エボルトと出会って一年近くが経った。俺は顔と名前を変えて、“石動 創二”として生きていた。
そして、この一年、俺は呑気に世界中を回りながら悪魔を狩っていた。その途中に、エボルトは
死んだ人間の身体を奪って人間の肉体を手に入れていた。
そして、日本に戻ってきた俺達は“nascita“というカフェを開いて、そこを拠点として
のんびりと生きていた。時に地下で武器を作り、時にスマッシュを作ってボトルの成分を
回収したりと本当にのんびりとした生活をしていた。
そんなある日....
「創二、看板を中に入れてきてくれ」
「わかった」
店じまいで片付けをしていた時、エボルトにそう言われて店の外に俺は出て看板を
片付けていると、急に背後から気配を感じた。気になって背後を見ると、黒髪ロングの
ゴスロリ幼女がいた。その幼女は俺の顔を見ると近づいてきた。
「やっと見つけた」
「....誰だ、お前は?」
「我、オーフィス。お前をずっと探していた、ボトルで変身する人間」
「....何で知ってんだよ」はぁ
俺はこの幼女が変身する事を知っているのに驚いた。
「で、お前は俺に何か用か?」
「我、お前に助けを求める。我に、手を貸して欲しい」
「....まぁ、話しは中で聞こう。とりあえず店に入れ」
「分かった」
そう言って、俺はオーフィスという幼女を店の中に入れた。
「おぉ、終わったか....って、そこの幼女は?」
「何か俺に用があるんだと」
「そうか。てっきり誘拐したのかと....」
「....ぶっ飛ばすぞ。オーフィス、そこに座ってろ」
オーフィスにそう言った俺は看板を直して冷蔵庫からジュースを取り出してオーフィスの
前に置いた。
「....これ、何?」
「....? ジュースって飲み物だが、知らないのか?」
「知らない。これ、どうやって飲む?」
「ここをこうしてだな....」
俺はジュースのプルタブを開けてやった。
「これで飲めるぞ」
「わかった。....美味しい。我、これ気に入った」
ジュースを一口飲んだオーフィスは気に入ったのか、足をパタパタさせていた。
「そうか。....で、助けってどういう事だ?」
「我、次元の狭間で生まれたドラゴン。次元の狭間で静寂を得たかったけど、同じ場所で
生まれたドラゴンに負けて追い出された。故に、我は静寂を得たい」
「静寂ねぇ....」
隣で聞いていたエボルトはつまらなさそうにそう呟いた。
「我、グレートレッド、倒したい。でも我、一人では無理。故に、力を借りたい」
「....別に貸してやるのは良いが、その後お前はどうするんだ?」
「....? そんな事、我、考えた事がない」
「....お前って、ずっと一人だったのか?」
俺が気になってオーフィスに聞くと、オーフィスは肯定したように顔を縦に振った。
「....そうか。だったら、しばらくここで暮らす気はないか?」
「え?」
「お前はずっと一人だったんだろう? 一人だと、面白いことや楽しいことは知る事が
できないからな。....だから、ここで俺達と暮らしてみる気はないか?」
ジュースを飲んだ時、オーフィスの表情は殆ど変わらなかったが、オーフィスの言葉に
喜びの感情があったのを俺は気づいていた。
「まぁ無理にとは言わないが....今すぐにでも静寂が欲しいなら手を貸してやるよ」
そう言うと、オーフィスは少し考え込んだ。そして....
「分かった。我、お前と暮らす。静寂の事は、考える」
「そうか。....俺は石動 創二だ。これからよろしくな、オーフィス」
「俺は石動 惣一、又の名をエボルトだ。よろしく〜」
「創二、惣一....よろしく」
「じゃ、飯でも作るか。オーフィスはそこでゆっくりしていてくれ」
「分かった」
「行くぞエボルト」
オーフィスにそう言って、俺はエボルトとキッチンに向かった。
〜〜〜〜
「にしても、どうしてあんな事を言ったんだ?」
キッチンで料理をしていると、エボルトはそう聞いてきた。
「....一人ってのは寂しいもんだからな。だから放って置けなかっただけだ」
「ほぉ〜....敵を倒す時に容赦がないような奴が言う事とは到底思えねぇな」
「うるさい。俺はやりたいようにやるんだよ。我慢して生きるのは、あの時に終わった」
「....くっくっく、それもそうだったな! まぁ、面倒は見てやれよ」
「....言われなくても分かっている。ていうか、つまみ食いしてないで
さっさとテーブルに運べ」
俺はつまみ食いしていた手を叩いた。
「へいへい」
エボルトは諦めたようにそう言って料理をテーブルに運んでいった。
「(....全く、自分でもらしくないことをしたもんだ)」
そんな事を思いながら、俺は目の前のフライパンに集中した。