Re:Demonslayer 両断から始まる鬼食い転生記   作:砂漠谷

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《三日目》~《五日目》

《三日目》

 

 戦闘と鬼食いで夜が明けてしまった。

 炭治郎と合流しよう。鬼の行動が制限される昼のうちに鬼の住処を見つけて襲撃したいが、俺は探知能力は無いに等しい。名前を呼びながらうろうろ歩き回ってみるか。

 

「おーい、炭治郎ー。炭治郎やーい。共闘しねぇかー」

 

 うろつき回っているうちに夜になってしまった。それでも呼び続けていると、茂みから炭治郎が現れた。

 

「おぉ、炭治郎。頼みがあ……」

「悪鬼め、人間のふりをして名前を呼び、俺を食らうつもりだな!俺はお前に名前を教えた記憶はない。そもそもお前からは鬼の匂いがするぞ、特に口から。おおかた、共食いでもしていたんだろう!」

 

 まずい。この世界の炭治郎が俺に名前を教えたことがないのは事実だ。鬼食いをしているため、鬼の匂いがするのも自然だ。どうにか誤解を解かなければ…

 

「待ってくれ、俺は人間だ!お前の名前を知ったのは最終試験前に話しているのを聞いたからだ。鬼の匂いについては…隊律違反になるので黙っててほしいが、俺は鬼食いをして身体能力を強化できる体質なんだ。見た目も人間だろ?」

「信用できない。証拠がない。見た目が人間とは言うが、暗くてよく見えないし、おそらく人間に化ける血鬼術でも使ったんだ。腰に差してる日輪刀も誰かから奪ったものに違いない」

 

 まずい、相手の論理のほうが明らかに正しい。

 こうなったら、アレしかない。

 

「なら、朝日が昇るのを待って、俺が日光に当たるのを見てくれ。それで無事だったら信用できるだろ?」

「…………わかった。だが、他の隊士を助けるためにも、鬼を狩り続けなきゃいけない。お前にも手伝ってもらうぞ。共食いをしていたんだし、そのくらい平気だろう?」

「だから俺は鬼じゃ……まあいいか。鬼を食って鬼化状態になれば日光に当たると危険だから、お前に信用してもらうまで鬼食いはしねえ。俺は呼吸が使えないから、鬼化状態じゃなければあまり戦力にならないと思うが、それでいいか?」

「それでいい。探索や囮役、直接戦闘じゃなくてもやれることはあるだろう」

「探索はお前のほうが向いてると思うがな」

 

 そして炭治郎は鬼を狩り続けた。やはり炭治郎の鼻はすごい。ぽんぽん鬼を見つけて首を狩る。俺は一応囮役ということになっているが、囮が必要なのかは疑問だ。

 俺は鬼食いの必要があるから、日輪刀で首を斬り飛ばして塵にするとまずい。生きたまま食うしかないため、かなり面倒な手順を踏む必要があるんだ。

 炭治郎に限らず、他の剣士は雑魚鬼相手なら時間を掛けずに済むのだろう。

 しかし、炭治郎の俺に対する警戒の目線が辛い。鬼かもしれないと警戒する炭治郎の視線には慣れない。親しく思っている他者から疑われるということがここまで精神的に堪えるとは知らなかった。

 

「なぁ、炭治郎」

「なんだ。お前はできるだけ俺の後ろに立つなよ」

「ああ、うん……そうなんだが。お前、水の呼吸を使ってるんだってな」

「見ればわかるだろ。なぜそんな話をするんだ?」

「全集中の呼吸って、常にしてるか?」

 

 ここで炭治郎に強化のアドバイスをしておく。本来、炭治郎が全集中の呼吸・常中を習得したのは那田蜘蛛山で下弦の伍一派を倒した後の機能回復訓練時だと聞いている。炭治郎やその仲間が早く常中を習得しておけば、よりそれまでの戦闘が楽になるだろう。犠牲になる隊士も少なくなるかもしれない。そういったことを期待して話を続ける。

 

「全集中の呼吸?いや、戦闘時にしかしていないけど。それがどうかしたか?」

「実はな、全集中の呼吸を常にすると、基礎体力や筋力がとても高くなるらしい。全集中の呼吸・常中って技能なんだが。習得は容易ではないらしいが、試してみないか?」

「それをしたら即死するとかじゃないだろうな。師匠に指導してもらって、尋ねてみようか」

「頼む。それと、全集中の呼吸・常中のことを他の生き残った隊士にも教えてやってくれ。基本の技能らしいんだが、あまり情報共有がされていないようなんだ」

「なんでお前が頼むんだ?まあ、情報の裏が取れたら広めるよ」

 

