俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか   作:超高校級の切望

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残虐なる白雪の鬼

 果たしてこれは現実なのか?

 リヴェリアは目の前で繰り広げられる戦いを見て、直ぐに現実を受け入れる事ができなかった。

 黒い熊が爪を振るい青い肌のエルフを吹き飛ばし、青い肌のエルフが放った矢を黒い騎士が弾く。

 黒衣の魔法使いが火の玉を放てば氷の矢が相殺する。

 青い肌のエルフが影の軍勢の腕を切り飛ばすと、切り飛ばされた腕は煙のように解け再び持ち主に集まり腕となる。頭が吹き飛ばされても、同様だ。

 あれだけの力を持ち、更に不滅とでも言うのか?

 無茶苦茶だ。オラリオの勢力図どころか、世界の勢力図を塗り変えかねない。

 

「シャア!」

「っ!?」

 

 と、青い肌のエルフ達がリヴェリアにも襲いかかってくる。一体一体がLv.4上位。Lv.6とはいえ後衛のリヴェリアではこの数は……。と、敵が一瞬で細切れにされる。

 斬ったのは、旬だった。

 

「あ、ありがと………」

 

 旬の後方、つまりリヴェリアの近くに居たルルネが礼を言う。旬が見たのはルルネだけ。リヴェリアは、ついでのようだ。

 そもそもここはダンジョン、命の危険は自己責任。他所の【ファミリア】であるリヴェリア達を守る義務は存在しない。あくまで約束したのはルルネだけなのだ。それで見捨てるほど薄情でもないが、いざとなればルルネを優先する。

 

「カイセル、彼女達を守れ」

「クオオオオォォォォッ!!」

「───!?」

 

 旬の言葉に現れたのは黒いドラゴン。いや、見た目はワイヴァーンに近い。だが、感じる力はその比ではない。

 カイセルと呼ばれた飛竜は鋭い爪で敵を切り裂く。胸が切り裂かれた個体が灰となり崩れ、砕けた魔石が残る。やはりモンスター………!

 

「水篠旬! こいつ等はなんだ!?」

「こいつ等はアイ………白鬼、俺の故郷でも上位のモンスターだ」

 

 エルフ(自分達)と似た容姿のモンスター………。旬の世界ではそれこそモンスターをかっこいいと言うこともあるが、こちらの世界では即座に怪物趣味扱いされるこの世界においてそんな存在を見て冷静で居られる者など殆ど居ないだろう。思わず戦闘中の旬に向かって声を荒げ問いただしてしまう。

 旬は律儀に答え己の近くにいる白鬼の首の骨を握り砕き、応えた。そして、一気にバルカへと距離を詰める。

 

「ぬぅ!」

 

 ギィーン! と金属音を響かせ、つもり始めた雪が吹き飛ぶ。嘗てバルカは旬より格上だった。しかし今では、旬の方が強い。

 

「ふっ───!」

「ぐう!」

 

 短く息を吐き、蹴りを放つ。バルカが吹き飛び、爆発魔法でも使ったかのように轟音が階層全体に響き渡る。並の相手ならそれで勝負がつく。少なくとも【ロキ・ファミリア】の前衛だろうと、あの一撃を食らったあとに動けるのはガレスぐらいだろう。故に、リヴェリアは勝負ついたと思った。だが……

 

「やってくれる!」

 

 雪煙の向こうから傷は負っているが、まだまだ動けそうだ。下手をすればガレス以上の耐久力かもしれない。

 

エネミーボスの能力値が50%アップします

 

 バルカが地面を蹴り迫る。バルカの持つ短剣と旬の短剣がぶつかり合う。二人の腕がかすみ、金属音が連続で響き渡り火花が散る。

 

 

 

「くっ!」

 

 槍を振るい、白鬼というらしいエルフ型モンスターを吹き飛ばす。

 やりにくい。一体一体が第二級上位、時折一級もいる。とはいえ、Lv.5の成りたて程度。数こそ多いがLv.6のフィンなら、なんとか対処できる。筈だった………。

 突然の環境変化。話に聞いた59階層のようだ。あそこは、【ゼウス・ファミリア】の冒険者ですら、動きを鈍らされた。第一級冒険者である自分の動きすら凍てつかせる寒気。

 ただ寒いだけではない。おそらく能力下降(ステイタスダウン)効果もある異常魔法(アンチ・ステイタス)。体が重い。敵は、むしろ動きが増した。

 

