励みになってます!
ようやく【深層】編を終えて、オリジナル展開に突入します。
まずは原作でもリュー×ベルが収容された治療院の場面から〜
治療院騒動
「検査は以上です。しばらく入院して頂く必要はありますが、お二人とも大方の処置は済みました」
「この度は本当にありがとうございました。【
「僕からもお礼を。ありがとうございました。アミッドさん。こんな凄い義手の準備まで…」
「私は治療師として当然のことをしたまでです」
清潔感漂う純白の部屋で。
ベッドに横たわり、身体を起こしていた私とベルは治療師として今の今まで私達の治療に力を尽くしてくれた【
『ジャガーノート』という悪夢を消し去るにとどまらず、ベルのファミリアの方と私の同僚達という頼もしい救援の到達によって私とベルは正真正銘
…正直散々生きて帰る生きて帰ると宣いながら、【下層】にひとまず到達するという目標しか立てないという見事なほどに先の見えていない計画であったことに後になって気付いたのは閉口ものであった。
それは溢れんばかりの生き残るための意志とは対照的に総力を挙げて挑んだ『ジャガーノート』戦は勝利したとは言え身体に与えた悪影響は甘く見れるものではなかったことから明らか。
疲労が限界近くまで蓄積し、負った傷は数知れずという満身創痍の状態では【下層】まで辿り着いてもとてもではないが、脱出行を継続することができなかったような状況だったのだ。
だが頼もしい救援はその悲観的な現実を私達に思い出させる前に姿を現してくれた。
皆さんの配慮と気遣いにより私達は戦闘を皆さんに任せ、移動に専念させてもらった。
…もちろん私とベルの満身創痍だろうとパーティに身を置く以上共に戦うという要望を一蹴されるという経緯を経た上で、ではあるが。
それはともかく皆さんの護衛の下私達は37階層からの脱出を果たすことができたのである。
37階層まで命懸けで助けに来てくださったベルのファミリアの方々や私の同僚達には感謝してもしきれない。
そして私達は脱出後早急にバベルの治療院に担ぎ込まれ今に至る。
私もベルも治療が遅れれば命を落としかねなかったと【
確かに私自身よくこんな苦境を乗り越えられたと他人事のように関心するが、私にはその理由をはっきり認識できている。
それは私とベルの間に
「リオンさん。クラネルさん。念のため…念のため確認に申し上げてもよろしいですか?」
私がベルの温もりで満たされた思い出に浸ろうとしていた所を遮ったのは【
はっと自分の世界から抜け出して、【
そんな視線を向けられる理由を理解できない私とベル。
一度顔を見合わせ視線を交わし、ベルが小さな頷きから【
それに私は頷き返すことでベルの意思に同意を示すと、互いから視線を外すと共に【
「問題ないです。何なりと仰ってください」
「大丈夫です。アミッドさん」
「ありがとうございます…では申し上げましょう。幾つか申し上げさせて頂きたいのですが…」
私とベルの同意に【
そうすると【
「まず一つ。お二人を別々の部屋にすると一度申し上げた時の件です。その点に関して少々苦言を申し上げたく…」
「「え?」」
【
…私とベルが別々の部屋にされそうになるという不愉快な決定が行われた時に一体どのような苦言を告げられるようなことを私達がしたというのか?
そう思いかけた所、【
「何を言っているのか分からないと言わんばかりの表情ですが…まずここは治療を行う場であり、この場においては治療師の言葉が第一であることはご理解頂けないことではないかと思います。にも関わらずお二人は私の言葉に反発しました。それも本来なら許可し難い理由と不適切な態度を以てです」
「…うっ…」
「なっ…何を仰るのです!?私のベルと離れたくないという想いは考慮に値しないと仰るのですか!?」
「リュ…リューさん!?」
【
ベルが慌てて宥めようと激昂する私の名前を呼ぶが、その宥めが発せられる前に【
「今のように激昂するリオンさんが問題だと私は申し上げようとしているのです!ただでさえ重い怪我を負い不必要に感情が昂るのを控えなければならない身にも関わらず、何という沸点の低さ!リオンさんはご自分のお立場が理解できないのですか!」
「…っ!…ぐぅ」
【
その様子に【
「…それにここには他の患者の皆さんもいます。どうか他の方のこともご配慮ください。あなた方が騒ぎ立てたことで少なからぬ方が迷惑を蒙ったことは隠しようがない事実です。その点をどうかお忘れなきよう」
「…お助け頂いた身にも関わらず僕達が多大なご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
「…私からも謝罪を。すみません」
【
…私はただベルから離れるのが嫌だっただけなのに…と不満が渦巻く中、【
「…あなた方がどのような経緯でここにお越しになったかを詮索するつもりはありません。ただ私にでも分かることはあなた方をいつ何時も引き裂くことを望まなくなるほどの絆を築き得る苦難をお乗り越えになったことです。…それは今お二人が負われている怪我からもお察しします」
「アミッドさん…?」
「なのである意味特例として今回はこのようにお二人に同室という形を取らせて頂きました。本来男女が同室の病室など考えられないことです。ですがお二人の感情が怪我に悪影響を及ぼす可能性…先程のように暴走される可能性、それら全てを鑑み、許可を出しました。…私が薄々お二人のご関係をお察しし、配慮したいと思ってしまった私の私情が絡んでの結果なので、いつでもこのように上手くいくとはお思いにならないように」
【
治療師の立場としては私達の行動は許し難いが、【
それに私とベルの関係を察したとはどういうことか?
