ハイスクールEvolution   作:アイリエッタ・ゼロス

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接触

「....創二」

「どうしたオーフィス」

 土曜日の昼間、一番忙しい時間に地下にいたオーフィスが厨房にいる俺の所にやってきた。

 

「黒歌がいない....どこに行ったか知らない....?」

「黒歌か? アイツなら山に行ったぞ」

「山....?」

「あぁ。妹に接触するんだとさ」

「....わかった」

 オーフィスは納得したのか頷いたが、どこか寂しそうな様子だった。

 

「....後五分したらエボルトに全部任せて降りるから。だから少しだけ待ってろ」

「っ! ....わかった」

 オーフィスはそう言うと、嬉しそうに地下の方に降りていった。

 

「....てな訳で、あと頼むぞ」

「おいおいおい! この状況で俺に全部丸投げかよ!」

「....この前お前がサボった時の始末、誰がつけたと思ってる?」

「ぐっ....」

 俺の言葉にエボルトは何も言い返してこなかった。

 

「....変わってくれるよな?」

「....あぁわかったよ! 変わりゃ良いんだろ! 変わりゃ!」

 エボルトはそう言って俺からフライパンのフライ返しを奪って料理を作り始めた。

 

「んじゃ、後は任せたぞ」

 そう言って、俺は地下室の中に入っていった。

 

「(さて、黒歌の奴....今頃上手くやってんのか?)」

 

 

 〜〜〜〜

 白音side

 

「....ふっ!」

 私は今、部長の家が所有する山の中で今度のレーティングゲームの為の修行をしていた。

 

「この程度では、まだまだですね....」

 私の目の前には砕けた巨大な岩があった。

 

「(このままだとフェニックスに勝つ事は出来ない....)」

 私はもっと強くなれる方法を考えていた。その時、私の頭の中には一つ、ある方法が

 思い浮かんだ。だが、その方法を私はすぐに忘れようとした。

 

「(あの力は、使えない。使ってしまえば。私は姉様のように....)」

 そう考えていたその時....

 

「姉様のように、どうなるのかにゃん?」

 突然木の上から懐かしい声が聞こえた。

 

「(今の声....!?)」

 私は慌てて声が聞こえた方の木の上を見ると、そこには数年前から行方不明だった私の姉、

 黒歌姉様がいた。

 

「姉、様.....!?」

「久しぶりね、白音」

 そう言って姉様は木の上から飛び降りて来た。

 

「....とりあえず、元気そうで何よりにゃん」

「ど、どうして姉様がここに....」

「どうしてって....そんなの、愛する妹に会うために決まってるじゃない」

 姉様がそう言った瞬間、私の目の前から消えた。

 

「っ!? 何処に....!」

「そ〜れ」

「っ!?」

 姉様の声が聞こえた瞬間、私は背後から姉様に抱きしめられた。

 

「ん〜! 良い抱き心地ねぇ〜。....まぁ胸の方は発展途上って感じだけど」

「よ、余計なお世話です! それよりも離して....!」

 私は戦車の力で姉様は引き剥がそうとしたが、姉様はビクともしなかった。

 

「っ、何で....!」

「この力....戦車(ルーク)の駒ね。だけど、所詮は悪魔が作った玩具。私の仙術の力には到底

 及ばないにゃん」

 そう言うと、姉様は私の首筋を舐めてきた。

 

「ひうっ!?」

「にゃはは。可愛い声」

 姉様はそう言うと私から離れた。

 

「さてと、遊びはこの辺にして本題に入らないと」

「ほ、本題....?」

「えぇ。ねぇ白音、悪魔をやめて私と一緒に来る気はない?」

 姉様は突然変なことを言い出した。

 

「それは、どういう意味ですか....?」

「どういう意味って....そのままの意味よ。悪魔をやめて、私が世話になっている所で

 一緒に住もうっていう話にゃん」

「姉様がお世話になっている所、ですか?」

「えぇ。信頼できる人物だし、白音が来ることにも賛成してくれてるにゃん。それに、

 その人物のおかげで私は転生悪魔からただの猫魈に戻れたにゃん」

「ただの猫魈って....そんな事が!」

 私は姉様の言葉を信じる事が出来なかった。

 