 炭治郎と鬼を狩り続けながら―――と言ってもほとんどは炭治郎が狩ったのだが―――夜は更けていった。

 

《四日目》

 

 日が差してきた。日光を浴びているところを炭治郎に見せつける。

 

「ほら、これで俺が鬼じゃないってわかっただろ?」

 

 それを見た炭治郎が、いきなり土下座してきた。

 

「今まで君を疑って申し訳ない!失礼な態度をとり続けてしまったことも!謝る!」

「頭を上げてくれ。いいんだ、確かにあの状況では仕方がなかったからな。」

「ありがとう。恩に着るよ。鬼食いや常中についても信用するよ」

 

 炭治郎が頭を上げ立ち上がる。俺は彼に手を差し出して、彼と握手をした。

 

 

「俺の名前は不死川玄弥、よろしく」

「俺は竈門炭治郎……ってもう知ってるか」

「ところで相談なんだが、俺は鬼食いをして強くならなきゃいけないんだ。お前の鼻を頼りにこれからも一緒に鬼狩りをしないか?俺の鬼食いに協力してくれると助かる」

「鬼食いか。それって生きたまま鬼を食べるんだろう?それは可哀想だ。素早く首を切って楽にしてあげた方がいいと思うんだけど」

「いや、でも相手は鬼だぜ?人を食ってるんだから食われても文句は言えないだろ。それに、俺が強くなればより多くの人を助けることもできるんだ。しかも……」

 

 俺の能力や経験の説明も含めて説得していく。一個体でできることには限界があるのだ。いくら俺が転生者であるというアドバンテージがあるとはいえ、それを活かせないと意味はない。仲間の協力によりさらに強くなり、より強い鬼を狩れるようにならなければならない。

 

「うん、わかった。納得はできないけれど必要なことは理解できた。俺は君に協力する」

 

 ようやく納得してくれたようだ。早速鬼食いのために鬼を探す。すぐに見つかった。というか炭治郎がすぐに見つけてくれた。木の洞で日光を避けていたようだ。

 

[竈門炭治郎は戦技(アーツ)【打ち潮】を繰り出した]

 

 何か変な音声が脳裏に響いたが、考えるのは後だ。炭治郎が鬼の胴体と右腕を素早く切り落としたため、俺が落ちた部位を食う。

 

[能力名【悪鬼の因子】のラーニング完了]

[能力名【飢餓暴走(ハンガー・バーサーク)】のラーニング完了]

 

 脳裏にその能力名が響いた瞬間、俺は咄嗟にその二つの能力をオフにした。

 明らかに危険そうなアビリティだ。前者についてはよくわからないが、後者はおそらく鬼の飢餓状態の暴走がアビリティになったものだろう。きっとこれは永久にオフにしておくべき能力だ。

 特筆できる特徴のない男性型の鬼だったが、使える能力はラーニングできなかった。

 しかし、自分で傷をつけてみたところ、傷の再生速度が上がっていた。以前の鬼化状態よりも幾らか再生速度が速かったのだ。

 おそらく、俺は鬼食いをすればするほど、アビリティの強度も上がっていくのだろう。これにより、いくら鬼食いをしても無駄ではないことが分かった。

 

 炭治郎と鬼を狩り、食らい続ける。とはいっても主に狩るのは炭治郎であり、俺は主に食ってるだけだ。偶に鬼の体の切断に力を貸すくらいでしかない。

 夜も更けてきたが鬼狩りの手は止めない。できるだけ多くの鬼を殺さないと、それだけ隊士候補者に被害が出る。鬼食いで速度が遅くなっているから、その分頑張らなければ。炭治郎が。

 

[能力名【石の体】のラーニング完了]

 

 鬼化中は肉体強度や膂力が向上するが、精神的には好戦的になり、人食い衝動も多少湧き出てくる。

 覚悟していれば大したことはないし、アビリティとしてはオフにしているので精神的な影響も大したことはないのだが、それでも精神衛生上あまり良くはない。

 鬼化のブースト無しに、アビリティを十全に振るえるようになりたいものだ。

 

《五日目》

 

 そんなことを考えつつ鬼食いをしていると、夜が明けた。

 

「ぜぇ、ぜぇ、はぁ。そ、そろそろ休まないか、玄也。もうお腹いっぱいじゃないか?」

「いや、全く問題ないが。まあ鬼も少なくなってきているし、日中は休んでもいいんじゃないか?」

「ありがとう、そうさせてもらう……」

 

