オーフィスが来て一年近くが経った。この一年間で、オーフィスは様々な
感情を知り、少しずつだが表情に出てくるようになった。そして、自分で考えて
行動するようになり、今では店の手伝いまでしてくれるようになった。
「オーフィス、買い出しに行くぞ」
「分かった」
ある日、俺はオーフィスと食材の買い出しに行った。その帰り道....
「....?」
nascitaに向かって歩いていると、急にオーフィスが立ち止まった。
「オーフィス? どうかしたのか?」
「....こっち」
オーフィスは、急に裏路地に入っていった。そして、裏路地のある場所で止まると、
手を裏路地にかざした、その瞬間、裏路地の空間が歪み、空間が割れた。
空間が割れた先には、五人の悪魔が着物を着たのネコミミの女性を襲っていた。
「な、何だお前ら!?」
「俺達の結界を破壊した!?」
男達は、急に現れた俺達に驚いていた。
「あぁー、悪魔の連中ども。寄ってたかって一人の女性を襲うのはどうかと思うぞ」
「はっ! 人間風情が悪魔に口答えしてんじゃねぇよ!」
俺の言葉にキレたのか、一人の悪魔は炎を俺に飛ばしてきた。だが、その炎を俺は
トランスチームガンで消滅させた。
「なっ!?」
「おいオーフィス、あのネコミミ助けるぞ」
「分かった。....悪魔達は?」
「皆殺しだ。今のはムカついた」
「了解。来て、クローズドラゴン」
オーフィスがそう言うと、何処からかクローズドラゴンが飛んでき、オーフィスの手の中で
ガジェットモードになった。そして、俺は黒いボトルを、オーフィスはビルドドライバーと
青いボトルを取り出してベルトを腰にかざした。そして、俺達はボトルを振って
スチームガンとクローズドラゴンに挿し込んだ。
『wake up! クローズドラゴン!』
『ウルフ....』
オーフィスはレバーを回し、俺はスチームガンを首の横に持っていった。
『Are you ready?』
「変身....」
「蒸血」
その言葉とともに、オーフィスはプラモランナーが重なり、俺は黒い煙に包まれた。
『Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!』
『ミスト・マッチ....ウ・ウッ・ウルフ....ウルフ....ファイヤー!』
オーフィスは紺色をベースとし、黒い炎の装飾が刻まれた姿、“仮面ライダークローズ”になり、
俺は赤を基調とし、ところどころに黒い線が入った姿、“ブラッディウルフ”に変身した。
「セ、
『神器なんてものじゃねぇ。....ていうか、しゃべっている暇がよくあるな』
俺はそう言って一瞬で距離を詰めて男の一人の頭を掴んで地面に叩きつけた。
「ガハッ....!?」
『まずは一人』
俺はそう呟き、反対の手で男の首を斬り裂いた。すると、男は絶命した。
「う、嘘だろ!?」
「ひ、怯むんじゃねぇ! 相手は所詮ガキ....」
リーダー格の男がそう叫んでいると、その男の身体はいつのまにか粉々に刻まれていた。
『油断大敵....』
粉々に刻んだのはオーフィスで、オーフィスの手にはビートクローザーが握られていた。
「う、うわぁぁぁぁ!?」
「か、勝てるわけねぇ!」
「逃げるぞ!」
そう言って残っていた男どもは羽根を生やして逃げようとしたが....
