのが僕がリューさんに気を許してもらえてると思えて…とにかく心がとっても温かいんです。それはきっとリューさんに抱き締めてもらえているからだと思います」
ベルの嬉しさの篭った笑みと共に告げられた心が温かいと感じる理由。
それは私の心に染み渡るものであり、ベルがそう感じてくれているという事実は私に途方もない喜びを与えた。
それと同時に私はベルの述べた理由を参考に私自身の理由も見出し始めた。
「…分かります。ベルの温もりを感じると私が一人ではないと実感できて…それで私がベルを抱き締めても拒絶されていないということが私にとって何よりも嬉しくて…そうですか。私はベルを抱き締めていられることに喜びを感じ、だから心が温かくなるような心地がしたのですね」
「つまり僕とリューさんはお互いに抱き締め合えていることがすっごく嬉しいってことですね。同じ考えを持てて僕は嬉しいです」
「私もです。ベル。でも…」
「…でも?」
私とベルの考えが一致したことに私はベルと共に笑顔で喜びを示そうとする。
だが私の思考は不意に不安によって遮られてしまった。
それはベルがいなくなってしまうのではないかという不安。
どんなにベルの温もりを感じようともその不安がどうしても消えないのだ。
どうすればこの不安は消えるのだろうか?
もっとベルの温もりを感じればいいのだろうか?
私はぼんやりとそんな回答を導き出しながら呟いていた。
「私は…ベルがいなくなってしまわないか不安で仕方ありません。この不安はどうすれば消えるのでしょうか?」
「それは…」
ベルは言葉を詰まらせる。この不安を消す方法は流石のベルも分からないようだった。
だから私は導き出した回答をベルにぶつけてみることにした。
もしかしたらベルの温もりを私に刻み込めば、ベルは絶対に私の前からいなくなったりしないのではないか?
私はそんな期待を抱きながら。
だがその期待はベルを温め恩を返したいという思いが建前に過ぎなかったと証明するものでもある。
だから私はそれまでも吐露しなければ、ベルに偽りを伝えることになる…そうも思った。だから私は素直に期待も自嘲も全て言葉にしていく。
「…私はベルを抱き締めることでこの不安が消える…私はベルのためと建前を立てつつそんな私情のためにベルを抱き締めました。…私は本当に醜い考えばかりする。私はベルを自分のために利用しようとしたんです」
「そんなことっ…!僕の存在がお役に立てるなら、その程度のこと気にしたりなんかしません!リューさんの不安を…僕がいなくならないという安心をリューさんが得るためなら僕はなんだってします。だってリューさんを一人にしたくないというこの思いは今の僕にとっての正義と言っても過言ではない思いなんですから!」
私の自嘲にベルは何度も首を振る。そうして私を一人にしたくないという思いがベルにとっての
だから私はベルのその厚意に甘えさせてもらおう。
そう決心して、その決心を言葉にした。
「ならば…私の頼みを聞いてくださいますか?」
「もちろんです!その頼みとは一体なんですか?」
慎重に呟かれた私の確認にベルは私を安心させようとするように満面の笑みと共に快諾してくださる。
そしてその快諾に私はその『頼み』を行動にて示した。
超至近距離で向き合っていた私とベル。
私はその距離を消し去った。
そうして重なる私とベルの唇。
温かい。
柔らかい。
気持ちがいい。
そんな簡単な感想しか思い浮かばないほどの心地よい感覚に襲われながらも、私はふわりと唇と唇が触れ合うに留め、すぐに距離を取る。
私の行動で示した『頼み』を理解できないのかそれともこの行動に衝撃を受けているのか分からないが、頬を果実のように赤く染め上げたベル。
ベルは言葉が出てこないと言わんばかりについ先程触れ合ったばかりの柔らかい唇をパクパクさせたまま何も言わない。
そんなベルを眺めながら私は確信する。
やはりベルの温もりをより感じるにはこれしかない。
抱き締めるだけでは足りない。
もっともっとベルの温もりを感じないと私は安心できない。
私の身体にベルの温もりを染み渡らせないと。
私にとってこの触れ合いは序の口に過ぎない。そう私の身体に宿る直感は告げていた。
私はその直感に従い、とうとう『頼み』を伝えた。
「ベル…?私をどうかベルの温もりで満たしてください」
私はその『頼み』を告げると同時にもう一度ベルとの距離を消し去っていた。
⭐︎
それからのことは私自身よく覚えていない。
私とベルは触れ合って。
私とベルは絡み合って。
私とベルは一つになった。
ベルの温もりは私を包み込んでくれた。
罪を繰り返すこんな私の全てを受け入れてくれた。
だから私もベルの温もりを全身で受け止めることで応えた。
ベルに触れられた私の身体は蕩けてしまうような心地を覚えた。
ベルの吹きかける吐息は私の身体に痺れるような感覚を味合わせた。
怖いことなんて何一つない。
ベルに一度触れられるだけで私の中に渦巻いていた不安も絶望もスッと消えていく。
ベルに一度甘い息を吹きかけられるだけで私は何も考えられなくなる。
でも今はそれでいい。
ベルの温もりを感じることができれば。
ベルが私を受け入れてくれて。
ベルが私のそばにいてくれる。
それさえ感じることができれば、何の憂いもない。
だからただベルの温もりに身を委ねてしまえばいい。
だから今だけは現実か空想か分からないような夢心地に身を浸すことを私自身に許した。
今だけは全てを忘れて、ただベルだけのことを考え、ベルだけを感じ、ベルだけを想っていたかった。
そんな一途な想いと共に私はベルの温もりに身を委ねたまま本当の夢の中へと落ちていった。
細部のリュー×ベル色を強化することで速攻でリュー×ベル成立&リュー×ベル一線越えを達成して頂きました!
攻めのリューさん降臨(?)
…が、リューさんは自分がなぜベル君と繋がろうとし、何をやらかしたのか十分に理解できていません。(性知識の欠如したポンコツなので)
リューさんの認識ではベル君の温もりをより感じたいという溢れる想いがエスカレートしただけなんです。他意は全くありませんよ!
…ということで夢の中での解決に委ねられることになります。そして夢に出てくる方々と言えば…
あ、リューさんがベル君を抱き締めて云々のきっかけになったベル君の震えはリューさんに怒られることへの恐怖だったと言うのは秘密ですよ!
最後の描写に関して少し言うと…
エロ小説は読んだことはあっても洗練された官能小説を読んだことがない作者には難題すぎましたね…
ちなみに『一つになった』という表現は原作中にも存在しているため、きっとリューさんとベル君は原作でも実は繋がってた(意味深)と思うんですよね(錯乱)
それはともかくリューさんとベル君は正真正銘一心同体になってしまいました〜
…え?いつ告白したかって?
後回しだぞ⭐︎だってですね…
ベル君はリューさんのことを一人にしたくなくて…
リューさんはベル君に一人にして欲しくなくて…
いつベル君とリューさんが両思いだと言った?リューさんとベル君は一緒にいたいだけだぞ⭐︎
…はい。単に自分達が両思いだと十分に認識できていないポンコツだと言いたいだけです。
告白回は今後に回します。まずは夢の中でのお話からー