 炭治郎は地面に突っ伏しそのまま寝てしまった。無理をさせ過ぎたようだ。この時の炭治郎の体力の限界も知れたし良いだろう。

 俺も休もうかとも思ったが、炭治郎にのみ鬼狩りを任せすぎて、俺は体力を消耗していない。山を歩き回った疲労が無いとは言えないが、鬼化による肉体強化もあり、ほぼ万全の状態である。

 しかし、炭治郎がいないと日中は碌に鬼を見つけることができない。

 

 仕方ないので、アビリティについて確かめることにした。

 【飢餓暴走】については危険しか感じないので放置しておく。

 

 まずは【巨大腕】【巨大脚】、これは発動すると、ミキミキと骨肉がきしみ、どこぞのマッチョマンのように腕や脚が太くなり長くなる。非鬼化状態だと、腕や脚の長さが10~20㎝程伸び、太さは細い丸太と同程度に大きくなる。

 もちろん筋肉量も増えるため、単純な筋力増強アビリティとしても使えるだろう。ただし身長や腕の届く範囲が異なるため、慣れが必要だ。常にオンにしておくことにする。

 

 そして【肉体操作権奪取】、これを発動すると、傷口や粘膜から蚯蚓のように神経の束が這い出てくる。

 指の爪の間から生やしたこれを適当に捕まえた鼠の尻穴にぶっ挿すと、多少の抵抗があった後、鼠が気絶し一挙手一投足を操れるようになった。視界の共有もできるようだが、アビリティ強度が低いのか、ぼんやりとしか見えない。聴覚や嗅覚、触覚についても同様だ。鼠の場合だと、肉体の構造が違うため動かすのにかなり苦労した。

 感染症にかからないようにアビリティによって作られた神経の束は戻さずに切り落とした。

 相手が鬼や人間、強大な生物の場合だと、肉体を乗っ取るのもおそらく難しくなるのだろう。それでも、鼠も抵抗の際に苦しそうにしたり、僅かに腕だけ動かせたりもしたので、完全に乗っ取ることができなくとも攻撃や行動妨害の手段として使えそうだ。

 

 次は【悪鬼の尽きぬ体力】、特に肉体に変化はないが、非鬼化状態でもランニング程度であれば息切れもせずに走り続けられる。ただ、全力疾走を数十分続けると、流石に脇腹が痛くなってくるようだ。

 

 【悪鬼の因子】、危険だと思うが、内容が不明だ。知らなければ、知って鬼への対策をしなければならない。

 アビリティを発動する。すると、腹が空いて人肉を体が欲するようになる。それと、自分のその衝動への嫌悪感も薄くなるようだ。他者への攻撃性も高くなっているような気がしなくもない。短期的には耐えられるし理性も持つが、これを何か月何年もオンにしておくと理性も溶けてくるだろう。すぐにオフにしておく。

 この感覚を鬼は常に受けているのか。少し鬼に同情が湧くが、しかし今のところ殺すしか選択肢はない。珠世さんは鬼を人間に戻す薬を作れたらしいが、それも濃度の高い上弦の血液を採取して実験に使った結果だ。今は無理だろう。

 

 

 話がズレた。そして最後は【石の体】、単純に肉体が硬くなる、という効果だ。動きが鈍くなる、関節が固くなるなどということもなく、単純に攻撃に対して強くなる。動く岩のようになる、というほうが表現としては正確か。

 まあ、非鬼化状態であれば軽石程度の強度しかないし、すぐに傷が付くようだ。

 

 アビリティの実験がちょうど終わったタイミングで、炭治郎が目覚めた。もう夕暮れだ。

 

「う~ん、疲れは取れた。鬼狩りにいこうか、玄也」

「おう」

 

 しかし、なかなか鬼は見つからない。もう藤襲山に鬼はいないのだろうか。

 

「う~ん、匂いからすると痕跡はあるんだけど……なかなか姿を表さないなあ」

「残り一匹か?」

「多分」

 

 探索は無駄になり、夜は明けた。腹が減っているので、鬼ではなくそこら辺の魚を取って食うことにする。

 川を探して、そこから刀を銛のように使って取る。

 

「火の番は炭治郎が頼む」

「わかった、俺に任せてくれ。得意なんだよ料理」

「知っ……そうなのか。じゃあ任せる」

 

 炭治郎が調理してくれた焼き魚を食べる。

 

[能力名【エラ呼吸】のラーニング完了】

 

 

 

 

 なんとなく、予想はしていた。

 この、微妙に、しかし本質的に変わった世界では、俺の能力も変化しているのではないかと。

 

 

 

 

 




ツイッター依存が激しい
改稿、肉体硬化→石の体
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