…まさか私達が恋人同士にきちんと見えるということ?
もしそうなら私はベルの恋人として相応しいと見られているということであり…
「リオンさん!」
「…はっ…はい!」
「…まだ話は終わっていません。自分の世界に入って行かず、きちんと私の話をお聞きください。まだ終わっていないので」
「…もっ…もちろんです…」
「リューさん…」
一人考え事をしていた所、【
… 【
…私は決して【
と思った私であったが、【
「それでもう一点。それは仮にお二人が同室だからとは言え、お二人には出来るだけ余計なことをして頂きたくないということです。その意味がお分かりになりますね?」
「…分かります」
「…え?一体どういう意味ですか?」
【
…私とベルに余計なことをして欲しくない…それは一体どういうことか?
「どうやらリオンさんはお分かりにならないようですね…仕方ないので。これまでお二人がなさってきたことをお話ししましょうか?」
「ダッ…ダメです。アミッドさん!ちょ…リューさん…とにかく僕達が不要なことをしなければいいということですから…」
「ベル?不要なこととは一体何ですか?それが私には分からない以上【
「だからリューさぁん!?」
ベルが何故か私が【
よって私はベルの制止にも構わず【
そんな私に【
「簡潔にまとめるならば、治療の場においてイチャイチャしないでください」
「…あぁ…」
「イチャ…イチャ?」
「そうです。身に覚えがないならば、一つ一つお伝えしましょうか?」
ベルが放心したように諦観を表情に露わにする。
…そしてその時になって私はようやく【
イチャイチャ。
男女がくっついて仲良くすること。
…私はベルと私が引き離されそうになったことに怒りを示す以外にどんな問題のあることをしたのか分からないつもりだった。
だがそもそもベルとの距離を縮めようとすること自体が問題と捉えられているとしたら?
そう考えれば、今更のように私の頭に様々な事実が蘇る。
診察中のベルが心配でずっと手を握り締めようとしたり…
私の診察の番でもベルから離れないとしなかったり…
…その他にも色々問題視されるようなことをした気が今更のようにしたが、もはや思い出せなかった。
それは私を憤死させかねない事実で。
決して【
私は【
…これ以上恥をかかないためにも【
「どうやらようやくご理解頂けたようですね。リオンさん…あなた方が私の前で何をしてきたかを。どうやら私が細かくお伝えするまでもなかったようで何よりです」
だが私が阻止のための言葉を発する前に私の表情が青ざめていくのを見て取り、私の恐れを取り除いてくださった【
ただ【
「お分かり頂けたならば、今から入院生活における注意点を全て話させて頂きます」
⭐︎
「…ニャ?リューはどうしてちょっと前まであんなに騒いでたのにそんな静かなのニャ?」
「…あの【
「リューはポンコツだからあれくらい怒られても仕方ないのニャ。ちょっとだけミャーは済々したのニャ」
「あは…あははは…」
口々に話すアーニャ、ルノア、クロエに彼女達に愛想笑いをするベル。
そして布団を被ったまま意気消沈した私。
…あれから結局【
何が問題なのか全て説明まで加えられてだから反論など寸分も生まれるはずもなく。
羞恥心の余り私はベルの顔さえ見られないような心境になっていた。
…これだから周囲に暴走妖精と呼ばれても仕方ないのだ、と自嘲したくなる。
そんな憤死したままの私を放置して見舞いに来てくださった同僚達はベルとの会話を進めていく。
「それで?おミャー達の怪我はどうだったのニャ?白髪頭の尻は無事ニャ?」
「えーっと…僕もリューさんも入院が必要だと言われましたが、後々に響くような問題はないそうです。あと…僕のお尻は無事です」
「ほんと良かったよ。冒険者君もリューもさ。生きて帰ってきてくれて。どうやったら二人は戦い抜けるんだか。正直私だったら諦めちゃいそうだよ」
