プールと白き龍
スミレさんに会って四日が経った。
「今日からこの学校でお世話になります。石動 イーナです。あそこにいる創二君の従妹に
あたります。よろしくお願いします」
「ゼノヴィアだ。これからよろしく」
学園にイリナちゃんとこの前の聖剣使いが転校してきた。しかも、聖剣使いからは
悪魔の気配を感じた。
「(あの女....悪魔になったのか。しかも反応的に無能の方か....)」はぁ
俺はまた面倒ごとが増えたと思いため息が出た。
~それから数日後~
イリナちゃんはクラスに馴染み、剣道部の部員達とかなり仲良くなっていた。俺もそれなりに
イリナちゃんと関わりながらも、普段通りの生活を送っていた。そんな中....
「プール掃除の監視?」
「えぇ」
生徒会室にいると、会長からそう言われた。
「今度の日曜日にリアス達がプールを使わせてほしいと言いましてね。リアス達だけだと何を
しでかすのかわかりませんから監視をお願いしたいんです」
「会長とか副会長のほうが良いんじゃないのか?」
「その日は私も椿姫も少し用事がありまして」
「そうか....監視だけで良いんだよな?」
俺は確認のためにそう聞いた。
「はい。何かあった場合は写真か動画でも取って私に送ってください。後日、改めて私の方で
罰を与えますので」
「わかった。そういう事なら引き受ける」
こうして、俺の日曜日の予定は決まった。
~日曜日~
「....何であなたがいるのかしら?」
「知るか。俺は会長から頼まれただけだ。お前らが何かやらかさないかの監視をな」
「やらかさないか、ね....」
無能はどこか不服そうな表情でそう言ってきた。
「安心しろ。何もしなければ俺も何もしない。大人しく本でも読んでる」
そう言って、俺は水に濡れない場所に移動して監視をしながら本を読み始めた。そして、
もう少しで掃除が終わるといったところで搭城が俺に近づいてきた。
「石動先輩」
「どうした?」
「石動先輩って泳げますか?」
「泳げるが....それがどうかしたか?」
「なら、私に泳ぎを教えてもらえませんか?」
「....意外だな。お前、泳げなかったのか」
「....悪いですか」
搭城はどこか拗ねたように俺から視線を逸らした。
「そうは言ってねぇよ。....まぁいい。教えるぐらいなら別に良いぞ」
「っ! ありがとうございます」
そう言うと、搭城は俺から離れて掃除にしに戻っていった。それから少しすると全員は水着に
着替えてプールで遊び出した。
「ま、取り敢えずどこまでできるか見せてくれ。教えるのはそれを見た後だ」
「わかりました」
そして、俺はスク水姿の搭城に泳ぎを教えようとしていた。搭城は俺の言葉を聞くと、
ビート板を使って泳ぎ出したが、途中で足をついてしまった。
「....あれだな。身体に力が入りすぎだ」
「力が、ですか?」
「あぁ。こっちに戻ってこい」
そう言って、俺は搭城をプールサイドの方に呼び戻した。
「搭城、プールサイドを持ってバタ足をやってみろ」
「わかりました」
搭城はプールサイドを掴んでバタ足を始めたが、どんどん身体が沈んでいった。
「搭城、やっぱり力が入りすぎだ。ちょっと俺の手を持ってバタ足をやってみろ」
俺はそう言って搭城に手を差し出した。
「わかりました」
搭城は俺の手を掴んでバタ足を始めたが、すぐに腕に力が入っていくのに気付いた。
「搭城、力が入り過ぎてる。もっと腕の力を抜いて大丈夫だ」
「でも、力を抜いたら沈みませんか....?」
「逆だ。力を入れれば入れるほど身体は沈む。もっとリラックスしてみろ」
俺はそう言いながら搭城の腕を揺らして力を抜かせた。
「いくらでも練習には付き合ってやるから。少しずつ慣れていけ」
「....はい」
そう言いながら練習を続けていると、俺は二つの気配を感じた。
「(この気配....一つは黒歌か)」
俺は黒歌の気配を感じたほうを見ると、そこには木の上で気配を完全に隠して自分の妹を
盗撮している黒歌がいた。
「(何をやっとんだアイツは....それよりも、もう一つの気配....)」
俺は黒歌のやってる事に呆れながら、もう一つの気配の方を感じたほうを見た。
「(この気配....あの時の奴か)」
俺を気配の正体に覚えがあった。
「....石動先輩、どうかしたんですか?」
すると、俺の様子を不思議に思ったのか搭城がそう聞いてきた。
「....いや、少し気になることがあっただけだ」
「気になること、ですか?」
「ま、お前は気にしなくても大丈夫だ」
そう言いながら、俺は搭城の頭を撫でた。
「っ!」
「ん? どうかしたのか?」
「い、いえ....」
搭城は俺から視線を逸らして泳ぎの練習を続けた。
~数時間後~
「石動先輩、何かスイーツでも食べに行きませんか?」
練習が終わり、着替え終わって校舎から出てきた搭城は俺にそう言ってきた。
「別にいいぞ。....だが、少し用事を終わらせてからな」
そう言いながら俺は腰にビルドドライバーを巻いて学園の門に向かった。すると、そこには
銀髪の悪魔がいた。
「....こんなところで何をしている、悪魔」
「っ! そのベルト....なるほど。君がコカビエルを倒した人間か」
「お前....やっぱりあの時の奴か。何が目的だ」
俺はそう言いながらボトルを二本取り出した。
「っ! これほどの殺気を出せるか....今すぐにでも君とは戦ってみたいな」
「そうか....なら、やってみるか?」
そう言って、俺がボトルを振ると悪魔はすぐに首を横に振った。
「いや、今日はやめておこう。今日、ここに来た目的は今代の赤龍帝がどのような悪魔かを
見に来ただけだ。俺のライバルの赤龍帝を....君との戦いはまた今度にしておくよ」
「....そうか。なら、さっさと見てくればいい。白龍皇」
「あぁ。そうさせてもらうよ」
そう言うと、白龍皇はクズ兄がいる方に向かっていった。俺はそれを見届けると、ベルトを
外して搭城の方に戻った。
「石動先輩! 今の人は....」
「白龍皇だとよ。俺らは関係ないからさっさと行くぞ」
「は、白龍皇って....待ってください先輩!」
搭城は俺の言葉に驚きながら走って俺を追いかけて来た。