俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか   作:超高校級の切望

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新たな影の兵

 自身と同じ、短剣二刀の超近接ダメージディーラー。部下の援護に、能力値低下効果はないとはいえ生物に影響を与える寒波。

 時間はそれなりにかかった。此方等はともかく、【ロキ・ファミリア】の被害は大きい。

 30階層で手に入れた()()を使ってみるべきだったか? いや、あれは混戦状況じゃ仲間も巻き込む。

 

「お〜、終わったぁ? あー、つっかれたあ!」

 

 ドサ、と雪に腰を落とすティオナ。赤い吐息は消える。そのまま上半身も雪の上に倒す。

 物凄く冷たいが火照り過ぎた身体には丁度良い。

 

「レフィーヤ、アイズ! ティオナの腕を探すの手伝って! 今ならまだアミッドが繋げられるはず!」

 

 ティオネの叫びにアイズ達が応える。フィン達も雪をかき分けていく。旬は、ティオナに近付く。

 

「飲めるか?」

「あ、ポーション? ありがとお兄さん………あー」

 

 飲ませてと言わんばかりに口を開けるティオナに、旬はポーションの蓋を開け飲ませる。

 

「ありが………お? おお!」

 

 ゴクリと飲み込むと、ティオナの体が光に包まれる。特に傷口あたりに光が集中しキラキラ輝きながら傷が消えていく。それだけではない、腕の切断面に光が集まり、光が腕の形成される。光はゆっくりと光量を落としていき、やがてそこには傷一つないティオナの腕があった。

 

「治った〜!」

「あった!」

 

 ティオナの嬉しそうな声とティオネの嬉しそうな叫びが同時に響く。雪の中から半ば凍りついた妹の腕を見つけたティオネが振り返れば嬉しそうに()()を天に伸ばしピョンピョン跳ねるティオナの姿。

 え? と固まり己の手にある腕と、ティオナの両腕を見比べる。

 

「ティオナ、その腕は……どういう………」

 

 リヴェリアも混乱しながらティオネの持つ腕とティオナの腕を見比べる。

 こちらの世界では欠損は再生しないのが常識だ。アミッドなら新しく腕を作り治せるらしいが、少なくとも治癒魔法やポーションで治せるたぐいではない。

 逆に旬の世界においてはA級ヒーラーがいれば生きてる限りハンター活動を続けられると言われている。実際、ハンタースのヒーラーは腕を切り落とされた仲間の腕を繋げるのではなく新しく生やしていたし。

 

「んー、なんかね、お兄さんがくれたポーション飲んだら生えた」

 

 その言葉に、旬に視線が集まる。ただ唯一、ティオネだけはティオナに抱き着いた。

 

「おわっ!? ちょ、ティオネ!?」

「………良かったっ………本当に、良かった………!」

「……………」

 

 雪の上に倒れ込み抗議の声を上げるティオナだったが、その言葉に目を見開き、微笑みティオネを抱きしめ返した。

 

「………うちの団員を救われた。感謝しよう」

「俺が時間をかけ過ぎたというのもあるから気にしないでくれ………礼をしたいと言うなら、ポーションの出処を聞かないという事で頼む」

「探索系【ファミリア】である僕たちからすれば喉から手が出る程欲しい情報なんだけどね…………いや、わかったよ。ただ、念の為アミッドに診せるから彼女とうちの主神には話しても良いかな?」

「………………まあ、良いだろ」

 

 話が広まれば間違いなく探索系のみならず医療系、商業系ファミリアも殺到してくるだろう。

 

「取りあえずドロップアイテムを分けようか?」

「いや、転がっているのは全部あんたらが倒したモンスターのドロップアイテムだ。俺は良い」

「? 何故わかるんだい?」

 

 旬には光の柱が見える。それに触れるとアイテムを得るのだが、既に影の兵士達に回収させた。残っているのは旬以外が倒したモンスターのドロップアイテムだろう。

 

「魔石はもらうが………」

 

 魔石はこの世界特有だからか回収できないようだ。いや、バルカは出来た。違いはなんだ? そういえばバルカはシステムにエネミーボスと設定されていたが………。

 それに、バルカの部下はダンジョンから生まれていたがバルカ自身は解らない。そもそも旬の世界のモンスターがいる時点でシステムが何らかの介入をしているのは明らか。だがまあ、利用できるものは全て利用する。

