俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか   作:超高校級の切望

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初めてのダンジョン

 後輩が出来た。年上だけど、一週間だけとはいえ冒険者として自分のほうが先輩だ。白髪赤目の兎を彷彿させるベル・クラネルはようし、格好いいところ見せるぞお! と先輩風を吹かせる気でいた。

 その様子を見て自分を慕い親のサポートを受けられる会社が設立するギルドではなく、旬が立てるギルドに入りたいと言っていたと諸菱賢太と出会った頃を思い出す。

 あの時点で自分の強さはB級ハンター程度で、彼はD級。表向きにはE級だったから彼も自分が守りますよ、と言っていたか。

 

「………………」

 

 強さは、駆け出しだけありE級と言ったところか。まあ最初の自分よりよっぽど強い。

 が、少しあらが目立つ。背後からベルに迫っていたゴブリンの頭を蹴り飛ばす。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

ゴブリンを倒しました

経験値を5獲得しました

 

 しかし大して経験値にならない。まあこれだけ弱いから仕方ないのかもしれない。と、天井から落ちてきたダンジョンリザードを短剣で斬り殺しながら自分なりにダンジョンのランクを推定していく。

 無限にわき続けるというのは厄介だが、少なくとも現在の到達階層である4階層までなら金にならぬと放置され協会が請け負うことになる程度のE級ダンジョン程度といったところか。それも、人類最弱と呼ばれていた頃の自分が呼ばれるE級の中でも最下層に位置する。

 しかし潜れば潜るほどモンスターも強くなるらしい。

 

「ベル君、ここは余裕だし、二手に別れないか?」

「え、でも…………あー、うん。そうですね………お金、早く集めたいですし」

 

 旬の言葉に一瞬迷うベルだったが一週間とはいえソロで行動してきた経験があり、何気に旬も強かった。これならたしかに二手に別れた方が効率が良いだろう。

 【ヘスティア・ファミリア】の拠点(ホーム)は廃墟と言っても差し支えない教会で、雨風が凌げる地下に住んでる状況。早いとこお金をためてせめてマシな宿に泊まりたいのが本音だ。

 

「それじゃあ、また夜にバベル前の広場で」

「ああ………」

 

 

 

 

 中層に入ればモンスターの数が増え群れとなり、下層ともなればC級………小規模ギルドのギルドマスター程の強さの奴やB級モンスターも混じってくる。

 しかし、あまりレベル上げには向かない。

 黒いサイのようなモンスターを斬り殺し魔石を抜き取る。この世界のモンスターも体内に魔力の塊を持っているらしい。旬の世界のダンジョンでもモンスターが持つ魔法石と言う魔力の塊を抜き取り、それを金に変える。今や魔力で動く様々な道具で成り立っている。旬の世界も、この世界も。

 とはいえ旬の世界のモンスターは魔法石を抜き取っても灰にならず、その死体も様々な使い道があるがこの世界のモンスターは魔石を抜き取ると灰に成ってしまう。

 時折そのモンスターの部位で異常発達した場所が魔石を抜き取られてもなお魔力を帯び、灰にならず残るのをドロップアイテムと言うらしい。

 モンスターとしても発展させる必要がある部位、牙であったり爪であったり角や皮膚、時折目玉や血なんかが残る。毒を使うモンスターだと毒を残すこともあるそうだ。

 まあ、中層の物をギルドで換金するわけには行かないが………。旬は不意に恩恵を刻んだ先日の事を思い出す。

 

 

 

 

 

「おお、いい身体してるね〜。鍛えてたのかい?」

「はい、まあ……」

 

 なにせ一日のノルマをこなさないと砂漠に送られ毒を持ったムカデに襲われるし。まあ、それを抜きにしても報酬のポイントで筋力を上げた結果でもあるのだが。

 

「さぁて、それじゃあ恩恵を刻むぜ」

 

 そう言って上着を脱いだ旬の背中に血を垂らすヘスティア。神の力を封じた神々は、唯一許された権能を用いて人類を強化させる。それこそが眷属で、その集まりが文字通り血を分けた家族(ファミリア)と呼ばれるわけだ。

 

「よおし、でき……………ほあ?」

 

 が、ヘスティアが背中に描かれた【ステイタス】を見てピシリと石化した。

 

「な、なんじゃこりゃあああああ!?」

「ど、どうした神ヘスティア」

「神様!? 何があったんですか!?」

「おおっと、ベル君はきちゃ駄目だ!」

 

 ヘスティアの叫び声にベルが慌てて部屋に飛び込んでくるも、ヘスティアが慌てたように追い返す。そして、呼吸を整え羊皮紙に【ステイタス】を写し手渡してきた。因みにこちらの世界の文字は読める。『アイスエルフ』達の言葉を理解できたのと同じく『システム』の影響だろう。

 

水篠・旬

Lv.ーーー

力:ーーー

耐久:ーーー

器用:ーーー

敏捷:ーーー

魔力:ーーー

《魔法》

【】

《スキル》         

【プレイヤー】          

・別システムの影響を受けています。

神の恩恵による効果はありません

 

「…………これは」

「少なくとも僕にはさっぱりだ…………君は、これが何を意味するかわかるかい?」

 

 ヘスティアは嘘は許さないとばかりに旬の目を見つめる。神に嘘は通じないらしいし、素直に話すことにした。

 

 

 

「なるほどねえ、異世界…………いいかい旬君。そのことも、この【ステイタス】の事も他の神々に話しちゃ駄目だぜ」

 

 元々ガネーシャに細かいことを聞かないでくれと紹介された時点で何かあるとは思っていたが、想像以上の『未知』だった。娯楽好きの神々が知れば間違いなく手を出そうとすることだろう。

