翌日、メイドとかに若干勘違いされながら訓練や座学がはじまった。
十二センチ×七センチほどのステータスプレートなるものが配られた。一瞬「ギフトカード!」「お中元?」「お歳暮?」「お年玉?」とどっかの問題児たちのノリが口から出そうになったけど乗ってくれそうな人がいなさそうなので口の中でとどめたわ。
そして、勇者御一行の目付、教育係として騎士団長であるメルド・ロギンスという人が付いた。そんな人が大丈夫かと思ったら曰く「むしろ面倒な雑事を副長(副団長のこと)に押し付ける理由ができて助かった!」とか言っていたので副団長の人には健闘を祈っておくわ。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
ここまでフランクらしく気軽に話せそうで少しばっかし気が楽になったわ。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
地球でいうところの聖遺物とかオーパーツのようなものかしら?
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
促されるまま針を指に刺して血を一滴おとす。
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マエリベリー・ハーン(■■■) 17歳 女 レベル:1
天職:魔術師(■■■■)
筋力:5
体力:35
耐性:40
敏捷:20
魔力:200
魔耐:90
技能:全属性適正・全属性耐性・魔力操作・言語理解
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魔術師?まさか『魔術師メリー』から来てるとかないわよね?それにステータスプレートが紫を基本としてるのはいいんだけどね、魔法陣があった方に『スキマ』のようなものが柄としてあるのがとっても不穏なんだけど・・・
「蓮子はどうだった?」
「ふふん、どーよ」
自慢げに見せてくる。
蓮子のステータスプレートは予想通り白と黒の二色だったわ。
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宇佐見蓮子 17歳 女 レベル:1
天職:解明者
筋力:15
体力:40
耐性:50
敏捷:45
魔力:40
魔耐:40
技能:解析・瞬光・短剣術・全属性適正・魔力操作・言語理解
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「・・・能力に関しては表示されてないわね。」
「それは思ったけどむしろ出なくて助かったわね。下手にそんなものが出てきたら逆にひと悶着どころじゃすまないわ。」
面倒ごとを増やすよりはましってことね。
「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」
魔術師は一応戦闘職でいいのかしら?
「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」
ステータスの値は低い方ではないわね。(筋力値から目をそらしつつ)南雲君の顔色がよくないわね。まさかがありそうね。
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
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まさしくチートや勇者にふさわしいわね。(何処からかブーメランが飛んだ気がしたけど目をそらす。)
魔力量では勝ってるけどはっきり言って張り合う気はないからどうでもいいわ。
「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや~、あはは……」
照れることか?確かに人間族で強者の一角であるメルドさんでさえ300近くなのだから分からなくはないけど。
あ、南雲君が近づいて行ったわね。
「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
フォローにならないフォローを・・・
「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」
くだらないことを・・・それに前線で戦うだけが戦争じゃないでしょうに
「さぁ、やってみないと分からないかな」
「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」
メルドさんがあまりい顔をしてないわね。それにさっきの南雲君の顔色からしてステータスもよくないのでしょうね。
「ぶっはははっ~、なんだこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」
「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」
「ヒァハハハ~、無理無理! 直ぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」
いや肉壁にはどんな存在でもなれるでしょう。やっぱり前線で無理やり戦わせる気だったのね。
「こらー! 何を笑っているんですか! 仲間を笑うなんて先生許しませんよ! ええ、先生は絶対許しません! 早くプレートを南雲君に返しなさい!」
愛子先生が、怒ってる。きっとしっかりとしたフォローを・・・
「南雲君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。南雲君は一人じゃありませんからね!」
愛子先生のステータスプレートを見た瞬間灰色に染まって崩れ去っていく様子が幻視できるわね。
とどめを刺したことに気が付かない愛子先生ゑ・・・