俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか 作:超高校級の切望
神ガネーシャの話を纏めると、この世界においてダンジョンと呼ばれる場所は一つだけらしい。
そして、街の中央に起立する塔の名はバベル。古代、人類が力を合わせモンスターが無限に沸き続けるダンジョンの上に立てた
とはいえそんな大迷惑な彼等も、何も迷惑だけを起こしたわけではない。文字通りの『神々の恩恵』を人類に与えた。
それは子供にすら大人を超える膂力を与え、本来なら精霊と契約したエルフなどしか使えぬ魔法を人々に与えた。
モンスターに十分対抗できるようになった人類は戦いが得意な者たちに迷宮でのモンスター退治を任せ、地上に残った組で塔を建設した。常人より力ある者達が建設するのだ、作業はかなりの速度で進んだ。
それからモンスターが溢れ出さぬようにダンジョンに潜り数を減らす者達を、何時しか危険に挑む冒険者と呼ぶようになった。さらに大量に手に入るようになったモンスターの核たる魔石は人々の生活に役立ち、塔の周りは魔石を求めた商人達が集う。人が集まれば飲食店も増え、1000年の時を越え今のオラリオが生まれたらしい。
「そして、当時迷宮に入る者達から得たモンスターや内部の情報の管理、魔石やドロップアイテムの換金、様々な神々が来たゆえの眷属同士の確執の仲裁それらを行う組織が今のギルドだ!」
ガネーシャに案内され、たどり着いたギルド。こちらもバベル程ではないが冒険者が出入りしている。
ガネーシャの話からして、彼等はいわば人工的ならぬ神工的覚醒者とも言えるだろう。
旬の世界の覚醒者と異なりスタート時は全員均一のため、成長も可能。羨ましい限りだ。
ガネーシャは早速入ろうとして、思い出したかのように歩みを変え本来なら職員のみが使うであろう裏口へと進む。
「裏口から入るのは、そこで隠れて様子を見ている奴が関係しているんですか?」
「ドキッ!」
ドキッって口で言ったぞこの男。しかもふざけている訳ではなく明らかに冷や汗をかいている。まあ、良い。彼の話を信じるなら、神々は地上の出来事を楽しむために降りる際力を封印しているらしいから、脅威ではない。問題は、隠密を使い隠れている何者か。
こちらも脅威とは思えないが、警戒しない理由にはならない。
『気付かれていたか、お見逸れするよ』
空間が揺らめくように歪み、人型を取り色付けされていく。現れたのは黒い影。
漆黒のローブを纏った肌の露出が一切ない、男か女かも解らぬ人物。フードの奥は闇に包まれ、その顔を伺う事はできない。Cクラスの上位程度の力を感じる。
「そう警戒しないでほしい………むしろ警戒されるべきは、突如としてこの街に現れた君の方だと思うがね」
「フェルズ、あまり彼を責めないでやってくれ。少し話しただけだがなかなかの好青年だ。真に責められるべきは街へと無断で入れてしまった俺。なぜなら、俺はガネーシャだからだ!」
「すまない、神ガネーシャ。少し黙っていてくれ」
「むう……」
フェルズと言うらしい黒衣の人物曰く、神の降臨にも似た気配を、この街で唯一僅かに神の力を扱いダンジョンを抑え、この街の平和を守っているギルドの神が感じ取ったらしい。
神の降臨と同じく世界を跨ぐ揺らぎ、しかし力を抑えるとはいえ世界を跨ぐ際にどうしても生じる神の気配はなく、代わりに何処か悍しい
ギルドの神はとある神に頼み、その異物を探してもらった。その神は神の力を使わず、人の本質を見抜けるからだ。そして、見つけたこの世界の人間とは異なる人の形をした何か………旬にガネーシャが声をかけた訳だ。敵意がありそうだった場合は、彼のホームに誘い込み彼の眷属で拘束する予定だったらしい。
「まあ軍勢というのはなんの事か俺にはさっぱりだが、危険はないと判断したぞ!
「それを誤魔化せる可能性も考慮してほしいものだがね」
「そのような不審な点はお前が見逃さないだろう?」
「…………」
ガネーシャの言葉にフェルズはカリカリと頭をかく。
「貴方が団員に慕われる理由の一端が分かったよ。まあ、何かを隠すような気配は、確かに感じなかった………その上で、まだ少し疑わしいんだ。我が主にあってもらいたい………誰よりも人間と対面してきた彼は、神の力関係なく人の本質を見抜く」
「……なんか、余計な手間を増やしてるみたいですね。すいません」
「気にしないでくれ。こちらこそ、疑ったままですまない……」
そして、フェルズの案内のもと隠し通路を使いながらギルドの神が居るらしい祈祷の間という場所に辿り着いた。
「よく来てくれた。私の名はウラノス、よろしく頼む」
祭壇のような広間。4つの松明に照らされた祭壇の中心には石の玉座に座った2メートルを超す逞しい老人が居た。側には槍を携えた美女が立っている。
これまで見てきた中で、一番強い。道門に匹敵するか、少し上と言ったところだろう。Aランクに限りなく近いBランクぐらいだろうか。
「紹介するぞ旬! 彼女はシャクティ、俺の眷属だ!」
「シャクティ・ヴァルマだ。よろしく頼む」
おそらく彼女は旬が暴れた時の為に呼んだ、彼等の中で最強の部下なのだろう。しかし、仮にもこの街の中心ならもっと強い相手を呼べるのではないだろうか?