 

「………俺を置いておいて良いんですか?」

「すでに【ステイタス】は刻んだんだ。それが君になんの力を与えてやれなくても、君はもう僕の子さ。子を追い出す親は………まあ、いなくはないけど少なくとも僕は違う」

「………………」

 

 ガネーシャがここを紹介した理由が、なんとなく分かった。相当な善人だ。いや、善神か。

 

「君がそのクエスト? を終えて何時か帰るのは、寂しいけど仕方ない。けど、君をずっと手元に置こうと考える神々だっている筈さ。残念だけど僕じゃ、そんな奴らから守れない………」

 

 なにせ構成人数たった二人だ。それこそ力を示す舞台でもあれば旬が他の神々を威圧できるだろうが、ヘスティアはそれを知らないし、今の所そんな機会もない。

 

「別システムの影響は、()の力を弾くくらいだ。すごいんだろう、でも暫くは君が異世界人である事は、バレないよう、目立たぬように心がけてくれ」

「わかりました」

 

 

 

 

 とはいえせっかく手に入れたアイテム。素材系は特に使う予定もなし、ギルトを通さずどこかのファミリアに下ろすか?

 

「ポイズン・ウェルミスの体液なんかは、血清の材料になるのか………」

 

 他にも色々素材があるのだろうが、レシピがない以上旬には作れない。なのでこれは売ろう。ひとまず地上に戻る事にした。

 

 

 

 

「あ、旬さん。お疲れ様です………魔石は取れました?」

「ああ」

 

 旬の世界でもそうだが亜空間収納系の魔法はレアだ。こちらの世界では少なくとも噂にすらなっていない事から存在していない可能性もある。故にイベントリに保管せずに袋に詰めておいた魔石や上層のドロップアイテムを見せる。

 

「おお〜。凄いですね旬さん!初日なのにこんなに沢山!」

「オラリオに来る前からモンスターを狩ってたからね」

「なるほど。でも、オラリオの外のモンスターは迷宮のモンスターに比べても弱いはずなのにやっぱり凄いですよ」

 

 キラキラした瞳を向けてくるベルに少しこそばゆい気分になる。

 

「じゃあ換金しに行きましょうか」

「そうだな……」

 

 

 

 

「次の方〜…………あ、旬さん」

 

 ギルドの受付嬢の一人、ミイシャ・フロットは先日自分の担当冒険者になった旬に気付き笑顔を浮かべる。今日ダンジョンンに潜るとのことだが目立った外傷はない。無事戻ってきて何よりだ。

 

「換金お願いします」

「は〜い。まあ初日はそんなに稼げるものじゃありませんけど、気にしな……へ?」

 

 ドチャリと置かれた袋。中には、魔石がぎっしり。全部上層でのみ取れる質の低いものだが、それでもこの量、同じファミリアに所属しているのは一人だけ。たった二人で、この量を? と思い隣を見るがベルの持ってきた魔石は少ない。まさか二手に別れ、たった一人で集めたとでも言うのだろうか?

 

「………この量だと、あっちのカウンターで計算してもらったほうが良いですね〜」

 

 駆け出しなどはそこまでの魔石を取ってこれないため担当受付嬢が相手したりするが、この量となるとキチンと換金所に行き計算して貰ったほうがいいだろう。

 

「そうですか、手間をかけます」

「いえいえ。あ、それと敬語はいいですよ。旬さんの方が年上でしょ?」

「そうか? じゃあ、そうさせてもらう」

 

 旬はそう言うと換金所に向かった。

 格好いい人の担当になれた、ラッキー程度に思っていたが、将来有望の冒険者の担当受付嬢になれたこともラッキーだ。ミイシャはそんなふうに思いながら彼の背中を見送った。

 

 

 

 

 

 そして、場所は変わり【ディアンケヒト・ファミリア】の治療院。旬はこちらの世界のポーションの効果に興味が出てきたので取り敢えず効果がありそうという事で高いのを選び手に取る。

 

『アイテム∶アミッドのエリクサー』

入手難易度∶A

種類∶消耗品

アミッド・テアサナーレが作った万能薬です。

様々な病気、毒、怪我を癒やします

 

「へえ……万病てわけじゃないのか」

「ええ、残念ながら」

「……………」

 

 思わず感想が口に出ると、店員の少女が声をかけてきた。銀髪の、小柄で無表情な少女。身体能力は低いが魔力が高い。が、攻撃的ではない。

 ここが医療系ファミリアである事を考えるとヒーラーだろう。この世界のヒーラーは欠損を癒せないと聞いたが、目の前の少女は以前旬の足を治そうとしてくれた観月……魔力さえ足りれば欠損を癒せるB級ヒーラーに匹敵しうる。

 

「私共としてもあらゆる病に効く薬を作りたいのですが、未だ実現したことはありません」

「そうですか………」

「貴方は、見かけない顔ですが薬師ですか?」

「? 何でそう思うんですか?」

「薬を見て、鑑定していたので。ある程度知識がある方かと………もし、この街に来たばかりです、未だどこのファミリアにも所属していないのならどうでしょう、うちに来ませんか?」

 

 薬を作れる者が増えて困ることはありませんから、と続ける少女。どうやら旬が薬の効果を当てたのを見て勘違いしたようだ。

 

「いえ、俺はもう探索系ファミリアに入っているので」

「そうでしたか。失礼しました」

 

 取り敢えずこの世界のポーションの効き目を確かめるために数本購入し、ホームに帰った。




感想お待ちしております

旬の所属ファミリア

  • ヘスティア
  • ロキ
  • タケミカヅチ
  • ミアハ
  • ソーマ
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