ハイスクールEvolution   作:アイリエッタ・ゼロス

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龍の兄VS人外の弟

 ソーナside

 

「塔城さん、少し良いですか」

 兵藤君と石動君の勝負が始まる前、私は塔城さんに話しかけた。

 

「どうしたんですか、ソーナ先輩」

「....石動君が昨日、コカビエルを一瞬で倒したというのは事実なんですよね」

「はい」

「ならばこの勝負、どちらが勝つかは....」

「100回やったら100回石動先輩が勝つと思います。石動先輩、多分昨日も本気で

 戦っていなかったんじゃないかと思います」

「(コカビエルに本気じゃない....? 塔城さんが嘘を言うとは思いませんが....

 石動君の実力というのはどのくらいのものなのでしょう....)」

 私は塔城さんの話しを聞いて、石動君の強さがひそかに気になってしまった。

 

「ソーナ! こっちの準備はできたわ! 始めてもらえるかしら」

「えぇ、わかりました」

「(石動君。あなたの強さ、見させてもらいますね)」

 

 ~~~~

 創二side

 

「お二人とも、準備はよろしいですか?」

『いつでもどうぞ』

「はい!」

「では、私の合図で始めてください。勝負はどちらかが気絶すれば終わりです。ですが、

 これ以上は私が危険と判断した場合強制的に試合を終わらせます。良いですね?」

『了解』

「わかりました」

『(さぁて、どいつで痛めつけるか)』

 会長の話しを聞いて、俺はどのベストマッチで戦うか考えていた。

 

「それでは、勝負! 始め!」

 すると、会長が勝負を始める合図を叫んだ。

 

「行くぜドライグ。赤龍帝の籠手!」

 クズ兄がそう叫ぶと、クズ兄の左腕に赤い籠手のようなものが装備された。

 

『(赤龍帝の籠手....二天龍とか言われてるやつの片割れか。確か能力は倍加だったな)』

 俺は昔、オーフィスに教えてもらった事を思い出していた。

 

「行くぞ石動!」

 そう叫び、クズ兄は殴りかかってきた。俺はその攻撃を避けながらどのベストマッチを

 使うか考えていた。そして、クズ兄の籠手が15回"Boost!"と叫ぶと何か腕に力を溜め始めた。

 

『(....よし。これで行くか)』

 そう思い、俺は昨日スタークから貰った二本のボトルを振ってベルトに挿し込んだ。

 

フェニックス!  ロボット! ベストマッチ!

 

 そうして、ベルトのレバーを回し始めたが....

 

「おせぇよ! 食らえ、ドラゴンショット!」

 そう叫んで、クズ兄は俺に向かってレーザーを放ってきた。

 

 ~~~~

 小猫side

 

「石動先輩!」

 石動先輩は変態先輩が放ったレーザーに直撃していた。直撃した場所は爆発して巨大な

 炎が上がっていた。

 

「(まさか、石動先輩が....!?)」

「よっしゃ! 部長! あいつを倒しましたよ!」

「えぇ! よくやったわイッセー!」

 そう言って二人は喜んでいたのだが、ソーナ先輩は試合終了と一言も言わなかった。

 それどころか、ソーナ先輩を見ると石動先輩がいた場所をじっと見ていた。すると、何か

 驚いた表情をしていた。私も石動先輩がいた場所を見ると、そこに上がっていた炎が突如

 渦を巻き始めた。そして炎は石動先輩がいた場所に集まり、炎は形を成していった。

 すると、そこには先程の赤と青のビルドじゃない別のカラーリングのビルドが現れた。

 そのビルドは左腕は巨大な黒いアームで、右腕に赤い武器のようなものが付いており

 背中には赤い羽が生えていた。そして、ベルトからこんな軽快な音が流れた。

 

不死身の兵器! フェニックスロボ! イェーイ!

 

 ~~~~

 創二side

 

「な、何で無事なの!? イッセーのドラゴンショットを受けておいて!」

「そ、そうだ! さっきの攻撃は確実に....!」

『残念だったな。お前の攻撃が当たる前にフォームチェンジは終わってたんだよ。

 そして、お前の攻撃は炎になって避けさせてもらった』

 そう言って、俺は右腕を炎に変えた。

 

「嘘だろ....!」

『さて、お前の動きは見切ったしこっちもそろそろ攻撃させてもらおうか!』

 そう叫び、俺は地面を蹴って左腕でクズ兄の顔面を殴った。

 

「グフッ!?」

『おいおいどうした? さっきの威勢はどこに行った』

 そう言いながら、俺はクズ兄の周囲に火の粉を巻き爆発させた。

 

「うわぁぁぁぁ!」

 クズ兄は情けない声を上げながら地面を転がっていた。

 

『はぁ....威勢がいいのは最初だけか。これ以上時間をかけても無駄だな』

「....ざけんな」

『あぁ?』

「ふざけんなぁぁぁ!!!!」

 クズ兄がそう叫んだ瞬間、クズ兄の身体に真っ赤な鎧が装着された。

 

『Welsh Dragon Over Booster!』

 

「石動ぃぃぃ!!!」

 クズ兄は叫びながら俺に向かって真っすぐに突っ込んできた。

 

『....はぁ』

 俺はそれを左腕のアームで受け止めて離されないようにガッチリと固定した。

 

「っ! 離しやがれ!」

『やなこった。てか、これで終わりにしてやるよ』

 そう言って、俺は右腕でベルトのレバーを回し始めた。すると、俺の身体は炎に包まれ、

 掴んでいる腕からクズ兄も炎に包まれ始めた。

 

『さて、お前はこの爆発に耐えられるといいな』

「ば、爆発って! お前何する気だ!」

『自分の身で味わえ』

 

Ready go! ボルテックフィニッシュ! イェ-イ!

 

 その言葉と最後に、俺はクズ兄を巻き込んで大爆発を起こした。

 