 

「水篠旬?」

 

 白鬼達の死体である灰の下に歩み寄る旬。旬の目には、灰から立ち上る黒い煙のような影が見えていた。苦痛を訴えるように、助けを求めるように蠢く影に、旬は命じる。

 

「『起きろ』」

 

 次の瞬間、低いうめき声が聞こえてくる。灰の山や灰にならずに原型を保った死体から漆黒の腕が藻掻く様に天に伸びる。

 【ロキ・ファミリア】の面々が息を呑む黒い手は地面に手を付き、自ら体を引っ張り上げた。

 

「なっ!?」

 

 白鬼達が生き返ったのかと警戒するリヴェリアだったが、影から現れた黒いエルフ達は彼女達に目を向けず旬を見つめる。旬はそちらを一瞥したあと、目の前の影をみる。

 バルカの影だ。ジッと旬を見つめたあと、気のせいかニヤリと笑ったような気がした。そして、その場に跪く。ほぼ同時に他の影達も跪く。

 

『影の弓兵Lv.1』

  精鋭級

 

 影の弓兵と表示された白鬼の影達。生前の魔石摂取量の違いか、Lv.1のものから5までと様々。

 そして、目の前の影は………

 

ナイト級より上の兵士には名前をつけられます

『バルカ』にしますか?

 

 名前をつける。イグリットと同じく、生前の名前でいいだろう、

 

バルカLv.1

精鋭ナイト級

 

 前回は能力値の差ゆえに手に入れられなかったバルカの影。今回は無事手に入れた。満足げに笑った旬は新参者達と共に影の兵たちを己の影にしまった。

 

「………その力、そうか、それが君の魔法………君は、死者を引き連れるのか」

「悍しいか?」

「………まあ、怖いといえば怖いかな。けど、君が無作為に人を殺し己の軍勢に加えるようならオラリオから上級冒険者が、君の来た日に消えているよ」

 

 だから、とりあえずは信用する。そう笑うフィン。その目に映る僅かな打算を、旬は見逃さなかった。

 かつてはE級。それも毎回怪我をするお荷物。せめて相手の顔色をうかがっていなければハンターなど続けていられなかった。だから解る。フィンは、一つカードを手に入れたつもりだ。

 まあ相手は【ロキ・ファミリア】。現存するファミリアで最も深く潜っているファミリアだ。仲良くなっておいて損はない。互いに互いを利用する関係、悪くはないだろう。

 

「じゃあ俺は今回の冒険者依頼(クエスト)失敗の報告をしてくる。じゃあな」

「うえ、やっぱり失敗なのかあ………」

 

 目的のものは怪物になったし、破壊されたし。仕方ないか〜と俯くルルネに対して、シュンは思い出したように女体型の灰に近づく。

 

「起きろ」

 

 再び影が現実世界に滲み出る。

 

精霊の分身(幼体)Lv.1

   精鋭級

 

 どうやらこのモンスターは精霊の分身扱いだったらしい。ただし幼体。おそらくはクエストには無関係。ただ、質量はそのままそれなりの強さとなるのでこちらも保管。

 Lv.を上げて成長させれば成体になるだろうか?

 

「…………ん?」

「どうしたの?」

「………レヴィスの影がない」

 

 

 

 あの後、18階層の出来事はギルドにより混乱を避けるためと箝口令がしかれた。

 人類と同じ姿をして、人類の様に文明を操るモンスターの存在など混乱どころの騒ぎでは収まらぬだろうし、当然の判断だ。特にエルフなどが騒ぐことだろう。

 

「死体から影を取り出し操る、なぁ………しかも詠唱と思わしきもんは『起きろ』たった一言。いやあ、短文詠唱のくせにヤバすぎやろ」

「因みに、それは魂だと思うかい?」

 

 フィン達の報告を聞いたロキは、んー、と顎に指を当てる。モンスターに魂はあるのか? それを聞けばロキは無いと答えるだろう。少なくともモンスターの魂など天界には流れてこない。

 

「宿っとる魔力を生前の形に再現してるんちゃう? つーかうちはダンジョンから現れたちゅー青いエルフみたいのに興味あるんやけど。なんやねん、人型だけでなく武器まで持っとるモンスターって」

