ハイスクールEvolution   作:アイリエッタ・ゼロス

25 / 50
不運

「....」

「(まただ....)」

 姉様が現れて数日後、私は再び変態先輩が祐斗先輩と生徒会の人といるのを見かけた。

 

「(あの三人....一体何を....)」

 姉様が現れてから数日が経ったが、私は毎日のようにあの三人が一緒にいるのを

 見かけていた。

 

「(....何だか、ものすごく嫌な予感がしますね。....一応、追いかけてみますか)」

 そう思った私は、三人に気づかれない様に後を追った。

 

 〜〜〜〜

 

「(こんな路地裏で何を....)」

 三人の後を追っていくと、何故か路地裏に着いた。そして、路地裏に入った瞬間、私は

 上の方から嫌な気配を感じた。私はその気配の方を見ると、上から剣を持った人型の何かが

 三人に剣を振り下ろそうとした。三人は咄嗟に気づき、その場から回避していた。

 

「(アイツは....!)」

 私は剣を振り下ろした人間を知っていた。その人間は、私達が堕天使レイナーレの住処に

 向かった時にいた神父だった。そして、その神父が持っている剣の気配を感じて、

 私はその剣が聖剣エクスカリバーの一本だとわかった。

 

「(これはマズイですね....)」

 そう思った私は携帯である人に電話をかけた。

 

『はい。どうかしましたか、塔城さん』

 電話をかけたのは、学園の生徒会長でシトリー家次期当主のソーナ・シトリー先輩だった。

 

「ソーナ先輩大変です。ソーナ先輩の兵士の人が聖剣使いと戦っています」

『....はい? それは一体どういう....』

「私もよくわかりません。とにかく、ウチの部長を連れてここに来てください。私では

 どうにもできそうになくて....」

『....一先ずわかりました。塔城さんは見つからない様に隠れていてください。私はリアスを

 連れてすぐに向かいます』

 そう言うと、ソーナ先輩は電話を切った。そうして、私は三人の戦いを様子見していると、

 背後から別の聖剣の気配を感じた。振り向くと、そこには破壊の聖剣を構えてこちらに向かって

 走ってくるゼノヴィアさんと、擬態の聖剣を構えてその後を追っている紫藤さんがいた。

 

「紫藤さん!」

「塔城さん!? どうしてこんな所に!」

 紫藤さんは私の姿を見た瞬間、驚いた表情をしていた。

 

「....あの三人を追っていたらこうなってまして」

「何やってるのよ....とりあえず、塔城さんはここにいて。塔城さんではアイツの相手は

 できないから」

 そう言うと、紫藤さんは神父の方に向かっていった。そうして紫藤さんが戦いに加わって

 少しすると、年寄りの神父が現れ、閃光玉を使ってこの場から逃げていった。

 

「イリナ! 追うぞ!」

「私に指図しないでくれる!」

「僕も追わせてもらう!」

 すると、紫藤さんとゼノヴィアさんと祐斗先輩は神父達を追いかけ出した。

 

「....これは、一体どういう状況ですか」

 それと同時に、私の背後にソーナ先輩と椿姫先輩、リアス部長と朱乃先輩が現れた。

 

「か、会長....」

「ぶ、部長....」

 二人は四人の姿を見た瞬間、一気に顔色が青ざめた。そんな様子を見ていた時....

 

「っ!?」

 私は一瞬、誰かの視線を感じた。だが、その視線はすぐに消えてしまった。

 

「(今の視線は一体....悪魔や堕天使とは違った視線は....)」

 

 〜〜〜〜

 イリナside

 

「(ホント....今日はことごとく運がないわ!)」

 フリードを追ってきた私達は、ある森に来ていた。そして、今私達が戦っているのは

 フリードではなく、今回の事件の首謀者のコカビエルだった。

 

「どうした! ミカエルが寄越した聖剣使いどもに神器使いの転生悪魔! 所詮はこの程度か!」

「くそっ....噂には聞いてはいたがこれ程とは....」

「言ってる場合じゃないでしょ! ここは一度撤退して態勢を立て直すわよ!」

「....それが良さそうだな。グレモリーの騎士、君もそれで良いか?」

「....そうだね。ここは一度態勢を立て直そう」

 そう言うと、グレモリーの眷属は一本の魔剣を創り出した。そして、その魔剣を地面に

 突き刺すと、地面は爆発を起こし、周囲に砂煙が起きた。私達はその瞬間、この場から一気に

 逃げ出そうとした。だが....

 

「っ....!」

 砂煙の中から飛んできた光の槍が私の脚に掠った。そして、私はその場で膝をついた。

 

「ほぉ....当たったのは擬態の聖剣の方か」

「....っ」

「(どうする....逃げようにもこの脚じゃすぐに追いつかれる。戦ったとしても....)」

 私はこの状況に絶望していた。

 

「まぁ良い。貴様は四肢をもいでグレモリーどもと天界の者どもへの手土産に....」

 そう言いながら、コカビエルが私に近づこうとしたその時....

 

「っ!? ゴハッ....!?」

 突然コカビエルは後方に吹っ飛んでいった。コカビエルが後方に吹っ飛んだ事で、周りにある

 木は倒れ、私の前は砂煙に包まれた。

 

「(っ! 急に何が....!)」

 私は腕で顔を覆っていると、砂煙の中に何かがいる気配を感じた。そして、その砂煙が晴れると

 そこには....

 

「っ....何、あれ....」

 血の様に真っ赤な、狼の様な鎧を纏った異形が立っていた。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。