俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか   作:超高校級の切望

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異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術ってあるじゃないですか。
ニコニコ漫画で最新話を読んで思ったのけどあの魔族の男の特殊能力持ちの嫁達を影の兵士にして魔族の男殺させたら最高に愉悦な予感


怪物祭

 異世界の祭り、と言っても雰囲気はあまり変わらない。まあテレビで映す外国の祭りも、結局はメインの部分を写すから文化が違って見えるだけで屋台の方は地元の味以外は変わらないのだろう。綿飴とか売ってるし。

 

「確か、ああ、ここだ………」

 

 リヴェリアが案内した店は、どうやらコロッケのような食材………ヘスティアが良くバイトの賄いとして持ってくるジャガ丸くんの屋台のようだった。

 

「好きなんだろう、思わず【ファミリア】に入ってしまうくらい」

 

 仕方のない奴だ、とでも言うような親の顔をしている。知人にジャガ丸くん好きでもいるのかもしれない。というか、多分アイズだろう。

 そういえば昨日、妙な味があると言っていた。

 

「ジャガ丸くん、小豆クリーム味で」

「はいよ」

 

 食べてみた。甘かった。

 不味くはないが、コロッケの食感の和菓子のような味………。

 

「なんとも不思議な味だ………」

 

 同じものを注文したリヴェリアも、ふむ、と眉を寄せる。とはいえ不味いわけではないから残すつもりもない。

 と、旬は周囲に目を向ける。

 

「気のせいだろうか、エルフの連中に睨まれている気が」

「ああ、皆私を敬うのだ。その私が異性と共に歩くから、神経質になっているのだろう。何、気にするな。流石に手は出してこない………と、思う」

「それは良かった」

 

 仮に敵意を向けられたら、システムが反応する前に気絶させなくては殺す必要が出てくる。

 その後もこの世界特有の果実や野菜、ダンジョンで稀に取れる高級食材などを購入し腹を満たす。

 

「……………ん?」

 

 リヴェリアは騒がしいのが嫌いで、旬も調教に興味がなかったので闘技場にこそ入らなかったが人気店などは闘技場の周りに集まる。故に闘技場近くに来ていたのだが、何やら【ガネーシャ・ファミリア】の団員が慌てているように見える。その中に見知った顔を見つけた。

 

「原因究明は後だ、今は民衆の安全を第一に動け! 犯人が何らかの妨害をしてくる可能系も考慮し複数で迎え!」

「「「はっ!!」」」

「シャクティ……」

「なんだ!? っ………旬か………」

 

 部下に命令を出し終わったタイミングで話しかけると、シャクティ本人も飛び出そうとしたので振り返りながら叫ばれる。が、旬の姿を確認したシャクティは幾分か落ち着きを取り戻す。

 

「何かあったのか?」

「モンスターが脱走した」

「何!?」

 

 シャクティの言葉にリヴェリアが目を見開く。ダンジョンと違い、地上には恩恵を持たぬ一般人が多く居る。そんな彼等からすれば如何なるモンスターも危険極まりない。

 

「すまないが詳しい説明はあとだ、力を貸してくれ」

「何匹だ?」

「9匹だ」

「解った。出て来い………」

 

 シャクティにモンスターの数を聞き、旬が何かに命じるように呟く。リヴェリアは当然その行為を理解できないが、シャクティは知っている。

 ゾワリと旬の影が面積を増す。

 

「───っ!?」

 

 面積だけではない、体積も増え、平面の筈の影が、実態を持って顕現する。闇が溢れ出すような禍々しい光景に周囲の誰もが目を奪われる中現れたのは9人の漆黒の騎士達。肌の露出など一切ない、そもそも中身などあるのか解らぬ、闇をそのまま騎士の形にしたかのような、ダンジョンのウォーシャドウを連想させる騎士達は旬に対して恭しく膝をつく。

 

「行け」

 

 その言葉と同時に各々様々な方向に向かって飛び出した。その動きは速く、恐らくは第2級………それも、Lv.4クラス。それを、複数。何だ、その無茶苦茶な力は。

 公式Lvは4。もちろん【ロキ・ファミリア】は疑っていた。幾ら変わった魔法やスキルを持っていると発表されたところでベートを圧倒している事から、恐らくLv.6だろうとリヴェリアやフィン達は考えていた。方法はわからぬがオラリオで名が知られていない以上、都市外で至った稀有な存在。そう、思っていた。

 旬はシャクティに数を聞いてから影の兵士を呼び出した。つまり、数は更にいる可能性がある。第2級冒険者クラスを複数呼び出し使役する。それは果たして、Lv.6で出来ることなのか?