『....逃がさない』
オーフィスはロックフルボトルをビートクローザーにセットし、グリップを三回引いた。
「スペシャルチューン! ヒッパレー! ヒッパレー! ヒッパレー!」
『えい....』
オーフィスはビートクローザーから現れた鎖を巧みに操り、逃げようとした三人を縛って
地面に叩きつけた。
『ナイスオーフィス。じゃ、これで終わりだな』
俺はボトルが挿さったスチームガンを男達向けて引き金を引いた。
『Ciao』
「スチームブレイク! ウルフ!」
スチームガンの銃口からは巨大な狼が現れ、悪魔達を喰い始めた。そして、この場には
悪魔どもの姿は完全に消滅した。
『雑魚しかいなかったか....まぁ良いか』
俺は襲われていた女性に近づいた。
『アンタ大丈夫か?』
「き、君は一体....」
『ただの人間と地球外生命体のハーフだ。ま、詳しい話しは場所を変えるぞ。アンタの傷の
手当てをしないといけないからな。オーフィス』
『わかった』
オーフィスが俺の隣に立つと、俺はスチームガンから煙を出した。
〜〜〜〜
nascita地下
煙が晴れると、俺達はnascitaの地下にワープしていた。
「なっ!? ここは一体....」
『俺の自宅兼基地だ』
そう言いながら、俺は変身を解除した。
「俺は石動 創二。元々兵藤 誠二だった人間だ。そして、隣にいるのがオーフィス。
俺の家族でドラゴンだ」
「オ、オーフィスって無限の龍神の....」
「そう呼ばれていた。でも、今の我は、ただのオーフィス。よろしく....」
オーフィスはそう言いながら白いボトルを持ってきた。
「創二、これ」
「ありがとな」
俺はそのボトルをスチームガンに挿し込み、銃口を女性に向けた。
「ちょ、ちょっと!?」
「動くなよ」
「フルボトル! スチームアタック!」
俺が引き金を引くと、ピンク色の煙が女性を覆った。すると、女性にあった傷は全て治り、
服の破れも直っていた。
「まぁこんなもんか」
「嘘....! 傷が....! 一体何をしたの?」
「このボトルの力で怪我を治したんだよ。....さてと、アンタ名前は?」
「わ、私は黒歌」
「黒歌か。お前、何で襲われていたんだ?」
「っ!」
俺がそう聞くと、黒歌は苦い表情になった。
「別に言いたくなかったら言わなくて良い。無理に聞こうとは思ってないからな」
そう言うと、黒歌は少し考え込み....
「....私が、はぐれ悪魔だからにゃん」
黒歌はそう言って少しずつ話し始めた。
黒歌は少し前まで悪魔の眷属だったのだが、妹の力を無理矢理覚醒させようとした
主人を殺したため、はぐれ悪魔という存在になり悪魔達に襲われていたらしい。
「なるほどな....」
すると、話し終わった黒歌は立ち上がり階段の方に向かった。
「何処に行く」
「....ここを出るの。ここにいたら、あなたにも迷惑がかかるにゃん」
「行くあてはあるのか?」
「....っ」
俺の言葉に、黒歌は視線を逸らした。
「....ねぇんだったら、ここに住むか?」
「えっ?」
「行くあてもないんだったらここに住め。衣食住は揃ってるぞ」
「....な、何でそんな事を言えるの? 私達は偶然出会っただけなのに....
それに私がいれば悪魔達がまた襲ってくるにゃん」
黒歌はあり得ないといった表情でそう言ってきた。
「深い理由はねぇ。ただ、お前をこのまま行かせるとダメな気がしただけだ。
それに来たところで全部返り討ちにしてやるよ」
「そんな理由で....」
「そんな理由だよ、俺が物事を決める時は。その方が人生面白くなるって
気づいたからな」
「....っ!」
「さ、どうする? 住むんだったら俺達も妹探しを手伝ってやるよ。
できる範囲でだけどな」
「我も、協力する」
俺とオーフィスの言葉に黒歌は....
「良いの? 私なんかがいて? 沢山迷惑をかけるにゃん....」
黒歌は心配そうにそう言ってきた。
「気にすんな。そんな事、俺らは一々気にしねぇよ」
「そう....それに、我、女子会してみたい」
「じょ、女子会....」
「(お前がそんな事を言うとは思ってなかったぞオーフィス....)」
オーフィスの思いもよらない発言に、俺は一瞬思考が停止した。
「そ、そこまで言ってくれるなら、少しの間お世話になっても良いかにゃん?」
「あぁ。ようこそ黒歌。カフェnascitaへ」
ここに、俺の新しい家族が増えた瞬間だった。