「で、どうするの?」
「え~とひとまず待つ?」
「それもそうね。」
はっきり言うとあそこにおそらく転移先とつながってるであろう場所が見えてるけどね。
「言い訳はどうしましょう?」
「別に偶然でゴリ押せばいいでしょ?」
いやゴリおして・・・まあ確かにいちいち言うより偶然で押し通した方がいいとは思うけど
「で、待ってる間は何するの?あなたの嫌いな退屈ではあるけど。」
「いや~そうでもない。」
「へぇ、蓮子がねぇ。明日は槍でも降るのかしら?」
「え!?そこまで信用ないの!?私」
「冗談よ冗談。」
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あれから雑談をしつつ一回だけ出てきたロックマウントを片付けていると壁に変化が現れた。
「帰ってきたの?」
「戻ったのか!」
「帰れた……帰れたよぉ……」
トラップに巻き込まれたみんなが戻ってきた。
「メルドさんいったい何があったんですか?」
しらじらしい?こう見えても演技はうまい方だと思ってるわ。例えば胡散臭く見せたり・・・いえこれは絶対やっちゃいけない方面の演技ね。
「ああ、お前たちか。巻き込まれなくてよかった。詳しいことは後で話す。お前達! 座り込むな! ここで気が抜けたら帰れなくなるぞ! 魔物との戦闘はなるべく避けて最短距離で脱出する! ほら、もう少しだ、踏ん張れ!」
そのあとは無事に地上に出たけどいったい何があったのかしら。南雲君がいないということはそういうことでしょうけど。
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「南雲君がね・・・」
「彼がね・・・」
どこか引っかかるのよね。
「でも、なぜだか彼が死んだ気はしないのよね。」
「どうして?」
「口ではうまく説明できないのだけどどこかの吸血鬼風に言うと『彼はまだここで死ぬ場所じゃない、そう運命が言っている』これが一番しっくりくるわね。」
蓮子が何かを考えてるようだけどあ私から言えるのは感覚的なものでしかない。ま、それをしっかりと言葉にしてくれるからいいんだけど、蓮子が。
「まあ、メリーがそういうならそうじゃない?でも落ちた先はきっとかなりの危険地帯だろうし食料もないから奇跡の一つでも起きない限り生存は絶望的だけどね。」
「でも今の状態って『シュレディンガーの猫』じゃない?」
「確かにそうね。まあ蓋じゃないけどね。」
「ねえ、そろそろ雑談をやめない?」
「はいはい分かりました、お嬢様っと。」
「あら?時間を守れない従者はいらないわよ?」
「まあひどい。茶番はここまでにしましょう?」
「そうね、南雲君には悪いけどこれを利用しない手はないわ。準備を進めて整い次第、勇者組からの離脱した方がいいわ。私たちが仮称神に目をつけられてない可能性はゼロじゃないはずだから。」
「はあ、これからの気が重いわ。」
「ま、頑張るしかない。」
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あれから、王都に戻ってからは特に忙しかった。必要なものを周りに気づかれずに集めるのは苦労した、特に苦労した。
準備が整った私たちは白崎さんの寝てる部屋に向かってるわ。まあ言ってしまえばひとまずの別れの挨拶ってところかしら?
ノックをしてはいると
「あら?」
「え、蓮子にメリー?どうしてここに?」
八重樫さんが不思議なものを見たように言ってくる。ちょっと傷つくなぁ。
「簡単に言うと」
「お別れの挨拶ね。」
人のセリフを・・・
「え?どういうこと?」
―どこまで説明すべき?―
―離れる理由と能力ぐらいでいいんじゃない?あんまり言いすぎて危険にさらすのもあんまりだし―
アイコンタクト終了。
「まず前提の話からしましょうか?落ち着いて聞いてね。」
「え、ええ?」
「私たちはオカルト関係で活動してる、ここはいい?」
「まあ学校でも有名だったから、それはね。」
「じゃあ、私たちにはちょっと特殊な眼を持ってるの私のは「『結界の境目を見る程度の能力』そしてこの私は『星を見ただけで今の時間がわかり、月を見ただけで今いる場所がわかる程度の能力』をもってるの」
また人のセリフを・・・
「そこまで話したいなら蓮子が説明しなさいよ。」
「ごめんって。まあここからは私が引き継いでゴホン。困惑するだろうけどひとまず後にしてもらうわ。その眼を使って私たちは日本に眠る神秘を暴く活動をしてる。そこまではよかったのよ。」
「よかった?」
「そこなのよ重要なのは。メリーの眼、というよりその大本であろう力が強くなって制御がきいてないの。」
「待って?境目を見るその能力が強くなってるってどういうこと?」
まあそうよね。あくまでも(仮)でしかないのよね。
「あ~ちょっと説明不足だったわね。あくまでも実際に分かっていた範囲のことだったものだから仕方ないわね。今はその範疇じゃすまないっていうのが正しいのよ。現状、境界を操る領域に足を踏み入れてしまっていて制御ができてない上にメリーが無意識に時折謎の言葉を発していたりするようになってるの。」
「それのどこか問題でも?」
「問題だらけよ!現状のメリーは妖怪とかと同じレベルまでに達してる。それが境界という強力な力を操り始めて制御のきいてないメリーがもしも『人間と妖怪の境界』を誤って踏み外してしまう可能性すらあるの。」
「待って待って。さっきから妖怪とかがいる前提で話してるけどいるの?本当に?」
「「ええ」」
八重樫さんが引き攣った顔見せてる。珍しいこともあるわね。
「信じるの?」
「ま、まあそう考えた方が腑に落ちることがあるもの。こっちに来た時落ち着いてたのも魔物とかを見て動揺してる様子が見られなかったもの。・・・ねえもしかして」
「たぶん想像してる通りだと思うわ。私たちは「わかったうえでこっちの世界に来た」
「!!・・・私からは特に言うことはないわ。」
「・・・もっと言うかと思ってたわ。」
一回ぐらい胸ぐらをつかまれると思ってたのに。
「私だってわからないほど愚かじゃない「光輝と違って?」そうそう光輝と違って・・・おい。」
「「事実でしょ」」
「無駄に息があって・・・まあ、たとえ言われたとしても何をとち狂ったかぐらいにしか思わないだろうから責められないって言いたいの。」
「「さすが苦労人」」
「はあ」
遠い目をして・・・ああ、おいたわしや。この年齢でこの貫録をは・・・
「ま、私たちから言えることはここまでね。」
「私たちがいなくなったらまた苦労するかもだけど、ごめんね。」
「じゃあやめて欲しいわ。」
まあ、頑張れ。そうだ
「後、南雲君は多分生きてると思うわ。」
「え!?どうして?」
「しいて言うなら『運命がそういっている』ってところかしら吸血鬼風に言うなら。ま、私の本分じゃないけどね。」
そういうと私たちは部屋を出て王城からその実を消した。