権力を嫌うか、あるいは旬の存在を他に知られたくない理由でもあるのか。
「私以外にはその軍勢の気配を感じられぬようだ。一部を見せてやってくれぬか?」
「………………」
ウラノスの言葉に、影の軍勢を呼び寄せる。『影の兵士』『影のモンスター兵』『影の歩兵』『影の魔法兵』『影のオーク兵』を数体呼び出す。
「ほう」
「────っ!!」
ガネーシャが驚いたように声を漏らし、シャクティはその不気味な光景に思わず槍を構え、その槍が新たに影から現れたイグリットに掴まれる。
「後百体ぐらいだせます」
「なっ………は?」
その言葉に信じられないと言うように目を見開くシャクティ。自分の槍を掴むこの影は、間違いなく自分より上。下手をすればレベル7、オラリオ最強の【
たった一人で複数のファミリアを相手できるどころか、下手をすればオラリオを滅ぼせるかもしれない。そんな存在なのだ、目の前の男は。
「お前は、一体何者だ? それ程の力を、どうやって手にした」
「…………」
さて、どうするか。ここはもとの世界ではない。話しても、問題はないかもしれないがそれはもとの世界に影響がないだけで、この世界ではどのように扱われるか分からない。
「我が神名に誓い、お前の秘密を漏らさぬと誓おう」
そんな心境を見越したかのように、ウラノスは断言した。
その目を真っ直ぐ見返し、嘘はないと判断する。
「俺は、ある鍵を使いここに来ました。こことは異なる世界で………」
日本、ゲート、ダンジョン、異世界、鍵、デイリークエスト、大体の事情を話すと、シャクティはやはり信じられぬと言いたげな顔をして、逆に神々とフェルズは何やら考え込む。
「………異世界は確かに存在する。フレイヤなどは時折《混沌》と良くゲームと称し互いの駒を盤上に送るからな」
異世界の存在を他ならぬ神々が認知していた事に驚きを隠せぬシャクティ。ウラノスはしかし、と顎に手を当てる。
「本来は
それが敵意が無いことを祈るしかない。それはひとまず置いて置くとして。
「水篠旬よ、お前の地位を保証しよう。代わりに、その力を有事の際貸してはくれぬか?」
「…………断った場合は、どうしますか?」
「何も。ただ、敵対しないでくれるならそれで良い」
「……………わかりました。具体的には?」
「秘密裏に動く実行部隊になってもらいたい。我等の個人的な戦力は、下層がせいぜいなのでな。お前なら深層にすら向かえるだろう…………」
さしあたっては何処かのファミリアに所属して欲しいそうだ。冒険者の立場でないとダンジョン内での活動が難しくなるそうだ。とはいえ旬には隠密があるのだが……
「私達の所は人が多すぎるな。
「人が少ない方が都合がいいな。その上で、隠し事を容認してくれるかそうでなくとも黙っていてくれる神…………タケミカヅチかミアハ辺りが妥当か?」
シャクティの言葉にむむ、と考え込むガネーシャ。候補の2柱、うち一人は眷属が数人、安全のためと他の眷属と組まされる可能性が高い。
もう一人は、医療系。それに過去のことも考えれば、主神が危険に挑む事にいい顔をしないだろう。
「探索系ファミリアで、チームを組まされることもないであろうファミリアか……………あ」
【ヘスティア・ファミリア】を。一週間程前に出来たファミリアであり、団員1名の間違いなく最下位のファミリア。その主神ヘスティアが、唯一の団員
「喜べベル君! 入団希望者だ! いやあ、バイトしてたら話しかけられちゃってねえ。やっぱり溢れ出る僕のすごい神オーラが隠せないっていうのお?」
ふへへへ〜、と笑う黒髪ツインテールロリ巨乳僕っ娘の属性てんこ盛りの女神は得意げになっていた。ベルもベルでやりましたね! とパチパチ拍手を送っていた。
Lv.ーーー
力:ーーー
耐久:ーーー
器用:ーーー
敏捷:ーーー
魔力:ーーー
《魔法》
【】
《スキル》
【プレイヤー】
・別システムの影響を受けています。神の恩恵による効果はありません
「な、なんじゃこりゃあああああ!?」
その日【ヘスティア・ファミリア】のホームから、一柱の女神の悲鳴が響き渡ったという。
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