「リアス・グレモリー、本日は会談に応じてくれて感謝する。私はゼノヴィア。
カトリック教会の聖剣使いだ。そして....」
「....紫藤 イリナ。プロテスタントの聖剣使いよ」
今、私の目の前には教会からの使者が二人座っていた。一人は青髪で目つきの鋭い女で、
一人は栗色のツインテールでこちらを睨んでいる女だった。
「そう。それで、教会の人間がここに来た理由は何かしら?」
そう聞くと、ゼノヴィアが真剣な表情になって私達に話し出した。
「....先日、教会で管理、保管していた聖剣エクスカリバーが四本、堕天使に奪われた」
「えっ? エクスカリバーって四本もあるのか?」
「イッセー、聖剣は三大勢力の戦争で折れてしまったの」
「あぁ。そして、聖剣は七つに分かれた。その内の一本は行方が分からないが、残りの
六本は正教会、カトリック、プロテスタントが二本ずつ所有していた」
そう言いながら、ゼノヴィアは椅子に立てかけている布を取った。その布の中には、
一本の巨大な剣があった。その剣を見た瞬間、私達全員は身震いした。
「これが分かれた聖剣の一本、”破壊の聖剣“だ。そして、イリナも“擬態の聖剣”という
聖剣を所持している」
「....それで、その話がなんの関係があるのかしら?」
「....奪われた聖剣は、日本、いやこの地に持ち込まれている」
そう言った瞬間、周りにいた私の眷属達は驚いた顔をしていた。
「聖剣を奪った主導者は?」
「グレゴリの幹部、コカビエルだ」
「コカビエル....古の戦いから生き残る堕天使の幹部....聖書にも記された者の名前が
出されるとはね」
主導者の名前を聞いて、私は苦笑してしまった。
「それで、私達の要求なのだが、私達の戦いが終わるまで一切事件に関わらないで欲しい」
「....ずいぶんな言い方ね」
「本部は悪魔と堕天使が手を組む可能性があると見ているからな」
「私は堕天使などと手を組まない。絶対によ。グレモリーの名にかけて。魔王の顔に泥を
塗るような真似はしない!」
「....それを聞けただけで十分だ」
ゼノヴィアは落ち着いた様子でそう言った。
「正教会からの派遣は? まさかあなたたち二人で堕天使の幹部から聖剣を取り戻すつもり
ではないでしょう?」
「いや、私たち二人のみだ」
「死ぬつもり? 相変わらず、あなた達の信仰はわからないわ」
私は呆れた様にそう言った。
「悪魔のあなたではわからないだろうな。....さて、言いたい事は伝えさせてもらった。
イリナ、そろそろお暇させてもらおう」
「....えぇ」
そう言って二人は立ち上がって出て行こうとした時、ゼノヴィアはアーシアを見てこう言った。
「....まさか、『魔女』アーシア・アルジェントか?」
「あなたが、教会で噂になってた....」
紫藤 イリナも聞き覚えがあったのかアーシアを見ていたが、その目には一切の興味が
なさそうだった。
「あ、あの....私は....」
「まさか悪魔になっているとは....堕ちるところまで堕ちたものだな。まだ我らの神を
信仰しているのか?」
「....はい。ずっと信じてきたものですから....」
アーシアは悲しそうにそう言った。すると、ゼノヴィアは聖剣をアーシアに向けた。
「そうか。ならいまここで私に斬られるといい。いまなら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、
我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだ」
「テメェふざけんなよ! さっきから好き勝手言いやがって! 自分たちで勝手に『聖女』にして、
少しでも求めていた者と違ったから、見限るのか! アーシアの苦しみを誰もわからなかった
くせに!」
「そうは言うが、君はアーシアの何だ?」
「家族だ。友達だ。仲間だ。だから、アーシアを助ける! アーシアを守る! お前がアーシアに
手を出すなら、俺はおまえら全員敵に回してでも戦うぞ!」
「イッセーさん....」
「....」
イッセーの言葉に、アーシアは今にも泣き出しそうだった。その時、何故か紫藤 イリナは
イッセーの事を睨みつけていた。
「それは私達、我らの教会全てへの挑戦か? 一介の悪魔にすぎない者が、大きな口を叩くね。
グレモリー、教育不足では?」
「っ....イッセー、そこまでにしておきなさい」
「....なら、僕が相手になろう」
すると、突然部室の扉が開いた。部屋に入って来たのは、さっきまでここにいなかった
祐斗だった。
「祐斗....」
「君は誰だ?」
「君達の先輩だよ。失敗作だけどね」