「でも、実際私から悪魔の駒の気配を感じる?」

「っ、そ、それは....」

 私は姉様の言葉を否定できなかった。実際に、姉様からは悪魔特有の気配を感じることが

 できなかったからだ。

 

「それに、悪魔になってても仕方ないじゃない。悪魔なんて、殆どは嘘つきで傲慢で他種族を

 見下しているような奴等にゃん。そんな陣営に白音がいるのはお姉ちゃん悲しいにゃ〜」

「そ、そんな事はありません! 部長はそんな悪魔とは....!」

「外面はそう見せてるだけで内面はどうかわからないじゃない。ま、仙術を使えばわかるけど。

 白音、あなたは仙術を使わないの?」

「あんな力、使いたくありません! 全て壊してしまうようなあんな力....」

 私は姉様にそう叫んだ。だが、姉様は特に表情も変えずに静かに聞いていた。そして、姉様は

 突然口を開いた。

 

「....ねぇ白音。どうして私がはぐれ悪魔になったか考えた事ある?」

「姉様が、はぐれ悪魔になった理由ですか....?」

「....その様子だと、考えた事ないみたいね」

 姉様は少しだけ残念そうな表情をした。だが、すぐにさっきまでの様子に戻って

 こう言って来た。

 

「それじゃあ白音に宿題。今度会いに来た時に私がどうしてあんな事をしたのか一人で調べて

 おくこと。もしも白音が真実を知れば、白音はこっちに来たくなるはずよ」

 姉様はそう言いながら、仙術で魔法陣を作っていた。

 

「それとついでに、一つ良いこと教えてあげる。兵藤 一誠を信じちゃダメよ」

「イッセー先輩を? それはどういう意味ですか」

「それはまだ秘密。だけどあの男、いや、あの男の家族は悪魔以上の悪魔よ」

 姉様は、さっきまでとは比べ物にならない程真剣な表情でそう言ってきた。

 

「悪魔以上の悪魔....」

「....それじゃあ今日はこの辺で。また会いに来るわね、私の可愛い白音」

 そう言って、姉様は魔法陣の中に入っていった。そして、私はただ姉様がさっきまでいた所を

 見ていただけだった。

 

 

 〜〜〜〜

 黒歌side

 

「たっだいま〜....って!?」

 私は自分で作った魔法陣で家の地下室に帰ってきた。そして、まず私が一番最初に見たのは

 創二に膝枕されているオーフィスの姿だった。

 

「おっ、おかえり黒歌」

「えぇ、ただいま創二。で、何で創二はオーフィスを膝枕をしてるのかにゃん?」

「さっきオーフィスがして欲しいって言ったからな。さっき寝たばかりだから起こしてやるなよ」

 そう言いながら創二はオーフィスの頭を撫でていた。

 

「(う、羨ましい....!)」

 私は無言でオーフィスの事を睨みつけていた。

 

「そういえば、上手くやってきたのか?」

 すると、創二が急にそう聞いてきた。

 

「....えぇ。白音に気付かれずにマーキングしてきたわ。これで白音の行動は全て分かるわ。

 それと、兵藤 一誠に注意するように警告をしておいたわ」

「そうか。上手くいったなら何よりだ」

 創二はそう言うと、膝に乗せていたオーフィスを膝から下ろしてベッドの上に寝かせた。

 

「黒歌、寝たいんだったら来い」

「へっ?」

 そう言いながら創二は膝を叩いていた。

 

「さっきからオーフィスの事睨んでるの丸わかりだったぞ」

「うっ....」

 創二の言葉に私は苦い顔になった。

 

「さ、来るのか来ないのか早く決めてくれよ」

「い、行く! 行くからちょっと待って!」

 私はそう言って急いで自分の部屋で部屋着に着替えた。そして部屋に戻って来た私は

 創二の膝の上に頭を乗せていた。

 

「....やっぱり、創二の膝枕は落ち着くにゃん」

「そうか。寝るんだったら寝ても良いからな」

「....うん」

 創二の言葉を聞いて、私はそのまま目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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