俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか   作:超高校級の切望

15 / 26
白鬼

「あれ〜、何か人が集まってるよ?」

 

 17階層。本来ならゴライアスと言う階層主が生まれるが、それ以外のモンスターは生まれないだだっ広い階層にて、大勢の冒険者達が集まっていた。

 

「ゴライアス討伐戦の後、ではなさそうだね」

「何かあったんでしょうか?」

 

 通常彼等はこの下の階層である18階層にリヴィラの街を立て暮らす。誰が好き好んで神々の言う『ボスキャラ』が生まれる『ボス部屋』に集まるというのか。

 

「ふむ、まあ聞いてみればわかるさ。おーい、少しいいかい?」

「ん? あ、【ロキ・ファミリア】!?」

 

 酒などを飲むの者達もいる様子から、一時的な避難だろうが理由がわからなかったフィンが近くの人物に尋ねる。当然とし最大派閥の団長や幹部達の顔は有名で、ぎょっと一人が叫べなんだなんだと視線が集まる。

 

「こんなところでどうしたんだい? 随分とくつろいでいるようだけど」

「ああ、気前のいい人が深層の魔石やドロップアイテムなんかもくれてな。一時的に上層に避難するように言われたんだが………ま、この階層程度ならこんだけいりゃ寛げるだろ?」

「避難? 何かあったのかい?」

「あー、第一級クラスの連中が暴れてなあ。おーい、ヴィリー! お前が話してやれ!」

 

 と、その言葉に獣人の男が面倒臭そうにやってくる。相手がフィン達であるのを見て、仕方なく話し始めた。

 

「俺は宿を経営してるんだ。洞窟をそのまま宿にして、帳が扉代わりの宿なんだが、昨晩男女の二人組が来て貸切らせてくれって来たんだよ」

「たった二人で宿を? あぁ……そういうことか」

 

 フィンが納得したように呟けばアイズが首を傾げレフィーヤの顔が赤く染まる。

 

「家の宿にゃ扉なんて大層なもんはねえからよ、ちょいと喚けば洞窟中にだだ漏れだ。貰えるもんもらえたなら良いか、そんときゃそう思ったんだが………宿が吹っ飛んだ」

「うん?」

「男曰く女の方が命を狙って近付いてきたらしくてな。撃退するためにぶん殴ったら洞窟の壁が吹き飛んで、近くの建物がぶっ壊れた。そのまま男と殺し合いよ。ありゃあ俺等じゃ介入できなかったろうよ。んで、勝機がねえと思ったのか女の方が近くの冒険者捕まえてそれで殴りかかってよお、男は怪我させないように受け止めたんだが周りに人がいるとやりにくいと思ったのか女を掴んで街の外までぶん投げたんだよ」

 

 その時多くの建物が巻き込まれて壊された。暫くすると片腕が凍りついた男が戻ってきて、何処に持っていたのか大量の魔石と深層のドロップアイテムを渡して来て謝罪したあと、また来るだろうから避難してろ、と命令してきた。

 深層のモンスターを倒せるなら間違いなく第一級だろうし、相手の女もそうだろう。そんな戦いに巻き込まれるのはゴメンだ。特に女は容赦なく人質を使う。ならば金も貰えるのだから避難しよう、というのかリヴィラの住人。

 

「そのまま男は女を一人だけ側において草原に移動してたなあ」

「女を? その女性のLvは?」

「さあなあ。ま、昨夜女が結局殺しに来ただけだし、代わりを探してたんじゃねーの?」

 

 ぎゃはは! と下品に笑う男達。フィンはふむ、と考え込む。

 

「どうする、皆。向かうかい? それとも、用事とやらが終わるまで待つ? まあ、そのまま素通りするのもありだけど」

「ダンジョン内で起きたことなら無関係とは言えまい。それに、第一級冒険者クラスというその女も気になる」

「確かにね。特徴はわかるかい? ファミリアは?」

「さあなあ。赤い長い髪をした、いい女ってしか」

「ああ、ありゃいいもんをみたなあ! なんせ、素っ裸だったもんよ!」

 

 まあそういう手段で男を油断させようとして、男も女を油断させるために敢えて誘いに乗ったならそういう姿にもなるか。男達は手で孤を描きながら下世話な話を続け、女性陣の目が絶対零度のものとなっていった。

