俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか   作:超高校級の切望

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周辺探索

 帰還が不可能と知り、一度は慌てたものの、外部時間が経過しないことを思い出しとりあえず落ち着く。

 外部時間に気を使わなくてすむ『ダンジョン』は初だ。裏を返せば、『システム』がそれだけサービスする程攻略に時間がかかると言う事だろう。

 数週間、数カ月、下手をすれば数年。

 

「………逆に言えばそれだけレベルアップの機会もあるって事だ。ここで何年修行しようが外では少しも時間が経過しない………せいぜい、頑張るか」

 

 とはいえ、実際にそこまで時間をかける訳には行かない。十年も経てば別人のような見た目になってしまうだろうし、長くて2年を目安に頑張ろう。

 そうと決まれば情報収集だ。この『ダンジョン』はどうも妙だ。時代遅れとはいえ普通の街並みが広がり、聞こえてくる声も理性と知性を感じさせる。

 『エルフ』や『上級悪魔』のような知性ある『モンスター』の住処なのだろうか?

 そのうち片方の『上級悪魔』のエシルやその家族なんかとはまあ友好を築けた方だろう。この世界で長居することも考えて、この世界の住人ともまずは対話した方が良いだろう。『アイスエルフ』のように残虐でなければ良いが………。

 

 

 

 

「………と、思ったがこれは中々な光景だな」

 

 『エルフ』はもちろん『ドワーフ』や『獣人』など『人型モンスター』が、人間と全く同じ姿をした者達と共に生活している。

 普通に会話も成立しているし、モンスター全てに表示されていた名前表示もない。故に強さは己の感覚でしか測れないが、基本的には一般人程度。

 だが、武装している者達は『覚醒者』と変わらぬ強さを感じる。殆どが『Eランク』と変わらぬが時折『Dランク』や『Cランク』が混ざる。

 武装しているという事は、彼等は戦う者なのだろう。彼らが向かったり、出てくる塔に目を向ける。そちらから強い気配を感じる。

 街中の住民達は姿を晒しても襲ってこない。とりあえずは放置でいいだろう。

 武装している連中に混じり塔に向かう。

 塔の中に入ると、武装した者達は上に向かわず、塔の一階中央にある地下へと続く螺旋階段へと向かっていた。やる気はあまり感じられないが見張りもいる。やる気のなさは、ここを通る者は条件を満たしている者しか来ないだろうという確信。

 ゲート前の雰囲気に似ている。この一定以上の強さを持つ武装した集団が、条件を満たした者なのだろう。

 旬の強さは少なくともこの場にいる連中よりは上。堂々と歩くと見張りがチラリと旬を見て、すぐにそらす。このファンタジー感満載の世界では珍しい格好だが、それに反応しただけのようだ。ある程度強さを見抜けるのだろう。

 

「すいません」

「え、あ、はい……」

 

 仮面で顔を隠した男は話しかけられると思っていなかったのか一瞬キョトンとするもすぐに対応する。

 

「この下に、何があるんですか?」

「何って、ダンジョンですけど」

「ダンジョン………?」

 

 この世界にもあるのか。となると、クエストを達成する為にはこの下に降りる必要があるのだろうか?

 この塔の下はゲート多発地域なのか?いや、そもそも文化が違う。自分の世界の常識はこの際捨てよう。

 

「ダンジョンって、モンスターが住んでるあの?」

「はい。そのダンジョンです………バベルの地下にあるのは、ギルドでも教えられるはずですが………」

「ギルド?」

「もしかして、貴方冒険者ではないのですか?」

「ああ、えっと………冒険者、ですか? すいません、何分遠く離れた地から来たもので」

 

 取り敢えず人の流れを辿ってきた、という事にすると、ああ、なるほどと納得してくれる。

 

「いやはや、オラリオは世界の中心だなんて思ってましたけどやっぱり知らない人は知らないものですね。この地下にはですね、モンスターの湧き出すダンジョンがあるんです。彼等は冒険者、神の恩恵を得てモンスターと戦える力を得た者達です」

「神の、恩恵?」

「はい、僭越ながら自分もガネーシャ様より恩恵を得ており、この前レベル3になったんです」

「……3」

 

 目の前の人物の強さはDと行ったところだろう。覚醒者の中の、5千人に一人程の割合。大手ギルドなら最下層に位置する強さではあるが、今まさにダンジョンとやらに向かう者達を見るに強い方だろう。

 いやまて、なった? この前? この世界の住人は、強さが変わるのか? 自分と同じように。

 

「………それは、おめでとうございます」

 

 元の強さがどの程度なのかは解らないが、旬も嘗ては弱者の一人、それも人類最弱兵器などと揶揄される程の弱さだった。力を手にした者に、素直な称賛を送る。

 

「でも貴方も結構強そうですけど…………あ、ひょっとして都市外の神の恩恵を?」

「いえ、神の恩恵は持ってないですね」

 

 大呪術師からの祝福は得ているが、神の恩恵には心当たりがない。いや、この『システム』を司る者は、ひょっとしたら神を名乗れるような存在かもしれないが。

 

 大呪術師カンディアルの祝福 

 ─持続効果∶無病長寿

 あらゆる疾病と毒性及び

  異常の免疫を作り

 睡眠時には再生能力を

 大幅にアップさせます

 

「そうですか……でも、体つきなんかは俺より良さそうですけど」

「わかるもんなんですか?」

「わかりますよ。うちの主神も、筋肉大好きですから!」

 

 ムキッとポーズを取る男。反対の男も何やらポーズを取っていた。

 

「そう、そして、俺がガネーシャだ!」

 

 更になんか増えた。

 

「────っ」

 

 像の仮面を被り顔の上半分を隠した男の登場に、なんか暑苦しくなって来たなと呆れたような顔をした旬だったが、彼を見て表情を変える。

 強い。何かに力を制限されているようだが、内面から滲み出る強さが半端ではない。ひょっとしたら、Sランクよりも上かもしれない。

 

「ほう、解るか………うむうむ、良い感覚をしている」

「………どうも」

「それで、君の名前は? 俺か? 俺は! ガネーシャだ!」

 

 自らをインド神話の神の一柱であると名乗る男。しかし、それも納得の存在感だ。

 

「何やら困っているようなので話しかけたぞ! ガネーシャ、人助け!」

「あ、じゃあガネーシャ様この人をギルドまで送ってあげてください。道中、冒険者の説明もお願いします」

 

 なのになんでパシられてるんだろう、この男。

 

「俺に任せろ。ガネーシャ、任された!」

 

 そしてテンション高いなこの男。




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