「赤髪の女、水篠旬いわく逃げた調教師(テイマー)はアイスエルフ、水篠旬は白鬼とそれぞれ呼んでいた。不快なことだが、恐らくアイスエルフが正式な呼び名なのだろう………」

 

 リヴェリアがふん、と鼻を鳴らす。モンスターが人類の仇敵であり脅威であるこの世界において己の種族の名がつけられるなど侮辱以外の何者でもない。しかし、それでも端正な顔立ちと長い耳はリヴェリアとて同胞ではないかと思った。

 

「アイズに匹敵する赤髪の女、か。そいつもその白鬼みたいにダンジョンモンスターと考えるべきかもしれんな。名が知られないなどありえんし……」 

 

 同様にアイズの名を間違えた……厳密にはアイズをアリアと呼び今までその存在を知らなかったような言い方も気になる。アイズの名は世界にも知れ渡る名。

 ましてやオラリオで何かをなそうとするなら第一級冒険者の名や顔を調べるべきだろう。

 

「まあ、そういう意味じゃ田舎から来たと自称しながら僕達について全く知らなそうなのが一人居るけどね」

「そういやデュオニュソスも疑っとったなあ。突如現れた間違いなくランク詐称の冒険者、やのにギルドからの調査はなしで、怪物祭(モンスターフィリア)をやっとるガネーシャんとことも懇意やからなあ」

「だが、少なくとも極彩色のモンスターの方とは無関係だろう。間違いなく本気の殺し合いだったし…」

「フィンはどうすべきやと思う?」

「幸い彼自身か彼と同じファミリアの少年のためかはしらないが、ダンジョンの知識を欲しがってる。現状それを一番持っているのは僕達だ」

 

 それを交換条件にすれば、あるいは同盟を結べるかもしれない。見極めるためにも側に置きたい。情報の漏洩? 敵にするなら近くに置こうと遠ざけようと危険度に差はない。

 

「今頃、どこで何をしているのだろうな………」

 

 リヴェリアはそうつぶやき窓の外を眺めるのだった。

 

 

 

 

 

「報告感謝する。こちらは約束の金だ」

「良いのか?」

 

 ギルド、祈祷の間にてフェルズから渡された金を受け取りながらも受け取っていいのかと困惑する旬。

 

「構わぬ。もとよりあれが何か知れた………モンスターを進化させる、モンスターの上位存在。お前はそれを精霊の分身と呼んだな?」

「システムが教えてくれたからな。『穢れた精霊』とやらの力のかけらだ」

 

 ウラノスはそうか、と目を伏せる。

 精霊とはこの世界において神の分身。神に最も愛された子供。『穢れた精霊』それが、モンスターと融合した結果だとウラノスは推理した。

 

「報告感謝する。何かあれば、追って依頼しよう………我々に何か要求はあるか?」

「ふむ………では、アンタレスというモンスターについて何か知らないか?」

「………アンタレスだと? その名をどこで………いや、良い。解った……」

 

 

 

 

 

 『エルソスの遺跡』。深い深い森の中に存在する人に忘れ去られた遺跡の中で、ピロンと軽快な音が響く。

 

プレイヤーが個体名∶アンタレスの情報を手に入れました

プレイヤーのレベルが予測値を超えています。これよりアンタレスの強化を開始します

アンタレスの眷属作成能力を強化

それに伴い派生スキル眷属強化を習得します

アンタレスのエナジードレインを強化します

月の大精霊の残滓を確認。アンタレスに付与───成功

 

 ピロンピロンと鳴り響く不気味なまでに規則的な音。地下深くで、うめき声が響く。それは己のあり方を変えられた怒りの声にも、新たなる強さを得た歓喜の声にも聞こえた。

 

『エルソスの遺跡』を異界化。ダンジョンに再設定しました




皆様に一つ謝罪を。
今宮さつきはヒーラーではなく魔法使いでした。なんの活躍もないから忘れてました


感想お待ちしております

俺だけレベルアップの件の女性キャラを出すなら

  • エシル(悪魔娘)
  • 観月絵里(ヒーラー)
  • 今宮さつき(ヒーラー)
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