「(....つまらない人生だった)」
俺の名前は兵藤 誠二。俺は今、この状況に絶望していた。
俺の目の前には下半身が蛇の形をした男がいた。そして、俺の腹には
巨大な穴が出来ており、そこから大量の血が流れていた。
「(....本当に、ふざけた人生だな)」
俺には兄とも呼べないような兄が一人いた。その兄のせいで、俺の人生は
めちゃくちゃになってしまった。友人は一人を除いてできないし、兄の起こした
面倒ごとは全て俺に返ってくるし、女子からも侮蔑の視線を送られるのもザラにあった。
そして、遂には両親までもが俺を疑い始めた。そんな現状が嫌になって家出をしたのだが、
俺は急に目の前にいる存在に襲われて死にかけていた。
「クヒヒ! 人間のガキの肉はさぞかし柔らかい。じっくりと味わってやろうか!」
そう言いながら男は俺に腕を伸ばしてきた。
「(ここで死ぬのか....ごめんな◼️◼️◼️ちゃん。あの時の約束、守ってやれそうにない....)」
俺はたった一人の友人である少女に謝罪しながら目を閉じて死を覚悟した。
だが、いつまで経っても蛇の男の腕が俺を掴むことはなかった。
「(....? 一体何が起きて....)」
俺が恐る恐る目を開くと、目の前は謎の虹色の空間だった。
『おいおい、まだ若いのに人生諦めてんじゃねぇよボウズ』
すると、突如後ろから笑うような声が聞こえてきた。後ろを振り向くと、そこには
赤い色をしたスライムらしきものがいた。
「....何だ、お前は」
『俺か? 俺の名はエボルト! あらゆる惑星を喰らう地球外生命体だ!
....ま、今はこんな姿になっているがな』
「....それで、その地球外生命体が死にかけの俺に何の用だ」
『なぁに、お前に力をやろうと思ってな、兵藤 誠二。この状況を打破できる力をな』
そう言うと、スライムからカラフルなベルトと赤紫と灰色のボトルが出てきた。
『お前は良いのか? 人生をこんなところで終わらせて? この世界には、お前の知らない
未知のことが山ほどある。それを知らずに死んで、お前は満足か?』
「....」
『それに、お前が死んでもお前の兄はのうのうと生きるぞ』
「っ!」
スライムの言葉に、俺の中にある何かが切れた。
『良いのか? このまま無様に死んで? こんなつまらないまま死ぬなんて俺はゴメンだぜ?』
「....確かに、お前の言う通りだな」
そう言いながら、俺はベルトを手に取った。
「コレがあれば、この状況はどうにかなるんだな?」
『勿論だ。....いや、それだけじゃない。お前のやりたい事や、叶えたい願いのほとんどは
全て叶うだろう! 旅をしたい、美味いものを食べたい、普通の生活がしたい、
約束を果たしたい、兄に復讐がしたい....』
「そうか....だったら、俺の人生は少し面白くなりそうだな」
『くっくっく....! これだから人間というのは面白い! さぁ、今こそ俺に人間の可能性
という物を見せてみろ!』
スライムはそう叫ぶと、俺の身体の中に入ってきた。すると、周りの景色はさっき俺が
蛇の男に刺された場所に戻ってきていた。そして、俺の目の前には男の腕が迫っていた。
俺はその腕に手を翳すと、男は身体ごと吹っ飛んでいった。
「ぐほっ....!? な、何が起こって....」
「へぇ....凄い力だ。それに傷も治ってる」
俺は自分が刺された所を撫でながらそう呟いた。
『(当たり前だ。俺の細胞をお前の中に移植したからなぁ)』
すると、急に頭の中にエボルトの声が聞こえてきた。
『(さて、新しいお前という存在の門出を祝おうじゃないか! そのベルトを腰にかざせ)』
俺は言われるままにベルトを腰にかざした。
『エボルドライバー!』
すると、ベルトは音声が流れて自動的に腰に巻かれた。
『(次にボトルのキャップを前に合わせてベルトに挿し込め)』
「わかった」
俺はボトルのキャップを前に合わせてベルトに挿し込んだ。
『コブラ! ライダーシステム! エボリューション!』
ベルトからは軽快な音楽が流れ出した。
『(後はそのレバーを回したら完了だ。精々、俺を楽しませてくれよ?)』
「あぁ....」
その言葉を聞き、俺はゆっくりとレバーを回し始めた。すると、俺の前後にプラモランナー
らしきものが現れた。そして....
『Are you ready?』
「....変身」
俺がそう言うと、前後のプラモランナーが俺に重なり姿を変えた。
『コブラ....コブラ....エボルコブラ! フッハッハッハッハッ!』
『これが、エボルトが言った力か....』
「っ! 姿を変えたところで!」
蛇の男は俺に向かって腹に穴を開けた槍を投げてきた。それを俺は手を向けただけで真横に
弾き飛ばした。
「何ぃ!?」
『スゲェな....』
俺は純粋にこの力に感心していた。
「ガ、ガキの分際で!」
蛇の男は俺に突進してきたが、俺はその男を指一本で止めた。
「なっ!?」
『吹っ飛べ』
そう呟き、俺は男を蹴り上げた。男の腹はめり込み、口から大量の血を流していた。
「な、何で人間のガキに、悪魔であるこの俺が....!」
『知るか』
『(誠二、必殺技で終わらせてしまえ)』
『必殺技?』
『(レバーを何回か回せば使える)』
『わかった』
そう言われ、俺はレバーを回した。すると、右脚にエネルギーが溜まり始めた。
「お、おい待て! やめてくれ! もう人間には手を出さない! だから殺すのは....!」
『そんな事、俺には関係ない。お前は俺にとって目障りな存在だ。だから、ここで死ね』
『Ready go! エボルテックフィニッシュ! Ciao〜!』
その音に合わせるように、俺は男を蹴り飛ばした。男が吹っ飛んだ所は大爆発し、その姿は
チリ一つとして残らず消滅していた。
『(ククク....はっはっはっは! やはり人間は面白い! 俺の勘もまだまだ捨てたもん
じゃない!)』
エボルトは俺の頭の中で大笑いしていた。
『(どうだ? 今の気分は?)』
『わからねぇ....だが、少なくとも前よりは満たされているのは間違いない』
『(そうか! ならば俺も、お前に力をやっただけの事はある!)』
『....感謝するぞ、エボルト』
『(礼には及ばない! ....さて、ひとまずここから退散するぞ。サイレンが近づいている)』
『そうだな....』
そう言って、俺は急いでその場から離れた。