 

「どうした、リヴェリアさん?」

「お前はいったい………」

 

 シャクティはこの力について知っていたようだ。そもそも知り合いらしい。旬の情報操作には、【ガネーシャ・ファミリア】も関わっている? と、リヴェリアが困惑していると不意に旬が顔を上げる。

 

「どうした………」

「一体やられた」

「なんだと? そんな馬鹿な、放たれたモンスターの中に今の連中を倒せる者がいるなど……っ! 今度は何だ!」

 

 旬の言葉にシャクティが困惑した瞬間、爆音が聞こえてきた。それなりに離れている。二人はすぐさま持ち前の身体能力を活かし闘技場の上に移動する。

 

「………蛇?」

「何だ、あのモンスターは………」

「脱走したモンスターじゃないのか?」

「知らんぞ、あんなの!」

 

 と言う事は【ガネーシャ・ファミリア】とは別口なのだろうか? だが、そうなると一つしかないダンジョンの入り口の、ギルドや【ガネーシャ・ファミリア】の監視をどう潜り抜けたのか。いや、考えるのは後にしよう。

 

「イグリット」

『────』

 

 旬の言葉に新たな影の騎士が現れる。マントを羽織り、兜飾りの付いた高身長の影の騎士は、明らかに他の影の騎士達とは強さの桁が違う。

 

「それなりに強そうだ、向こうは任せた」

「向こう?」

「影の兵士を倒したのはあれじゃない。まだ一匹残っている」

 

 そう言うと旬は駆け出す。同時にイグリットと呼ばれた影の騎士も、緑色の蛇に向かって駆け出した。

 

 

 

 影の兵士がやられている場所へと向かう旬。影の兵士達は旬の魔力にて何度でも再生する不滅の兵団だ。故に魔力が減ればやられたと言うこと。現在進行形で減り続けているのは、相手が『影の歩兵』よりも強い、第1級冒険者クラスということ。

 

「………ほお」

 

 近づいた事により気配を感じ取る。中々強い。S級覚醒者に片足を突っ込んでいる。白川大虎と言うS級ハンターと対面した時の旬ぐらいだろうか? あの時点ではまだ旬の方が弱かったが、世間的に見ればトップクラスの実力を得ていた。

 場所はダイダロス通りという地上に存在する迷宮。実際は街の一角なのだが区画整理を行いすぎて迷路のようになっている場所だ。

 

「ん? あれは、ベル君?」

 

 最短距離である建物の上を掛けていると白い巨大な猿に黒いナイフで挑むベルの姿が見えた。助けに行くべきか、そう思ったがベルの目を見て、無粋と判断。『影の歩兵』を倒し続ける何者かに接触することにする。

 

 

 

 

「………………」

『────!』

 

 大剣を持った男の一撃により、『影の歩兵』は切り裂かれる。しかしまるで黒い煙の様に揺らめき復活する。

 『影の歩兵』を何度も切り裂いている人物、オッタルはそれを見て眉間にシワを寄せる。

 何なんだ、コイツは? 人ではないのは明らか。だがモンスターでもあるまい。魔石は存在せず、何度切り裂いても死なない。この世に不滅など神々しかいないだろうに、当たり前のように復活する。

 決して強くはないが………。

 疑問に思うことは多々あれど、全て無視することにした。今はただ、主神に与えられた命令。己の敬愛する女神が目をつけた少年の試練を邪魔する者を足止めするのみ。と、その瞬間だった───

 

「────!?」

 

 Lv.7まで至った莫大な経験が、危険を知らせる。目の前の漆黒の騎士を無視して大剣を盾のように構え、次の瞬間突如現れた人影が大剣を殴りつける。ミシリと鉄が軋む音が聞こえ、次の瞬間には大剣が砕け無数の破片がオッタルの皮膚を裂き、拳が腹にめり込む。

 

「がっ──!」

 

 内臓が飛び出るのではないかと思うほどの衝撃!

