ありふれてしまった秘封俱楽部   作:名もなき提督

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世界を越える。

言葉にすると簡単だけど普通じゃ経験するようなものではない。

 

まさか、教室内にいた全員が巻き込まれるとは思ってもいなかったわね。

突然こんなところに連れられた所為か混乱してるみたいね。常識的に考えるとあり得ないことが起こったから当然だけどね

 

こんな風に考えてるはいるもののしっかりと周りの観察はやめてないわ。

巨大な壁画があるけどどこか胡散臭い雰囲気を出してるのよね。それに何かの祭殿の上にいるみたいね。周りには祈りをささげてるように三十人ほど装飾過多なおそらく神事にかかわるような衣装をまとった人たちがいる。

 

しかし、その中におかしなヒト。いえ、存在がいた。教会とかにいるようなシスターのような見た目をしてるけど『結界の境目を見る程度の能力』(仮)を持つ私から言わせてみれば明らかに人間じゃないわね。今まで会ってきた妖怪とかとも違うけど人間と比べたらそっちの方が近いわね。

 

蓮子の方も考えてるみたいね。まあ頭の出来で言ったら前世とかそういうの抜きで私以上に優れてるからね。普通にこの世界の仕組みが見えているといっても過言じゃないレベルね。そんな蓮子も違和感を感じてるみたいね。

錫杖をシャラシャラならし鳴らしながら眼光の強い(おそらく)最高司祭が近づいてくる。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎いたしますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりまするイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、よろしくお願い致しますぞ。」

 

イシュタルねぇ・・・メソポタミアの我が儘女神様と同じ名前を関してるなんて皮肉なのか、何かの因果か、ただの偶然か。警戒するには値すると思うわね。

と、言うより。

 

「ねぇ、蓮子」

 

「何?メリー?」

 

「錫杖ってちょっと世界観違くない」

 

「メリー。今気にするところはそこじゃないとはっきり言えるわ。」

 

え!?

 

「まあ、メリーの天然さ加減はいつも通りなのはわかったからさっさと行きましょ。」

 

ひ、ひどい。あ、待って

 

 

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私たちはイシュタルさん(一応さん付けをしておく)に案内されて会議室のお湯な部屋に案内された。途中、混乱してるせいかGDGDしたけどキラキラ君のかりちゅま...ゲフンゲフン!カリスマMAXで扇動もとい説得してたわね。

 

上座の方はキラキラ君を中心とした四人と愛子先生が座ってそれに続いて座ってたわね。私?もちろん下座の方で蓮子の隣に座ってるわよ。

ついでに言うと男子の夢をかなえたかのようなメイドさんが来たけど女子たちから絶対零度のまなざしを受けてるけど、明らかにハニトラ用ね。幻想郷の時を操る『完璧で瀟洒な従者』のようとまではいわないけどもう少し気を付けるべきね。粗が多すぎるわね。従者としては三流以下ね。まあ、比較対象がおかしいだけだと思うけど。

後、香織さん?南雲君が隣にいるだけで目の敵にされると困るんだけど。蓮子も対抗意識をもって「メリーは私のものよ!」オーラ出さないでくれる?

 

「さて、あなた方におかれましてはさぞ混乱されていることでしょう。一から説明させていただきますのでな、まずは私の話を最後までお聞きくだされ。」

 

曰く、この世界はトータスと言い三つの種族、個人的見解も含めると三つのヒト種が、人間族、亜人族、魔人族、北の人間族、南の魔人族、東の森林の亜人族らしい。

曰く、人間族と魔人族は何百年も戦争してるらしい。魔人族の方が種族的に若干上らしいが数の優位性で拮抗してたらしい。

曰く、魔人族が魔物を使役し始めて均衡が崩れかけてるとかなんとか

 

魔物は動物などが魔力を取り込んで変質した異形のことらしい。

 

「あなた方を召還したのはエヒト様です。われわれ人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を作られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族が滅ぶと。それを回避するためにあなた方をよばれた。この世界よりも上位の世界の人間であるあなた方は、この世界の人間よりも優れた力を有しているのです。」

 

世界に上位もくそもあるのかしら?それに“人間族”が崇めるこの言葉も重要ね、きっと。

唯一神と聞いてどっかの社長が出てきて脳内で「ブゥエヘッへっへっへ!!」と高笑いしてる私は悪くないと思う。

 

「あなた方にはぜひその力を発揮し、エヒト様の御意思の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい。」

 

・・・なし崩しに協力させる気が丸見えなんだけど。後で蓮子とのすり合わせは確実に必要ね。

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

愛子先生ゑ・・・

周りもそんな憐みの目で見ないであげなよぉ。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

場にいるほとんどの人間が絶望の顔に染まっていく。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

愛子先生はそんな事実を突きつけられて脱力してしまったようだ。私だって夢の世界であんなことになった最初のうちは精神的にきつかったもの。

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで、なんで……」

 

まあ、望んできたわけじゃないものからしてみたらそうなるわよね。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

などと、犯人は証言しております。力があってもそれ相応の意思がともわなければ空っぽの伽藍洞と何ら変わらないのにねぇ。

それでも、気力を失せてしまった人をどうにかするのは評価に値するけどね。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

 

「龍太郎……」

 

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

 

「雫……」

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

 

「香織……」

 

周りもそれにつられて賛同していくけど私たちは戦争しに来たわけじゃないから下手にここで動く気にはなれないし、あそこでどっかの新世界の神にでもなりたそうな顔をしてるイシュタルさんが危険そうなのよね・・・

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