「それは…ですね?…まぁ色々あったんです」
「色々ねぇ…まぁ…詮索は…しないけど…」
「…うん。ミャーも面倒は嫌だから聞かないでおくニャ」
ベルとの会話は円滑に進んでいるかに思えた。
だが急速に雰囲気が悪くなり沈黙が訪れ始めるのを流石の私も感じ取らざるを得ない。
みんなの表情を見れないため、その雰囲気が悪くなり始めた理由を掴めない私。
ただその理由はアーニャが口を滑らしたことによって露見した。
「それにしても白髪頭とリューはどうしてそんなに距離が近いのニャ?まるで付き合ってるみたいなのニャ!」
「バッ…バカ!余計なことを…!」
「…逃げるニャ」
「ニャ?ルノアもクロエもシルも気にならないのニャ?白髪頭とリューはどう考えても今までよりもずっと仲が良くなってるのニャその理由が気にならないのニャ?」
…この時の私はアーニャが口を滑らしたことの意味を理解していなかった。
何故これほどまでに同僚達が動揺していたのかも理解していなかった。
一人だけただの一度も口を開かなかった人物がいたかも把握していなかった。
そしてそんな間抜けな私に人影が近づいてきた時。
そしてその人影が私の耳元で囁いた時。
私はようやく気付く。
「…リュー?ベルさんとのこと…怪我が治ったらゆっくり聞かせてもらうから。…覚悟しておいてね?」
背筋が凍えるような声が私の背に刺さって。
今まで感じもしなかった罪悪感が全身を襲って。
その時私はようやく自分が犯した罪を思い知らされたのだ。
もしかして:リューさんはポンコツ?
…うーん…もうちょっと頭良くなってもらった方がいい気がしてきた…
ということで退院したらもうちょっと落ち着いてきて、親になることが確定したら凄く思慮深くなる…,予定。
…の前にリュー×ベル構築のための問題。
ベル君のことが好きな(可能性の高い)シルさんとどう向き合うか。
ここを避けてもいいんですけど、ちょっと妙な展開になるので避けません。何より今後もシルさんをできれば出したいからこそきちんと向き合う、と言ったところですかね?
…まぁシルさんがベル君をどう思ってるのかイマイチ分かりませんがね。そこを考えるのはリュー×ベルを成立させる上で非常に難しいです。(そして大体自分の場合深入りせずに応援させるか話自体を設けない)
何よりリューさんポンコツ回が多かったので、たまには真面目にリューさんが悩む回を加えたいな、と。
よってしばらくはシルさんとの関係を如何に再構築していくかが課題になってきます。
あ、ちなみにですが外伝12巻の内容は全カットです。
元々リュー×ベルのイベントではないからという理由もあります。(描くことと言えばお腹の子供がベルお父さんに反応して疼いた結果、リューさんがズッコケるくらい?ただ日数調整が不能なので描きたくても描けないんですよねーお腹に子供がいるリューさんをフィルたんがボコボコにする展開とか言語道断ですし…)
何にせよモンスターを倒すことも世界を救う(?)ことも今作の趣旨では全くないので加える必要はないと思ってます。
世界を変えるのは別の世界線の別の正義を心に宿したリュー×ベルにお任せします。(自分の第一作を見てくださいね!)
今作のリュー×ベルはあくまで二人を結ぶ愛と愛児のためのみに生きるというのが趣旨ですから!
あと再び宣伝を最後にさせて頂きます。
G-WOODさんのリュー×ベル作品です!(R-18なので見れない方もいるかもですが…)
転機を同じ14巻の【深層】に置かれている作品ですが、人それぞれ着目点が違うのが非常に興味深いです。(一つの題材を色んな方が描いたらどうなるんだろうと前々から関心があった作者としては尚更。)
あ、あと自分が避けてしまった(?)リュー×ベルの行為をきちんと描いた作品でもあります。(ここ大事)
もし宜しければご覧になってください!
https://www.pixiv.net/novel/series/1357014