 足が地面から離れ、積まれていた放置された木材にぶち当たる。

 

「っ! が、かは! ───? な、何者だ!」

 

 深層ならばともかく地上でここまでのダメージを与えられるなど何時以来か。僅かに混乱しつつも立ち上がり襲撃者を睨む。と、見えない何かに肩を押さえつけられたかの様に肩に重圧がかかり、耐えきれずその場に膝をつく。

 

「それはこちらの台詞だ。狙いはベル君か? 何者だ、お前」

 

 その声に聞き覚えはなかったが、その人物に見覚えはあった。己の主が目をつけたもう一人の存在、名を水篠旬。漆黒の騎士は彼の影へと吸い込まれるように消える。彼の魔法か、スキルだったのだろう。

 

「………………」

「答えろ」

「───」

 

 オッタルが答えないのを見ると、目を細め再び尋ねてくる。重圧が、肩から全身に広がる。威圧、ではない。目には見えないが何らかの物理的干渉。オッタルには、それが防げない。地面が罅割れ、僅かに沈み込む。

 

「その子はオッタル、私の眷属よ」

 

 それでも主のために黙秘を貫き、旬が更に力を込めようとしていると不意に旬の背後から美しい声が聞こえてきた。

 旬が振り返るとそこには一柱の神が立っていた。オッタルが耳を澄ませると歓声が聞こえてくる。少年はモンスターに勝ったのだろう。

 

「…………貴方は?」

「私はフレイヤ。ごめんなさいね、あの子が頑張ってる姿を見たくなってしまって」

 

『バフ∶免疫』の効果で脅威が除去されます

 

 不意に旬にシステムからメッセージが届く。

 免疫とは言うが疾病や毒性のみならずあらゆる異常を取り除くバフが発動した。この女神、なにかした。しかし敵意は感じない。悪意も………おそらくあり方が人に異常を与えるのだろう。

 

「あの子………ベル君か?」

「ええ、貴方もあの子に強くなってほしいのでしょう?」

「それでこれか。やりすぎだな………ギルドに突き出される覚悟はあるか?」

「構わないわ。別に、痛くもないから」

「……………」

 

 罰則(ペナルティ)は問題ないということか。というか、フレイヤ?

 【フレイヤ・ファミリア】と言えば都市最大派閥の一つ。冒険者達からの憧れで、彼等や【ロキ・ファミリア】、【ガネーシャ・ファミリア】があるからこそ人々はモンスターがすぐ地下にいるこのオラリオで安心して過ごせる。その一角が、騒動の原因…………もみ消されるだけか。

 旬は舌打ちして『支配者の手』を解く。体に自由が戻ったオッタルは直ぐにフレイヤを守るように移動する。

 

「目的は何だ?」

「言ったでしょう? あの子に、強くなってもらいたいのよ」

「……………」

 

 おそらく嘘はないだろうと、なんとなく確信する。何故かは解らぬがこの女は自分に対して全て正直に話す、そんな気がした。

 

「本当は、貴方も力を求めているみたいだから強くしてあげようと思ったのだけど、必要なかったみたいね」

 

 そう言って微笑み、細待った瞳に言い知れぬ何かを感じる。怖いわけではないが、服を超え、皮膚を超え、肉も骨も内臓すら無視して魂すら見通してきそうなその瞳に見つめられるのは、何となく嫌だ。

 

「……シャクティの所に謝罪の品を送っておけ。それで、今回は見逃す」

「あら、嬉しい」

「さっさといけ」

「また会いましょう、旬」

 

 フレイヤがそう言って手を振るとオッタルがフレイヤを抱え走り去る。ベルも、そして自分も何故かわからないが変なのに目をつけられたようだとため息を吐いた旬に、また別の気配が近付く。

 イグリットだ。その手にはハエトリグサのようなモンスターの首が3つ。それを旬の前に置くと膝をつく。

 

「……だから、こう言うのは良いって」

 

 イグリットを追ってきたのだろう、また別の気配が近付いてくる。この気配は、アイズだろうか?

 鉢合わせになる気はない旬は『隠密』で姿を消しその場から去った。




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