「カカッ!」

「ハハハハ!!」

「ふっ!」

「がっ!?」

 

 白鬼達はモンスターらしく言葉を発さず、ただただ笑うだけ。しかし動きは確かな理性を感じさせる。

 フィンですらこれだ。アマゾネスや、ロキの趣味のせいで露出の多く、Lvも下のアイズ達にはよりキツイだろう。

 

「シャアア!」

「っつう!! こんにゃろー!」

 

 大双刃(ウルガ)を振り回し白鬼を吹き飛ばすティオナ。力の値はアマゾネスたるティオナ達の方が上だ。前回苦戦を強いられ黒い騎士が代わりに倒した食人花も、刃物がある今なら十分相手にできる。が──

 

「オオオオオオッ!!」

「うわっ!? つー!!」

 

 降り積もる雪に足を取られ、食人花の弦が当たる。そこまで痛くない筈なのに、霜の張った肌は痛みを敏感に感じ取る。

 寒さで悴んできた手に力が入っているのかわからなくなってくる。寒い。

 

「ティオナ!」

「っ!?」

 

 背後から蹴りが放たれる。バランスを崩したティオナに、白鬼達が接近する。

 

「【アルクス・レイ】!!」

 

 レフィーヤはすぐさま詠唱を完成させていた魔法を放つ。戦場が混沌としすぎて、Lv.3のレフィーヤは魔法を放てなかった。しかし白鬼達が好機とばかりにティオナを狙えば、そんな隙を晒したなら当てられるはずと魔法を放ち、躱された。

 

「え………?」

 

 ニィ、と嗜虐的な笑みを浮かべる白鬼達は突然の魔法に驚く事もなく、むしろこの時を待っていたと言わんばかりにレフィーヤに向かって駆け出す。

 

「っ!? 誘われた!? モンスターが!?」

 

 初めて見る魔法は、当然どんな魔法かわからない。周囲一帯を吹き飛ばす魔法かもしれないし、前方のみの魔法かもしれない。ならば味方が近くなら放てない。放てるとしたら一直線に進む魔法か回復魔法。そして、発動してしまったら最後。再び詠唱を唱えなくては魔法が放てない。

 白鬼達は見抜いていた。少女がこの中で誰よりも弱く、しかし魔力だけは緑髪の同族に似た女の次に高いことも。

 先に始末しようにも彼女の仲間達に邪魔され魔法は完成して。魔法がどのようなものかわからぬうちは不用意に近づけない。ならば、撃たせればいい。

 

「カカカカ!」

 

 確かな知性を持った白鬼が作り出した、致命的な隙。レフィーヤはモンスターの策というありえぬ光景に固まってしまう。いや、動けたとしてもレフィーヤでは白鬼達の動きに対応できない。

 

「────!!」

「こん、のおおおお!!」

 

 ただ、一人、己の命を刈り取らんとしていた白鬼達が一斉に失せ、動けるようになったティオナが走る。その踏み込みに、雪が吹き飛ぶ。

 白鬼達はたしかに強い。この寒気の中、【ステイタス】が落ちたティオナ達からすればきつい相手。だが、それでも機会があれば一年以内に『ランクアップ』出来そうなほど【ステイタス】が溜まっているティオナ達が僅かに上に行く。筈だった………

 レフィーヤを突き飛ばし、ウルガを振るう。受け止められた。目を見開くティオナの眼前で、白鬼が馬鹿にするように舌を突き出す。その舌に僅かに付着するのは魔石の欠片。

 次の瞬間ティオナの右腕が切り飛ばされた。




白鬼達は本来は旬の世界のモンスターですがオラリオのダンジョンモンスターとして生まれてきたので魔石で強くなる強化種です。しかも魔石は質が良いのが周りにたくさん

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