 

 

 

 

 

「なぁ〜、やっぱり私が帰ったほうがいいんじゃないか?」

「なら『宝玉』だけおいていけ。俺の知らないところで取られてもかなわない」

「うぅ……」

 

 旬から荷物を受け取った女、ルルネ・ルーイは旬が危険から遠ざけるために『精霊胎児』を返還するように言ったが、聞き入れなかった。依頼(クエスト)未達成になるのを恐れたのだろう。

 死人が出れば反応も違ったのだろうが、生憎と旬はあの程度の相手なら死なない。問題は、もう一人。

 

「うー、お金は惜しい。けど、やっぱりちょっとなあ〜」

「まあ、安心しろ」

「ん?」

「お前は俺が守ってやる」

「あ、え………は、はい………ありがとうございます」

 

 と、急にルルネが大人しくなった。それ以降愚痴を言ってこない。理由は謎だが少し楽になった。と、その時………

 

「誰か来たな」

「えっ!?」

「落ち着け、敵意はない」

 

 上の方から来たということは、リヴィラの住人から何があったか聞いたはず。その上で来たということはよほど腕に自信があるのだろう。

 手伝う気があるなら手伝ってもらうか? と考えていると6つの人影が現れる。

 

「やあ、君だったか……」

 

 【ロキ・ファミリア】団長フィン・ディムナ、リヴェリア・リヨス・アールヴ、ティオネ・ヒリュテ、ティオナ・ヒリュテ、アイズ・ヴァレンシュタイン、レフィーヤ・ウィルディスの男女比1∶5のパーティーは、フィンが代表らしくにこやかに話しかけてくる。

 

「酒場以来かな?」

「リヴェリアとアイズ以外はな………事情は聞いているだろ? 手伝ってくれるって事で良いのか?」

「まあ、詳しい話を聞かせてもらってからね」

「…………極秘だからな。話せないこともある。それでも良いか? 嫌なら帰ってくれ」

「てめぇ! 団長が手伝ってくれるってのになんつー態度を!?」

「落ち着け、ティオネ。極秘の依頼(クエスト)と言うなら、深くは聞かないよ」

「助かる」

 

 旬は早速『精霊』に関してを隠しながら、話す。

 30階層であるものを手に入れるように依頼を受けたこと。中継役であるルルネに物を渡した後、殺気を隠しながら近づいて来た女に声をかけられ、宿屋を貸し切りにした後撃退したこと。そのまま殺す気だったが、別の介入者が現れ取り逃がしたこと。

 

「なるほど、しかし、特徴を詳しく聞いても…………やはり心当たりがないな」

 

 このオラリオにおいて強さはそのまま名を広める。だが、そのような特徴な人物に心当たりがない。

 

「おまけに美人ともなれば、男神達が間違いなく目をつける。全くの無名ってことにはならないと思うんだけど、本当に美人だったのかい? 誰が、知り合いと比べるとどうかな」

「リヴェリアの次ぐらいには」

「なら、君の美醜の感覚が狂っているということはなさそうだ」

 

 ちなみにリヴェリアはんぐ!? と咽ていた。

 アイズが母親を心配する娘のように大丈夫? と声をかけ、大丈夫だ、と返す。

 

「ちなみに、その介入者の方は?」

「俺の故郷では白鬼と呼ばれていた、残虐な性質を持ったモ………種族だ。通常の個体の強さは、Lv.4から5と言ったところか。だが、長は桁外れに強い。前見た時よりも、強くなっていた………っ!!」

 

 と、旬が口を止め、無造作に石を投げつける。その石は空中で弾かれた。

 

「「「───!?」」」

 

 誰もが驚愕する中、()()()は空間から滲み出るように現れる。

 

「くく。相変わらず、良い勘をしている」

「………同胞(エルフ)、なのか?」

 

 現れたのは高身長の男。なぜか寒冷地の民族衣装を着込んだ男の顔立ちはひじょうに整っており、その耳は長く横に伸びている。その時点では確かにエルフのようだ。だが、その肌は異様なほど青い。

 

「レヴィス、水篠旬は我が獲物だ。お前はあの宝玉(たね)を回収しろ」

「………………」

 

 男の言葉に、レヴィスと呼ばれた赤い長髪の女は忌々しげに男を睨む。が──

 

