ハイスクールEvolution   作:アイリエッタ・ゼロス

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母と娘

 イリナちゃんと俺は、廃村から離れイギリスのウェスト・アクソンにある"紫藤"という

 小料理屋の前にいた。

 

「イリナちゃん、ここって....」

「....うん。私が住んでた家兼ママのお店」

 そう言いながら、イリナちゃんは明かりがついていない店の扉を叩いた。

 

「鍵、持ってないのか....?」

「この前の戦いで失くしちゃって....」

「えぇ....」

 そんなことを話していると、店の中から誰かが扉の方に歩いてくる音が聞こえてきた。

 そして、鍵が開く音が聞こえ中からやせ細ったイリナちゃんの母親であるスミレさんが

 出てきた。

 

「あの、すみません....今日は定休日で....っ!?」

 スミレさんはイリナちゃんの顔を見た瞬間、その場で固まってしまった。

 

「....えっと。ただいま、ママ」

「....イリナちゃん、なの?」

「うん....ごめんねママ。帰ってくるのが遅くなって....」

 イリナちゃんがそう言った瞬間、スミレさんは泣きながらイリナちゃんに抱き着いた。

 

「イリナちゃん! イリナちゃん!」ポロポロ

「心配かけてごめんね、ママ....」

 

 ~数分後~

 

 ひとしきり泣いたスミレさんは俺とイリナちゃんを店の中に入れてくれた。

 

「えっと....それでイリナちゃん、さっきから気になってたんだけど横にいる人は?」

 スミレさんは俺の方を見ながらイリナちゃんにそう言った。

 

「この人は誠二君よ、ママ」

「えっ?」

「えっと....お久しぶりですイリナちゃんのお母さん」

 そう言いながら、俺は顔の変装を解除した。

 

「っ!? 誠二、君....? でも誠二君は....」

「生きてたのよ誠二君は。今の今までね。今は創二って名前だけど....」

「まぁ、そういう事になりますね....」

「そう、だったのね....もしかしてイリナちゃんを助けてくれたのもせ....創二君が?」

「はい」

「そう....ありがとう創二君。イリナちゃんを助けてくれて」

「いえ、気にしないでください」

 そう言うと、スミレさんは安心したように一つため息をついた。

 

「....でも、本当に良かった。教会からイリナちゃんが死んだって手紙が来た時は本当に

 絶望したから....」

「教会から手紙来てたの!?」

 スミレさんの言葉に、イリナちゃんは驚いていた。

 

「えぇ。でも、手紙は見た瞬間に捨てちゃった」

「そう....随分と適当ね。それにこんな早いなんて....パパの時には数ヶ月かかったのに」

「そうよね....」

「....その言い方、もしかして」

 二人の会話を聞いていた俺は一つ、ある事が頭の中に浮かび上がった。

 

「創二君には言ってなかったわね....パパは数年前に亡くなったわ。はぐれ悪魔との戦いでね」

「っ! そっか....」

「まぁ、あまり深く気にしないで」

 イリナちゃんは俺に気にしないようにそう言ってきた。

 

「それで、イリナちゃんはこれからどうするの? 家に戻る? それともしばらく創二君と

 いるの?」

「っ....その事なんだけどね、私、創二君の所でお世話になろうと思ってるの」

「そっか....」

「それとねママ。私、これから三大勢力を滅ぼすために戦うの」

「っ!」

 イリナちゃんの言葉に、スミレさんは驚いたようで言葉を失っていた。

 

「パパは天界に良いように利用されて、私は神はいないのにいるって騙されて....これ以上、

 私やパパみたいな人を出したくないの。それに、今度は私が創二君を支えたいの!」

「イリナちゃん....」

「親不孝者って思われても仕方ないよ....でも、お願い。私が選んだ道を信じて」

 そう言って、イリナちゃんはスミレさんに頭を下げた。

 

「....創二君」

「っ、はい」

 すると、スミレさんは突然俺に話しかけてきた。

 

「この件に、創二君も関わってるのよね?」

「....はい。何なら、この件の首謀者は俺です」

「そっか。....なら、イリナちゃんの事、よろしくね」

「ママ....!」

「っ....はい。イリナちゃんの事は、俺の命に代えても守ります」

「なら、心配はいらないわね。頑張りなさい、イリナちゃん」

「....ありがとう、ママ」

 

 ~~~~

 

「すいません、晩御飯ごちそうになって....」

「いいのよ。気にしないで」

 あの後、俺とイリナちゃんは晩御飯をごちそうになり、店の外に出ていた。

 

「....それじゃあ、私達は帰るね」

「うん。体に気を付けてね。創二君も」

「ありがとうございます」

 そう言って、俺は帰るためにトランスチームガンを取り出していると、スミレさんが

 イリナちゃんに耳元で何かを言っていた。すると、イリナちゃんの顔は真っ赤になっていた。

 そして、スミレさんは面白そうに笑っていた。

 

「も、もう! ママの馬鹿! 行こ! 創二君!」

 イリナちゃんは顔を真っ赤にしながら俺の腕を引っ張った。

 

「あ、あぁ。では、失礼します」

 スミレさんにそう言って、俺とイリナちゃんはトランスチームガンから出た煙の中に消えた。

 

 

 

 

 

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