 ~~~~

 ソーナside

 

「(っ!? 何て威力ですか....)」

 私は目の前で起きたことに言葉が出なかった。一瞬にして兵藤君を追い詰め、さらには

 赤龍帝の鎧を纏った兵藤君の攻撃を片手で受け止めてそのまま自爆を起こした。そして、

 自爆を起こした場所には巨大なクレーターが出来上がっていた。私がクレーターに

 近づくと、そこには血だらけの兵藤君が倒れていた。だが、何故かそこに石動君の姿は

 なかった。

 

「(石動君は何処に....)」

 そう思って辺りを見渡すと、突然私の近くに無数の小さな火の粉が現れた。そして、

 その火の粉が集まると火の粉が石動君が変身した姿になった。

 

『会長、勝負は俺の勝ちでいいだろ?』

 身体に一切傷を負っていない石動君は普段の様子で私にそう言ってきた。

 

「....えぇ。リアス、この試合は石動君の勝ちです」

「ありえない....! あなた、どうやってイッセーだけを!」

『自爆した時に俺は炎になって爆発から逃れただけだ。まぁいわゆる、ウルトラダイナマイト

 ってところだな。それよりも、あのまま放っておいて良いのか?』

 石動君はクレーターのそこで倒れている兵藤君を指さしてそう言った。すると、リアスは

 唇をかみしめながらも兵藤君を拾いに行き、アーシアさんに回復するように言っていた。

 すると、石動君はクレーターの近くに近づき、地面を足で叩いた。すると、クレーターが

 あった場所は元の地形に戻っていった。これには、この場にいる全員が目を見開いて

 驚いていた。

 

「(これは末恐ろしいですね....あの破壊力のある攻撃にこの再生力。眷属であるならば

 どれだけ頼もしい事か....)」

 私は不謹慎ながらも石動君の力を見てそう思ってしまった。

 

『さて、終わったことだし俺は帰っても良いですよね会長』

「え、えぇ。かまいませんよ」

 私は突然声をかけられたので驚きながらそう答えた。

 

『じゃ、お疲れ様でした』

 そう言って石動君が背を向けて歩き出した時、石動君に向かって赤い何かが飛んで行った。

 よく見てみると、それはリアスが所有している悪魔の駒だった。

 

「っ!?」

「(リアス....! まさか強制的に彼を眷属に!)」

「石動君! 避けて....!」

 私がそう叫んだのと同時に、石動君はこちらを見ずに飛んで行った悪魔の駒を手で

 キャッチして握り潰した。

 

「っ!? 噓でしょ!?」

『....はぁ。めんどくせぇな』

 そう呟きながら石動君はこちらを向き何か考え込み始めた。すると、何かを思いついたのか

 私に近寄ってきて驚くべきことを言った。

 

『なぁ会長。あの件ってまだ有効か?』

「あの件とは?」

『生徒会に入るって件だよ』

「っ!」

 その言葉を聞いて、私は息をのんだ。

 

『まだ有効ならでいいんだがな』

「そ、それはもちろん有効ですが....何故急に....」

『会長が近くにいればあの無能は下手に俺に手が出せないだろ。もちろん、生徒会を

 都合のいい盾として使わせてもらうんだ。面倒ごとがあった場合の対処や生徒会の雑務も

 全部引き受けよう。それに、会長からの頼みなら少しぐらいの無茶ぶりも聞こう』

「(これは....思いがけないほどラッキーな事では? 彼が生徒会に入れば生徒会や学園、

 私にとってもメリットしかない....)」

『それで、この条件でどうだろうか?』

「....わかりました。では、明日から生徒会の業務に参加してください」

「会長!?」

 すると、驚いた表情で副会長の椿姫が私の耳元に近づいてきた。

 

よろしいのですか? 彼を生徒会に入れて

考えてもみなさい椿姫。これ以上リアスが余計なちょっかいをかければさっきの

兵藤君よりひどいことになるのが目に見えます。ここは彼をこちらで保護したほうが

学園や私達のためになります

....確かに

でしょう?

 そう言うと、椿姫は私から離れていった。

 

「では石動君。明日からお願いしますね?」

『了解しましたよ。会長』

 そう言って、石動君は変身を解除して正門のほうに向かって歩いて行った。

 

「(さて、あとはこっちですね)」

 そう思いながら、私はリアスのほうを見た。

 

「さてリアス。今から少しお話しをしましょうか」

 その時、リアスの目は恐怖で歪んでいた。

 

 

 

 

 


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