「恨むなら己の弱さを恨め」

「…………チッ」

 

 反論できず、視線をポーチを持つルルネに向けた。瞬間、レヴィスの姿が消えた。少なくともルルネにはそう見えた。

 

「────っ!?」

 

 目の前で火花が散る。レヴィスが振り下ろした大剣を旬が短剣で受け止めていた。そのまま、レヴィスの腹を蹴りつけ吹き飛ばす。

 吹き飛ばされたレヴィスは血を吐きながらも、草笛を鳴らす。それと同時に、森から、湖から、無数の食人花が現れる。

 

「【ロキ・ファミリア】、そっちは頼む」

「任された! リヴェリア、彼の援護をしてやってくれ!」

 

 まさか相手がこれほどの数を操る調教師(テイマー)だとは思わなかったが幸いにもここは開けた場所で、リヴィラの住人には悪いが邪魔者もいない。

 対処は可能、とフィンは旬の知り合いらしい未知の敵に対して後衛を残す。

 

「久しぶりだなバルカ………何故生きている?」

「さて、な。我が身は気が付けばこの地にいた。この地はいい………モンスター共を狩り、胸の石を食らえば強くなれる」

「なに、それは……」

 

 バルカと呼ばれた男の言葉にリヴェリアが目を見開く。今、この男はなんと言った? その言葉が事実なら、まるで………。

 

「強くなった、か………で? そんなのこちらも同じだ。それに、この数を相手にする気か?」

 

 ズォ、と影が広がり、まるで血の池から這い出てくる亡者のように100を超える影の兵士が現れる。

 鎧姿の影の歩兵、ローブ姿の影の魔法使い、熊型の影のモンスター兵に、オーガ型の影のモンスター兵。

 名前付き(ネームド)の熊型モンスターのボスだった一軒家ほどもあるタンク、2メートルを超える大柄で、鎧を着込み盾と戦鎚を携えたアイアン、ローブを纏ったオーガの呪術師キバ、3体に比べ身長は低いが迫力は決して劣らぬイグリット。

 数多の影の軍勢を召喚した旬に、リヴェリアは目を見開く。なんと不吉な魔力か。これが、人の魔力か?

 

「数では圧倒的な不利だぞ?」

 

 何時だか、バルカから言われた台詞をそれに対し、バルカはニヤリと笑う。

 

「不利? 不利とはどちらだ……?」

 

 バキリと地面に無数の亀裂が走る。モンスターが生まれぬはずのこの階層ではあり得ぬ現象。さらにあり得ぬのは、現れたモンスター達。いや、果たしてモンスターなのだろうか?

 バルカと同じく寒冷地の民族衣装に見を包んだ青い肌のエルフ達。なんと武装までしている。

 

「負けた事に、悔しさはあれど恨みはない。だがこうして再びまみえたのだ、もう一度戦おう!」

 

エネミーボスが『戦士の領域』を発動しました

 

 システムの音声と文字が無機質にそれを伝える。同時に、バルカを中心に吹雪が吹き荒れる。

 

「ひゃあっ!? さっぶい!」

「今度は何よ!?」

 

 比較的薄着なアマゾネス達が突然の寒波に悲鳴を上げる。

 

領域効果『寒冷』により速度、筋力、感覚−40%

 

『バフ∶免疫』の効果で脅威が除去されます

 

アイスエルフの能力値が50%アップします
アイスエルフの能力値が50%アップします
アイスエルフの能力値が50%アップします
アイスエルフの能力値が50%アップします
アイスエルフの能力値が50%アップします
アイスエルフの能力値が50%アップします
アイスエルフの能力値が50%アップします

 

 ピロンピロンピロンと鳴り響くシステムメッセージ。アイスエルフ………白鬼達はニタリと笑う。

 

「その程度で、なめるなよ」

 

『スキル∶君主の領域』を使用します

 

 旬の影が、旬を中心に広がる。流れ出る魔力が影の兵士達に力を与える。

 

使用者の影の上で戦う影の兵士の能力値が50%アップします

 

 数週間ぶりの黒と白の戦士の戦いが幕を開けた。




感想お待ちしております

俺だけレベルアップの件の女性キャラを出すなら

  • エシル(悪魔娘)
  • 観月絵里(ヒーラー)
  • 今宮さつき(ヒーラー)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。